眩い光が、路地を駆け抜け……一対多数と言う、その喧嘩を繰り広げていた者たちに襲い掛かる
その光を見ての、一人で多数を相手にしていた青年の動きは、劇的だった
その光を見ての、一人で多数を相手にしていた青年の動きは、劇的だった
「へ?」
ふっ、と
瞬時に、その姿が消えた…ようにしか、Tさんの契約者には見えなかった
だが、Tさんと、黒服Hは気づく
咄嗟に壁を蹴り高く跳び、Tさんの放った光を避けたのだ
驚異的な、反射神経。恐らく、人間の限界のギリギリの
そうしなくとも、光は彼だけを避けたはずなのだが…まぁ、彼からしてみれば、そんな事はわからないだろう
くるり、宙返りでもするように高く、高く跳び…Tさんたちを、一瞬、見下ろしてきた
そして、Tさんたちが立っているのとは…反対側
そちらに視線をやって、小さく、舌打ちしたように見えた
光が消え、男たちが倒れている中着地し、Tさんたちが立っているのとは、反対側を睨んだ
瞬時に、その姿が消えた…ようにしか、Tさんの契約者には見えなかった
だが、Tさんと、黒服Hは気づく
咄嗟に壁を蹴り高く跳び、Tさんの放った光を避けたのだ
驚異的な、反射神経。恐らく、人間の限界のギリギリの
そうしなくとも、光は彼だけを避けたはずなのだが…まぁ、彼からしてみれば、そんな事はわからないだろう
くるり、宙返りでもするように高く、高く跳び…Tさんたちを、一瞬、見下ろしてきた
そして、Tさんたちが立っているのとは…反対側
そちらに視線をやって、小さく、舌打ちしたように見えた
光が消え、男たちが倒れている中着地し、Tさんたちが立っているのとは、反対側を睨んだ
「あ、まだ誰かいて……って、あれヤバくね!?」
「む…」
「む…」
そこにいたのは、一人の男性と…少女だ
男性は少女を無理矢理、引きずり出したようで…少女は大きな鞄を抱え、怯えたような表情を浮かべている
男の手には…コーラの瓶が、握られていて
男性は少女を無理矢理、引きずり出したようで…少女は大きな鞄を抱え、怯えたような表情を浮かべている
男の手には…コーラの瓶が、握られていて
「やっぱりコーク・ロアの支配型か」
黒服Hは、小さく舌打ちした
このところ、学校町で異様に増えているコーク・ロア…「コーラにはコカインが含まれている」と言う都市伝説の契約者
それも、その都市伝説の力が宿ったコーラを他人に飲ませる事により。相手に薬物中毒のような症状を起こさせ、それを支配すると言う厄介な能力、そればかりが増えているのだ
先ほどまで、あの青年が一人で叩きのめしていた相手も、支配されていた被害者達だったのだろう
このところ、学校町で異様に増えているコーク・ロア…「コーラにはコカインが含まれている」と言う都市伝説の契約者
それも、その都市伝説の力が宿ったコーラを他人に飲ませる事により。相手に薬物中毒のような症状を起こさせ、それを支配すると言う厄介な能力、そればかりが増えているのだ
先ほどまで、あの青年が一人で叩きのめしていた相手も、支配されていた被害者達だったのだろう
「あぁ、くそくそくそくそくそくそくそ……何なんだ、お前たちは……っ」
コーラの瓶を持った男性が、忌々しげに口にする
少女はその男性の腕から必死に逃れようとしているのだが…力の差は歴然としており、逃れる事ができないでいた
少女はその男性の腕から必死に逃れようとしているのだが…力の差は歴然としており、逃れる事ができないでいた
じゃり、と
青年が、そちらに一歩、近づく
青年が、そちらに一歩、近づく
「っく、来るな!!」
男性が、少女の口元に…コーラを、近づけた
少女はますます怯えたように、口を紡ぐ
少女はますます怯えたように、口を紡ぐ
「やばいな、あれ飲まされたら支配されるぞ」
「んな呑気なっ」
「んな呑気なっ」
言っている内容のわりには、特に急いでいる様子もない黒服HにTさんの契約者が突っ込む
…もう一度、攻撃すべきか
あの男性だけに当たってくれれば幸せだ、Tさんはそう祈りつつ攻撃しようとしたが…
…もう一度、攻撃すべきか
