【作者名】
Acid tune(アシッド チューン)
【詳細】
(「そもそもBMSってなに?」という方は「Wikipedia」と「BMSまとめ @wiki:BMS初心者向け解説」の記事にて)
【Acid tune (BMS)とは】
1999年~2000年までBMS作品を制作していた、日本出身の作曲家。BMSサークル「SSamp」の元メンバーで、巷では「ツネさん」の名で親しまれていた。
当時のBMS界隈のテクノシーンに多大な貢献をもたらした名作家だが、意外なことにBMS作者のsknsによると氏は料理人である。
当時のBMS界隈のテクノシーンに多大な貢献をもたらした名作家だが、意外なことにBMS作者のsknsによると氏は料理人である。
氏は8bit音質の低音質・低容量がメインだった当時のBMS界隈で16bit音質という高音質・大容量路線(『vampire queen』以降)を歩んでいたBMS作者であり、
氏のBMS作品は全部で14作品あるのだが、3作目、4作目、5作目、8作目のBMS作品については未だ入手困難となっている。
氏のBMS作品は全部で14作品あるのだが、3作目、4作目、5作目、8作目のBMS作品については未だ入手困難となっている。
【作風(音楽)】
ジャンルはTechno、Acid Techno、Minimalを扱い、全体的にストイックで硬派なのが特徴的。9作目の『vampire queen』までは無機質な曲調がメイン
だったが、10作目の『pathogenic organ』からは、うねるアシッドに独特なドラムビートを組み合わせた、中毒性のあるリズムトラックとなっている。
10作目以降、特に12作目の『merancholic boomerang』と14作目の『hexa chorus』はBM98時代では珍しい、3分超えの長尺作品となっている。
だったが、10作目の『pathogenic organ』からは、うねるアシッドに独特なドラムビートを組み合わせた、中毒性のあるリズムトラックとなっている。
10作目以降、特に12作目の『merancholic boomerang』と14作目の『hexa chorus』はBM98時代では珍しい、3分超えの長尺作品となっている。
ちなみに氏の楽曲は「AT series」と呼ばれ、氏独自の命名ルールに従うと、例えば14作目の『hexa chorus』は『[AT14]"hexa chorus"』となる。
【作風(映像)】
映像制作も可能で、氏がリリースした全てのBMS作品のBGAはすべて氏が制作したものである。実写画像やテキストアニメーション、3DCGなど、
各作品によってメインとなるジャンルは異なるが、『vampire queen』から『hexa chorus』にかけてのBMS作品のBGAは高い評価を受けている。
各作品によってメインとなるジャンルは異なるが、『vampire queen』から『hexa chorus』にかけてのBMS作品のBGAは高い評価を受けている。
特に『trespasser』はBGAに「コマ割り」と呼ばれる手法を取り入れており、256枚までしか使えないBMPの枚数を疑似的に増やしている。この
手法は当時のBMS界隈にはまだ存在しなかった「コロンブスの卵」ともいえる革新的な手法であり、後の世代のBMS作者たちに影響を与えている。
手法は当時のBMS界隈にはまだ存在しなかった「コロンブスの卵」ともいえる革新的な手法であり、後の世代のBMS作者たちに影響を与えている。
また、『hexa chorus』は手法の斬新さこそ無かったものの、当時のBMS界隈にしては3DCGのクオリティが突き抜けて高く、楽曲とBGAの技量の
高さから「オーパーツ」と評価するものもいる。
高さから「オーパーツ」と評価するものもいる。
それゆえ、氏の映像制作環境は当時のBMS界隈では最先端の領域にあったのではないかと言われている。
【BMS作者としての活動】
1999年、BMS作品『aquabends』でデビューするが、この作品は作曲家としてもデビュー作となっている。
その後はBMSデータベースサイト「BMS Library」にて作品を投稿していたようだが、活動についてはアーカイブがなく、詳細不明のままである。
その後はBMSデータベースサイト「BMS Library」にて作品を投稿していたようだが、活動についてはアーカイブがなく、詳細不明のままである。
7作目の『beat 7 Force』からBMS辛口レビューサイト「club Stubborn」(クラスタ)で活動するようになるが、8作目の『fertilization』制作時点
