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ティルカヨ(Tilcayo)
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ティルカヨ(Tilcayo)
概要
ティルカヨ(Tilcayo)は、南アメリカ・ボリビアのユンガス地方に生息するネコ科Leopardus属の小型野生ネコである。
学名は''Leopardus tilcayo''。
学名は''Leopardus tilcayo''。
2026年9月17日、国際研究チームによって新種として正式に記載された。
現生のネコ科動物として、これまで科学的に種・亜種として提唱されたことのない系統が新種として記載された例は100年以上ぶりとされている。
現生のネコ科動物として、これまで科学的に種・亜種として提唱されたことのない系統が新種として記載された例は100年以上ぶりとされている。
ボリビアのユンガス地方では以前から「tilcayo」の名で知られていたが、科学的には他のタイガーキャット類と混同されていた。
ゲノム解析などによって独立した進化系統であることが確認され、''Leopardus tilcayo''として記載された。
ゲノム解析などによって独立した進化系統であることが確認され、''Leopardus tilcayo''として記載された。
分類
| 分類階級 | 名称 |
| 界 | 動物界 Animalia |
| 門 | 脊索動物門 Chordata |
| 綱 | 哺乳綱 Mammalia |
| 目 | 食肉目 Carnivora |
| 科 | ネコ科 Felidae |
| 亜科 | ネコ亜科 Felinae |
| 属 | Leopardus属 |
| 種 | ''Leopardus tilcayo'' |
学名:
''Leopardus tilcayo'' Nogales-Ascarrunz, Aliaga-Rossel, Lescroart & Eizirik, 2026
''Leopardus tilcayo'' Nogales-Ascarrunz, Aliaga-Rossel, Lescroart & Eizirik, 2026
英名:
Tilcayo
Tilcayo
別称:
Tilcayo cat
Tilcayo tiger cat
Tilcayo cat
Tilcayo tiger cat
原記載
''Leopardus tilcayo''は、Jonas Lescroart、Paola Nogales-Ascarrunz、Molly Cassatt-Johnstone、Alejandra Bonilla-Sánchez、Caroline Charão Sartor、Fernando Angulo、Jorge L. Ramirez、Larissa Rosa de Oliveira、Tadeu Gomes de Oliveira、Beth Shapiro、Enzo Aliaga-Rossel、Hannes Svardal、Eduardo Eizirikらによる研究で記載された。
論文:
''Phylogenomics and museomics reveal five distinct species of tiger cats in South America''
''Phylogenomics and museomics reveal five distinct species of tiger cats in South America''
掲載誌:
Current Biology
Current Biology
発表年:
2026年
2026年
DOI:
10.1016/j.cub.2026.08.059
10.1016/j.cub.2026.08.059
タイプ標本
ホロタイプは成体のオスで、標本番号はCBF-11990。
2021年9月にボリビアのラパス県ノル・ユンガス、アラパタ村付近で得られた個体である。
タイプ産地:
ボリビア
ラパス県
ノル・ユンガス
アラパタ村付近
ボリビア
ラパス県
ノル・ユンガス
アラパタ村付近
標高:
約1,570m
約1,570m
座標:
南緯16.248594度
西経67.634691度
南緯16.248594度
西経67.634691度
ゲノムデータ:
NCBI SRA accession SRX30196846
NCBI SRA accession SRX30196846
名前の由来
種小名「tilcayo」は、ボリビアのユンガス地方でこの野生ネコに対して伝統的に使用されてきた呼称「tilcayo」に由来する。
研究者が現地住民に名称の由来を尋ねたところ、祖父母などの世代から受け継がれてきた呼び名であることが分かった。
学名でもこの地域名を尊重し、tilcayoがそのまま名詞として使用されている。
英語の標準名についても「tilcayo」が提唱されている。
発見の経緯
研究者がこの動物に注目するきっかけとなったのは、ボリビアの野生動物保護施設Senda Verdeに保護された個体だった。
この個体は幼獣の頃、森林近くの道路で地元住民によって発見された。
発見者は当初、珍しい模様を持つイエネコだと思い、自宅で飼育していた。
その後、野生動物である可能性が判明したため、Senda Verdeへ引き渡された。
2016年頃、ボリビアで活動していた生物学者Paola Nogales-Ascarrunzがこの個体を確認した。
外見は既知のタイガーキャット類に似ていたものの、体の斑紋などが既存の記載と一致しなかったことから研究が進められた。
2021年には遺伝子試料が採取され、その後、南アメリカ各地のタイガーキャット類および博物館標本を含む大規模なゲノム比較が行われた。