あの男性だけに当たってくれれば幸せだ、Tさんはそう祈りつつ攻撃しようとしたが…
「-----あぁ、駄目だ。全然駄目だな」
青年が、口を開いた
じゃり、ともう一歩、少女を掴んだ男性に近づく
じゃり、ともう一歩、少女を掴んだ男性に近づく
「く、来るな!こいつがどうなっても…」
「-----動くなっ!!!!」
路地に響き渡る、怒声
青年が発した声だ
離れていても鼓膜が震えるほどの、強い声
その声に、男性はびくりと体を震わせ
直後…青年は、男性の前まで、接近していて
青年が発した声だ
離れていても鼓膜が震えるほどの、強い声
その声に、男性はびくりと体を震わせ
直後…青年は、男性の前まで、接近していて
「っが!?」
青年の両手が、男性の喉を捕えた
喉元への一撃に、男性は即座に昏倒する
喉元への一撃に、男性は即座に昏倒する
「怪我ないか?」
「……ない……けけっ」
「……ない……けけっ」
男性の手から逃れ、少女がほっとしたような声をあげる
どうやら、今度こそ無事に片付いたようである
くるり、青年がTさんたちに振り返ってきた
どうやら、今度こそ無事に片付いたようである
くるり、青年がTさんたちに振り返ってきた
…少女が、やや怯えたように、青年の背後に隠れた
青年と少女が警戒している様子が、はっきりと伝わってくる
青年と少女が警戒している様子が、はっきりと伝わってくる
「あぁ、そう警戒すんな」
そう声をかけたのは、黒服H
…が、青年も少女も、ますます警戒したようにしか見えない
…が、青年も少女も、ますます警戒したようにしか見えない
「黒服さん、髪、髪」
「おぉっと」
「おぉっと」
しゅるりっ、と、黒服Hはうっかり伸びていた髪を戻した
この男、少女が怯えている様子を見て、思い切り髪を伸ばしていたのである
色々と台無しである。駄目だこいつ、早く何とかしないと
この男、少女が怯えている様子を見て、思い切り髪を伸ばしていたのである
色々と台無しである。駄目だこいつ、早く何とかしないと
「…一応、助けてもらった、と見ていいのか?」
警戒の色をふくみつつ、青年がそう口にしてきた
あぁ、とTさんが頷く
あぁ、とTさんが頷く
「どうも、ただならぬ状態だったのでな」
相手は、コーク・ロアによって操られていた人間だったのだ
何度叩きのめされても起き上がっていた者の姿もあったし、青年は強いようだが、ヘタをすれば体力が尽きていたかもしれない
…それに、どうやら青年は、あの少女を庇って戦っていた様子
その状況で一対多数の、それもコーク・ロアに操られた人間との対決は、いくら何でも分が悪いだろう
何度叩きのめされても起き上がっていた者の姿もあったし、青年は強いようだが、ヘタをすれば体力が尽きていたかもしれない
…それに、どうやら青年は、あの少女を庇って戦っていた様子
その状況で一対多数の、それもコーク・ロアに操られた人間との対決は、いくら何でも分が悪いだろう
「…まぁ、礼は言っとく。ありがとうな。妙な光に付いては、一応突っ込まないでおいてやる」
「それはどうも」
「それはどうも」
一応、ほんの少しだけ、警戒を解いてくれたようだった
…あくまで、少しだけ
…と、青年の背後に隠れていた少女が…ほんの少しだけ、顔を出してきて
…あくまで、少しだけ
…と、青年の背後に隠れていた少女が…ほんの少しだけ、顔を出してきて
「…………あ、ありが、とう…………」
と、ぼそぼそと、小さく告げてきた
………しゅるりんっ
「くけっ!?」
「だから髪、髪」
「いや、ついな?」
「だから髪、髪」
「いや、ついな?」
しゅるりり
また、黒服Hが髪を伸ばしたものだから、少女は再び青年の背後に隠れた閉まった
ますます駄目だこいつ、早く何とかしないと
そう考えつつ、Tさんの契約者は青年たちに目をやって
また、黒服Hが髪を伸ばしたものだから、少女は再び青年の背後に隠れた閉まった
ますます駄目だこいつ、早く何とかしないと
そう考えつつ、Tさんの契約者は青年たちに目をやって
「ん、あれ?」
あれ?
