ケモノツキ_18_ネコとフクロウと金髪少年
「……見つからないなぁ。」
人通りの多い大通りから人通りの少ないわき道へ入り、ため息をつく悠司。
『もー、この前の奴みたいに修道服着てればわかりやすいのにー。』
「さっきから無駄に歩いてるだけにゃ。この辺で諦めて「見つからなかった」って報告すればいいにゃ。」
「うーん……まだ探してないところはいっぱいあるし、もうちょっと頑張ってみるよ。」
「さっきから無駄に歩いてるだけにゃ。この辺で諦めて「見つからなかった」って報告すればいいにゃ。」
「うーん……まだ探してないところはいっぱいあるし、もうちょっと頑張ってみるよ。」
横を歩くフラウロスに答えると同時に、悠司の頭上に影が差した。
上を見上げると、一羽の鳥が悠司に向けて近づいてくるのが見える。
見覚えのある姿に悠司は手を伸ばし、ストラスはその腕にふわりと降り立った。
上を見上げると、一羽の鳥が悠司に向けて近づいてくるのが見える。
見覚えのある姿に悠司は手を伸ばし、ストラスはその腕にふわりと降り立った。
「こんなところに居たのか、召喚者。ペットの散歩かい?」
「うにゃーーー!ペット扱いするんじゃないにゃ!それを言うならストラス卿も同類にゃー!」
「僕は黒服さんからの任務で、『「教会」所属と思わしき者を確保しろ』と。」
「なるほど。それで、「教会」の者は見つかったのかい?」
「いえまだ……。どうにも手がかりが少なくて……。」
「うにゃーーー!ペット扱いするんじゃないにゃ!それを言うならストラス卿も同類にゃー!」
「僕は黒服さんからの任務で、『「教会」所属と思わしき者を確保しろ』と。」
「なるほど。それで、「教会」の者は見つかったのかい?」
「いえまだ……。どうにも手がかりが少なくて……。」
その言葉を聞き、クリンと首を傾げるストラス。
「召喚権を貸し出された悪魔の中には人探しの能力を持った者も居たはずなんだけど。フラウロスから聞かなかったのかい?」
「え?そんな人がいたんですか?」
『……おいブチ猫。何で黙ってやがった。』
「聞かれなかったのに答えられるはずもないにゃ。我様は悪くないにゃー。」
「え?そんな人がいたんですか?」
『……おいブチ猫。何で黙ってやがった。』
「聞かれなかったのに答えられるはずもないにゃ。我様は悪くないにゃー。」
ドヤ顔で屁理屈をこねるフラウロス。
「随分と非協力的な態度だね。カラミティ卿が知ったらなんて思うかな?」
その顔がピシリと固まる。
悠司へ向き直り、前足をピシッと突きつける。
悠司へ向き直り、前足をピシッと突きつける。
「召喚者!こういうときは「変化の公爵」アガレスの能力が役に立つはずにゃ!」
「この場合あの方が適任だろうね。アガレス卿の能力は――――」
「我様が説明してやるにゃ!我様が!」
「この場合あの方が適任だろうね。アガレス卿の能力は――――」
「我様が説明してやるにゃ!我様が!」
前足をぶんぶんと振りながらアピールするフラウロス。
「アガレス卿の能力の一部に「行方不明者や逃亡者を見つけ出す」というものがあるにゃ。簡単に言えば人探しにゃ。」
『そういうのは先に言っときなさいよねー。ねえ主様、こんな役に立たない猫、カラミティに返しちゃおうよ。』
「わ、我様の活躍の場がないのが悪いのにゃ!その時が来たら存分に力を振るってくれるにゃー!」
「ま、まぁまぁ。適材適所っていうし、そのときはよろしくお願いしますね。」
『そういうのは先に言っときなさいよねー。ねえ主様、こんな役に立たない猫、カラミティに返しちゃおうよ。』
「わ、我様の活躍の場がないのが悪いのにゃ!その時が来たら存分に力を振るってくれるにゃー!」
「ま、まぁまぁ。適材適所っていうし、そのときはよろしくお願いしますね。」
悠司はそう告げると深呼吸し、カラミティから借りた「力」を意識する。
「――――アガレス!!」
悠司の目の前の地面に魔法陣が展開し、空間が淡い光で包まれる。
