黒服の語る≪マッドガッサー≫の毒ガスの中和方法を聞いて、とりあえず対処方法は毒ガスは吸わないこと、そのうち薬の類が入手できるまで待つこと、本人を倒すことくらいしかないことがめでたく青年の中で確定した。
もう一つの先程聞いた解決方法は、少なくとも青年は積極的に試す気は起きない。そして――
「非常に遺憾だが、言い忘れていたことがある」
青年は言う。
「≪マッドガッサー≫本人が言っていた、おそらくは彼等の目的と、あと協力者の情報がもう一人分だ」
戦闘の前の会話での事だったのですっかり忘れていた。とばつが悪そうに青年。
曰く、『学校町全体を女体化し、ハーレムを作り上げるまで俺は滅びんよ!』ということと、『≪スパニッシュフライ≫の契約者』が仲間にいるということ。
「それは、」
黒服が呟くのに青年はうなずき、
「おそらくは言葉の通り、町の住人全員を女に変えて更に支配、ハーレム化しようというのが目的だろう」
「なんつーか、馬鹿みたいだよな」
と青年の契約者の少女が言う。
「だがどうやら彼等は本気らしい」
頭が痛いことに、彼等はそれを実現できる能力も揃えている。
そして、とる行動は詰まる所洗脳である。
「おぞましいわね」
「ロリが支配されるのはいかんな。うん」
≪赤い靴≫主従が苦い顔でぼやく。
「これで今度こそ情報はすべてだ。また何か思いだしたら連絡する」
「はい、ありがとうございます」
うなずく黒服。話が一区切りついたところで≪赤マント≫が言う。
「のどが渇かんかね? 私がジュースでも奢ろう」
「え、マジ?」
少女が即座に反応。
「うむ」
答えながら≪赤マント≫は懐から財布を取り出し≪赤いはんてん≫に預ける。そして近くのコンビニを指差すと、
「何か欲しいものを皆で買ってくると良い」
「≪赤マント≫は行かないのですか?」
財布を受け取りながら≪赤いはんてん≫。
「うむ、少し二人と話したいことがあるのでね」
そう言って≪赤マント≫は青年と黒服を示す。
「ん? Tさんと黒服さんに?」
「ああ」
うなずく≪赤マント≫に彼女は不服そうな顔をして、
「なんだよまた秘密かよ、胸が多少でかいからっていい気になんなよっ!」
「あー、いや、別にそういうわけではなくてな?」
「まあまあ、あの三人にはとんでもないものを買ってくればいいのですよ」
≪赤いはんてん≫がとりなす。
「って俺も行くのか?」
一連の会話を聞いていた≪日焼けマシンで人間ステーキ≫の女体化青年が遠慮したいな、的な口調で言うのへ、
「みんなでなかよく、なの」
少女の頭に乗った人形が言い聞かせるように言う。
女体化青年は子供(?)相手には強く出れないのか渋々うなずいた。
「なにか面白い飲み物ってあるのかしら」
「ロリが店にいれば問題ない。……ところでリカちゃん。俺をお兄ちゃん、またはお姉ちゃんと呼んでぐふぉっ!?」
「あんたはちょっと黙ってなさい」
そんな事を話しながら(一部暴力があったような気がするが)コンビニへと向かう一行を見送り≪赤マント≫はため息をつくと、
「あからさまな人払いですまないね」
苦笑して切り出した。
「≪夢の国≫の件、≪さっちゃんの歌の四番目≫は行方不明だが、最後の一人、生き残りの≪カーバンクル≫の契約者については」
そう言って視線を黒服に振る。その意図を黒服は汲み取り、
「彼は無事でした」
告げた。
「≪カーバンクル≫……」
青年は思案、≪カーバンクル≫は富や幸運、成功の化身だったか。思う。
青年は近しい能力の都市伝説をその身に宿しており、それと近似の気配を最近二種類見たことを思い出す。一つは≪首塚≫のお菓子の少年、もう一つは――
「もしかして夢子ちゃんにくれたあのお守りは」
「はい、彼の拵えたものです」
黒服が緩やかな笑みとともに言うのを聞いて一考、
「では、≪カーバンクル≫の契約者については復讐を考えてはいないと見てもいいのか?」
「ええ」
確信を持ってうなずく黒服を見て青年は安堵。ものはついでと質問する。
「そうだ、秋祭りの三日目に髪の伸びる黒服に頼んだんだが、≪組織≫は以後無闇に≪夢の国≫に手を出さない方向で動いたのだろうか?」
黒服は難しそうな顔をすると、
「情報が入っていませんのでなんとも、地下カジノの方ではなにも話は聞かないのでおそらく大丈夫かと」
「そうか」
青年はありがとう、と礼を言うと深呼吸をひとつ、コンビニから買い物係一行が戻ってくるのを見つつ、
「これでまた一つ安心要素が増えたな……」
呟いた。
「町の方はまた大変だがね」
≪赤マント≫が自分の体を青年に見せつけ異常を殊更に強調しながら言う。
