カードを作るのに大切なこと

カードを作るのに大切なこと 初歩編


0 前書き

唐突だが、オリジナルカードの作成コミュニティが全て素晴らしいものとは限らない。
この文書は、残念ながらあまり素晴らしいとはいえないカードが量産されるようなオリジナルカード作成コミュニティに、少しでも良いカードが投下されるように願って作成した。
当然、モナリングの常連には過ぎたレベルであろう。しかし、新規にモナリングで書き込みをしようとしている人達のヒントに、あるいは、常連達の襟を再度正すきっかけとなれば幸いである。

本文書を読むにあたり、下記のサイトが参考になると思う。

Wisdom Guild
 http://www.wisdom-guild.net/
MJMJ.info
 http://mjmj.info/
M;tG Wiki
 http://mtgwiki.com/



1 ルールを読み直そう


敷居の高い要求であるように見えるかもしれない。しかしルールの正確な把握は、作り手の意図していない挙動を抑止することに繋がる。
さすがに全部読めというのは無茶なので、重要であり、かつ、通常のゲームプレイでは見落としがちな部分を列挙する。
ルールの全文は http://mjmj.info/data/CompRules_j.html にあるので、合わせて参照して欲しい。

100.2a, 100.2b(構築・リミテッドの両方を考慮しているだろうか?)
101. (決して曲げてはならない、黄金律が記載されている)
109.5. (「あなた」という単語は勘違いされがちである)
115. (特別な処理は見落とされがちである)
400.3. (このルールも曲げてはいけない)
5.ターンの構造 (アンタップ・ステップとクリンナップ・ステップ)
601. 呪文を唱えること (対象の意味の把握はもちろんのこと、呪文を唱える最中にマナ能力は起動できるとかモードの処理とか)
605. マナ能力 

それ以外は作るときに適時調べる程度で構わない。ただし、わからないことは調べるクセを付けておいたほうが絶対に良い。




2 色を理解しよう

キャラを再現しようとする場合、次のような理由で色を選ぶのはよいとは思えない。

  • このキャラのコスチュームは白と黒だ。だから白と黒にする。
  • このキャラは刀を同時に2本使う海賊だ。だから海に関係のありそうな青単色にする。もちろん二段攻撃も持たせる。

色というのは特性であり、服の色ではない。
あたり一面を絶大な魔力で灰にするという設定で白と黒という色にするのはまったくおかしい話であり、赤単色とかでやるべきである。
海賊という職業だから青というのもほぼ同様である。
青と決めて二段攻撃やら土地破壊やら青と関連性がない能力を持たせておいて、青の要素がまるで感じられない物を作るというのもよろしくない。
そのような場合は青の要素を頑張ってつける(もちろん青っぽくない能力に見合った色もつける必要がある)か、青で海賊であることを削除するか、そもそも再現すること自体を破棄するかしかない。

キャラ再現をやるならば、再現させた能力を用意してからそれに見合った色をつけるべきである。

キャラの再現ではなく何もないところからなにか作る場合は、色やクリーチャータイプを決めてから内容を考えるのもいいだろう。
もちろん、「時間カウンターと消失を持たせる能力が出来上がった。白黒にすると面白そうだから白黒にする。」
などという色の役割を完全に無視する思考は厳禁である。

色の役割とは何なのか?それぞれの色でなにが出来てなにが出来ないのか?についてはmtgwikiをよく読んでほしい。
 http://mtgwiki.com/wiki/%E8%89%B2%E3%81%AE%E5%BD%B9%E5%89%B2

一応色の概念を破壊する方法はあるため、3つほど紹介する。ただしどれも初心者にはあまりオススメしない。
(1) もともとの概念を拡大解釈した結果別の色の役割を持たせる(例:ドラゴン変化)
(2) 2色以上の組み合わせで再現する(例:稲妻のらせん はね返り)ただし、この場合理屈をテキスト内で表すこと。
(3) 世界観で覆う(例:感染能力)

ここで1つ問題なのは、暗黒の儀式のような今では色の役割が変わってしまったカードを作っていいのかどうか?である。
これを書いた人間としてはお勧めはできない。
懐かしいと感じる人もいるかもしれないが、時代遅れと感じる人もいるのをお忘れなく。




3 清書しよう

たとえばこんな書き方ではどう使うのかまるで理解できないだろう。

買収

インスタント
対戦相手がカードをプレイしたとき、そのカードを追放し、対戦相手は、あなたの手札からカードを一枚選び、それを手札に加える。

いくら書くのが面倒でも意味のわからないようなものを出しても、何も書いてないのと同等である。
清書するに際しての主な注意点は、
  • 本家で存在するカードと同名のカードは作らない。投稿前に、同一のカード名のものが無いか再度チェックしよう。
  • 言葉を略すことや、勝手に言葉を作ることは止めよう。基本的にルールに載ってる言葉だけを使うべき。言葉を作るならば定義しなければならない。(「無効にする」と書かれてもカードを見た人間には効力を推測することしか出来ず、あなたの思っている仕様と読んだ人が思った能力の理解の剥離が起こる可能性は十分にある。)
  • 用語の間違いも気をつけよう。(対象の意味はもちろんのことだが、デッキとライブラリーの混同や得ると持つの混同をすると、一部の人から冷ややかな目で見られる)
直すとするならばこのようになる。

