おはようセックス@小説まとめ
草冠小説
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ohayousex
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「お、今年も大凶か~~!!!」
萩坂椎楽(はぎさか しいら)は運が悪い。
「……ところで聞きそびれてたけど、なんでそんなボロボロなんだ?」
「ん?ああ、新年早々で暴走族に絡まれてな」
「ん?ああ、新年早々で暴走族に絡まれてな」
ただひたすらに悪い。
「倒すのに手間取ったぜ」
「倒したのか!?」
「倒したのか!?」
そして天才である。
第一話・「今日から君も私の友達ね」
何をしても上手くいかないぐらい運が悪い代わりに、彼女は天賦の才能を持っていた。
文武両道である彼女は、喧嘩がちょっと得意な暴走族程度を倒すぐらいわけがない。
ただ今日もやはり運が悪かったらしく、相手がやたら多かったようである。
文武両道である彼女は、喧嘩がちょっと得意な暴走族程度を倒すぐらいわけがない。
ただ今日もやはり運が悪かったらしく、相手がやたら多かったようである。
「椎楽ちゃん、この後仙人探しに山登りに行くとか言ってたが、その傷じゃやめたほうがいいぞ。病院へいこう」
「何を言う、これは男の勲章だ」
「お前は女じゃなかったのか」
「それに山登りってほどじゃないよ~。ちょっとしたハイキング程度だよ」
「何を言う、これは男の勲章だ」
「お前は女じゃなかったのか」
「それに山登りってほどじゃないよ~。ちょっとしたハイキング程度だよ」
ここの神社には、裏に地味に大きな滝がある。その微妙な大きさから地元でも割りと知られていない穴場なのだ。
「この奥に私の知り合いというか、私が一方的に知っている知り一途がいてな」
「それだと尻に一途みたいな奴に聞こえるからやめとけ…っていうか仙人って実在したのか」
「それだと尻に一途みたいな奴に聞こえるからやめとけ…っていうか仙人って実在したのか」
一方、萩坂椎楽と喋っている彼女は凡人、芳野雷子(よしの らいこ)。
凡人だが、信頼できる人物と
凡人だが、信頼できる人物と
「…この先って滝があるだけだろう?」
「そうだ。その滝に奴がいる」
「修行でもしてるのか?」
「そうだ。その滝に奴がいる」
「修行でもしてるのか?」
冗談めかして言う雷子にうんと頷く椎楽。
そして数分後、雷子は戦慄した。
そして数分後、雷子は戦慄した。
「あッせいィぃいいいいやッッッ!!!!!!!!!!!!!!」
滝の水を、拳で割る少女に。
「えっと…今のが“気”です。…あ、今日はここまでということで」
しかもその人物に見覚えがあることに。
こちらに気づくと、観衆達に軽く挨拶を済ませ、こちらへズカズカと歩いてくる彼女。
「雷子か」
「仙龍ちゃん、何してんの」
「修行をしていたら、人が集まってきてしまった。今日は特別な日なのだろうか」
「仙龍ちゃん、何してんの」
「修行をしていたら、人が集まってきてしまった。今日は特別な日なのだろうか」
今日は元日である。近くに神社があるので、修行の際の轟音が響いたのだろう。
「む、二人は知り合い?」
「ってか、幼馴染」
「うむ。……久しぶりだな」
「NANTO」
「ってか、幼馴染」
「うむ。……久しぶりだな」
「NANTO」
藤武仙龍(ふじたけ せんりゅう)。彼女は武人であった。
「山奥に棲む仙人と知り合いとは、中々やるな雷子よ」
「ってか、同学年だ。椎楽ちゃんとも、私とも」
「え?マジで?」
「ってか、同学年だ。椎楽ちゃんとも、私とも」
「え?マジで?」
学校では帰宅部である。空手部にも柔道部にも所属していないのは、そういった形式ばったものに彼女が興味がないからだ。
「噂は聞いている。なんでも文武両道の天才だとか…不運の塊だとか」
「そうだよ~私天才。不運?なにそれ。そんじゃ、一つ手合わせ願おうか、仙龍さん!」
「それはできない」
「ふっ、そうこなくてはな…ってなんでだ~~~~~」
「そうだよ~私天才。不運?なにそれ。そんじゃ、一つ手合わせ願おうか、仙龍さん!」
「それはできない」
「ふっ、そうこなくてはな…ってなんでだ~~~~~」
こいつ、今の滝割りパンチが見てなかったのか、と雷子は不思議に思った。
しかし、決して見てなかったわけではない。それでも、自分が敗北するとわかりきって尚、彼女はやりたかったのだ。
しかし、決して見てなかったわけではない。それでも、自分が敗北するとわかりきって尚、彼女はやりたかったのだ。
自分がどのようにして負けるのか!仙龍の強さの秘訣とは!そして“気”ってなんだ!!!!!!!