その結果、ボリビアのユンガスに生息する個体群が独立した種であることが明らかになった。
形態
小型の野生ネコで、平均的なイエネコより小さい。
代表的な個体では、
体長:約46cm
体重:約1.4kg
体重:約1.4kg
程度と報告されている。
被毛は明るい茶褐色を基調とし、体側には大型で不規則なロゼット状の斑紋が並ぶ。
耳は比較的丸みを帯びる。
尾は比較的長いが、近縁種の一部に見られる明瞭で幅広い環状模様は発達しない。
識別形質
''Leopardus tilcayo''は、近縁のタイガーキャット類とは斑紋や尾、被毛などの特徴によって区別される。
''Leopardus pardinoides''と比較すると、
- 被毛が短い
- 模様のコントラストが弱い
- ロゼットがより大型で不規則
- 尾の毛量が少ない
- 幅広く完全な尾の環状模様を欠く
などの特徴を持つ。
''Leopardus tigrinus''と比較すると、
- 体側の斑紋がより大型で不規則
- 尾が長く豊か
- 尾の斑紋が不規則
といった差異がある。
''Leopardus guttulus''と比較すると、
- 斑紋が大型
- 模様の形状がより不均一
- 背面の模様のコントラストが弱い
- 相対的に尾が長い
などの違いが確認されている。
さらに核ゲノムおよびミトコンドリアDNAにも多数の診断可能な遺伝的差異が存在する。
遺伝学
タイガーキャット類を対象としたゲノム解析では、従来ひとまとめにされていた集団が複数の独立した進化系統から構成されていることが明らかになった。
研究では、現生個体に加え博物館に保存されていた歴史的標本のDNAも解析された。
''Leopardus tilcayo''の系統は、他のタイガーキャット系統から約140万年前に分岐したと推定されている。
2026年の研究ではタイガーキャット類を5つの独立した種として認識する系統分類が示された。
分布
現在確認されている分布域はボリビアのユンガス地方。
特にラパス県のボリビア・ユンガス雲霧林地域から確認されている。
ユンガスはアンデス山脈東斜面に広がる高湿度の山地森林地帯で、アンデス山系とアマゾン盆地の間に位置する。
2026年時点では、ボリビア以外で確実な生息記録は報告されていない。
生息環境
主な生息環境はユンガスの雲霧林。
湿度の高い山地森林に生息する。
タイプ産地は標高約1,570mに位置する。
ユンガス地方は非常に高い生物多様性を持つ一方、森林伐採、農地開発、鉱業などの影響を受けている。
生態
新種として認識されたばかりであるため、生態について判明している情報は非常に少ない。
カメラトラップによる記録から、夜間に活動する傾向があると考えられている。
糞から小型げっ歯類の残骸が確認されており、ネズミ類などの小型哺乳類を捕食するとみられる。
繁殖、生息密度、行動圏、寿命、社会行動などについては研究途上である。
確認個体
研究初期に詳細な調査対象となった生体は非常に少ない。
Senda Verde Animal Refugeではオス個体が保護飼育されている。
別のメス個体も確認されており、保護後に野生へ戻されたと報告されている。
これ以外にもカメラトラップなどによる記録が存在する。
タイガーキャット
ティルカヨは、南アメリカに分布する小型斑点ネコのグループ「タイガーキャット」の一種である。
これらのネコは外見が非常によく似ているため、長期間にわたって分類が混乱していた。
2026年に発表された系統ゲノム研究では、タイガーキャット類が5種の独立した系統で構成されることが示された。
同じ研究では、ペルーのユンガス地方に生息する個体群について、新亜種''Leopardus tigrinus antisuyo''も記載された。
保全
2026年時点では、新種として記載された直後であるため、''Leopardus tilcayo''単独の正確な個体数や絶滅リスクは十分に評価されていない。
従来のIUCN評価では、タイガーキャット類はより広い分類単位で評価されていた。
研究チームは新しい分類結果をIUCNへ共有しており、今後は各系統を独立して評価する必要があるとされている。
生息地であるユンガスでは森林破壊や農地開発、鉱業などが進行しており、保全上重要な地域となっている。
新種としての重要性
''Leopardus tilcayo''は、現生ネコ科において100年以上ぶりに新たに正式記載された新種として大きく報道された。
単に既知の亜種を種へ昇格させたものではなく、それまで独立した種や亜種として正式に提唱されていなかった系統だった点でも注目された。
この発見は、大型・中型哺乳類についても現在なお未記載の種が存在し得ることを示す例となった。
関連項目
- ネコ科
- Leopardus属
- タイガーキャット
- ユンガス
- ボリビア
- 雲霧林
- 新種
- Current Biology
参考文献
- Jonas Lescroart et al. (2026), "Phylogenomics and museomics reveal five distinct species of tiger cats in South America", Current Biology.
- DOI: 10.1016/j.cub.2026.08.059
- National Geographic, "Meet the First New Cat Species Discovered in 100 years", September 17, 2026.
- Reuters, "New cat species identified in Bolivia, first in over a century", September 17, 2026.









