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連載 - 我が願いに踊れ贄共・咎負い人-09

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 じーーーーーーーーー
 じっと、じっと、それを見つめるレティ
 女性客でにぎわっている、ごった返した店内
 その店内で、レティはじっと、ある商品を見つめていた

 …それは、ネックレスだった
 薔薇の装飾があしらわれた、美しいネックレス
 この店ととあるメーカーとのコラボ商品らしい
 同じような形の商品は存在する
 だが、この色合いの商品は、この店にしか存在しない
 そして

「う~ん……残り、一個…」

 そう
 店の在庫、残り一個
 すぐにでも、売り切れてしまうかもしれない

 レティは、そのネックレスに心惹かれていた
 けれど

「…うー…」

 …値段的に、レティには手が出ない
 あんまり、お小遣いを持ち出していなかったのだ、無駄遣いを避けるために
 が、全部持ってくればよかった、とレティは後悔する
 …取りに戻っていたら、売り切れてしまうかもしれない

「ほしいな……でも………うー……」

 じーっと、じーーっと
 店内にごった返す女性客たちの波に流されることなく、その商品の前に立ち続けるレティ
 …そんな、彼女の肩に、ぽん、と手が触れる

「ここにいたのか、レティ」
「ふぇ?」

 顔を上げる
 そこには、レティにとって兄代わりの存在である青年、メルセデスの姿があった
 きょとん、とレティは首をかしげる

「どうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろ、散々探させておいて」

 ぽふぽふ、レティの頭をなでるメルセデス
 頭をなでられ、レティは心地よさそうに笑った
 かわいらしい、年相応の少女の笑顔だ

「ほら、そろそろ帰るぞ?」
「あ、うん……」

 ちらり
 まだ、ネックレスをあきらめきれないレティ
 思い切り、物欲に取りつかれている
 「13使徒」としてどうか、という状況だが、「13使徒」にはもっと物欲に取りつかれている者(拷問器具に限る)がいるので、レティだけを責めるわけにはいくまい

 そんな、レティの視線の先にある物に、メルセデスは気づいたらしい
 小さく、笑って

「あ」

 ちゃらと
 そのネックレスを、手に取った

「なぁ、店員さんよ」
「……何、か?」

 そして、忙しく働いていた店員の、中性的な雰囲気の人物…店員というか、実は店長なのだが…に、声をかける

「この子に、このネックレスとあうような髪飾りか何か、見繕ってくれないか?」
「メルセデスおにーちゃん?」

 きょとん、とレティはメルセデスとネックレスを交互に見詰める
 そんなレティを、中性的なその人物は、長い前髪越しに、じっと見つめてきて

「………これ」

 す、と
 赤と黒のチェック模様のリボンを、す、と髪にあててきた
 レティの綺麗な金髪によく似合うし、ネックレスともあいそうだ

「よし、それじゃあ、ネックレスとセットで買う」
「……まいど、あり………花房、会計…」
「あ、は~い!」

 ぱたぱた、忙しく動き回っていた店員の女性が、ネックレスとリボンを持ってレジへと向かう
 メルセデスも、その後を追って、レティの手を引いて歩く

「…おにーちゃん、レティに、買ってくれるの?」
「あぁ、レティはがんばってるからな。その、ご褒美だ」

 さらりと、そう言って見せたメルセデス
 …その言葉に、ぱぁあああああ、とレティはうれしそうな、うれしそうな、満面の笑みを浮かべる

「やったぁ!!ありがとう、メルセデスおにーちゃん!」
「っと……はは、びっくりするから、急に抱き着くなっての」

 抱きつかれた拍子に、メルセデスが背負っていた棺桶が倒れかけ、ガタン、と少し音を立てた
 棺桶はさておき、二人の様子は、仲のいい兄妹、そのもので

「…………平和」

 そんな、メルセデスとレティの様子を見ていた、この店の店長……獄門寺 菊は
 短くそう呟いて、誰にも気づかれない程度の笑みを浮かべていたのだった



「~~~~~♪」

 嬉しそうに、幸せそうに
 買ってもらったばかりのネックレスとリボンを身に着け、メルセデスと手をつないで帰路に就くレティ
 メルセデスは、レティの小さな手をしっかりと握り、棺桶を背負って、雪降る道を歩いていく
 二人の、その穏やかな、仲の良い様子からは


 ………とても、数日後に、この街を滅ぼそうとする行動をとるなどと
 誰にも、予想できるはずもないのだった



to be … ?




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