おはようセックス@小説まとめ
幼馴染とアルファる
最終更新:
ohayousex
-
view
アルファ波は人を幸福にする手から出る波動。なんだかよくわからないがそう思い込んでいたのが小学生時代だ。
アルファ波とは人間の脳味噌から発せられる脳波の中でも8~13Hz成分のことを刺す。らしい。ウィキペディアにはそう書いてあった。
ついさっき調べて、初めて知ったのだ。
だが俺こと、梨川宝介(なしかわ ほうすけ)は、アルファ波のことを別名胎動の波動。この世の全ての終わり、オメガ波と対をなす究極の始動のナミ。
アルファ光線によって無機物は破壊されるが、人間には無害。否、寧ろその逆だ。
喰らった人間は一時的にとはいえ全てを受け入れる心を手に入れることができる。
全ての人間がアルファの波動に目覚めたならば、世界はきっと、もっと良くなる。
そう、なんとなく、魂で感じて、覚えていた。それが小学生の頃の俺。
そして現在(ちゅうがくせい)。
アルファ波とは人間の脳味噌から発せられる脳波の中でも8~13Hz成分のことを刺す。らしい。ウィキペディアにはそう書いてあった。
ついさっき調べて、初めて知ったのだ。
だが俺こと、梨川宝介(なしかわ ほうすけ)は、アルファ波のことを別名胎動の波動。この世の全ての終わり、オメガ波と対をなす究極の始動のナミ。
アルファ光線によって無機物は破壊されるが、人間には無害。否、寧ろその逆だ。
喰らった人間は一時的にとはいえ全てを受け入れる心を手に入れることができる。
全ての人間がアルファの波動に目覚めたならば、世界はきっと、もっと良くなる。
そう、なんとなく、魂で感じて、覚えていた。それが小学生の頃の俺。
そして現在(ちゅうがくせい)。
実際に出せた。アルファ波が。
庭で練習してたら出た。
庭の外壁を破壊し、隣の家の幼馴染遠西富嶽(とおにし ふがく)の家を半壊にまで追い込んだ。
そして、これがマズかったのである。
庭の外壁を破壊し、隣の家の幼馴染遠西富嶽(とおにし ふがく)の家を半壊にまで追い込んだ。
そして、これがマズかったのである。
何を隠そう、俺は今、入院した幼馴染に見舞いに来ているのだ。
「おーい………いつまでそこで隠れてるの?早く入ってきなよ。王道の幼馴染こと、ふがちゃんが君のことを許そうと言っているのだよ」
「………すまん」
「………すまん」
見舞いに………来ているのだ。
「全て俺の責任だ。俺がいきなり謎の異能力に目覚めなければこんなことには…」
「私はねえ」
「私はねえ」
ふがちゃんはこれで中々根に持つタイプだ。俺は覚悟を決める…否、そんな態度ではいけない!
俺は反省しなくてはならないのだ!今回は想定外とはいえ、ふがちゃんにこんな怪我を負わせてしまったのだから…。
俺は反省しなくてはならないのだ!今回は想定外とはいえ、ふがちゃんにこんな怪我を負わせてしまったのだから…。
「リフォームする良い機会になったと思ってるよ。それに宝介が、こういう風に私や私の周りに迷惑をかけるのって今回が初めてじゃないでしょ?
全然今更だよ。そりゃあ、今回ほどのことは初めてだけど、でもね。実は私は構わないと思ってるんだ。宝介に迷惑をかけられるのは」
「は?」
全然今更だよ。そりゃあ、今回ほどのことは初めてだけど、でもね。実は私は構わないと思ってるんだ。宝介に迷惑をかけられるのは」
「は?」
思わず口からHとAが出た。
「は?じゃないよ」
「いや、家を壊したんだぞ?怪我も負わせてしまったんだぞ?これは由々しき事態だ。…あ、土下座をするのを忘れていた」
「いや、家を壊したんだぞ?怪我も負わせてしまったんだぞ?これは由々しき事態だ。…あ、土下座をするのを忘れていた」
レッツ土下座だ。こうなった俺は土下座をやりつくすまで絶対に止められない。
「土下座はいいから」
「ぶっ」
「ぶっ」
幼馴染のよる点滴転移攻撃で俺の土下座は中断させられた。絶対に止められないとはなんだったのだ。
「ではせき「責任を取るのもいいから」」
なんだ?何かがおかしい。こんなに優しい幼馴染は初めてだ。
丁寧口調ながらズバズバと俺の心にダメージを負わせてくるのがいつもの彼女のハズ…、いや、そうか!これからか!
