「…ところで、姉ちゃん。Tさんが預かってる鞄が、さっきからごそごそ蠢いている件について説明求む」
「……あ…中、ジャッカロープ……いる、から」
「なるほど。まぁ、角が生えた兎を表に出して連れ出す訳にも行かないか」
「……あ…中、ジャッカロープ……いる、から」
「なるほど。まぁ、角が生えた兎を表に出して連れ出す訳にも行かないか」
もぞもぞ、恵の様子を心配してか、鞄の中のジャッカロープが動き、そのたびかすかに鞄が蠢く
中からがちゃがちゃ音が聞こえてくる辺りからして…おそらく、中に大量の携帯電話も入っているのだろう
恵にとって、一番の攻撃手段は、それだから
中からがちゃがちゃ音が聞こえてくる辺りからして…おそらく、中に大量の携帯電話も入っているのだろう
恵にとって、一番の攻撃手段は、それだから
「…状況を、聞かせてもらってもかまわないだろうか?」
「………くけっ」
「………くけっ」
こくり、Tさんの言葉に頷く恵
本当ならば、急いで走り出したいところだろう
しかし、息を整えるのに、時間がかかってしまっている
…元々体が強くなく、体力もあまりないのだ
夕暮れ時の時間帯とは言え、この季節、まだまだ暑い
かなり、体力を消耗してしまっている
…体力を回復させる時間を稼ぐ意味でも、恵はぽそぽそと、Tさん達に状況を話した
本当ならば、急いで走り出したいところだろう
しかし、息を整えるのに、時間がかかってしまっている
…元々体が強くなく、体力もあまりないのだ
夕暮れ時の時間帯とは言え、この季節、まだまだ暑い
かなり、体力を消耗してしまっている
…体力を回復させる時間を稼ぐ意味でも、恵はぽそぽそと、Tさん達に状況を話した
モンスの天使契約者、門条 天地が、彼女らが住んでいる教会を襲撃してきた事
恐らく、その狙いは広瀬 辰也であったろうと言う事
…しかし、その襲撃すら、誰かによって仕組まれたもので……天地が、捨て駒同然の扱いであっただろうと推測できる事
切り捨てられ、命を落としかねない状況になっていた天地を、辰也が助けた事
……その後に、辰也がどこかに行ってしまった事
何だか、酷く、嫌な予感がする事実………辰也が、いなくなってしまうような、そんな不安
恐らく、その狙いは広瀬 辰也であったろうと言う事
…しかし、その襲撃すら、誰かによって仕組まれたもので……天地が、捨て駒同然の扱いであっただろうと推測できる事
切り捨てられ、命を落としかねない状況になっていた天地を、辰也が助けた事
……その後に、辰也がどこかに行ってしまった事
何だか、酷く、嫌な予感がする事実………辰也が、いなくなってしまうような、そんな不安
元々、コミュニケーション能力はあまり高くない恵
言葉少なであり、やや説明力不足である件は否めないが、それでも、Tさんには伝わったようだ
舞は、一部、首を傾げてもいたが
言葉少なであり、やや説明力不足である件は否めないが、それでも、Tさんには伝わったようだ
舞は、一部、首を傾げてもいたが
「ん~?辰也兄ちゃんが、そのモンスの天使契約者の兄ちゃんを、助けたのか?」
「………あぁ」
「…やや、違和感を感じる、な」
「………あぁ」
「…やや、違和感を感じる、な」
辰也の性格からすれば、自分達を二度も襲撃したような天地を助けるような行為をするとは、Tさんには思えなかった
その点は、舞もなんとなく理解したのか、う~ん?と、リカちゃんと一緒に首をかしげている
その点は、舞もなんとなく理解したのか、う~ん?と、リカちゃんと一緒に首をかしげている
「まぁ、辰也兄ちゃんも、元「組織」、なんだよな?だったら、前々から知り合いの可能性もあるよな」
「…多分、そう、だと思う………何だか……心配、しているようにも、見えた」
