古くから続いている家には座敷わらしという子供の姿をした妖怪が住んでいるという。「わらし」とは子供を示す言葉で「座敷童」や「座敷童子」と書かれる。
【座敷わらし】
家の者に姿を見せる事はほとんど無く、家族では無い者、家の外の者が目撃する例がほとんどである。人間の前に姿を見せるのはその家を去る前兆であることが多い。(岩手県)
ザシキワラシは地域によってチョウピラコ、カラコワラシ、ウスツキコとも呼ばれている。
座敷わらしの足跡
家の者に対しては姿を見せる機会がほとんど無いが、囲炉裏や風呂場の灰の上に小さな足跡をつけているのが目撃される事はあったと言う。
座敷わらしの背かっこう
目撃譚などにで語られる座敷わらしの背かっこうは十二、三歳ばかりの童子であると語られる。座敷わらしが高等小学校(現在の中学校に相当する)に出たという話もあり、運動場で遊んでいると、見知らぬ一人の子供がまじって遊んでみたり、体操の時間にも一人多いということがあったりしたと言う。座敷わらしと言うと童画などに描かれる幼児のような見た目が想像されがちではあるが、人前に現われる時は小学校の高学年から中学生ぐらいの見た目のようである。
【音と富】
家の者にとって、座敷わらしを感じる事の多くは「音」である。掃除をしているような音、鼻をかむような音、米を脱穀しているような音、ぼそぼそとしゃべっているような音、いずれも音だけが感じられるが、姿を見る事は出来なかったという。
家の外の者が座敷わらしの姿を見る事は、その座敷わらしが住んでいる屋敷の家運が衰える兆しであった点を踏まえれば、家の者が姿無き音を耳にするのは家運の安定を知らせる兆しであったとも言える。
ウスツキコという異称は、ウスをつく音をさせる事に由来する。
【童子】
童子(どうじ)は修験道で用いられていた身体や財貨を護る霊的な存在たちとも関連して来る。これには福をもたらす存在として「ちいさき者」(一寸法師)が信じられてきた歴史ともつながって来る。
【街の座敷わらし】
市街地や都市の家や賃貸住宅の一室に、幼児の姿の妖怪が現われるという目撃談も多く、これらも一般にザシキワラシと称される。
その家に住んでいる者が姿を見る、という目撃状況や性質から考えれば、これは「童子」の性質を帯びていた東北地方のザシキワラシの伝承に較べ、より妖怪としての性質が高い。
油赤子などのような家に宿る幼児の妖怪と見た方が近しいのかも知れない。
最終更新:2021年04月20日 14:58