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連載 - 我が願いに踊れ贄共・咎負い人-10

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 学校町、深夜 某所にて


「ごめんなさーい」
「ごめんなさーい」

 しょぼーん
 大人しく反省しているちみっこ二人
 帰りが遅くなってしまった、リュリュとマドレーヌだ
 仲良くなった穀雨 吉静を家まで送った後、なんだかんだで好奇心の赴くままに学校町をぶらぶらし
 気づけば、すでに辺りは真っ暗になっていた
 カイザーからは、暗くなる前に戻ってくるよう、言われていたのに
 急いで、学校町にいる間の拠点として使っている建物まで戻った二人
 すでにカイザーも、そこに戻ってきた後で

 ……お説教を食らう前に、二人は素早く反省した
 素直に反省すれば、カイザーは許してくれるとわかっているのだ

 反省した様子を見せる二人に、カイザーは小さく苦笑した
 …この双子の魂胆は、わかっている
 それでも許してしまうのだから、自分も甘いものだ

「……仕方ありませんね。明日は、もっと早く帰ってくるのですよ?」
「「はーい!」」

 ぴ!と、双子は元気に挨拶する
 きれいに、お小言をスルーしてみせた
 慣れたものである

「その子達を許したなら、私の事も許してくれないン?」
「ダメです」

 シモネッタの言葉を、あっさりと却下するカイザー
 なお、シモネッタは日本風の反省として、正座している
 …日本では、正座した膝の上に重い石を載せる拷問があるらしいと聞いて、実行したいと思っているシモネッタだが、自分がされるのはノーセンキューだ
 そもそも、正座の時点で、半分拷問である
 何これ、きつい

「派手な行動は慎むように言われていたでしょう」
「私じゃないわン。あれをやったのはクラリッサよン?」

 シモネッタが反省を促されているのは…クラリッサが、鳥を操ってトライレスに襲い掛かった件である
 ……何故、シモネッタが責められているか?
 クラリッサがトライレスを見つければ、冷静さを失うのは明白だった
 それがわかっていて、シモネッタはそれを抑えるために、クラリッサに同行していたはずなのである
 が。結果として、ちょっと目を離した隙に、クラリッサはトライレスを見つけ、行動に出てしまった

 ……ようは、保護者としての責任を果たせなかった件を責められているのである

「……シモネッタを、あまり、責めないで。悪いのは私」

 正座状態がきついらしいシモネッタが、気の毒になったのだろうか
 クラリッサが、助け舟を出す

「クラリッサ、しかし……」
「……私も、本当なら、もうちょっと冷静になるべきだった。反省している」

 クラリッサの言葉に、カイザーは小さくため息をついた
 ……この男、どうにも、未成年の懇願に弱いのだ

「わかりました。今後、気を付けるのですよ?シモネッタ」
「結局、責められるのは私なのン?」
「あなたの事ですから、クラリッサから目を離した理由は、少年を見つめていたとかそういう理由でしょう?」
「えぇ!!」

 きっぱり
 堂々と答えるシモネッタ
 やはりか、とカイザーは軽く頭痛を覚えた

 ……シモネッタ、拷問マニアであると同時にショタコンの気があるのである
 特に、12歳以下4歳以上の少年が大好きである

「………自重するように、色々と。間違っても、犯罪行為には走らないように」
「大丈夫よン。見つめるだけで我慢するわン」

 いや、それはそれで問題なのだが
 だが、これ以上言っても無駄なので、カイザーは諦めた
 ………いざとなったら、実力行使で止めよう

「ねーねー、カイザー、レティは~?」
「まだ、帰ってきてないの~?」
「…そういえば、あの子達もまだですね」

 くいくい
 左右から引っ張られ、リュリュとマドレーヌに尋ねられる
 ……そういえば、レティも、まだ帰ってきていない
 メルセデスとサミュエルもだ

 メルセデスは大人だかどうでもらいいとして、レティは探しに出るべきか
 カイザーがそう考えだした、その時

「ただいま~!」

 がちゃり
 扉が開き、レティが入ってきた
 その後を、サミュエルが入った棺桶を引きずって、メルセデスも入ってくる

「お帰りー!」
「お帰りー!」
「お帰りなさい……ずいぶんと、遅かったですね」

 正座状態から脱出し、足のしびれに呻いているシモネッタから視線を外し、レティ達を見つめるカイザー
 …レティの胸元に、見覚えのない、薔薇のデザインをあしらったネックレスがかけられている事に、気づく
 日本についた頃には身に着けていなかったリボンまで、身に着けて

