宇宙を、大いなる闇が包み込もうとしていた。 かつてない巨大犯罪組織が台頭してきたのだ。
邪教団・幻魔空界。 謎に包まれた教祖を頂点とする 邪悪な宗教団体である。 その下に、12の犯罪組織を従えている。
宇宙警察内で、 組織犯罪対策を担う銀河連邦警察は この一大勢力への対応に、躍起になっていた。
そんな中、宇宙刑事ギャバン・十文字 撃と 相棒シェリーは、幻魔空界の幹部が 武器の不正取引をするという情報を得て、 惑星スカベスに来ていた。
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マフィアたちの取引現場。
撃とシェリーが、陰から様子を窺っている。
シェリー「聞き込み通り、マフィア同士の取引ね」
漆黒の装甲に身を包んだ者が、取引の物品と思しきアタッシュケースを手にしている。
撃「
マッドギャランだ」
シェリー「幻魔空界・十二使徒の1人」
撃「こいつは、絶対でけぇヤマのブツだな。行くぞ、シェリー」
シェリー「だめよ、ギャバン。ファイヤースクワッドを待たなきゃ。協力体制でやれって、新長官が」
撃「無駄なのは性に合わねぇ。俺はお前と2人でいい」
シェリー「でも……」
撃「俺はお前と2人がいいんだ! そんで、もっとスケールの大きな捜査がしたいんだよ」
シェリー「……」
撃「いいか? 俺が奴らを引き付ける。その隙にブツを押さえて、先にドルギランへ戻ってろ」
シェリー「……OK」
撃が自ら、マフィアたちのもとへ進み出る。
撃「銀河連邦警察だ! 動くな!」
たちまち、マフィアのメンバーたちが襲いかかる。
撃「はぁっ!」「おりゃあ!」「遅いんだよぉ!」「踵落としぃ!」
撃があっという間に、彼らを叩きのめす。
マッドギャラン「よく来たな、宇宙刑事。少しは遊んでやるぜ」
撃「ハハッ。寝言が言いたいんならな、ここで眠らせてやるよ」
撃がマッドギャランと組み合うが、たちまち劣勢に陥る。
撃「蒸着!」
撃がコンバットスーツを蒸着し、宇宙刑事ギャバンとなる。
剣と剣とのぶつかり合い。
マッドギャランは奇怪な剣法で、どんどんギャバンを追いつめる。
ギャバン「なんだ、こいつの剣捌き!? 見たことねぇ、すげぇ!」
マッドギャラン「驚くのが早すぎる」
マッドギャランの強烈な剣撃を受け、ギャバンが床に叩きつけられる。
ギャバン「ぐわぁっ!」
その隙にシェリーは、アタッシュケースを守っているマフィアたちのもとへ進み出る。
シェリー「ねぇねぇ」
虚を突かれたマフィアたちを、シェリーが難なく叩きのめす。
シェリーが得意げにアタッシュケースを手にし、中を手にするが──
シェリー「空っぽ? この取引…… 罠!?」
銃声──!
シェリー「ああぁっ!?」
ギャバン「あっ、シェリー!?」
銃撃を受けたシェリーを、ギャバンが助けに向かおうとする。
しかしマッドギャランが依然、ギャバン目がけて剣を振るい続ける。
ギャバン「邪魔するなぁ!」
マッドギャラン「なら、そろそろ本気だせぇ!」
シェリーがふらふらと立ち上がる。
黒いフードを纏った何者かが、2撃目の銃弾を放つ。
シェリー「ああぁ──っ!?」
ギャバン「シェリー!? シェリー!!」
シェリーが倒れる。
ギャバン「シェリー、シェリー!」
黒フード「マッドギャラン様、女は殺りました」
ギャバン「んだと、おらぁ!」
ギャバンが激昂するが、その隙を突き、マッドギャランの剣がまともに決まる。
マッドギャラン「マッドギャラックティック!!」
ギャバン「ぐわああぁぁ──っっ!!」
必殺剣が炸裂する。
蒸着を解除された撃が、血を吐いて倒れる。
マッドギャランがさらにとどめの剣を突き立てようとしたとき、サイレン音が近づいてくる。
マッドギャラン「ファイヤースクワッドか……」
マッドギャランが、黒いフードの者と共に立ち去る。
入替りに、宇宙警察ファイヤースクワッドの隊員たちが駆けつけ、深手を負って倒れている撃を見つける。
隊員「これはひどい…… バン隊長!」
バン「おい、しっかりしろ。おい!」
撃「うぅ、シェリー…… おい、どこに行った、シェリー!?」
撃がよろよろと立ち上がろうとするが、力尽きて倒れ、気を失う。
隊員「バン隊長、この人は一体?」
バン「宇宙刑事、ギャバンだ」
最終更新:2018年02月17日 07:03