埼京・川越線の置き換え('13年)


埼京・川越線置き換えの背景

 京葉線(京葉車両センター)へのE233系5000番台導入が終了した後、新津車両製作所ではE233系3000番台の製造が行われた。これは東海道線(田町車両センター)と高崎線(高崎車両センター)へ投入して211系電車を置き換えるためであった。この背景には、東北縦貫線(上野東京ラインの計画名称)区間内の急勾配を検討した結果、211系電車より高出力な電車での運転が望ましい状況であったためで、置き換えられた211系電車の一部は、幕張車両センターから転出した車両と合わせて、長野総合車両センターと高崎車両センター(高崎地区ローカル運用)の115系電車・107系電車に置き換えに回されたほか、一部では編成単位での廃車も行われた。
 E233系3000番台の導入がひと段落したあとは、埼京・川越線(川越車両センター)へのE233系7000番台導入と横浜線(鎌倉車両センター)へのE233系6000番台導入が同時に発表された。両路線は205系電車が運用されている路線であり、当時すでにJR東日本の通勤型電車としては営業運転に投入されている最古参の車両である205系電車の置き換えが加速することになった。
 埼京・川越線(川越車両センター)には、1989(平成元)年度から205系電車が導入され、2012(平成24)年度末の時点で10両編成32本が所属していた。E233系電車は検査体制の見直しなどをして1本少ない10両編成31本が導入されることになり、2012(平成24)年度から2013(平成25)年度にかけて導入された。E233系電車は拡幅車体を採用したため6扉車は組み込まれず、E233系電車の導入が完了したことで、埼京・川越線での6扉車の運行は終了した。
 置き換えられた車両については、8両が宇都宮線(小山車両センター)へ転用されたほかは全て廃車されることになった。廃車になった車両のうち180両がインドネシアのPT.KAI Commuter JABODETABEKへ譲渡され、122両が解体された。なお、10両編成1本は予備車として残され、2年8ヶ月にわたり埼京・川越線での運用を続けたのち廃車になり、4両は富士急行に譲渡された。

置き換え直前の編成組み換え

 宮ハエ8編成、宮ハエ18編成、宮ハエ27編成で、E233系7000番台による置き換えの直前に付随車の交換が行われた。

宮ハエ18編成の完全4扉車化

 2013年6月7日に、それまで組み込んでいた6扉車(サハ204-48号、サハ204-901号)を編成から外し、宮ハエ27編成から4扉付随車(サハ205-172号、サハ205-173号)を組み込んだ。組成位置は通常のオール4扉車と同じになり、宮ハエ18編成はオール4扉車編成として営業運転に投入された。一方、宮ハエ27編成は営業運転に投入されることはなく、この置き換えに伴って運用から離脱した。
  • 旧編成
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 クハ204
18 126 344 344 345 345 346 346 48 901 126
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 クハ204
27 106 284 284 172 285 285 173 286 286 106
※太字が新・宮ハエ18編成に組み込まれた車両、細字が営業運転に投入されない保留車となった車両
  • 新編成
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 クハ204
18 126 344 344 172 345 345 173 346 346 126

サハ204形900番台の運用離脱と宮ハエ18編成の6扉車2両化

 2013年7月に入って、一旦オール4扉車編成になっていた宮ハエ18編成から4扉付随車を外し、6扉車を再び2両組み込んだ。しかし、この時に組み込んだのは、サハ204-11号とサハ204-48号だった。サハ204-11号は宮ハエ8編成の3号車に組み込まれていた車両であったが、この組み換えと同時に運用から離脱した。両車とも元々の連結位置は3号車であったが、サハ204-48号が2号車に連結されることになった。この組み換えの背景として、宮ハエ8編成はサハ204-902号、宮ハエ18編成はサハ204-901号を組み込んでいた編成であり、6扉車の試作車を運用から早期に離脱させる必要があったと考えられる。なお、サハ204-901・902は以降どの編成にも組み込まれないまま廃車となった一方、サハ205-172号は宮ハエ8編成に、サハ205-173号は宮ハエ27編成に組み込まれてこの2編成は9両編成を組成し、後述する長野総合車両センターへの配給に備えた。
  • 旧編成
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 クハ204
18 126 344 344 172 345 345 173 346 346 126
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 クハ204
8 96 258 258 259 259 260 260 11 902 96
※川越車両センター保留車:サハ204-48
※太字が新・宮ハエ18編成に組み込まれた車両、細字が営業運転に投入されない保留車となった車両
  • 新編成
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 クハ204
18 126 344 344 345 345 346 346 11 48 126

