「…………」
かすかに
かすかに、だが、気配を感じるような気がする
あの、気に食わない気配が
かすかに、だが、気配を感じるような気がする
あの、気に食わない気配が
どうしたものか、としたうちしつつ考え込む誠
叩きのめすのは簡単だ
だが、復活速度が速いのがむかつく
気絶している間に距離をとるまでには、自分では結構な時間、殴り続ける必要があるもので
一体、どうしたらいいものか…
叩きのめすのは簡単だ
だが、復活速度が速いのがむかつく
気絶している間に距離をとるまでには、自分では結構な時間、殴り続ける必要があるもので
一体、どうしたらいいものか…
「おや、誠」
「ん?……あぁ、直希か」
「ん?……あぁ、直希か」
…と
後ろから、直希がゆっくりと歩み寄ってきた
相変わらず、分厚い「光輝の書」をぱらぱらとめくりながら歩いていて、危なっかしい
後ろから、直希がゆっくりと歩み寄ってきた
相変わらず、分厚い「光輝の書」をぱらぱらとめくりながら歩いていて、危なっかしい
……その、直希は
誠をじっと見つめ、ふむ、と頷き
ぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱら
「光輝の書」が勝手にめくれ始める
誠をじっと見つめ、ふむ、と頷き
ぱらぱらぱらぱらぱらぱらぱら
「光輝の書」が勝手にめくれ始める
「いびり殺せ、カマエル」
直希の言葉に、答えるように
突如現れた豹柄の服を纏った褐色肌の天使が……どすっ、と、誠のあとをついてきていた赤いワンピースの少女に、槍を突き刺した
わりと容赦なく、脇腹辺りにざっくりと
突如現れた豹柄の服を纏った褐色肌の天使が……どすっ、と、誠のあとをついてきていた赤いワンピースの少女に、槍を突き刺した
わりと容赦なく、脇腹辺りにざっくりと
「あぁっ!?突然出会い頭に大胆なっ!?あ、ちょ、どこに……」
突き刺した、そのままの勢いに載せて
カマエルと呼ばれたその天使は、赤いワンピースの少女を路地裏まで突き刺していき…
カマエルと呼ばれたその天使は、赤いワンピースの少女を路地裏まで突き刺していき…
ざしゅっ、どすっ、どぐちゃっ
何ともグロテスクな音が響いてきた
「ふむ、では行こうか」
「悪いな、直希。お前に疲れさせて」
「問題ない」
「悪いな、直希。お前に疲れさせて」
「問題ない」
直希に「光輝の書」の力を使わせたことを謝罪し、苦笑する誠
「光輝の書」の力を使うと直希は疲労する訳で、できれば使わせたくなかったのだが
「光輝の書」の力を使うと直希は疲労する訳で、できれば使わせたくなかったのだが
「ちょうどいいところで、君に会えた。コーク・ロア支配型の契約者達の事に関して、若干伝えたい事があってな」
「ん……?また、何かわかったのか?」
「ん……?また、何かわかったのか?」
学校町で増え続けている、コーク・ロア…コーラにはコカインが含まれている、と言う都市伝説の、それを他人に飲ませる事でそれを支配する能力の契約者が増えている問題
翼から…と言うか、翼が黒服から聞いた「組織」の情報などから、どうにも黒幕が、その契約者達が捕らわれそうになると、口封じをするようになった、と言う事を聞いている
それも、犬を操る事により、その契約者を食い殺させるという残忍な方法で
翼から…と言うか、翼が黒服から聞いた「組織」の情報などから、どうにも黒幕が、その契約者達が捕らわれそうになると、口封じをするようになった、と言う事を聞いている
それも、犬を操る事により、その契約者を食い殺させるという残忍な方法で
誠としても、コーク・ロア支配型契約者の増加については、気になるところだ
自分や、今、共に生活している仲間達も、何度か襲われた事があるのだから
自分や、今、共に生活している仲間達も、何度か襲われた事があるのだから
「…それらの口封じに、犬ではなく、ツァボの人食いが出没したらしい。相手の戦力の可能性もある」
「ツァボの人食い………人食いライオンだな?」
「あぁ、ダークネス、と呼ばれていたようだし、間違いないだろう。片割れのゴーストもいる可能性を考えると、警戒を強めた方がいい」
「ツァボの人食い………人食いライオンだな?」
「あぁ、ダークネス、と呼ばれていたようだし、間違いないだろう。片割れのゴーストもいる可能性を考えると、警戒を強めた方がいい」
わかった、と誠は頷く
ダークネス一匹ならともかく、ゴーストとセットで現れられては厄介だろう
兄弟ライオンと呼ばれている、その存在
相手をするならば、一匹ずつに越したことはない
ダークネス一匹ならともかく、ゴーストとセットで現れられては厄介だろう
兄弟ライオンと呼ばれている、その存在
相手をするならば、一匹ずつに越したことはない
「後で、翼にも伝えるつもりだ」
「あ、翼には、俺が伝えておくって」
「そうかい?ならば、任せようか」
「あぁ、任せろよ」
「あ、翼には、俺が伝えておくって」
「そうかい?ならば、任せようか」
「あぁ、任せろよ」
ニヤリ、誠は笑ってやる
ついでに、翼の顔を見たい
ただ、それだけの理由から、こう言い出しただけの事
その事実を知ってか知らずか、直希は素直に、誠にそれを任せた
ついでに、翼の顔を見たい
ただ、それだけの理由から、こう言い出しただけの事
その事実を知ってか知らずか、直希は素直に、誠にそれを任せた
「…直希」
「うん?」
「お前も、この件に首突っ込むなら、無茶はするなよ?」
「…心得ておこう」
「うん?」
「お前も、この件に首突っ込むなら、無茶はするなよ?」
「…心得ておこう」
誠の言葉に、小さく苦笑する直希
二人はそのまま、街中の喧騒の中に消えていった
二人はそのまま、街中の喧騒の中に消えていった
「あぁっ!?もっと!!できれば心臓辺りを!!!」
どすどすどすどすどす
マゾサンタがいつまで槍を突き刺され続けたかは、不明である
マゾサンタがいつまで槍を突き刺され続けたかは、不明である
終われ