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概要
一話当たりおよそ1500~2000文字ほどのストーリーが断続的に投稿され続け、9月に50話を突破したが、その内容のほとんどは魔導などによる戦闘の描写に割かれている。あらすじ自体は単純な構造になっており、ヴゼルが過去世界(アルルたちの住む世界)に対して刺客を差し向けては、田中やアルルたちがそれを退けようと戦う流れが繰り返される。同じ作者の未公開作品である「極・倉山物語」にあった技名なども登場するあたり、その没作での発想が結実したものとも推測される。
原作である『極・魔導物語』における設定を活用しているが、同時に独自の改変を加えている。例として、原作では「人物」として物語に干渉することがなかったヴゼルが、本作では非常に饒舌な人物として描かれている。一方、田中も原作におけるような横暴な人物像とは大きく異なり、自身の言動を省みては自嘲したり、あるいは臆病な友人の西村次郎にも及ばないかのように卑下したり、アルルと二人きりになると性別の違いを意識して消極的になってしまったりというような、内省的で青臭い人物として描かれている。
ただ、作中では田中と拳を交えたルルーが唐突に「もしかして目的はレイプ?」と尋ねてきたり、敵の一人がアルルたちを射精で攻撃したり、主人公の田中ですら吐瀉物でヴゼルを攻撃したりと、作者の品性を疑いたくなるシーンも散見される。
ストーリー
自宅で退屈していた田中一郎はヴゼルの力によって異世界(『極・魔導物語』の過去世界)へと転移させられ、ヴゼルに憑依された田中は怪物と化してアルルたちを襲い始める。しかし、ウィッシュによってヴゼルの手口や弱点は何もかも見破られ、田中はヴゼルの呪縛から解放される。(第1~22話)
田中は戦闘能力を身に着けるべくサタンの下で修行する。一方、ヴゼルは新たに強力な人間を見つけて力を与えることで手駒にしようと目論み、現代から倉山恭子と、異世界から屋敷の主人を選ぶ。しかし屋敷の主人を御することができず、自らの意思で好戦的になった主人は倉山と田中とで三つ巴の戦いを始める。主人は倒されるが、倉山はより強力な形態に変化して田中を殺害する。(第23~48話)
ヴゼルは現代世界の堕落した人々を唆して異世界へ送り込む。倉山はヴゼルから得た力でその人々を殺害して怪物に変え、その怪物はアルル達に襲い掛かる。一方で田中は地獄に落ち、善の心を持つヴゼルの一部・イナシクサとともに出口を捜し歩く。(第49話~)
やがて第97話(2019年10月20日投稿)で田中は地獄を脱出し、アルルたちのいる世界に復帰。田中は地獄で入手した小型端末を通じて、感田大学助教授で中山仁の曾孫に当たる中山大(なかやま まさる)という人物の助力を借り、倉山とヴゼルを撃破する。しかし、それが本物のヴゼルだとは限らないと考えたイナシクサは、田中をアルルのいるサタンの城へ急がせる。そして、本物のヴゼルがサタンの城にいることがわかると、イナシクサは自分以外の田中を含めた全員を城の外へと退避させ、単独でヴゼルを追い詰める。しかしヴゼルを倒すまでには至らず、イナシクサは反撃を受けて消滅し、ヴゼルは田中たちを追い始める。
一方、アルルたちを率いる田中は突然高い身体能力を発揮し始め、追ってくるヴゼルの位置が掴めるようになる。そこでヴゼルが田中たちの追跡をやめたことを悟った田中は、ヴゼルが別の策を思いついたものと考え、単独で先手を打とうと決意する。当のヴゼルは田中の元いた時空を滅ぼそうと試みていたが、時空を越える穴からは大勢の田中が現れ、ヴゼルはなす術もないまま蹂躙されて消滅する。それはヴゼルを迎え撃とうとした田中自身の意思によるものではなく、ヴゼルが田中に倒されるという運命が形となったものだった。
田中はヴゼルを倒した自覚もないまま、気付くと元の世界へ戻っており、そこにはなぜかアルルたちも来ていた。しかし、同時にボロボロの老人の姿になって現れたヴゼルに対して田中がとどめを刺すと、アルルたちはすぐさま元いた世界へと引き戻される。そうしてアルルたちはサタンと再会し、田中もまた尻高と再会して学校へと向かう。
外部リンク
関連項目
コメント
田中一郎、異世界へ行く/コメントログ(2021年06月24日以前のコメント)