椎楽の頭の中はそれでイッパイだった。彼女はこの上ない、ポジティブシンキングであった。
「私の身体は人間と戦う為にできていない。これはみんなを守るための身体なんだ」
「そこをなんとか…私のことをぶっ殺す積もりでお願いします!」
「ダメだ。運が悪いと、手加減していても大怪我を負わせてしまう。それに見たところ、貴女は既に怪我を負っているじゃないか」
「そこをなんとか…私のことをぶっ殺す積もりでお願いします!」
「ダメだ。運が悪いと、手加減していても大怪我を負わせてしまう。それに見たところ、貴女は既に怪我を負っているじゃないか」
あ、バレた?と椎楽。
運が悪いとってことは、絶対大怪我負うじゃん!と雷子は思った。
運が悪いとってことは、絶対大怪我負うじゃん!と雷子は思った。
「だからあたしは病院はいこうって言ったんだぜ。でもこいつ聞かないんだよ。仙龍からもなんとか言ってくれ」
「病院へ行ってくれ。私からもお願いだ」
「断る!」
「病院へ行ってくれ。私からもお願いだ」
「断る!」
なぁに、ちょっとナイフで脇腹刺されたり鉄パイプで後頭部殴られたぐらいだ!と言ってヘラヘラしている椎楽だった。
が、その適当さが災いしたのか、次の瞬間フラッとぶっ倒れてしまう。
が、その適当さが災いしたのか、次の瞬間フラッとぶっ倒れてしまう。
「アホだ!こいつ!!!」
パニックに陥る雷子と、即座に冷静に救急車を呼ぶ仙龍の姿は対照的だった、と観衆A。
病院では、また君か…と呆れられる椎楽の姿があった。
そう、彼女は天才だ。自分がもし倒れても救急車を呼ぶ人間が近くにいるし、大丈夫!というクズめいた計算すら、無意識下に行ってしまうほどに。
彼女は善人ではなく、悪人でもない。天才であり、天然の阿呆でもある彼女は、其れ故に周囲を振り回す。
其れ故に。彼女に友達は今までいなかったのだ。
が、それは去年の夏までの話――――。
病院では、また君か…と呆れられる椎楽の姿があった。
そう、彼女は天才だ。自分がもし倒れても救急車を呼ぶ人間が近くにいるし、大丈夫!というクズめいた計算すら、無意識下に行ってしまうほどに。
彼女は善人ではなく、悪人でもない。天才であり、天然の阿呆でもある彼女は、其れ故に周囲を振り回す。
其れ故に。彼女に友達は今までいなかったのだ。
が、それは去年の夏までの話――――。
「立入禁止の文字が見えねーのかよ!」
「大丈夫、私、馬鹿だけど馬鹿じゃないから、駄目なラインと駄目じゃないラインはなんとなくわかるんだよね」
「意味わかんねーこと言ってないでそっち行くのはやめろ!そっちより先は運が悪いと死んじまうぞ!」
「え?じゃあやめる」
「あっさり塩味!!!!」
「大丈夫、私、馬鹿だけど馬鹿じゃないから、駄目なラインと駄目じゃないラインはなんとなくわかるんだよね」
「意味わかんねーこと言ってないでそっち行くのはやめろ!そっちより先は運が悪いと死んじまうぞ!」
「え?じゃあやめる」
「あっさり塩味!!!!」
雷子と椎楽が出会い。
「お前、危なっかしくてほっとけないし」
「ほほう」
「最初は学年一位っていうから、どんなガリ勉みたいなのが飛び出してくるのかと思ったら、お前みたいな変人だったんでびっくりしたぜ。
あたしゃその時点でお前という人間を気に入ったんだ。単に面白いやつって意味でな。でも段々変わっていったよ。ほっとけない奴に」
「ほほう」
「最初は学年一位っていうから、どんなガリ勉みたいなのが飛び出してくるのかと思ったら、お前みたいな変人だったんでびっくりしたぜ。
あたしゃその時点でお前という人間を気に入ったんだ。単に面白いやつって意味でな。でも段々変わっていったよ。ほっとけない奴に」
雷子と椎楽が打ち解けていくまで。
「それであたしが最低なやつなのもわかった。お前が天才だからさ、あたしはそんな上位の存在のお前を守った気になって、同じ立場になった気でいたんだ。
ごめんな、そういう積もりはなかったんだけど。でも、そんな自分の醜い本心に気づいてからも、お前がほっとけないのはやっぱり変わらなかったんだよ。
だって、お前、天才の割りに馬鹿だし」
「はっはっは!面と向かって言われると照れるなぁ…」
「ほら馬鹿だ!」
ごめんな、そういう積もりはなかったんだけど。でも、そんな自分の醜い本心に気づいてからも、お前がほっとけないのはやっぱり変わらなかったんだよ。