変容する想い

インスタント
このターン次にいずれかの対戦相手がカードをプレイしたとき、それを追放し、その後あなたの手札を公開する。そのプレイヤーはその中からカードを1枚選び、そのカードを追放する。
後者のカードが追放され続けているかぎり、そのプレイヤーはそのカードをプレイしてもよい。

直すのに有用な資料は、ルールや似たような機能を持つカードである。
最初から本家のカードのテキストをつぎはぎして作ったほうが結果的に読みやすくなることも多いので覚えておこう。

いくら自分が表現したいことを伝えたくても、清書を怠れば全く伝わらない。
清書は人に伝えるためにはどうしても必要である。




4 きちんと動くか検証しよう

不幸にもこの工程を怠ったがために酷いカードが出来上がる事例が後を絶たない。
これに関しては鍛練以外にミスを減らす方法がないため、別途検証編にて問題形式で記載する。

一度は実際にカードを並べる感じで検証をするべきである。



5 シンプルにしよう

カードデザインは、基本的にシンプルであった方がいい。
その方が、伝えたいこともうまく伝わるだろう。
確かに数百枚のカードの中には、大量の能力を持ち、複雑な挙動を示すカードがスパイスとして1枚ぐらいはあってもいい。
しかし、やりすぎるべきではない。

カードのデザインはシンプルにするべきであるが、いたずらに文字数だけを少なくするべきではない。
文字数を少なくするよりも読みやすくなるよう心がけよう。
たとえば
各クリーチャーは、パワーではなくタフネスに等しい点数の戦闘ダメージを割り振る。
という能力ではなく、
各クリーチャーの基本のパワーは、そのタフネスに等しい。
とやれば文章は短くなるが、運用が非常に面倒なことになる。(なぜ面倒なことになるのかは613.3を読んでいろいろな状況を考察していただきたい)

また、1つのカードで2種類以上のカウンターを扱うべきではないし、シャッフルを複数回引き起こしたりもしてはいけない。



6 カードパワーの調整をしよう

強すぎず、かといって誰もがスルーする弱さではないように調整するべき。
これを書いた人間が採用している基準は
  • スタンダード環境下に入れて5ターン以内、モダン環境下に入れて2ターン以内に大勢が決するカードではないこと。
  • エターナル環境に関しては基本的に考えない(単なる無駄)。が、レガシーで簡単に1ターンキルが成立するのはダメ。
  • ドラフトにおいてそのカードを考慮する場合、ここ10年の歴代の10点カードの強さを大幅に超えてはいけない。
  • クロックを刻む系のクリーチャーカードの場合、既存のコモン~アンコモンより1マナ分強い程度はぎりぎり妥当だが、2マナはやりすぎである。
  • クロックを抑える系あるいはユーティリティー系は、既存の類似カードより1マナ分強い程度でもやりすぎな場合が多い。
  • 何らかの強いロックを構成するものは、基本的に6マナ以上のクリーチャーにするべき。
  • 結局のところは、対戦相手に使われて納得のできるカードであることが重要であろう。
  • ゲームの進行を阻害する可能性のあるカードは作ってはいけない。例えば引き分けを起こすだけのカードとか、面倒な処理を何度も何度も繰り返し行えるカードとかである。

調整の仕方は削ぐのと数字をいじるのが基本である。
穴があるからといって穴をふさぐためにべたべた貼り付けていく手法は、テキストの肥大化を招くこともあるためお勧めできない。
しかし調整不能なものもなくはない。その時は残念ながらそのアイデアを廃棄するしかないだろう。



7 銀枠カードを作る場合の注意点

いわゆるジョークカードである銀枠カードの製作でも基本は同じである。
よく勘違いされることであるが、銀枠カードだからどんなカードを作ってもいいというわけではない。
ジョークのような挙動をするカードは実際許されているが、常軌を逸したオーバーパワーなカードの存在はないのだ。
銀枠カードだからといってバランス調整の放棄の免罪符にはならない。



カードを作るのに大切なこと 実践編


あくまで作り方の一例である。慣れないうちはこのとおりにやれば大丈夫ではないかと思う。

1 なにを作るのかをしっかりと決める

「青のフィニッシャーとなるクリーチャー」でも「花の妖精」でも「エンチャント破壊」でも「ロボットにお世話されている弱虫ガンマン」でもよいので、
常識の範囲内に収まる程度の作りたいものを考える。
ここでいう常識とはマジックの理念に沿うという意味であり、「黒単色のエンチャント破壊」みたいなカードを作ってはならない。
そして、「誰のために作るのか?」が非常に大事である。
「巨大な数字が好きなプレイヤー」とか「コンボをするのが好きなプレイヤー」とか「強いカードが欲しいプレイヤー」とか「世界観にこだわるプレイヤー」とか、そういうくくりを特に重要視してほしい。
これが全く抜けていると、単に製作者の自己満足のためだけのカードが出来上がってしまうだろう。


2 肉付けをする

「青のフィニッシャーとなるクリーチャー」ならサイズをでかくして飛行や何かすごそうな能力を持たせてやればいい。
「花の妖精」なら小さめにして、土地に関係する能力をもたせればそれっぽくなるだろう。
「エンチャント破壊」ならば白か緑にしてあとはどんな能力を持たせるかを考えればいいだろう。
「ロボットにお世話されている弱虫ガンマン」の場合は・・・まあ頑張って肉をつけよう。
しかし、あまり肉をつけすぎるのも考え物である。アクローマのようにテキストが肥大化したカードだけしか出さないようでは、製作者の品格が疑われることがあるので注意するべきである。
「ロボットにお世話されている弱虫ガンマン」を再現したいからといってその能力を全部再現するようなことはやるべきではない。