「違いない」
それをみて青年は苦笑するのだった。
もう一つの先程聞いた解決方法は、少なくとも青年は積極的に試す気は起きない。そして――
「非常に遺憾だが、言い忘れていたことがある」
青年は言う。
「≪マッドガッサー≫本人が言っていた、おそらくは彼等の目的と、あと協力者の情報がもう一人分だ」
戦闘の前の会話での事だったのですっかり忘れていた。とばつが悪そうに青年。
曰く、『学校町全体を女体化し、ハーレムを作り上げるまで俺は滅びんよ!』ということと、『≪スパニッシュフライ≫の契約者』が仲間にいるということ。
「それは、」
黒服が呟くのに青年はうなずき、
「おそらくは言葉の通り、町の住人全員を女に変えて更に支配、ハーレム化しようというのが目的だろう」
「なんつーか、馬鹿みたいだよな」
と青年の契約者の少女が言う。
「だがどうやら彼等は本気らしい」
頭が痛いことに、彼等はそれを実現できる能力も揃えている。
そして、とる行動は詰まる所洗脳である。
「おぞましいわね」
「ロリが支配されるのはいかんな。うん」
≪赤い靴≫主従が苦い顔でぼやく。
「これで今度こそ情報はすべてだ。また何か思いだしたら連絡する」
「はい、ありがとうございます」
うなずく黒服。話が一区切りついたところで≪赤マント≫が言う。
「のどが渇かんかね? 私がジュースでも奢ろう」
「え、マジ?」
少女が即座に反応。
「うむ」
答えながら≪赤マント≫は懐から財布を取り出し≪赤いはんてん≫に預ける。そして近くのコンビニを指差すと、
「何か欲しいものを皆で買ってくると良い」
「≪赤マント≫は行かないのですか?」
財布を受け取りながら≪赤いはんてん≫。
「うむ、少し二人と話したいことがあるのでね」
そう言って≪赤マント≫は青年と黒服を示す。
「ん? Tさんと黒服さんに?」
「ああ」
うなずく≪赤マント≫に彼女は不服そうな顔をして、
「なんだよまた秘密かよ、胸が多少でかいからっていい気になんなよっ!」
「あー、いや、別にそういうわけではなくてな?」
「まあまあ、あの三人にはとんでもないものを買ってくればいいのですよ」
≪赤いはんてん≫がとりなす。
「って俺も行くのか?」
一連の会話を聞いていた≪日焼けマシンで人間ステーキ≫の女体化青年が遠慮したいな、的な口調で言うのへ、
「みんなでなかよく、なの」
少女の頭に乗った人形が言い聞かせるように言う。
女体化青年は子供(?)相手には強く出れないのか渋々うなずいた。
「なにか面白い飲み物ってあるのかしら」
「ロリが店にいれば問題ない。……ところでリカちゃん。俺をお兄ちゃん、またはお姉ちゃんと呼んでぐふぉっ!?」
「あんたはちょっと黙ってなさい」
そんな事を話しながら(一部暴力があったような気がするが)コンビニへと向かう一行を見送り≪赤マント≫はため息をつくと、
「あからさまな人払いですまないね」
苦笑して切り出した。
「≪夢の国≫の件、≪さっちゃんの歌の四番目≫は行方不明だが、最後の一人、生き残りの≪カーバンクル≫の契約者については」
そう言って視線を黒服に振る。その意図を黒服は汲み取り、
「彼は無事でした」
告げた。
「≪カーバンクル≫……」
青年は思案、≪カーバンクル≫は富や幸運、成功の化身だったか。思う。
青年は近しい能力の都市伝説をその身に宿しており、それと近似の気配を最近二種類見たことを思い出す。一つは≪首塚≫のお菓子の少年、もう一つは――
「もしかして夢子ちゃんにくれたあのお守りは」
「はい、彼の拵えたものです」
黒服が緩やかな笑みとともに言うのを聞いて一考、
「では、≪カーバンクル≫の契約者については復讐を考えてはいないと見てもいいのか?」
「ええ」
確信を持ってうなずく黒服を見て青年は安堵。ものはついでと質問する。
「そうだ、秋祭りの三日目に髪の伸びる黒服に頼んだんだが、≪組織≫は以後無闇に≪夢の国≫に手を出さない方向で動いたのだろうか?」
黒服は難しそうな顔をすると、
「情報が入っていませんのでなんとも、地下カジノの方ではなにも話は聞かないのでおそらく大丈夫かと」
「そうか」
青年はありがとう、と礼を言うと深呼吸をひとつ、コンビニから買い物係一行が戻ってくるのを見つつ、
「これでまた一つ安心要素が増えたな……」
呟いた。
「町の方はまた大変だがね」
≪赤マント≫が自分の体を青年に見せつけ異常を殊更に強調しながら言う。
「違いない」
それをみて青年は苦笑するのだった。
この後、ペプシあずきを飲んで居残り三人組は一様に微妙な表情になるのだが、まあどうでもいい話である。