前にも、どっかで見た事があるような
少女の方はともかく、青年の方が
確か、あの時もこんな路地裏で…
……………
あ
前にも、どっかで見た事があるような
少女の方はともかく、青年の方が
確か、あの時もこんな路地裏で…
……………
あ
「チャラい兄ちゃんの知り合い?」
「うん?」
「うん?」
Tさんの契約者の言葉に、青年が反応した
「ほら、Tさん。黒服さんが、ゴブリンマーケットだかってとこに行った後に」
「…あぁ、あの時の」
「…あぁ、あの時の」
そうだ
「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者が、友人だと言っていた青年だ
確か、あの時もこうやって、コーク・ロアに操られた人間たちと殴り合っていた
「日焼けマシン」の契約者の言葉からすると、どうやら都市伝説の事は知らないようだったが…案外、巻き込まれやすい体質でもしているのかもしれない
「日焼けマシンで人間ステーキ」の契約者が、友人だと言っていた青年だ
確か、あの時もこうやって、コーク・ロアに操られた人間たちと殴り合っていた
「日焼けマシン」の契約者の言葉からすると、どうやら都市伝説の事は知らないようだったが…案外、巻き込まれやすい体質でもしているのかもしれない
「…あいつの、知り合いか?」
「あぁ。そうだよ」
「あぁ。そうだよ」
黒服Hが相手を警戒させている分、自分が警戒を解くべきだ
そう考えたかどうかは不明だが、Tさんの契約者はえぇと、と鞄をあさって…
そう考えたかどうかは不明だが、Tさんの契約者はえぇと、と鞄をあさって…
「あ、あったあった。こう言う写真もってる程度に、知り合いだよ」
と、そう言って
…「日焼けマシン」の契約者が、メイド服を着せられていた時の写真を、取りだした
しゅるるる、と一瞬黒服Hの髪がまた伸びたような気がしたが、気のせいだろう
…「日焼けマシン」の契約者が、メイド服を着せられていた時の写真を、取りだした
しゅるるる、と一瞬黒服Hの髪がまた伸びたような気がしたが、気のせいだろう
「何故、よりによってその写真なんだ?」
「いや、ちょうどこれが手にとらさったから」
「いや、ちょうどこれが手にとらさったから」
Tさんの言葉に、Tさんの契約者はそう答える
いや、我ながら、よく撮れていると思うのだが
いや、我ながら、よく撮れていると思うのだが
…青年は、その写真を、じっと見つめてきて…
「………っぷ。はっははははははははははははは!!」
さぞおかしそうに、笑い出す
青年の背後に隠れていた少女が、くけ?と小さく首を傾げている様子が見える
青年の背後に隠れていた少女が、くけ?と小さく首を傾げている様子が見える
「あいつ、あいっかわらず女装が似合うんだな。本当、昔と変わっちゃいねぇ」
「あ、やっぱ、昔も似合ってたんだ?」
「そりゃあ、もう。学芸会の白雪姫役がクラスほぼ全員の意見であいつに決まった時は吹いたな。本人の必死の抵抗と、その日に行われた職員会議の結果、結局他の女子がやったけど」
「あ、やっぱ、昔も似合ってたんだ?」
「そりゃあ、もう。学芸会の白雪姫役がクラスほぼ全員の意見であいつに決まった時は吹いたな。本人の必死の抵抗と、その日に行われた職員会議の結果、結局他の女子がやったけど」
くっくっく、と青年は笑っている
どうやら、警戒の色はようやくとれたようだった
どうやら、警戒の色はようやくとれたようだった
「そうか、あんたらもあいつの知り合いか…そっちの黒服も、あいつが懐いてる黒服とは別人みたいだけど、一応、知り合いと見ていいのか?」
ちらり、Tさんは黒服Hに視線をやる
黒服Hは軽く肩をすくめ、答える
黒服Hは軽く肩をすくめ、答える
「俺はこっちの二人ほどじゃないが、まぁ、顔は知ってるぜ?過労死寸前の同僚によく懐いてる坊やの事なら」
外見が20代前半ほどの黒服Hが、「日焼けマシン」の契約者を坊やと呼ぶのには、若干の違和感が伴うが