「それ、どうしたのー?」
「かわいー」
「えへへ……メルセデスおにーちゃんに、買ってもらったの」

 双子の言葉に、照れながら似合う?と笑っているレティ
 …どこかの店に入って、買ってきたのか

「悪いな。こんな遅くまでレティを連れまわして」
「………いえ。あなたがそばにいたのなら、問題ないでしょう」

 メルセデスの言葉に、そう答えるカイザー
 子供だけでこんな時間までうろついていたなら問題だが、大人のメルセデスが一緒だったなら、問題ないだろう
 メルセデスの人柄的に、妙な場所に連れて行っていないかだけが心配である

 と

「ずっとメルセデスと一緒だったの?」
「ううん。一回合流した後はぐれちゃって。見つけてもらうまで一人だったの」
「じゃ、ほとんど一人?」
「うん!見つけてもらったの、30分くらい前の事よ」

 そんな、三人の会話が聞こえてきた

 ………つ、と
 メルセデスが、視線をそらしてくる

「………メルセデス?」
「あー、その、あれだ。自由気ままにはしゃぎまわるちみっこを追いかけ続けるのって、大変だよな?」

 言い訳するように、そう口にするメルセデス
 それに、と続けてきた

「それに、俺と合流できなかったからって帰ろうとしなかったレティにも問題あるよな?」
「レティに責任転嫁しないように。それと、あなた程の人が、この時間まで、レティを見つけられなかった、と?余計なことをなさっていたのではないでしょうね?」

 …カイザーの言葉に、メルセデスはさらに視線をそらす

 余計な事
 した
 無視していればよかった「組織」の者を、わざわざ挑発して軽く戦闘をした
 …本当に軽く、だ
 ただ、そちらを完全に撒くのに時間がかかり、レティと合流が遅れたのは事実で

「……………」

 カイザーからの視線から逃れるように、視線をそらし続けるメルセデス
 普段は、とある事情から、精神的に有利なのはメルセデスなのだが
 この瞬間は………確かに、カイザーが優位に立っている、瞬間で

「メルセデス、少々、お話が」
「いや、俺は悪くないっ!?俺ばっかり責められるのは不公平だろっ!?」
「レティ、メルセデスおにーちゃんが、レティを見つけてくれるって信じてたの」
「レティイイイイイイイ!!??その気持ちは嬉しいが、それって、俺がさらに責められるフラグで」
「さて。こちらでお話ししましょうか」
「放せぇえええええ!!??お前の説教長いから嫌なんだよっ!?っちょ、落ち着けカイザー………ちみっこ共、見てないで助けろぉおおおおおおお!!??」




「……イ、イイイイ、イザーク。なんだか、カイザーが怒ってるみたいだよ?」
「…放置しろ。どうせ、悪いのはメルセデスだ。関わらなければ巻き込まれないから、問題ない」

 一方、帰ってきてさっさと自分達の部屋に戻っていたイザークとジョルディ
 聞こえてきたメルセデスの悲鳴にジョルディが怯えているのを、イザークがなだめる

 ……無視するのが一番だ
 飛び火されたくない

「いいから、お前はそろそろ休んでおけ。疲れているだろう?」
「えっと、半分以上気絶しててイザークがボクを運んでくれていたから、あんまり疲れてないけど……………あれ?」
「…どうした?」

 ジョルディが、窓の外に視線を向けた
 つられてそちらを見ると……バイクに乗った少年の姿が、一瞬、見えて

「……明日 真?」

 その、少年が
 日中、自分達を手助けしてくれた少年である事に、気づく

「どうしたんだろ、こんな時間に…」
「………」

 何か
 あの少年が、とんでもない事に巻き込まれているような……そんな、予感

 心配そうなジョルディの様子に、イザークは小さくため息をついた
 ……他の者に気づかれずに、うまく、ここを抜け出すようにしなければ、と
 そう考えながら、明日 真が走り去っていった方向を、じっと見つめたのだった






 彼らが探しものを見つけ出すまでの猶予時間は
 じわり、じわりと近づいている





to be … ?







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