3 果たして魅力的なのか、ルール的に無茶がないのか、実用面で問題がないのか

魅力的かどうかの基準は、ドラフトで例えれば10点満点で4点の評価が取れるか?程度のレベルでいい。
他のカードと組み合わせないと紙切れ、組み合わせてもやっとコスト分程度の働きしかしないようなカードを作るべきではない。
むしろ問題はルール的に無茶がないのか、実用面で問題がないのかのチェックである。
前者はとにかく精査すること。検証編を読んでどんな事例があったのか頭に入れておくといいかもしれないだろう。
後者は複雑になっていないか、戦場に存在するだけで混乱を引き起こさないか、そういうのをチェックしよう。
何か問題があるならば2に戻って再構成、あるいは破棄をして1から作り直そう。

4 清書する

ここまで来てやっと清書である。
清書をする場合、書式に則って書くべきである。
総合ルールや過去のカードを参考にしながら書くといいだろう。





カードを作るのに大切なこと 新能力編



時として新しいキーワード能力やギミックを作ってみたいことがあるだろうが、そのときは出来ればこれを読んでほしい。
基本的に実際にあった事例から持ってきた失敗例をなぜダメなのかという説明でまとめる。
故に非常に長くなるため覚悟して読んでもらいたい。
エキスパンションの根幹となるような能力を作る場合どうすればいいのか?とかもうちょっと踏み込んだ内容を書きたいのだが、
あくまで初心者向けなのでその辺は割愛する。


1 能力のコストとリターンを定義する

能力は基本的に条件とその対価に分けられるが、条件はある程度簡単に、出来れば能動的に満たせられるものがいい。
唱えたとき(例:続唱)とか、攻撃に参加させたとき(例:喊声)とか、追加でコストを払う(例:キッカー)とか、そんな感じでいい。
もうちょい複雑にしたいならば唱えれば唱えた分だけ強くなる(例:ストーム)とか、単独で攻撃に参加したとき(例:賛美)、とかだ。
新能力を作る場合、売りだけははっきりさせておこう。

例えば、こういう能力は売りがハッキリしない。

遺恨(このクリーチャーが死亡したとき、それがこのターン攻撃かブロックに参加しており、かつ戦闘ダメージを与えていない場合、それを戦場に戻す。)

死亡したときという条件はまあ簡単ではないが許容される。
攻撃かブロックに参加するのも問題ない。
しかし、戦闘ダメージを与えないという条件がかなりシビアである。
この条件を能動的に満たすのは楽ではない。コンボやシナジーを無視して能動的に行った場合はリソースやダメージを含めた損得で損しかねない。
コンボやシナジーを考慮した場合、攻撃に参加した直後に生け贄をコストとする起動型能力を起動し、戦場に戻すというエンジンを構成する方法があるが、それでは遺恨というキーワードに相応しくない。
受動的に満たすのも状況が限定される上、対戦相手の行動に依存する。相手が先制攻撃持ちやプロテクション持ちでブロックするか、何らかの理由で攻撃クリーチャー指定の前に除去を打たれる、くらいしか思いつかない。
しかも除去の場合は戦闘開始ステップまでに除去すれば能力がまったく無力化してしまう。
結局のところなにが売りなのかはっきりしない、どうしようもない能力である。


もし、条件を満たすのがそれなりにきついものであるならばそれが満たしやすいように環境を整えるという手があるが、それはまた別の機会に。

個人的な持論になるが、消散やエコーのようなペナルティ系新能力は作らないことをお勧めする。
これ自体には何の売りもないからだ。
もしペナルティ系新能力を作る場合は、ペナルティ(と対価)を受けることを選べるか、能力にペナルティと対価の両方を内包させるべきである。



2 有意義な能力を実装する


ある程度魅力的な効果を発揮しないと誰もそのカードを使ってくれない。
こんなギミックとかは典型的例である。

天地逆転
2赤
エンチャント
天地逆転が戦場にある限りあなたのライブラリーをひっくり返す。
(あなたのライブラリーの一番下のカードが上になり、表向きになる。)

確かに書いてある文面は人目を引く。
しかし落ち着いて考えてもらえばわかるが、これ自体は何も仕事をしないに等しい上に、カード同士の強い相互作用も出しにくい。
何らかの方法で墓地のカードをライブラリーの底に戻して、天地逆転を出し、カードを引く。
これで喚起のようなことが出来たわけだが、たったそれだけのために3アクションも行っている。
こんなカードを作るくらいなら墓地からカードを拾って無作為で1枚捨て札にするソーサリーにしたほうがまだいい。

このギミックや能力が存在するおかげでどんなデッキが作れるのか?使って本当に楽しいのか?
これがぼやけてしまうと誰も使わない紙切れを作っているのに等しい状態となってしまう。

また、こういうのもよくない。

ポプテピピック、妖怪惑星クラリス、はたまたニンジャスレイヤー等のように、公式がどうしようもない制作物を面白がって投下する事も、近年では一般的な光景になってきたように思います。
また、受け手の側も、それを楽しめる土壌が出来上がりつつあるように私たちは感じています。
そこで…