丁寧口調ながらズバズバと俺の心にダメージを負わせてくるのがいつもの彼女のハズ…、いや、そうか!これからか!
「私はねえ、今回のことでわかったんだ。宝介はほんと、人に迷惑をかける天才だからさ。
でも宝介、私のことを一番に心配して駆けつけてくれたでしょ。瓦礫の下敷きになってる私を真っ先に助けてくれたでしょ。
だからとっくに許してる。それでチャラなんだよ。だから謝らないで?宝介。私と宝介の仲じゃない」
「ええ……」
でも宝介、私のことを一番に心配して駆けつけてくれたでしょ。瓦礫の下敷きになってる私を真っ先に助けてくれたでしょ。
だからとっくに許してる。それでチャラなんだよ。だから謝らないで?宝介。私と宝介の仲じゃない」
「ええ……」
困惑するしかない。頭でも強く打ったのかも知れない。いつもの彼女なら、『絶対に許さないよ?責任を取りなさい。骨の髄まで責任を取らせるからね。君の人生の一つや二つでは決して贖えないよ、これは』とか言いそうなのに、全然そんなことないだと…?
「うう……」
「あれ、なんで宝介泣いてるの?いいんだよ、私の懐で泣いても。私と宝介は一心同体だからね……」
「まさか俺のアルファ波か…そうなのか………なんてことをしてしまったんだ……………俺は幼馴染の性格を………ああ!!もうだめだアァアアアア!!!!!!」
「ちょ、宝介!?お見舞いの品は置いていってよ!!!点滴外したあとに食べようと……宝介ぇぇーーー!!!!」
「あれ、なんで宝介泣いてるの?いいんだよ、私の懐で泣いても。私と宝介は一心同体だからね……」
「まさか俺のアルファ波か…そうなのか………なんてことをしてしまったんだ……………俺は幼馴染の性格を………ああ!!もうだめだアァアアアア!!!!!!」
「ちょ、宝介!?お見舞いの品は置いていってよ!!!点滴外したあとに食べようと……宝介ぇぇーーー!!!!」
俺は走った。そして病院内で走るなとすぐに注意された…………。
数週間後。
久々に訪れると、そこには大分身体が改善した様子のふがちゃんがいた。
「宝介。私の話を聞くんだ」
「はい」
「私の母と父はリフォームするいい機会になったとか言ってたけどね、私は違う。いや、この前言ったような気がしたけどとにかく違う。あれはなんというか、私じゃない。少し変になっていたよ」
「だよね!!!!」
「なんで嬉しそうなんだ、君…」
「はい」
「私の母と父はリフォームするいい機会になったとか言ってたけどね、私は違う。いや、この前言ったような気がしたけどとにかく違う。あれはなんというか、私じゃない。少し変になっていたよ」
「だよね!!!!」
「なんで嬉しそうなんだ、君…」
ふがちゃんが元に戻った。どうやらアルファ波の効果が切れたらしい。いつもの威圧感のあるふがちゃんだ。俺はもう何も思い残すことはない。
というわけで先手を打とう。
というわけで先手を打とう。
「責任を取ります!!!!!」
「は?」
「ふがちゃん、俺、ふがちゃんの何かな?」
「幼馴染だけど」
「じゃあ俺、幼馴染やめるから!ふがちゃんとは今後一切…うう…関わらないように努力すっから!」
「は?」
「え?」
「そういうことを言うのはやめろってこの前言ったよね………!!」
「は?」
「ふがちゃん、俺、ふがちゃんの何かな?」
「幼馴染だけど」
「じゃあ俺、幼馴染やめるから!ふがちゃんとは今後一切…うう…関わらないように努力すっから!」
「は?」
「え?」
「そういうことを言うのはやめろってこの前言ったよね………!!」
ふがちゃんが包帯の取れたばかりの手で俺の襟首に掴みかかって言う。
「私とお前は幼馴染だ!!それを解消しようなんて絶対に許さない!!!!!」
うおおなんという剣幕。
「ていうかふがちゃん腕折れたのやっとこさ治ったばっかりって言ってなかった?」
「そんなのへっちゃらだよ。全然痛く………………………………………」
「ちょっ!!!!!変な方向に曲がってないこれ!!!?!!?」
「気のせいだよ……………気のせい……………………」
「そんなわけないでしょ!!?なんか脂汗出てるよ!!?いいから看護師呼んで!!!いや寧ろお医者様アアアアアアアア!!!!!!」
「そんなのへっちゃらだよ。全然痛く………………………………………」
「ちょっ!!!!!変な方向に曲がってないこれ!!!?!!?」
「気のせいだよ……………気のせい……………………」