その光が徐々に弱まり、その中から姿を現したのは――――
その光が徐々に弱まり、その中から姿を現したのは――――
『ガキじゃねえか。』
『失礼ですよタイガ。』
『失礼ですよタイガ。』
中学生にも満たないと思われる、金髪の西洋人の子供。
自分の小さな手足をまじまじと眺め、口元に笑みを浮かべる。
自分の小さな手足をまじまじと眺め、口元に笑みを浮かべる。
「ふむ、普段おいぼれの姿ばっかりしとるから、こういうのも新鮮でいいのう。」
『子供なのになんだかおじいちゃんっぽい!?』
「ほっほっほ。儂は悪魔じゃからのう。歳や見た目は対した問題じゃないんじゃよ。」
『子供なのになんだかおじいちゃんっぽい!?』
「ほっほっほ。儂は悪魔じゃからのう。歳や見た目は対した問題じゃないんじゃよ。」
爺口調で話す金髪の子供。
ふと、悠司の傍らの猫とフクロウに目をやる。
ふと、悠司の傍らの猫とフクロウに目をやる。
「ほう、ストラスにフラウロスか。これまた随分と可愛らしい姿じゃの。」
「アガレス卿こそ、随分とお若くなられましたね。」
「威厳も尊厳もあったもんじゃないにゃ。カラミティ卿は遊び心が過ぎるにゃ。」
「ほっほ。あの大魔法使いにも困ったもんじゃの。」
「アガレス卿こそ、随分とお若くなられましたね。」
「威厳も尊厳もあったもんじゃないにゃ。カラミティ卿は遊び心が過ぎるにゃ。」
「ほっほ。あの大魔法使いにも困ったもんじゃの。」
全く困った様子も見せず、愉快そうに笑うアガレス。
クリッとした目で悠司を見上げつつ、アガレスは告げる。
クリッとした目で悠司を見上げつつ、アガレスは告げる。
「召喚者よ、儂を呼んだのは何用かの?」
「えっと、人探しをして欲しくて。「教会」に所属している人……で、探せますか?」
「お安い御用じゃ。近くに見つけたら知らせるでの。散歩がてら、のんびり行こうかの。」
「いや、そう悠長なことも言ってられないかもね。」
「えっと、人探しをして欲しくて。「教会」に所属している人……で、探せますか?」
「お安い御用じゃ。近くに見つけたら知らせるでの。散歩がてら、のんびり行こうかの。」
「いや、そう悠長なことも言ってられないかもね。」
アガレスの言葉をストラスがさえぎる。
『どういうことですか、ストラス?』
「この町に、あまりよろしくない人間たちが入ってきている。近々…早ければ今日にでも、ロクでもないことが始まる気がする。」
『なんでそんなことわかるのよ?』
「こんな姿だけど悪魔だからね。人の悪意や不吉な気配には敏感なのさ。」
「じゃあ早く見つけないと…アガレスさん、お願いできますか?」
「そういうことなら仕方ないのう……散歩はまた今度じゃ。さて、どのあたりを探そうかの?」
「えっと、住宅街の方はまだ探してないので、もしかしたら見つかるかも……。」
「ふむふむ、じゃあそうするかの。どれ、折角の若い体じゃ。急ぐぞい召喚者よ!」
「あ、アガレスさん!転ばないように気をつけて!」
「この町に、あまりよろしくない人間たちが入ってきている。近々…早ければ今日にでも、ロクでもないことが始まる気がする。」
『なんでそんなことわかるのよ?』
「こんな姿だけど悪魔だからね。人の悪意や不吉な気配には敏感なのさ。」
「じゃあ早く見つけないと…アガレスさん、お願いできますか?」
「そういうことなら仕方ないのう……散歩はまた今度じゃ。さて、どのあたりを探そうかの?」
「えっと、住宅街の方はまだ探してないので、もしかしたら見つかるかも……。」
「ふむふむ、じゃあそうするかの。どれ、折角の若い体じゃ。急ぐぞい召喚者よ!」
「あ、アガレスさん!転ばないように気をつけて!」
雪の降る中、豹柄模様の猫と手乗りフクロウと金髪の子供と悠司の計二人と二匹は、住宅街へ向けて走り出した。
【ケモノツキ_18_ネコとフクロウと金髪少年】 終
「真実まではまだ、遠く」へ続く