【九頭竜(くずりゅう)】
九つの頭を持つ巨大な竜で、大きな力を持っている。これを祀る社殿、かつて祀っていたとされる場などが各地に見られる。
九頭竜は「おろち」(山の霊)というよりは「みづち」(水の霊)であり、特に水の力を持っているとされ、「九頭竜権現」や「九頭竜王」は水神として崇められていた。その関係から弁財天の祠に九頭竜が配されていることもある。
戸隠山の九頭竜は役行者によって封じられ、九頭竜権現として祀られた。戸隠では御供米から毎日三升の飯を炊いて九頭竜に供えるが、いつもそれがきれいになくなると言い伝えられていた。戸隠に九頭竜の頭部、越中国に胴体があり、さらに北におよんで能生権現(越後国)に九頭竜の尾があるとも言い伝えられている。
【九頭の竜王】
白山(加賀国)におり、泰澄との説話が伝わる。
竜王たちにはそれぞれ方角ごとに一多身頭の数が振られており、三頭が東、五頭が南、七頭が西、九頭が北にあたるとされる。九頭竜や九頭の竜王がいずれも日東の北の方角の地に関わっているのも、これに関連するのかと考えられる。
中央に一頭の竜王を東向きに置き、周囲に三頭、五頭、七頭、九頭の竜を泥でそれぞれ東南西北に配置しておこなう雨乞い、中央に九頭の竜王を描き、その周りに三頭、五頭、七頭、八頭の竜をそれぞれ東南西北に描いて配置しておこなう雨乞いの様式も存在した。
【金獅子】
能『鴫立沢』では「九頭竜権現は金獅子を御し」という詞章が見られる。
【地竜(ちりゅう)】
竜の血を引く馬たち。また、良質な馬に対しての異名としても用いられる。
最終更新:2024年01月26日 01:07