南武線の置き換え('14年-'15年)


南武線置き換えの背景

 JR東日本で営業運転に投入されている通勤型電車としては最古参となった205系電車。京葉線(京葉車両センター)で編成単位の廃車が始まった後は、埼京・川越線(川越車両センター)、横浜線(鎌倉車両センター)と置き換えが進み、次の投入線区には南武線(中原電車区)が選ばれた。
 南武線には、205系0番台が6両編成27本、205系1200番台が6両編成5本、209系0番台が6両編成1本、209系2200番台が6両編成3本所属しており、これをE233系8000番台6両編成35本で置き換えることになった。E233系電車のほうが1本少ないのは、E233系電車の導入が決まった後の2014年3月15日ダイヤ改正で南武線が運用増になり、205系0番台の横ナハ17編成が転入してきて置き換えられる車両が1本増加したためであり、この分については209系2200番台を6両編成1本残留させることで当面は対応することになった。それ以外の209系電車は廃車となった。南武線は埼京・川越線、横浜線と違って205系電車に統一された線区ではなく、2009年度に機器更新工事が施工されたばかりの209系2200番台の処遇問題もあって置き換え時期が慎重に検討されたが、結局拡幅車体ではない209系電車とまとめて置き換えが決まった。
 置き換えられた205系電車は、埼京・川越線、横浜線に続き、一部がインドネシアのPT.KAI Commuter JABODETABEKへ譲渡された。譲渡対象車には、運転台機器取り扱いの差異を理由に改造先頭車である205系1200番台は含まれず、全て205系0番台となった。譲渡対象から外された車両は基本的に廃車されたが、2015年3月14日ダイヤ改正で武蔵野線が運用増になったことに合わせ、16両が転用されている。

千ケヨM51編成組成

 武蔵野線(京葉車両センター)では、2015年3月14日ダイヤ改正で運用増することに合わせて、廃車の進行していた南武線(中原電車区)から8両編成2本を転用することになった。転用に際して、南武線は6両編成であったことから、6両編成3本を組み替えて対応することになった。1編成目となった千ケヨM51編成は、横ナハ5編成の中間車4両と、横ナハ6編成の先頭車を含む4両で組成され、6M2Tの8両編成を組成した。モハ204-271号は、武蔵野線転用により電動車ユニットが3組連結された編成の中間に連結されることになったため、電動発電機(MG)を撤去している。
  • 転入前
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 転出日
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
5 100 270 270 271 271 100 2015.02.02
廃車 新2号車 新3号車 新4号車 新5号車 廃車
6 101 272 272 273 273 101 2015.02.02
新1号車 新6号車 新7号車 中原区保留車 新8号車
  • 転入時
京葉 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 改造 転入日
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
M51 101 270 270 271 271 272 272 101 大宮 2015.02.02

千ケヨM52編成組成

 武蔵野線(京葉車両センター)では、2015年3月14日ダイヤ改正で運用増することに合わせて、廃車の進行していた南武線(中原電車区)から8両編成2本を転用することになった。転用に際して、南武線は6両編成であったことから、6両編成3本を組み替えて対応することになった。2編成目となった千ケヨM52編成は、横ナハ9編成に千ケヨM51編成に組み込まれなかった横ナハ6編成の中間車2両を組み込んで、6M2Tの8両編成を組成した。モハ204-356号は、武蔵野線転用により電動車ユニットが3組連結された編成の中間に連結されることになったため、電動発電機(MG)を撤去している。
  • 転入前
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 転出日
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
6 273 273 2015.03.05
転用済 新6号車 新7号車 転用済
9 130 355 355 356 356 130 2015.03.05
新1号車 新2号車 新3号車 新4号車 新5号車 新8号車
  • 転入時
京葉 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 7号車 8号車 改造 転入日
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
M52 130 355 355 356 356 273 273 130 大宮 2015.03.05

横ナハ2編成と横ナハ50編成の組み換え

 2015年5月2日、横ナハ2編成のモハ205/204-232に車両故障が発生した。故障後は運用から外されていたが、2015年5月19日に、横ナハ50編成と中間車の交換を行い、横ナハ2編成は運用復帰、この日まで運用入りしていた横ナハ50編成は運用を離脱してそのまま廃車となった。組み換えに至った背景には、横ナハ2編成が譲渡対象車であるという事情があった。廃車を目前に控えた電車が故障した場合、時には修理可能な程度の故障であっても修理を見送りそのまま廃車、解体とする場合がある。これは、1編成が早期離脱しても、置き換える側の車両が運用入りするまでの車両のやり繰りが可能であるならば、あえて人員を割いて修理をするメリットが小さいということを意味している。ところが、横ナハ2編成はJR東日本では使わなくても譲渡先のPT.KAI Commuter JABODETABEKでは電車として営業運転に使用する予定となっていることから、故障した車両の譲渡が許されないという事情があった。一方、横ナハ50編成は、改造先頭車の205系1200番台であるという理由から譲渡対象からは外されたものの、中間車は特別な改造の施されていない普通の205系0番台である上に、特に故障も発生していなかった。そのため、横ナハ2編成の中間車と横ナハ50編成の中間車を入れ替えて、元々横ナハ2編成に組み込まれていたモハ205/204-231・232は譲渡対象から外し、代替として横ナハ50編成に組み込まれていたモハ205/204-13・15を譲渡することで対処することになった。
 なお、横ナハ50編成が元々検査切れ間近であったことから、運用入りはしたものの新・横ナハ2編成の運用期間は約半月運用しただけで撤退し、インドネシアへ向けて輸送されることになった。また、元々検査切れを以って廃車される予定だった横ナハ50編成も、1ユニットが故障して自力走行に難があったため横ナハワ1編成と連結した状態で国府津車両センターまで回送された後、当初予定通り長野総合車両センターまで配給された。
  • 旧編成
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
2 86 231 231 232 232 86
50 1205 13 13 15 15 1205
  • 新編成
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
2 86 13 13 15 15 86
50 1205 231 231 232 232 1205

