【一言主(ひとことぬし)】
葛城山にすまう地祗(クニツカミ)で、黒い大蛇であるとされる。自身の姿を非常に醜いと常に感じていると言い、他者の目に触れられるのを避けるため、闇夜以外には姿を現わす事は無い。『旧事記』ではスサノオの子であると語られる。
役優婆塞が葛城山に橋をつくらせた際に、いちばんの大力の持ち主であった一言主は姿を見られる事を嫌って応じなかったので、役優婆塞の用いた「孔雀明王の呪」によって深い谷底に封じられた。後に役優婆塞が無実の咎を受けて伊豆大島に流罪になったのは、この一言主に同情した鬼たちの働きによるものだとも言う。
土蜘蛛と深く関係しており、土蜘蛛たちを統べる存在であったとも言える。
霊山
葛城山は別名を神徳山とも呼び、神々や精霊たちが降り立った山であると言い伝えられている。
久米の石橋(くめのいわはし)
葛城山に役優婆塞のつくらせたという橋は、「久米の石橋」と呼ばれるもので、大勢の妖怪や鬼たちによってつくられた。完成形は葛城山と金峰山をつなぐ計画だったが一言主が加わらなかった事により、そこまでには至らなかった。
最終更新:2021年05月20日 17:04