宇都宮線黒磯口ローカルへの転用

 宇都宮線黒磯口ローカル(小山車両センター)には、京葉線(京葉車両センター)から転用された205系600番台が投入されたが、京葉線とともに改造種車を捻出する予定だった武蔵野線(京葉車両センター)が運用数増加のため車両を捻出できなかったため、日光線(京葉車両センター)と合わせて4両編成10本しか組成できなかった。そのため、不足分の4両編成2本は埼京・川越線(川越車両センター)から転用されることになった。
  • 転入前
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車 転出日
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 クハ204
16 124 338 338 124 2014.02.13
17 125 341 341 125 2014.03.19
  • 転入時
小山 4号車 3号車 2号車 1号車 改造 転入日
クハ205 モハ205 モハ204 クハ204
Y11 611(125) 611(341) 611(341) 611(125) 大宮 2014.03.19
Y12 612(124) 612(338) 612(338) 612(124) 大宮 2014.02.13

転用対象外車両の廃車

 宇都宮線黒磯口ローカルに転用された宮ハエ16編成・宮ハエ17編成と、予備車として残留する宮ハエ28編成を除いた29編成は、編成単位で廃車されることになった。また、宮ハエ16編成と宮ハエ17編成も、10両編成から4両編成へ短縮されるに当たって余剰となる車両が廃車になったため、廃車対象は302両となった。
 編成単位での廃車に当たっては、川越線内の編成有効長の都合で、川越車両センターから電気機関車と10両編成を連結した11両では出区できないため、インドネシアへ輸出される編成は川越車両センターから高崎駅まで自力回送して、高崎駅から新津車両製作所まで配給された。6扉車を組み込んだ編成は、付随車(6扉車)の連結位置が編成の片側に偏った構成になっているため、配給時のみ6扉車の連結位置を変更している。輸出されない車両については、川越車両センターにて一部の中間車を外して9両編成以下の長さにしたうえで長野総合車両センターへ配給し、抜かれた中間車は数編成分がまとめられて別途配給された。ただし、宮ハエ2編成のサハ204-3号だけは単独での配給になり、宮ハエ29編成のサハ205-82号は1両だけ保留車になった後、八高・川越線(川越車両センター)所属車に挟まれて大宮総合車両センターに入場した後、方向転換を経て南武線(中原電車区)所属車とともに長野総合車両センターへ配給された。
  • 廃車(PT.KAI Commuter JABODETABEKへ譲渡される車両)
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 3号車 5号車 4号車 2号車 1号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ204
15 123 335 335 336 336 8 337 337 46 123 2013.09.20 インドネシアへ輸出(1両目~10両目)
7 95 255 255 256 256 38 257 257 39 95 2013.09.26 インドネシアへ輸出(11両目~20両目)
11 99 267 267 268 268 20 269 269 21 99 2013.10.04 インドネシアへ輸出(21両目~30両目)
25 144 389 389 390 390 13 391 391 49 144 2013.10.10 インドネシアへ輸出(31両目~40両目)
14 122 332 332 333 333 28 334 334 29 122 2013.10.18 インドネシアへ輸出(41両目~50両目)
13 121 329 329 330 330 26 331 331 27 121 2013.10.24 インドネシアへ輸出(51両目~60両目)
24 143 388 386 387 387 41 277 277 47 143 2013.11.01 インドネシアへ輸出(61両目~70両目)
4 92 246 246 247 247 14 248 248 34 92 2013.11.07 インドネシアへ輸出(71両目~80両目)
23 142 383 383 384 384 12 385 385 40 142 2013.11.21 インドネシアへ輸出(91両目~100両目)
20 128 350 350 351 351 5 352 352 10 128 2013.11.29 インドネシアへ輸出(101両目~110両目)
1 89 237 237 238 238 1 239 239 2 89 2013.12.06 インドネシアへ輸出(111両目~120両目)
31 17 49 49 50 50 22 51 51 23 17 2013.12.14 インドネシアへ輸出(121両目~130両目)
12 120 326 326 327 327 24 328 328 25 120 2013.12.20 インドネシアへ輸出(131両目~140両目)
18 126 344 344 345 345 11 346 346 48 126 2014.02.07 インドネシアへ輸出(151両目~160両目)
22 141 380 380 381 381 37 382 382 45 141 2014.02.14 インドネシアへ輸出(161両目~170両目)
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 クハ204
26 137 370 370 148 371 371 149 372 372 137 2013.11.15 インドネシアへ輸出(81両目~90両目)
30 42 124 124 83 125 125 84 126 126 42 2014.01.30 インドネシアへ輸出(141両目~150両目)
32 54 160 160 146 161 161 147 162 162 54 2014.02.20 インドネシアへ輸出(171両目~180両目)
  • 廃車(解体)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ205 クハ205 廃車日 備考
#1(2013.07.17) 8 96 258 258 259 259 260 260 96 2013.07.18 解体(長野総合車両センター)
18 172
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ205 クハ205 廃車日 備考
#2(2013.07.29) 27 106 284 284 285 285 286 286 106 2013.07.30 解体(長野総合車両センター)
18 173
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#3(2013.08.08) 19 127 347 347 348 348 349 349 42 127 2013.08.09 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#4(2013.08.20) 21 140 377 377 378 378 379 379 9 140 2013.08.21 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 サハ204 サハ204 サハ204 サハ204 サハ204 サハ204 廃車日 備考
#5(2013.09.05) 18 901 2013.09.06 解体(長野総合車両センター)
8 902
19 50
21 43
10 19
3 33
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#6(2013.09.11) 3 91 243 243 244 244 245 245 32 91 2013.09.12 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#7(2013.09.25) 10 98 264 264 265 265 266 266 18 98 2013.09.26 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#8(2013.10.15) 6 94 252 252 253 253 254 254 36 94 2013.10.16 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 サハ204 サハ204 サハ204 廃車日 備考
#9(2013.10.23) 16 339 339 340 340 31 44 2013.10.24 解体(長野総合車両センター)
6 16
5 35 51
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ205 廃車日 備考
#10(2013.11.05) 5 93 249 249 250 250 251 251 93 2013.11.04 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#11(2013.11.12) 9 97 261 261 262 262 263 263 17 97 2013.11.13 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 サハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 サハ204 廃車日 備考
#12(2013.11.21) 9 15 2013.11.22 解体(長野総合車両センター)
17 342 342 343 343 6 7
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 サハ204 クハ205 廃車日 備考
#13(2013.12.18) 2 90 240 240 241 241 242 242 4 90 2013.12.19 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ205 廃車日 備考
#14(2014.01.16) 29 41 121 121 81 122 122 123 123 41 2014.01.17 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 サハ204 廃車日 備考
#15(2014.01.24) 2 3 2014.01.25 解体(長野総合車両センター)
配給回次 川越 クハ205 サハ205 クハ204 廃車日 備考
#---(2015.02.12) 29 84 2015.02.13 解体(長野総合車両センター)
100(南武線/横ナハ5編成) 100(南武線/横ナハ5編成)