一応、青年は気にしないでくれたようだ
Tさんが放った光に付いて深く突っ込んでこなかった点を見ても、スルースキルが高いのかもしれない
一応、青年は気にしないでくれたようだ
Tさんが放った光に付いて深く突っ込んでこなかった点を見ても、スルースキルが高いのかもしれない
「どーも、一応はじめまして…俺は、あいつの小学校からの幼馴染だよ。あいつは、あんたらにも世話になってるのか?………それとも」
一瞬
ほんの、一瞬だったが
青年の視線が、鋭さを増した
ほんの、一瞬だったが
青年の視線が、鋭さを増した
「それとも…あんたらも、あいつを厄介な事に巻き込んでるのか?」
「巻き込んでいるつもりはないがな」
「巻き込んでいるつもりはないがな」
Tさんは、小さく苦笑する
…厄介な事に巻き込んでいるというか
Tさんの契約者が、「日焼けマシン」の契約者を女装させたり女装させたり写真を撮ったりはしているが
まぁ、厄介ごとには巻き込んでいない、はず、で、ある
…厄介な事に巻き込んでいるというか
Tさんの契約者が、「日焼けマシン」の契約者を女装させたり女装させたり写真を撮ったりはしているが
まぁ、厄介ごとには巻き込んでいない、はず、で、ある
「そうか?しばらくぶりに顔を合わせたと思ったら、その後になんでか知らないけど、あいつ、女の体になってるし……また、あいつが懐いている黒服さんか誰かの厄介事に巻き込まれたと思っていたが」
その言葉に、かすかに含まれる、棘
この青年が、あの黒服をあまりよく思っていないような、そんな印象がかすかに伝わる
…だが、それはどちらかと言うと、「日焼けマシン」の契約者を心配しているが故、そんな風にも受け取れる
この青年が、あの黒服をあまりよく思っていないような、そんな印象がかすかに伝わる
…だが、それはどちらかと言うと、「日焼けマシン」の契約者を心配しているが故、そんな風にも受け取れる
「まぁ、助けてもらっておいてこう言うのもなんだが、あいつを厄介事に巻き込まないでくれよ?……俺のだいっじな親友なんだからな」
「善処しよう」
「善処しよう」
…女装とかの件もふくめて、色々と
そんな意味も込めて、Tさんは青年の言葉に答えた
そんな意味も込めて、Tさんは青年の言葉に答えた
「なら、いいや……それじゃ。こいつらが起きたら面倒だから」
ごす、と、コーラの瓶を握り緊めたまま倒れている男の体を軽くけりつつ、青年はそう言った
これ以上、この連中に関わりたくないのだろう
…そう言えば
これ以上、この連中に関わりたくないのだろう
…そう言えば
「そう言えば、どうして喧嘩になんてなってたんだ?」
Tさんの契約者がそう尋ねると、立ち去ろうとしていた青年が、あぁ、と答える
「さぁ?こいつと二人で歩いていたら、突然、喧嘩吹っかけられたんだよ。こいつはこの通り怖がりだから、とりあえず隠れておくように言ってたんだ」
ちらり、自分の背後に隠れる少女を見やりつつ、青年はそう答えてきた
…相手は、コーク・ロアの契約者と、それに操られていた人間
相手の思惑が何なのかわからない現段階では何とも言えないが…その答えに、特に違和感はない
だが
…相手は、コーク・ロアの契約者と、それに操られていた人間
相手の思惑が何なのかわからない現段階では何とも言えないが…その答えに、特に違和感はない
だが
「こんな人気のない路地裏を歩いてたのか?お二人さんで?」
黒服Hが、追い討ちでもかけるように、そう尋ねる
が、青年は特に慌てた様子もなく
が、青年は特に慌てた様子もなく
「近道なんでね。まぁ、こんな厄介な連中が出るような道じゃあ、女連れじゃ歩かない方が良さそうだがな……こいつに何かあったら、こいつを気にしてる友人に睨まれそうだし」
肩をすくめて、青年は苦笑した
少女は、その青年の言葉に小さく首を傾げたように見えたが、気のせいだろうか?