では「コード理論が全く分からなかった」と語っている。
では「コード理論が全く分からなかった」と語っている。
氏の作品は9作目の『vampire queen』から高い評価を受けるようになるが、「楽曲は良いが譜面に課題が残っている」という旨の指摘が何度かされており、氏のBMS制作において課題となっていた。
2000年、氏はBMS界隈で高い人気を誇っていたBMS作者のSUZUKIに挑戦状を叩きつけ、クラスタを舞台にBMSイベント「血戦」が開幕。
BMS作品『trespasser』を公開してSUZUKIの『Don't forget』と対戦するが、敗北を喫している。
BMS作品『trespasser』を公開してSUZUKIの『Don't forget』と対戦するが、敗北を喫している。
後にSSampのメンバーとなり、同年秋ではSSampによって「第二次血戦」が開幕。『hexa chorus』を公開し、3分越えの長尺な作品ながらも
BMSとして素晴らしい評価を得て、51曲中3位という好成績を残している。『hexa chorus』は長らく指摘されていた譜面の課題を克服しており、
この作品で氏はBMS作者として完成されたといえるだろう。
BMSとして素晴らしい評価を得て、51曲中3位という好成績を残している。『hexa chorus』は長らく指摘されていた譜面の課題を克服しており、
この作品で氏はBMS作者として完成されたといえるだろう。
8作目の『fertilization』時点で「コード理論が全く分からなかった」と語っていたことを考えると、氏の圧倒的なセンスと成長ぶりがうかがえる。
更なる活躍が期待されていた氏だが、残念ながら『hexa chorus』を最後にBMS作者としての活動に幕を閉じた。
【BMS作者の引退とその後】
最終的にBMS作家としてトップクラスの実力を持つに至ったが、2001年を過ぎた辺りに突如として姿を消したため、『hexa chorus』が事実上のBMS引退作となっている。
引退後はインディーズ音楽サイト「muzie」に出没していたとの情報があるが、真偽は不明である。
【『trespasser』のBGAのメッセージについて】
『trespasser』のBGAにはメッセージが書かれており、読んでみると以下の内容となる。(句点、句読点を追加、一部漢字に変換して引用)
「挑戦状 for SUZUKI and parakeet 41 and DJ fujii and all makers AT13 trespass
こんにちは。Acid tuneです。私のBMSをDOWNLOADしてくれてありがとう。彼は凄いやつなので、相手にとって不足なし。
なぜこんなことをやろうとしたかは目に見える目標が欲しかったから。はじめはのみ(飲み or ノリ?)でやるとか言ってたのが始まりでした。
自分やほかの人たちに気合が入ればいいな。とか、そんな理由。戦って経験値を積むとLEVEL UPするのはどこの世界でも同じみたい。
なぜこんなことをやろうとしたかは目に見える目標が欲しかったから。はじめはのみ(飲み or ノリ?)でやるとか言ってたのが始まりでした。
自分やほかの人たちに気合が入ればいいな。とか、そんな理由。戦って経験値を積むとLEVEL UPするのはどこの世界でも同じみたい。
絵の方は実写もいいけど、3DCGもやってみたいな、とか前から思っていたのでやってみた。これはDoGA CGA Systemというフリーのソフトでもこれくらいのことはできる。
皆も使ってみると面白いかもね。つくるより遊び。そんな気もする。
理屈もいいけど基本は遊びでしょ。それも忘れたら私は何もできなくなるな。きっと。Bye Acid tune
皆も使ってみると面白いかもね。つくるより遊び。そんな気もする。
理屈もいいけど基本は遊びでしょ。それも忘れたら私は何もできなくなるな。きっと。Bye Acid tune
んで今回はやっぱりTB-303が好きなので、そんな感じの曲になりました。まだぬけられない。」
【余談とか裏話とか】
- 「SSamp」という名前の由来はメンバー5人の名義の頭文字から取っている。(SUZUKI、skns、Acid tune、Morrigan、proDEg)
- 氏の行動がきっかけで開幕したBMSイベント「血戦」を皮切りにBMS界隈では評価制のBMSイベント(後の世代のBOF(U)/G2Rシリーズなど)が浸透するようになったのだとか。
- 6作目の『bright eyes』の題材は「結婚前夜」である。(ソースについてはアーカイブ消失により紹介できない)