空虚な理想
2WW
エンチャント
(筆者注釈:テキストはありません。また5色サイクルとして出されたカードの1枚です。)

まったくもって面白くないのである。
少なくともプレイヤーのことを完全に無視しているだけである。
トーナメント嗜好のプレイヤーは弱すぎると判断するだろう。おそらく、今までで一番弱いカードとしてあげるぐらいに。
コンボが好きなプレイヤーも同様だろう。これをどう活用するにしても4マナのほかのエンチャントを使ったほうがはるかに有意義だろう。
とにかくでかいもの、派手なものが大好きなプレイヤーもだ。このカードは何もしないのだから。
シールドで出てきたら顔を覆いたくなるレベルのカードだ。
概念をぶち壊したものを創ることと、虚無を造ることは別である。
これは概念をぶち壊したことを主張しているが、虚無を造っているだけなのだ。
例え銀枠だったとしても受け入れられるものではないだろう。

どうしてもこの手のカードをまともに作りたいのならば、まず外堀から作るべきだろう。
バニラのエンチャントでも十分強い環境を作るところから始めなければならない。
もっとも、それはすさまじく難易度の高い製作となるだろうが。
そもそも、その手のカードを作ったところで二度手間というのが付いて回るだろうし、カードパワーもかなりピーキーなものになってしまうだろう。


3 必要性があるのかどうか考える

他の手法で代替可能なものをあえて製作する場合、説得力のある説明を用意するべきである。

例えばこんな新しいカードタイプと説明はボツである。

フラッグシップ プレデター 
8 
構築物―プレデター 
[+3]:飛行を持つ無色の1/1の飛行機械・アーティファクト・クリーチャー・トークンを2体戦場に出す。 
[-2]:パーマネント1つを対象とし、それを追放する
[-X]:プレイヤー1人を対象とし、そのプレイヤーは自分がコントロールするパーマネントをX枚生け贄に捧げる。 
耐久率 4

個人的にMTGの背景ストーリーとかが好きで、プレデターをプレインズウォーカー風にアレンジしてみただけです。
プレインズウォーカーに言い換えるなら
耐久率→忠誠度
構築物→プレインズウォーカー
と思っていただければ。
ちなみに構築物ってのはトリスケラバスや時代寄生機のタイプを使わせてもらいました。
アーティファクトではなく、構築物にした理由は帰化でプレデターが壊されるのはなんかイヤだからです。

なんでわざわざプレインズウォーカーではなくこのカードのためだけに新しいカードタイプを新設する必要があるのか、
破壊されるのがいやなのになぜ破壊不能を持たせたアーティファクトにしなかったのか、まるで説明になってない。
(とはいえ絶対に壊されないことが保障されたものでもないのに、壊されたくないから破壊不能をつけるというのもおかしいが)

また、こういうのもよくない。

大群の先達
1緑
クリーチャー - ビースト
共鳴(このクリーチャーが持つほかの能力は、共鳴をもつ他のクリーチャーも持つ。)
大群の先達は+X/+Xの修整を受ける。Xは共鳴を持つクリーチャーの数に等しい。
1/1

幸福の青い鳥
2青
クリーチャー - 鳥
共鳴
飛行
1/1

すでに特定のクリーチャータイプで相互作用的に強化するクリーチャーとして、スリヴァーや同盟者が存在するのだが、
それを見習わず、このような混乱必至であるテキストにする必要は何一つない。



4 新能力が本当に大丈夫か検証する

本家がやってない目新しいことをやろうとするのはいいが、なぜ本家がやらないのかぐらいは考えたほうがいいかもしれない。
もしくは過去に本家がやったことだが、最近まったくやってないことをやる場合も再考の余地がある。
失敗例をいくつか挙げる。

(失敗例1)

動き出す墓地
黒黒黒
エンチャント
全ての墓地は墓地であり、無色の多相を持つパワーとタフネスは墓地にあるクリーチャーカードの枚数に等しいクリーチャーとなる。
墓地が墓地に置かれたとき、動き出す墓地を追放する。

領域をクリーチャーにするのは確かにインパクトがあるのは間違いない。しかし、バウンスしたときの処理はどうなるのか?
エンチャントにしてこんな問題を起こす物を作るくらいならばクリーチャーなりトークン出す呪文で代替したほうがいい。

(失敗例2)

クリーチャー - タコ
八段攻撃

これをやるには既存のルールをいじり過ぎなければいけない。
いくら8回殴りつけたほうがタコらしいといっても、いじるべきでないルールをぶち壊すようなことはするべきではない。
もっとも英語で三段攻撃~八段攻撃のルールの文章が書けるなら止める気はない。
日本語でも辛いと思うが。

(試しに、「八段攻撃」というルールを定義する場合、以下の点を検討しなければならない。
1.先制攻撃は第1戦闘ダメージ・ステップではなく第7戦闘ダメージ・ステップにダメージが発生する
2.先制攻撃のみの場合は第1戦闘ダメージ・ステップで行われる
3.一連の戦闘ダメージ・ステップ中に八段攻撃が先制攻撃に変わったり逆に先制攻撃が八段攻撃になった場合の処理の仕方
4.「第1戦闘ダメージ・ステップに先制攻撃を持っていてダメージを与えたクリーチャーはそれを失ったとしても第2戦闘ダメージ・ステップではダメージを与えない」という事象を捻じ曲げないこと
さらに英語の場合、二段攻撃はdouble strikeであり、八段攻撃はoctuple strikeになる。能力の数詞で定義する方法は一切使えない。
正直、苦痛である。)