少女は、その青年の言葉に小さく首を傾げたように見えたが、気のせいだろうか?
「話は終わりか?……それじゃあ」
青年は、少女を引き連れ、路地裏を後にする
少女は、青年の後をついていって……最後に、ちらり振り返って、小さく頭を下げてきた
しぃん、と静まり返った路地裏に、叩きのめされた男たちの呻き声だけが響く
少女は、青年の後をついていって……最後に、ちらり振り返って、小さく頭を下げてきた
しぃん、と静まり返った路地裏に、叩きのめされた男たちの呻き声だけが響く
「…あー、ほっとく訳にも行かねぇよなぁ。めんどくさ」
しゅる、と髪を伸ばし、黒服Hが倒れている男たちを、その髪でひっつかんで一箇所にまとめだした
すたすたと、コーラの瓶を持っている男性に近づいていっている
すたすたと、コーラの瓶を持っている男性に近づいていっている
「「組織」として、確保するのか?」
「あぁ。この増えようは異常だからな。ヘタしたら親玉がいて、この能力を使える奴を増やしてる可能性もあるから。とッ捕まえて話聞かないと」
「あぁ。この増えようは異常だからな。ヘタしたら親玉がいて、この能力を使える奴を増やしてる可能性もあるから。とッ捕まえて話聞かないと」
コーラの瓶を握り緊めた男の様子を確認し…懐から、先ほどTさんに壊されたのとは、別の携帯を取り出している
まずは、メールでどこかに連絡をしているようだ
まずは、メールでどこかに連絡をしているようだ
「回収部隊が来るから、あんたらは早く離れた方がいいぞ。「組織」と関わりたくないんだろ?」
「…それじゃあ、退散させてもらうとしようか」
「…それじゃあ、退散させてもらうとしようか」
コーク・ロアに操られていた人数が人数だ
こっちも回収して記憶操作、などとなると結構な人数がここにやってくるだろう
さっさと退散した方が良さそうだ
こっちも回収して記憶操作、などとなると結構な人数がここにやってくるだろう
さっさと退散した方が良さそうだ
「んじゃあな」
「ばいばいなの」
「あぁ、またな」
「ばいばいなの」
「あぁ、またな」
にんまり笑って、黒服HはTさんの契約者に手を振った
しゅるしゅる、髪は落ち着きなく伸びている
…この男が外回りをしていて、はたして問題はないのだろうか
非常に、非常に疑問である
しゅるしゅる、髪は落ち着きなく伸びている
…この男が外回りをしていて、はたして問題はないのだろうか
非常に、非常に疑問である
「あのチャラい兄ちゃんも、いい友達もってんだなぁ」
Tさんの契約者は、何気なくそう呟く
あの青年は、本当に「日焼けマシン」の契約者を心配しているようだった
彼が厄介事に巻き込まれてはいないか心配し…巻き込むかもしれない存在を、警戒している
そんなように見えた
あの青年は、本当に「日焼けマシン」の契約者を心配しているようだった
彼が厄介事に巻き込まれてはいないか心配し…巻き込むかもしれない存在を、警戒している
そんなように見えた
「…あれ?Tさん、どうしたの?」
「どうしたのー?」
「うん?……あぁ、いや、何でもない」
「どうしたのー?」
「うん?……あぁ、いや、何でもない」
契約者とリカちゃんの言葉に、Tさんは軽く笑って誤魔化す
…Tさんも、契約者と同じ感想は抱いた
だが、しかし、同時に……あの青年から、何か、あまりよくない気配を感じたような
何か、どす黒い思考のようなものを感じたような気がして、ならないのだった