- 12作目のBMS作品のタイトルは本来『melancholic boomerang』と表記されるべきだが、BMS作品の譜面データでは『merancholic boomerang』と表記されている。
- 『merancholic boomerang』のBGAの文章は、ロシアの文豪フョードル・ドストエフスキーの長編小説『罪と罰』から引用している。
- 『[AT12]"melancholic boomerang"』は尺が倍の7分に増え、後半からは新規のアシッドフレーズが追加され、よりエモーショナルな仕上がりとなっている。
- 『hexa chorus』の正式名称は『"HEXA CHORUS" -il gradiatore-』である。タイトルの由来は恐らく2000年のアメリカ映画『グラディエーター (Il gladiatore)』から来ている。
【■BMSイベントにおける主な実績】
(※各BMSイベント名をクリック・タップするとイベント結果のページに飛びます)
【主な作品】
- BMS作品:『hexa chorus』『trespasser』『merancholic boomerang』『At.s.s 11.0.9』『vampire queen』
- その他楽曲:『[AT12]"melancholic boomerang"』『[AT14]"HEXA CHORUS" -l`originale-』
【BMS作品紹介】
※AT3、AT4、AT5はAT9『vampire queen』のBMP画像を基に記述しています。AT4のジャンル名の情報提供をお待ちしています。
ジャンル | タイトル | イベント | 備考 |
minimal techno | aquabends | AT1 | |
Techno | Stage of weariness | AT2 | |
Techno | revenger | AT3 (http://web.archive.org/web/20010520190659/http://www04.u-page.so-net.ne.jp/zc4/kaigo/OLD/review/unobtain.html) | |
electric circuit | AT4 | ||
Techno | recorection loop | AT5 (http://web.archive.org/web/19991122105851/http://webclub.kcom.ne.jp/ma/woodman/bms/favorite.html) | |
Techno | bright eyes | AT6 | |
Techno | beat 7 force | AT7 | |
Techno | fertilization | AT8 | |
Techno | vampire queen | AT9 | |
minimal techno | pathogenic organ | AT10 | |
Techno | At.s.s 11.0.9 | AT11 | |
Techno | merancholic boomerang | AT12 | |
Techno | trespasser | 血戦 | AT13 |
Techno | hexa chorus | 第二次血戦 | AT14 |
【制作環境】
- 音源:Roland TB-303(シンセサイザー)、Roland TR-808(ドラムマシン)、Roland TR-909(ドラムマシン)
- 映像制作:DoGA CGAシステム
【リンク】
- SSamp:https://web.archive.org/web/20010603055055/http://user3.allnet.ne.jp/love/ssamp/
- BMS SEARCH:https://bmssearch.net/artists/QlCmuqbIPeTcxf
- BMS代理UP先:https://sound.jp/bmstank1/
- BMS保管先:https://archive.org/download/acidtune_bms_202405
【古いリンク】
- HP:ttp://ueno.cool.ne.jp/cooltune/(アーカイブなし)
- HP:ttp://plaza4.mbn.or.jp/~acid_tune/(アーカイブなし)
- HP:ttp://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/9943/(アーカイブなし)