仮にそれらをうまく纏め上げたとしても、ちょっとしたパワー修正と回避能力を与えるだけで非常におかしくなることはいうまでもないだろう。

そもそも1枚のためだけに八段攻撃を作りたいのであるのならば、誘発型能力でダメージを与えるとかという代替手段はなくはないし、それがタコに似合わないのであると思うのならば(実際似合わないだろう)パーマネント8つを手札に戻すとかという代替手段もあるだろう。

(失敗例3)

ソーサリー
このゲームを引き分けにする。

効果は超リセットボタンといっても過言ではない。それくらい派手である。
そして類似の効果を持つエンチャントが本家にもあった。
しかしゲーム時間を無駄に引き延ばすわ、リセットこそするが敗勢からの立て直し役も勝勢までの支え役もやってくれない。
文章は目を引くが誰も得をしないのである。
どうしてもやりたいのなら10マナ以上の相当重いコストにして、ボードアドバンテージを与えた状態で「ゲームを再び開始する」にしたほうがいいだろう(そうするなら、《解放された者、カーン》が参考になるだろう)。

(失敗例4)

真なる地震 (4) (赤) (赤)
ソーサリー
真なる地震は、飛行を持たない各クリーチャーと各プレイヤーと各プレインズウォーカーにそれぞれ5点のダメージを与える。

これも状況限定ながらゲームを引き分けに持っていけるカードなのだ。トーナメントにおいて引き分けは天敵といってもいい。

(失敗例5)

赤城型航空母艦 (3)(青)(青)

クリーチャー ─ 艦娘
5/5
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上のカードを1枚、赤城型航空母艦に搭載する。(そのカードを裏向きに戦場に出し、これにつける。あなたはそのカードを見てもよく、それが自分の手札にあるかのようにプレイしてもよい。)
赤城型航空母艦は、あなたがそれにつけられているパーマネントを1つ生け贄に捧げないかぎり、攻撃したりブロックしたりできない。

毎ターンアドバンテージを与えてくれる、あるいはカウンターとしても非常によさそうな感じのカードであるが、搭載というキーワード行動に致命的な問題点がある。
まず、以下のルールの存在を確認してほしい。
707.6 (略)戦場にある複数の裏向きのパーマネントをコントロールしたりしている場合、常にそれぞれの裏向きのパーマネントの区別が付くようにしなければならない。これには、裏向きのパーマネントが戦場に出た順番などが含まれる。
つまり搭載の順番はきちんと守らなければならない。
しかも手札のように扱えるために、伏せたカードをめくって確認する動作が増えるのだが、複数の搭載持ちが並んだ場合、その手間が増えて煩雑になり、しかもそれらを統合することは一切できない。
はたして、分散された情報の処理に少なくはない時間を費やされる環境を健全と呼べるだろうか?
個人的な結論としては、キーワード行動にしたいのであるならばプレイヤーの情報管理に負担を与えるだけなので表向きに追放にするべきであるが、複数枚並ぶと更なる混乱を招きかねないので、1枚作るならかまわないが5~10枚も作るべきではない、ゆえにキーワード行動にするまでもない。
もちろんキーワード行動でないならば裏向きで追放でかまわない。ただし、裏向きで戦場に出すのはやめたほうがいい。なぜならば土地をこの方法でプレイした場合上陸の条件を満たすのかどうかややこしいからである。


5 実際に作ってみる

起動型能力や誘発型能力ならばそのとおりに書けば問題ないだろう。

もし精神隷属機のような新ギミックを作るならば、まず想定される事象をすべてリストアップする。
そのリストアップした事象を一つ一つできる限り自然なように解決していく。
たとえば「すべてのダメージの発生源は不明になる」というエンチャントを作るとしよう。目を引く、派手な能力だ。また、プロテクションに悩む赤プレイヤーにサイドボードとしての検討の余地を残すだろう。
まずリストアップ作業をする。
(1) プロテクションなどによる軽減の処理はどうするの?
(2) 戦闘ダメージとの兼ね合いは?
(3) ダメージを与えるたびに誘発する能力は?
(4) 接死とか萎縮とか絆魂とかは?
とりあえずこの程度だろう。
では順に見ていこう。
(1) については、このように定義する。
 防げない:プロテクション(赤)・プロテクション(すべての色)・プロテクション(無色)
 防げる:プロテクション(すべて)
(2) については、戦闘ダメージは戦闘ダメージのままであるが、クリーチャーが与えたという事象は確定しないと定義。
(3) は、戦闘・非戦闘問わず誘発しないと定義。
(4) はすべて機能しないと定義。

さらにきちんとした論拠を用意するといい。
「このエンチャントはダメージの発生源は何であるか、および、オブジェクトが何にダメージを与えたのかを参照することが出来なくなり、未定義とされる。」
というように。

これらまとめた定義を総合ルールの「7 その他のルール」の形式でまとめられればベストだが、
最低限ミラディンのときに書かれた精神隷属機の注釈テキスト分は当然として、箇条書きでいいので補足事項を書かなくてはいけない。