転用対象外車両の廃車

 武蔵野線へ転用された16両を除いた176両は、全て廃車された。配給に際しては、一旦中原電車区から国府津車両センターまで自力回送した後に、6両編成20本はインドネシアのPT.KAI Commuter JABODETABEKへ譲渡するため総合車両製作所新津事業所まで、6両編成9本は解体処分となるため長野総合車両センターまでそれぞれ配給された。また、武蔵野線転出に際して余剰となった横ナハ5編成のクハ205/204-100は、入場先の大宮総合車両センターから、川越車両センター所属の保留車だったサハ205-82(埼京・川越線仕様)と共に長野総合車両センターまで配給され、解体処分となった。
  • 廃車(PT.KAI Commuter JABODETABEKへ譲渡)
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
35 19 55 55 57 57 19 2015.04.24 インドネシアへ輸出(357両目~362両目)
4 88 235 235 21 21 88 2015.05.15 インドネシアへ輸出(363両目~368両目)
8 129 353 353 354 354 129 2015.05.22 インドネシアへ輸出(369両目~374両目)
44 28 82 82 84 84 28 2015.05.29 インドネシアへ輸出(375両目~380両目)
2 86 13 13 15 15 86 2015.06.05 インドネシアへ輸出(381両目~386両目)
40 24 70 70 72 72 24 2015.06.19 インドネシアへ輸出(387両目~392両目)
41 25 73 73 75 75 25 2015.06.26 インドネシアへ輸出(393両目~398両目)
7 102 274 274 275 275 102 2015.07.03 インドネシアへ輸出(399両目~404両目)
11 132 359 359 360 360 132 2015.07.17 インドネシアへ輸出(405両目~410両目)
10 131 357 357 358 358 131 2015.07.31 インドネシアへ輸出(411両目~416両目)
42 26 76 76 78 78 26 2015.08.21 インドネシアへ輸出(417両目~422両目)
13 134 363 363 364 364 134 2015.08.28 インドネシアへ輸出(423両目~428両目)
37 21 61 61 63 63 21 2015.09.11 インドネシアへ輸出(429両目~434両目)
38 22 64 64 66 66 22 2015.10.02 インドネシアへ輸出(435両目~440両目)
43 27 79 79 81 81 27 2015.10.09 インドネシアへ輸出(441両目~446両目)
36 20 58 58 60 60 20 2015.10.30 インドネシアへ輸出(447両目~452両目)
3 87 233 233 234 234 87 2015.11.06 インドネシアへ輸出(453両目~458両目)
12 133 361 361 362 362 133 2015.11.20 インドネシアへ輸出(459両目~464両目)
34 18 52 52 54 54 18 2015.12.04 インドネシアへ輸出(465両目~470両目)
39 23 67 67 69 69 23 2015.12.11 インドネシアへ輸出(471両目~476両目)
  • 廃車(解体)
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
49 1204 28 28 30 30 1204 2014.11.11 解体(長野総合車両センター)
51 1206 40 40 46 46 1206 2014.11.25 解体(長野総合車両センター)
16 139 375 375 376 376 139 2014.12.04 解体(長野総合車両センター)
47 1202 16 16 18 18 1202 2015.01.10 解体(長野総合車両センター)
14 135 365 365 366 366 135 2015.01.16 解体(長野総合車両センター)
17 136 367 367 369 369 136 2015.01.29 解体(長野総合車両センター)
15 138 373 373 374 374 138 2015.02.25 解体(長野総合車両センター)
50 1205 231 231 232 232 1205 2015.06.10 解体(長野総合車両センター)
46 1201 91 91 93 93 1201 2016.01.15 解体(長野総合車両センター)
  • 廃車(横ナハ5編成)
中原 1号車 2号車 3号車 4号車 5号車 6号車 廃車日 備考
クハ205 モハ205 モハ204 モハ205 モハ204 クハ204
5 100 サハ205-82(川越車両センター) 100 2015.02.13 解体(長野総合車両センター)

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最終更新:2018年07月24日 01:04