【秋葉山三尺坊(あきはさんさんじゃくぼう)】

秋葉山にすまう天狗である。羽休三尺坊*1、威徳大権現とも。飯綱法の天狗で飯綱三郎の流れに当たる。
白狐を乗り物にしており、それに乗って三尺坊はどこへでも飛んで行く事が出来る。

火伏せの神通力の流行

一切の火に関する災難を祓う「火伏せ」(ひぶせ)の神通力が高いとされ、近世の中頃には三尺坊をまつる事が流行人気して、その盛り上がりを幕府が禁じたほどだった。そのため各地にも防火祈願のための秋葉の祠が数多く残されている。
火伏せの力は愛宕山太郎坊も強い神通力を誇るとされ、並び称されている。ふたりの天狗は、火之迦具土(ヒノカグツチ)の術を心得ているため、火伏せの能力に長けているのだという。

秋葉

秋葉という名称は、「あきは」あるいは「あきば」両用されている。現在、秋葉山は「あきはさん」と称されている。

【誕生と修行】

三尺坊は、戸隠山の麓で生まれたとされる。戸隠山で七歳まで育ったのち、越後国古志郡の蔵王堂で修行をした結果、八千の護摩を焚き終え、巨大な天狗の姿になった。その後、白狐に乗って空を飛び、秋葉山を霊山として選んで降り立ったと言う。「三尺坊」という名前は、護摩焚きの荒行をつづけていた坊の名称に由来している*2

【天狗会議】

秋葉山には数多くの天狗が集まって来ると言い、その様子は「天狗会議」とも称されていた。もちろん、集まって来る天狗たちは飯綱法の天狗たちで、みな容貌は烏天狗である。

最終更新:2022年08月22日 03:20

*1 『古賀町誌』、1985年

*2 佐藤 俊晃『お寺におまつりしている神さまたち』、PHP研究所、2014年