というわけでこの項目での失敗例を挙げよう。

紅蓮の学術院
土地ー学術院
(T):あなたのマナ・プールに(1)を加える。
究極呪文ー1RR
対戦相手、及びクリーチャーに10点のダメージを割り振って与える。
この土地を究極呪文としてプレイした場合、紋章領域に置かれる。究極呪文は各プレイヤーにつきゲーム中一枚しか紋章領域に置けない。

とりあえずカードパワーに関してはあまりにも酷すぎるが、それは置いておこう。(特にドラフトなんかでは確実に猛威を振るうレベルだろう)
この究極呪文の説明が、呪文として唱えられる特殊な形態なのか、起動型能力なのか、起動型能力だとしたら手札にあるときに起動できるのか、戦場にあるときに起動できるのか、この説明ではまったくわからない、どんなによくとっても不明瞭なところが多すぎるのである。
さらにプレイしたときにスタックに置かれるのではなく代わりに紋章領域に置かれるように読めるし、紋章領域にはカードは1枚しか置けないが、プレイを禁止しているわけではないとも読める。

「自分が分かるから、これを見てくれている人もこの程度の略した書き方で分かるだろう」などという甘い考えを持っているなら、今すぐに改めたほうがいい。
他人があなたの思惑や意図まできちんと読んでくれる保障はどこにもない。
そこに書かれたテキストを額面どおりに読むことしかできないのだ。
そしてそのテキストがこのような読めないものだと、残念ながら、ゴミでしかないと思われても仕方がない。

最終的に自分の生んだアイデアを生かすも殺すも、自分自身で書くテキスト次第なのだ。
せっかく作ったものを、最後の仕上げで盛大に手抜きをしたせいで台無しにするようなことがないように、気をつけていただきたい。


カードを作るのに大切なこと 検証編


カードを検証するのは非常に大事なことである。
検証能力を鍛えるには実際検証を繰り返し行い感覚を磨くしかない。
なにしろこの検証というものは答えがよく見えないパズルのようなものだからである。
というわけで実際にあった欠陥のあるカード例をいくつか用意しておくので、どこが欠陥でどう直すべきなのか考えてみてほしい。


問題


全面停止
(U)
インスタント
プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはこのターン、マナ能力でない起動型能力をプレイできない。
このターン、クリーチャーは攻撃したりブロックしたりできない。


見捨てられた楽園
土地 - 森・山・沼・島・平地
(G)、(T):あなたのマナプールに(1)(R)を加える。
(R)、(T):あなたのマナプールに(1)(B)を加える。
(B)、(T):あなたのマナプールに(1)(U)を加える。
(U)、(T):あなたのマナプールに(1)(W)を加える。
(W)、(T):あなたのマナプールに(1)(G)を加える。


踊るシミター
アーティファクト・クリーチャー - 構築物・装備品
(3)
装備(2)
装備しているクリーチャーは+2/+1の修正を受ける。
2/1


導火線
(1)(R)
エンチャント
いずれかの能力が誘発するたび、導火線はそのコントローラーに1点のダメージを与える。


魂の器
(4)
アーティファクト
魂の器が戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。魂の器の上に、そのクリーチャーのパワーの値に等しい数の+1/+1カウンターを置く。
(T):クリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時までX/Xになる。Xは魂の器の上に置かれた+1/+1カウンターの数である。
(T):クリーチャー1体を対象とする。魂の器の上に置かれている+1/+1カウンターを1個、その上に移動する。


動くオーラ
(1)(W)
インスタント
オーラ1つを対象とする。それはターン終了時まで5/5のクリーチャーになる。それはエンチャントでもオーラでもある。


強制撤廃
(U)(U)
インスタント
強制撤廃を唱えるための追加コストとして、カードを1枚捨て2点のライフを支払う。
強制撤廃は打ち消されない。
呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
強制撤廃は打ち消されない呪文も打ち消せる。


死への闘い
(1)(R)(G)
ソーサリー
あなたのコントロールするクリーチャー1体を対象とし、他のクリーチャー1体を対象とする。その前者はその後者とどちらかが死亡するまで格闘を行うことを繰り返す。


放蕩魔導師の狂宴
(1)(R)(R)
エンチャント
各プレイヤーは手札を公開したままプレイする。
各プレイヤーは、自分のターンに、可能ならば呪文を唱える。
各プレイヤーのターン終了時に、そのプレイヤーがこのターン呪文を唱えていなかった場合、放蕩魔導師の狂宴はそのプレイヤーに3点のダメージを与える。


神の威光
(3)(W)(B)
ソーサリー
全てのクリーチャーはターン終了時まで「(2):このクリーチャーを再生する。」を得る。
全てのクリーチャーを破壊する。


折れぬ勇気
(4)(W)
エンチャント - オーラ
エンチャント(クリーチャー)
エンチャントされたクリーチャーはプロテクション(すべての色)を持つ。


命の枯れ井戸
(10)
伝説のアーティファクト
親和(対戦相手のコントロールするパーマネント)
あなたのアップキープの開始時、命の枯れ井戸を生け贄に捧げる。
(1):あなたは2点のライフを得る。
(T):あなたのマナ・プールに好きな色の組み合わせのマナ2点を加える。


