第四次魔族侵攻

ロクシア歴800年頃、第三次魔族侵攻にて前魔王が魔王の座を放棄してから百年後、新たな魔王の座を受け継いだ四代目魔王が世界の大半を支配していた時代。
先代が成し得なかった世界征服を完遂する為、未だ魔族の支配に抗っていた僅かな人類戦力を完全に制圧しようと仕掛けた大規模攻勢。

この時に国家として残っていたのは高度魔法文明の遺産を持つ『ヴォルゲン神主国』。
遥か古来より強力な仙力宝貝を操る仙人達が仙域を守り続ける『大慶帝国』。
第三次侵攻で滅亡した『ヴァールズ帝国』の人々によって興された『グリルス王国』(後のグリルグゥルデン帝国
ついでに西南方の大陸に点在する取るに足らない田舎や、辺境地にある幾つかの小国だけであった。

魔王は先代より引き継いだ膨大な兵力でこれらを一気に攻め落とすつもりだったが、戦線は予想外に拮抗。
むしろ魔族憎しで戦い続けるグリルス王国の徹底抗戦によってじりじりと後退し始めていた。
更に強大な古代魔導兵器を駆使するヴォルゲンや超常的な仙術を操る大慶にも攻めきれず、魔族領となった地域でも人間による反乱が頻発。
こうして戦いは想定していなかった長期戦の様相を見せ始め、魔王も躍起になり始めた。

やがて魔王は今以上の強大な力を求める様になり、数多のレッサードラゴンを貪りその竜力を取り込む事で自身を強化。
魔族領の遺跡から発掘された古代の文献から『異界に潜む強大な存在』の研究に取り組むようになったと言う。

一方その頃、南の辺境の国(当時のスタートゥ王国)を一組の冒険者パーティが出発。
魔族の軍勢が各地の戦線に釘付けになっている隙間を縫って魔族領深くに侵入、各地の高位魔族を倒して町を開放していった。
そして魔王がそれに気が付いた時には冒険者は魔王城のすぐ近くにまで迫っており…。

激闘の末、四代目魔王は勇気ある若者の一撃によって遂に打ち倒される事となる。
即ち、ロクシア史上において最初の『勇者による魔王討伐』が成された瞬間であった。

王を失った配下達は統率を無くして散り散りとなり、魔王討伐の報を受けて戦意を取り戻し奮起した各国がそれらを次々に撃破。
こうして百年以上もの魔王の支配が続いた第四次魔族侵攻は終結し、ようやく人類は世界をその手に取り戻したのだった。

だがこれによって新たな魔王の座を狙う魔族達の群雄割拠が魔界を含めた各地で始まり、人類も国家間の争いや興亡が続く動乱の時代となる。
そして現代に至るまで魔族と人類、魔王と勇者の戦いの歴史は続いていく事となるのだった。


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最終更新:2023年12月19日 15:03