だって、お前、天才の割りに馬鹿だし」
「はっはっは!面と向かって言われると照れるなぁ…」
「ほら馬鹿だ!」
そして現在――――。
「この馬鹿野郎!!!あたしを計算内に入れやがったな!!!!」
「いや、スマンスマン。ここまで大怪我とは思わなかったんだ」
「大怪我だった時の保険に、あたしを含みやがったなってことだよ!!!」
「そうかそうか、はっはっは!」
「な~にがそうかそうかだ!今度同じことをやってみろ、絶交だぞおめー!!!」
「え!?じゃあやめる!!」
「いや、スマンスマン。ここまで大怪我とは思わなかったんだ」
「大怪我だった時の保険に、あたしを含みやがったなってことだよ!!!」
「そうかそうか、はっはっは!」
「な~にがそうかそうかだ!今度同じことをやってみろ、絶交だぞおめー!!!」
「え!?じゃあやめる!!」
どこかで見たような応酬をする二人。
「仲が良いんだな」
仙龍はまぶしそうに呟いた。
雷子と仙龍は幼馴染だが、仲良しとは言い難い。
仙龍がしょっちゅう修行だなんだと言って、雷子を置いてけぼりにしたため、雷子が拗ねたのだ。
そして、生憎雷子以外に友人などいなかった仙龍は…見事に一人ぼっちと化したのだった。
そう、彼女は、コミュ症だったのである。
雷子と仙龍は幼馴染だが、仲良しとは言い難い。
仙龍がしょっちゅう修行だなんだと言って、雷子を置いてけぼりにしたため、雷子が拗ねたのだ。
そして、生憎雷子以外に友人などいなかった仙龍は…見事に一人ぼっちと化したのだった。
そう、彼女は、コミュ症だったのである。
「あ、仙龍くん、今日から君も私の友達ね!」
「だ、そうだよ、仙龍ちゃん」
「……そ、そうなのか?」
「実はそれが本当の目的だ!」
「ったくよ、それぐらい言ってくれたって良いのによぉ……」
「だ、そうだよ、仙龍ちゃん」
「……そ、そうなのか?」
「実はそれが本当の目的だ!」
「ったくよ、それぐらい言ってくれたって良いのによぉ……」
そしたら、私から仙龍に伝えるのに…と呟く雷子。
しかし、雷子は知らない。実は椎楽が、雷子と仙龍のそんな関係を調査済みだということを。
そして、だからこそ二人を会わせたかった為に、神社へ…来たことを。
しかし、雷子は知らない。実は椎楽が、雷子と仙龍のそんな関係を調査済みだということを。
そして、だからこそ二人を会わせたかった為に、神社へ…来たことを。
「今度からは三人で修行しようぜ、仙龍くん!」
「!!……」
「…あたしはごめんなんだが、…仙龍ちゃん、学校でぐらいは…一緒にご飯食べようぜっ」
「…ああ、そうだな。なんだか…すまんな」
「なんで仙龍ちゃんが謝んの?ぼっち飯ってそんなに辛いか?」
「…ああ、辛かった」
「え、あ……」
「くっ…」
「!!……」
「…あたしはごめんなんだが、…仙龍ちゃん、学校でぐらいは…一緒にご飯食べようぜっ」
「…ああ、そうだな。なんだか…すまんな」
「なんで仙龍ちゃんが謝んの?ぼっち飯ってそんなに辛いか?」
「…ああ、辛かった」
「え、あ……」
「くっ…」
本当にぼっち飯だったのか…と適当な冗句の積もりで地雷を踏んだ雷子は、割りと後悔していた。が。
「はっはっは!」
椎楽はいつも、よくわからないところで笑う。それは大体空気の読めない笑いだが、時には清涼剤にもなるのだ。
「安心したまえ、今度からは三人で食おう!」
「…ハッ!し、し、椎楽ちゃんもこう言ってるし、そうしよう。あ、そうだ!今度、3分の1のワサビロシアンルーレットおにぎり作ってくるね!面白いから」
「あれはもうやめようぜっ!!!!」
「ふっ…」
「病院では静かに!!!!!!!!!!」
「「「す、すいません」」」
「…ハッ!し、し、椎楽ちゃんもこう言ってるし、そうしよう。あ、そうだ!今度、3分の1のワサビロシアンルーレットおにぎり作ってくるね!面白いから」
「あれはもうやめようぜっ!!!!」
「ふっ…」
「病院では静かに!!!!!!!!!!」
「「「す、すいません」」」
お前が一番うるせーよと思う雷子であったが、正論だったので、ここはひとまず黙ることにしたのだった。
萩坂椎楽。
芳野雷子。
藤武仙龍。
かくして三人の草冠が出会い、友人となった。
芳野雷子。
藤武仙龍。
かくして三人の草冠が出会い、友人となった。