女教皇エレナ
(X)(X)(W)(W)
クリーチャー - 人間・クレリック
あなたのコントロールするクリーチャーは+X/+Xの修整を受ける。
1/1


即生
(2)(W)
ソーサリー
あなたの墓地にある一番上のクリーチャー・カード1枚を戦場に戻す。


安物買い
(1)(U)
インスタント
対戦相手1人を対象とする。あなたのライブラリーから異なる名前のカードを最大2枚探し、それらを公開する。
そのプレイヤーはそれらのカードから1枚を選ぶ。選ばれたカードをあなたの手札に加え、残りをあなたの墓地に置く。
その後、あなたのライブラリーを切り直す。


狩り立てられる歌
(R)
インスタント
あなたの次の戦闘フェイズとその後のメイン・フェイズをとばす。あなたのマナ・プールに(R)(R)(R)(R)(R)を加える。
対戦相手1人は以下の中から一つを選ぶ。
  • あなたのコントロール下で赤の4/4の速攻を持つ、巨人・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
  • 次のあなたのメイン・フェイズの開始時に、自分のマナ・プールに好きな色の組み合わせのマナを3点まで加えてもよい。


純白の剣
(3)
アーティファクト - 装備品
装備(2)
装備しているクリーチャーは+4/+0の修整を受けるとともに 「(T):対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーを追放し、それらのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。」 を持つ。


そびえたつ巨獣
(5)(G)(G)
クリーチャー - ビースト
トランプル
そびえたつ巨獣のパワーとタフネスは、あなたがコントロールする他のクリーチャーの中で最も高いパワーを持つクリーチャーのパワーに3を加えた数に等しい。
 *+3/*+3






























解説



全面停止
「このターン、クリーチャーは攻撃したりブロックしたりできない。」というのが問題。
もしクリーチャーで攻撃した直後にこれを唱えたら攻撃に参加できないという部分は無視され、ブロックされなくなってしまうことになる。
修正方法は…まず白にして、「ブロックしたりできない。」というものを削除するべきだろう。


見捨てられた楽園
基本土地タイプを持っていることが問題。
なぜ問題なのかというと、基本土地タイプを持つだけで該当するマナ能力を持つことになってしまうからである。
このためこれ自身が持つ能力を使う必要がなくなる。
修正方法は…よほどの事情がない限りはゆらめく岩屋でいいわけで。


踊るシミター
クリーチャーかつ装備品であるのが問題。
クリーチャーでもある装備品は装備させることが出来ないのだ。
修正方法は…生体武器で。


導火線
「いずれかの能力が誘発するたび」という誘発型能力のトリガー部分が問題。
何かが導火線の能力を誘発させたとしよう。
そうしたらその導火線の能力が導火線の能力を誘発させるのである。
修正方法は、まあ比較的簡単ではある。
かつて超心理戦というカードがあり、初出時は、
プレイヤーが1つ以上の対象を選ぶたび、各プレイヤーは自分のライブラリーの一番上のカードを1枚公開する。点数で見たマナ・コストが最も高いカードを公開したプレイヤーは、その対象を1つ以上変更してもよい。コストが最も高いカードが2枚以上ある場合、対象は変更されない。
というテキストで、やはりこれも無限ループを形成しかねないものだった。
現在では、
これにより対象を変更することでは、《超心理戦》という名前のパーマネントの能力は誘発しない。
という一文が加わっているため無限ループを起こしにくくなった。
つまりそういうことだ。


魂の器
「魂の器が戦場に出たとき」というのが問題の発端となる。
魂の器が戦場に出た。1番目の能力が誘発するだろう。このときクリーチャーAを対象とする。
で、その能力がスタックにある間に2番目の起動型能力を起動する。対象はクリーチャーAだ。
起動型能力を解決すると、クリーチャーAは0/0になる。通常は問答無用で死亡するだろう。
続いて誘発型能力を解決するが、もうクリーチャーAは存在しないので打ち消され、カウンターは乗らない。
あとは2番目の能力を起動するだけの殺戮装置となるだけである。
修正方法は、
「魂の器が戦場に出るに際し、クリーチャー1体を選ぶ。魂の器は、そのクリーチャーのパワーの値に等しい数の+1/+1カウンターが置かれた状態で戦場に出る。」
とすればいいだろう。


動くオーラ
クリーチャーかつオーラになるのが問題。
オーラはクリーチャー化すると外れてしまう。しかも外れてしまったオーラは墓地に置かれてしまう。
修正方法は…素直に丸ごと廃棄するべきと思われる。


強制撤廃
「打ち消されない呪文も打ち消せる。」が問題。
マジックのルールでは矛盾する出来ると出来ないが同時にある場合、出来ないが優先される。
つまりまったく意味をなさない文章なのである。
修正方法は…打ち消さずにそのまま追放するようにする。


死への闘い
「どちらかが死亡するまで格闘を行うことを繰り返す。」というのが問題。
致死ダメージのチェックを行う状況起因処理は呪文の解決中に行われることはない。
修正方法は…素直に丸ごと廃棄するべきと思われる。
なぜ致死ダメージをどちらかが負うまでではだめなのかというならば、ダメージを完全に軽減するクリーチャー同士あるいはパワー0同士で行ったら永久ループになるからである。


放蕩魔導師の狂宴
「各プレイヤーは、自分のターンに、可能ならば呪文を唱える。」が問題。
手札が公開されているため唱えることを強制できそうだが、マナ能力の起動は強制ではないため、この能力は実質機能しないのである。
修正方法は…3つめの文章のみにするべきである。
手札を公開するのは赤らしくないし、そもそも公開した状態を続けるのはよろしくない。


