じーーーーーーーーー
じっと、じっと、それを見つめるレティ
女性客でにぎわっている、ごった返した店内
その店内で、レティはじっと、ある商品を見つめていた
じっと、じっと、それを見つめるレティ
女性客でにぎわっている、ごった返した店内
その店内で、レティはじっと、ある商品を見つめていた
…それは、ネックレスだった
薔薇の装飾があしらわれた、美しいネックレス
この店ととあるメーカーとのコラボ商品らしい
同じような形の商品は存在する
だが、この色合いの商品は、この店にしか存在しない
そして
薔薇の装飾があしらわれた、美しいネックレス
この店ととあるメーカーとのコラボ商品らしい
同じような形の商品は存在する
だが、この色合いの商品は、この店にしか存在しない
そして
「う~ん……残り、一個…」
そう
店の在庫、残り一個
すぐにでも、売り切れてしまうかもしれない
店の在庫、残り一個
すぐにでも、売り切れてしまうかもしれない
レティは、そのネックレスに心惹かれていた
けれど
けれど
「…うー…」
…値段的に、レティには手が出ない
あんまり、お小遣いを持ち出していなかったのだ、無駄遣いを避けるために
が、全部持ってくればよかった、とレティは後悔する
…取りに戻っていたら、売り切れてしまうかもしれない
あんまり、お小遣いを持ち出していなかったのだ、無駄遣いを避けるために
が、全部持ってくればよかった、とレティは後悔する
…取りに戻っていたら、売り切れてしまうかもしれない
「ほしいな……でも………うー……」
じーっと、じーーっと
店内にごった返す女性客たちの波に流されることなく、その商品の前に立ち続けるレティ
…そんな、彼女の肩に、ぽん、と手が触れる
店内にごった返す女性客たちの波に流されることなく、その商品の前に立ち続けるレティ
…そんな、彼女の肩に、ぽん、と手が触れる
「ここにいたのか、レティ」
「ふぇ?」
「ふぇ?」
顔を上げる
そこには、レティにとって兄代わりの存在である青年、メルセデスの姿があった
きょとん、とレティは首をかしげる
そこには、レティにとって兄代わりの存在である青年、メルセデスの姿があった
きょとん、とレティは首をかしげる
「どうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろ、散々探させておいて」
「どうしたの、じゃないだろ、散々探させておいて」
ぽふぽふ、レティの頭をなでるメルセデス
頭をなでられ、レティは心地よさそうに笑った
かわいらしい、年相応の少女の笑顔だ
頭をなでられ、レティは心地よさそうに笑った
かわいらしい、年相応の少女の笑顔だ
「ほら、そろそろ帰るぞ?」
「あ、うん……」
「あ、うん……」
ちらり
まだ、ネックレスをあきらめきれないレティ
思い切り、物欲に取りつかれている
「13使徒」としてどうか、という状況だが、「13使徒」にはもっと物欲に取りつかれている者(拷問器具に限る)がいるので、レティだけを責めるわけにはいくまい
まだ、ネックレスをあきらめきれないレティ
思い切り、物欲に取りつかれている
「13使徒」としてどうか、という状況だが、「13使徒」にはもっと物欲に取りつかれている者(拷問器具に限る)がいるので、レティだけを責めるわけにはいくまい
そんな、レティの視線の先にある物に、メルセデスは気づいたらしい
小さく、笑って
小さく、笑って
「あ」
ちゃらと
そのネックレスを、手に取った
そのネックレスを、手に取った
「なぁ、店員さんよ」
「……何、か?」
「……何、か?」
そして、忙しく働いていた店員の、中性的な雰囲気の人物…店員というか、実は店長なのだが…に、声をかける
「この子に、このネックレスとあうような髪飾りか何か、見繕ってくれないか?」
「メルセデスおにーちゃん?」
「メルセデスおにーちゃん?」
きょとん、とレティはメルセデスとネックレスを交互に見詰める
そんなレティを、中性的なその人物は、長い前髪越しに、じっと見つめてきて
そんなレティを、中性的なその人物は、長い前髪越しに、じっと見つめてきて
「………これ」
す、と
赤と黒のチェック模様のリボンを、す、と髪にあててきた
レティの綺麗な金髪によく似合うし、ネックレスともあいそうだ
赤と黒のチェック模様のリボンを、す、と髪にあててきた
レティの綺麗な金髪によく似合うし、ネックレスともあいそうだ
「よし、それじゃあ、ネックレスとセットで買う」
「……まいど、あり………花房、会計…」
「あ、は~い!」
「……まいど、あり………花房、会計…」
「あ、は~い!」
ぱたぱた、忙しく動き回っていた店員の女性が、ネックレスとリボンを持ってレジへと向かう
メルセデスも、その後を追って、レティの手を引いて歩く
メルセデスも、その後を追って、レティの手を引いて歩く
「…おにーちゃん、レティに、買ってくれるの?」
「あぁ、レティはがんばってるからな。その、ご褒美だ」
「あぁ、レティはがんばってるからな。その、ご褒美だ」
さらりと、そう言って見せたメルセデス
…その言葉に、ぱぁあああああ、とレティはうれしそうな、うれしそうな、満面の笑みを浮かべる
…その言葉に、ぱぁあああああ、とレティはうれしそうな、うれしそうな、満面の笑みを浮かべる
「やったぁ!!ありがとう、メルセデスおにーちゃん!」
「っと……はは、びっくりするから、急に抱き着くなっての」
「っと……はは、びっくりするから、急に抱き着くなっての」
抱きつかれた拍子に、メルセデスが背負っていた棺桶が倒れかけ、ガタン、と少し音を立てた
棺桶はさておき、二人の様子は、仲のいい兄妹、そのもので
棺桶はさておき、二人の様子は、仲のいい兄妹、そのもので
「…………平和」
そんな、メルセデスとレティの様子を見ていた、この店の店長……獄門寺 菊は
短くそう呟いて、誰にも気づかれない程度の笑みを浮かべていたのだった
短くそう呟いて、誰にも気づかれない程度の笑みを浮かべていたのだった
「~~~~~♪」
嬉しそうに、幸せそうに
買ってもらったばかりのネックレスとリボンを身に着け、メルセデスと手をつないで帰路に就くレティ
メルセデスは、レティの小さな手をしっかりと握り、棺桶を背負って、雪降る道を歩いていく
二人の、その穏やかな、仲の良い様子からは
買ってもらったばかりのネックレスとリボンを身に着け、メルセデスと手をつないで帰路に就くレティ
メルセデスは、レティの小さな手をしっかりと握り、棺桶を背負って、雪降る道を歩いていく
二人の、その穏やかな、仲の良い様子からは
………とても、数日後に、この街を滅ぼそうとする行動をとるなどと
誰にも、予想できるはずもないのだった
誰にも、予想できるはずもないのだった
to be … ?