「そんなわけないでしょ!!?なんか脂汗出てるよ!!?いいから看護師呼んで!!!いや寧ろお医者様アアアアアアアア!!!!!!」
その後、医者が来て、入院期間の延期を言い渡された…。
「宝介…」
気を取り直して…というわけにもいかず。
再び包帯で腕をグルグル巻きにされ、心底不服そうな、それでいて痛みでげっそりした顔のふがちゃん。
中々お目にかかれない。貴重な表情だ。
再び包帯で腕をグルグル巻きにされ、心底不服そうな、それでいて痛みでげっそりした顔のふがちゃん。
中々お目にかかれない。貴重な表情だ。
「な、何?」
「さっきの話、絶対やめてね。君と私の仲を解消するってことは……君の今まで私にかけてきた迷惑を全て無かったことにするのと同義なんだよ。それは責任逃れにほかならない。許されないことだ」
「あ、ああ…確かにそうだ」
「さっきの話、絶対やめてね。君と私の仲を解消するってことは……君の今まで私にかけてきた迷惑を全て無かったことにするのと同義なんだよ。それは責任逃れにほかならない。許されないことだ」
「あ、ああ…確かにそうだ」
確かにそうなのだ。こうしてボロボロになってしまったふがちゃんに目を逸らすということは、それすなわち責任逃れ。俺はまた過ちを犯そうとしていたのか…。
「…ついこないだの話だよ。君が薬師寺の彼女の仲介人をした時も、例えに私と君の関係を出したせいでややこしくなったし」
「そ、そうだね」
「それにだな、あの時もそうだった――」
「そ、そうだね」
「それにだな、あの時もそうだった――」
話は長くなる。気がつけばもう夕刻だ。
俺は今まで数えきれないほどふがちゃんを頼りにし、その分ふがちゃんに負担をかけてきた。
そして、恐らくそれはこれからもそうだ。俺は救いようのない男だ……幼馴染とはいえ、女子に負担をかけすぎだ………。
俺は今まで数えきれないほどふがちゃんを頼りにし、その分ふがちゃんに負担をかけてきた。
そして、恐らくそれはこれからもそうだ。俺は救いようのない男だ……幼馴染とはいえ、女子に負担をかけすぎだ………。
「ごめんな…ふがちゃん…」
「……あとね、私と宝介は一心同体…ってほどじゃないけど、一蓮托生…ってほどでもないけど。私だって宝介に宝介ほどじゃないにしろ負担をかけてる。自業自得かもしれないけど、私に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだよね?」
「……うん」
「でも、だからって今後も遠慮はしなくていいんだよ。迷惑をかけろとは言わないが、頼りには……してね」
「……え?」
「何度も言わせないでほしいな」
「……あとね、私と宝介は一心同体…ってほどじゃないけど、一蓮托生…ってほどでもないけど。私だって宝介に宝介ほどじゃないにしろ負担をかけてる。自業自得かもしれないけど、私に申し訳ない気持ちでいっぱいなんだよね?」
「……うん」
「でも、だからって今後も遠慮はしなくていいんだよ。迷惑をかけろとは言わないが、頼りには……してね」
「……え?」
「何度も言わせないでほしいな」
早口だ。
「それより差し入れのお菓子はあるんだろうね。私はそれを楽しみにして君を待っていたんだ」
「それより今さっきなんて言ったの?」
「うるさい」
「それより今さっきなんて言ったの?」
「うるさい」
ああ!貴重な顔だ!やっぱりまだアルファ波が効いているのか!?
「もう一回言ってくんない!?普通なら言わないこと言ったような気がするんだよね!やっぱり熱でもあるんじゃないの!?」
「いいから!!差し入れのお菓子を出せって言ってるんだけどねえ!!!」
「ちょ、ちょっと待って、その腕……また変な方向に」
「曲がっ……………ああああああああ!!!!!」
「お医者様……いや、院長ォオォオオオオオ!!!!!」
「いいから!!差し入れのお菓子を出せって言ってるんだけどねえ!!!」
「ちょ、ちょっと待って、その腕……また変な方向に」
「曲がっ……………ああああああああ!!!!!」
「お医者様……いや、院長ォオォオオオオオ!!!!!」
その後、医者が来て、入院期間の延期と面会の自重を言い渡された…。
が、別れ際に彼女は言ったのだった。
が、別れ際に彼女は言ったのだった。
「さっきのは、この前の変な感じじゃない。本心だから…今後とも…よろしくね」
後半は特によく聞こえない小さな声だったが、俺は、少しだけ……いや、かなり救われた気持ちになった。
同時に、少し赤くなったが。
同時に、少し赤くなったが。
END