…Tさんも、契約者と同じ感想は抱いた
だが、しかし、同時に……あの青年から、何か、あまりよくない気配を感じたような
何か、どす黒い思考のようなものを感じたような気がして、ならないのだった
「……マリの食料確保できたと思ったんだがな」
大通りに出て、魔女の一撃の契約者はぼそりと呟いた
横槍を入れられなければ、全員叩き伏せて持ち帰り、マリの餌にするなり女にするなり色々とできたのだが…
まぁ、仕方ないとするか
横槍を入れられなければ、全員叩き伏せて持ち帰り、マリの餌にするなり女にするなり色々とできたのだが…
まぁ、仕方ないとするか
「…けけっ…「組織」の奴、いた…」
ぼそり、「爆発する携帯電話」の契約者が呟く
黒服の姿を見て、「爆発する携帯電話」は警戒して、ずっと魔女の一撃の契約者の後ろに隠れ続けていたのだ
まぁ、今は女になっているし、女物の服を着せられているから、そうそうバレないと思うが
それに
黒服の姿を見て、「爆発する携帯電話」は警戒して、ずっと魔女の一撃の契約者の後ろに隠れ続けていたのだ
まぁ、今は女になっているし、女物の服を着せられているから、そうそうバレないと思うが
それに
「あの黒服、髪が伸びてたから…多分、「13階段」が言ってた黒服だろ。何とかなるんじゃないのか?」
「……くけけっ…そう、だといいんだが」
「……くけけっ…そう、だといいんだが」
「組織」から討伐対象に指定されている身であるから、「爆発する携帯電話」は「組織」関係者と思わしき者には警戒心が強い
…そのわりには、元「組織」で、しかも「爆発する携帯電話」の討伐任務についていた「13階段」相手には特に警戒もしてないのだから、不思議なのだが
…そのわりには、元「組織」で、しかも「爆発する携帯電話」の討伐任務についていた「13階段」相手には特に警戒もしてないのだから、不思議なのだが
「……あいつめ、俺の知らないうちに、知り合いを増やしやがって…」
ぼそり、魔女の一撃の契約者は呟く
3年
たった3年、会っていなかっただけで…随分と、あいつは知り合いを増やしていた
昔は、知り合いを作る事すら、出来ないでいたくせに
こちらに対してしか、心を開いていなかったと言うのに
3年
たった3年、会っていなかっただけで…随分と、あいつは知り合いを増やしていた
昔は、知り合いを作る事すら、出来ないでいたくせに
こちらに対してしか、心を開いていなかったと言うのに
あぁ、やっぱり、あの黒服のせいだ
あの黒服と知り合ってから、あいつはどんどん変わっていった
あいつは、俺だけを信じていれば良かったのだ
俺だけに頼っていれば良かったのだ
…だと言うのに、あいつはどんどんこちらから離れていって
あの黒服と知り合ってから、あいつはどんどん変わっていった
あいつは、俺だけを信じていれば良かったのだ
俺だけに頼っていれば良かったのだ
…だと言うのに、あいつはどんどんこちらから離れていって
だから、教え込んでやろう
お前が、本当に頼るべき相手は誰なのか
その身に教え込んでやろう
押さえ込み、屈服させて………もう、他の連中に渡してなるものか
あぁ、楽しみだ
お前が、本当に頼るべき相手は誰なのか
その身に教え込んでやろう
押さえ込み、屈服させて………もう、他の連中に渡してなるものか
あぁ、楽しみだ
魔女の一撃の契約者は、ニヤリ、どす黒い笑みを浮かべながら、「爆発する携帯電話」と共に帰路に着いたのだった
to be … ?