「…多分、そう、だと思う………何だか……心配、しているようにも、見えた」
…辰也は、「組織」にいた頃の事は、あまり話した事がない
辛い記憶ばかりだろうと考え、恵達もそれを聞き出そうとした事はなかった
その結果…辰也の「組織」時代の人間関係なども、ほぼわかっていないのが現状なのだ
辰也の兄代わりである広瀬 宏也なら、わかっているかもしれない
だが、恵が彼に連絡を取ろうと試みたが、先ほどから電話が繋がらないのだ
どうやら、本体の電源を切っているらしい
こっそりと、スーパーハカーに様子を確認してもらった所、どうやら、病院内にいるらしい
辛い記憶ばかりだろうと考え、恵達もそれを聞き出そうとした事はなかった
その結果…辰也の「組織」時代の人間関係なども、ほぼわかっていないのが現状なのだ
辰也の兄代わりである広瀬 宏也なら、わかっているかもしれない
だが、恵が彼に連絡を取ろうと試みたが、先ほどから電話が繋がらないのだ
どうやら、本体の電源を切っているらしい
こっそりと、スーパーハカーに様子を確認してもらった所、どうやら、病院内にいるらしい
…病院
それも、辰也が向かっているらしい…「組織」管轄下の、そこに
それが、余計に恵の不安を増大させていた
それも、辰也が向かっているらしい…「組織」管轄下の、そこに
それが、余計に恵の不安を増大させていた
…そして
「……さっきの、蛇……」
「ん?あの馬鹿でかい毒蛇?」
「…辰也、から…少しだけ、聞いた事が、ある……「組織」に、毒を持った生物を巨大化させて…それを召喚して、操る能力を持つ者がいる、と」
「ん?あの馬鹿でかい毒蛇?」
「…辰也、から…少しだけ、聞いた事が、ある……「組織」に、毒を持った生物を巨大化させて…それを召喚して、操る能力を持つ者がいる、と」
……そう、それは
辰也が言っている、復讐対象の、一人の…
辰也が言っている、復讐対象の、一人の…
「…H-No.2、と言う者、らしい…」
「……HNo?」
「……HNo?」
HNo
その単語に、Tさんはやや表情を厳しくした
その単語に、Tさんはやや表情を厳しくした
…HNo
以前、広瀬 宏也が、匂わせていた事
恐らくは、HNo全てが、宏也と辰也の復讐対象
恐らく…その、H-No.2も、その例外ではあるまい
以前、広瀬 宏也が、匂わせていた事
恐らくは、HNo全てが、宏也と辰也の復讐対象
恐らく…その、H-No.2も、その例外ではあるまい
それが、動き出している?
…恵が漠然と感じているその不安を、Tさんは理解した
…恵が漠然と感じているその不安を、Tさんは理解した
恐らく、辰也は復讐の為に動き出している
その中には、仲間…恵をはじめとしたマッドガッサー一同を巻き込まないように、と言う意思も含まれているだろう
しかし、その為に辰也は一人で動き出してしまっている
決して、個人の戦闘能力が高い訳ではない辰也にとって、それは危険であるし
それ以外にも……何か、言い表しようのない、妙な不安というか……嫌な予感が、消えてくれない
その中には、仲間…恵をはじめとしたマッドガッサー一同を巻き込まないように、と言う意思も含まれているだろう
しかし、その為に辰也は一人で動き出してしまっている
決して、個人の戦闘能力が高い訳ではない辰也にとって、それは危険であるし
それ以外にも……何か、言い表しようのない、妙な不安というか……嫌な予感が、消えてくれない
「……病院…………急が、ないと……」
何か、手遅れになってしまうような、嫌な予感
それをぬぐいきれずに、恵は病院への道へと、視線を移した
それをぬぐいきれずに、恵は病院への道へと、視線を移した
…もはや、手遅れの一歩手前の状況である事実に、気づく余裕など、なく
to be … ?
Tさん「Hさん報復記:焦燥の理由」Tさん達視点