神の威光
「全てのクリーチャーはターン終了時まで「(2):このクリーチャーを再生する。」を得る。」のにその直後に破壊するのが問題。
得てから破壊されるまでの間に能力を起動するタイミングは存在しないのである。
修正方法は…リスティックのようにするべきだろう。


折れぬ勇気
「プロテクション(すべての色)を持つ。」が問題。
プロテクションはエンチャントされないという効果も含まれるため、これをつけた瞬間はずれてしまう。
修正方法は…「この効果は折れぬ勇気を取り除かない。」を追加。


命の枯れ井戸
「親和(対戦相手のコントロールするパーマネント)」が問題。
これをわかりやすく書くと、
この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールする対戦相手のコントロールするパーマネント1つにつき(1)少なくなる。
であり、そんなものはありえないのである。
修正方法は…面倒でも書くこと。


女教皇エレナ
「(X)(X)(W)(W)」というコストを持ち、かつ「あなたのコントロールするクリーチャーは+X/+Xの修整を受ける。」というのが問題
たとえ唱えるときにXをどれだけ払おうが、戦場に存在するこれのXは0である。
修正方法は…X個の+1/+1カウンターを乗せた状態で戦場に出し、その個数だけ修整を与えればいい。


即生
「あなたの墓地にある一番上のクリーチャー・カード1枚を戦場に戻す。」が問題。
確かに解決は出来る。しかしながらこのマジックイベント規定という文章を読んでいただきたい。
3.14 墓地の順序
ウルザズ・サーガ以降のカードだけからなるフォーマットにおいては、自分の墓地にあるカードの順番は好きに変更してもよい。対戦相手の墓地の順番を入れ替えてはならない。
つまりこの文章を逆に捉えるならば「現在では墓地の順番が重要とされるようなカードを作ると、このルールがぶち壊されてしまうためよくない。」ということになる。
修正方法は…素直に丸ごと廃棄するべきと思われる。


安物買い
「あなたのライブラリーから異なる名前のカードを最大2枚探し」が問題。
この文章では1枚だけカードを探すことが出来る。
もちろんそれは手札に加えられることになる。
修正方法は…探すほうをいじるのではなく、選ばれたほうを捨てさせるべきである。


狩り立てられる歌
「・あなたのコントロール下で赤の4/4の速攻を持つ、巨人・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。」と
「・次のあなたのメイン・フェイズの開始時に、自分のマナ・プールに好きな色の組み合わせのマナを3点まで加えてもよい。」
のモードが問題。
この場合のあなたとは呪文のコントローラーを指し、モードを選んだプレイヤーではない。
ゆえにとんでもないアドバンテージを得られるものになる。
修正方法は、
  • 各対戦相手は、赤の4/4の速攻を持つ、巨人・クリーチャー・トークンを1体戦場に出す。
  • 各対戦相手の次のメイン・フェイズの開始時に、そのプレイヤーのマナ・プールにそのプレイヤーが選んだ好きな色の組み合わせのマナを3点まで加える。
とする。


純白の剣
「(T):対戦相手がコントロールするすべてのクリーチャーを追放し、それらのカードをオーナーのコントロール下で戦場に戻す。」
という能力を与えるのが問題。
これを対戦相手の攻撃クリーチャー指定後に起動すると、相手のクリーチャーはブリンクするが戻ってきたクリーチャーは攻撃に参加していない状態となるため、実質攻撃することが出来なくなってしまうのである。
修正方法は…素直に丸ごと廃棄するべきと思われる。
このようなハードロックを構築するカードはよほどの(維持コストも含めて)コストをつけない限り存在するべきではない。


そびえたつ巨獣
「そびえたつ巨獣のパワーとタフネスは、あなたがコントロールするクリーチャーの中で最も高いパワーを持つクリーチャーのパワーに3を加えた数に等しい。」
という能力が問題。
これは継続的効果であり、パワーやタフネスは第7種に分類されるのだが、パワーとタフネスを決めるのは以下の順番で行われる。
7a. パワーやタフネスを定義する特性定義能力の効果
7b. パワーやタフネスを特定の値にする効果
7c. パワーやタフネスを(特定の値にするのではなく)修整する効果
7d. パワーとタフネスを入れ替える効果
また互いに依存するならばタイムスタンプ順で処理する。
例えばあなたがそびえたつ巨獣2体A,Bをコントロールしていた場合(タイムスタンプはAが先とする)、まずAのパワーとタフネスはBを参照するが、この時点では未定義である。なので0+3で3である。次にBのパワーとタフネスはAを参照し3+3で6である。これと同じ理屈はタルモゴイフなどでも発生する。
また、そびえたつ巨獣1体と2/2のクリーチャーの上に3つの+1/+1カウンターが置かれたクリーチャーをコントロールしていた場合、そびえたつ巨獣のパワーとタフネスは2/2のクリーチャーを参照することになるがこの時参照するパワーの値は2+3=5ではない。カウンターによる修整を受けていない2である。よって2+3=5がパワーとタフネスになる。
つまり運用は直感と反する場面が多いのである。
修正方法は…素直に丸ごと廃棄するべきと思われる。
最終更新:2025年06月04日 20:26
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