宮ハエ28編成の動向

 埼京・川越線(川越車両センター)から205系電車が引退するに当たっては引退記念のヘッドマークが掲出され、当初は宮ハエ22編成に、宮ハエ22編成の撤退後は宮ハエ28編成が当該編成となっていた。ヘッドマークの掲出期間は2014年2月28日までだったが、2014年3月3日にヘッドマークを外した状態で宮ハエ28編成が営業運転を行い、以降も宮ハエ28編成は埼京・川越線で運用され続けた。宮ハエ28編成が選ばれた理由としては、オール4扉車編成であることと、検査期限の都合があったと考えられる。
 これは、E233系7000番台と東京臨海高速鉄道所属の70-000形電車で、保安装置の更新が必要となったため、改造期間中の予備車として使用するためだった。埼京線の池袋-大宮間(線路名称上、池袋-赤羽は赤羽線、赤羽-大宮は東北本線別線)でのATACS導入は決まっていたものの、E233系7000番台はATACS非対応で製造されており、順次改造が行われた。
 予備車として残留した宮ハエ28編成は、しばらくは土休日運用(2014年3月15日ダイヤ改正以降は日曜01運用、途中から土曜05運用の週イチ固定運用)のみで運用していたが、退色が進んでいた路線識別帯を大宮総合車両センターに臨時入場して更新した後は運行が非固定化され、平日ダイヤでの運用も再開してE233系と共通運用化された。また、廃車が間近であることを利用し、2015年には埼京線開業30周年記念の特別な車内装飾が一部車両に対して行われ、モケットやつり革が一時的に交換されたこともあった。その後、ATACS対応改造工事が対象全編成に施工されたため2016年10月27日限りで運用から離脱した。
 運用離脱後は全車両が廃車になったが、うち4両(クハ205-107、モハ205/204-287、クハ204-107)は富士急行に譲渡された。なお、このうちのクハ205-107はモハ205-287の先頭車化改造工事の部品取り用として書類上譲渡されたものであり、部品を外された後の廃車体は長野総合車両センターで解体された。
  • 廃車
川越 10号車 9号車 8号車 7号車 6号車 5号車 4号車 3号車 2号車 1号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 サハ205 モハ205 モハ204 クハ204
28 107 287 287 107 2016.11.09 富士急行譲渡
174 288 288 175 289 289 2016.11.11 解体(長野総合車両センター)

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最終更新:2018年07月24日 00:02