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対決~英雄の真髄

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匿名ユーザー

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対決~英雄の真髄 ◆UOJEIq.Rys



 破壊された出入り口を超え、この距離からでも感じ取れる禍々しい魔力を目標に足を進める。
 決して駆けるようなまねはしない。敵戦力は未知数。ほんの僅かな体力さえも無駄には出来ない。
 事前情報こそ得ているが、そんなモノは当てにならない。実際の戦闘では、相手が情報にない魔術、能力、礼装を保有していた例などざらにある。
 ましてやこの『儀式』とやらの状況下、相手が“宝具”を持っていない可能性さえある。
 そうなるとそうなるとこちらも“切り札”を使えない可能性がある訳だが―――

「それならむしろ好都合。いかな英霊と言えど、宝具がなければただの強敵だ」

 英霊との戦いで最も恐ろしいのはその“宝具”だ。
 伝説にまで謳われた武具は、それだけで条理を覆す“奇跡”を保有する。

 例えば極光を以って境面界を両断したという“エクスカリバー”。

 例えば因果を逆転させ、必ず心臓を穿ったと云う“ゲイボルク”。

 例えば“後より出でて先に断つもの”の二つ名を持つ、我が家系に伝わる“フラガラック”

 これらの“宝具”は正しく発動されれば、お互いの力量に関係なく担い手の勝利が決まる。
 いかに担い手が弱く、いかに対象が強くとも。

 それこそが英霊を英霊たらしめるシンボル。英雄を伝説へと至らせる“貴き幻想”だ。

 故にこそ、“宝具”を持たない英霊などおそるるに足りない。
 無論、英霊自身の戦闘能力は侮れるものではない。
 だが、この身は既に二体の黒化英霊を倒した実績がある。
 その経験を以ってすれば、セイバーがたとえどれ程の性能を持っていようと、互角の戦いに持ち込む事も可能だろう。


        ◆


 僅かに空いた扉の隙間から室内を索敵する。
 部屋はほどほどに広く、戦闘を行うには十分な領域がある。
 家具は一般的な物で、魔術的要素を付加されてはいないようだ。
 特別注視する物はなにもない、大人数が集うための部屋のようだった。

 その中央に、“敵”はいた。

 ……黒い。
 それが、標的であるセイバーの第一印象だった。
 その身を包む重厚な鎧は元より、体から溢れ出る膨大な魔力が濃霧となってセイバーを覆い、まるで黒い恒星のような印象を与える。
 その手に握られた黄金の剣だけが、黒色の中の異物として目立っている。


 セイバーはこちらに気付いているのかいないのか、入り口から背を向けている。
 罠の可能性もあるが、その隙を突かない理由はない。
 深く、ゆっくりと、静かに息を吸い込み、

「フッ――――!!」
 一撃で扉を、その止め具ごと粉砕。セイバーへと殴り飛ばす。
 その影に隠れ、追従するように一足でセイバーへと肉薄する。

 対象の行動予測。一手目の取捨選択。
 次に取るべき私の行動は―――

「なっ………!?」

 後先を考えない、その場凌ぎの無様な回避だった。
 高品質な絨毯の上を転げ回り、近場の調度品を投擲することで次撃を牽制する。

「ぐっ…………!?」

 吹き飛ばされた。
 牽制は牽制としての用を成さず剣士に攻め入られ、そのまま弾き飛ばされた。

「づっ……!」
 守りは間に合った。戦闘の続行に支障はない。
 セイバーの追撃はない。部屋の端まで下がり、体勢を立て直す。


 ――――想定外。いや、迎撃されたこと自体は想定内だった。
 だがセイバーは、私がそうすることがわかっていたかのように、囮にした扉ごと私を斬り伏せに来た。
 しかも狙いは正確。扉に隠れて見えないはずの私の頭部を、寸分の狂いもなく狙っていた。

「くっ………」

 なんて間抜け。
 先手を取っていながら僅か一手で後手に回ってしまった。
 もはや戦いのアドバンテージはあちら側だ。
 どうにかして情勢をこちら側に持って来なくては――――

「その程度の実力で私を殺しに来たか、魔術師(メイガス)」
「――――――!」

 喋った。自我がある!
 それはつまり、クラスカードで呼ばれた英霊ではない?
 ……いや。人間自身を媒介にして召喚した例もある。それを確かめるのは対象を倒してからで十分だ。

「その程度とは聞き捨てなりませんね。この身は封印指定執行者。凡百の魔術師とは錬度が違います。
 現に、あなた同様英霊の力を持つモノ。ランサーとアーチャーの二体を既に撃破しています」
「はっ、笑わせるな魔術師。アーチャーもランサーも貴様如きに討たれるようなサーヴァントではない」

 サーヴァント? 聞いたことがある。
 確かクラスカードが出現した冬木の街で、幾度か行われたと云う儀式。その名は―――

「聖杯戦争!」

 だとすれば、眼前にいるのはセイバーのサーヴァント! 紛れもない本物の英霊!!

「なるほど。道理で自我があるはずだ!」
「自我? その言い方からすると、貴様が戦ったというアーチャーとランサーには自我がなかったのか」
「その通りです」
「――――――、ク」

 その冷淡な表情から、僅かに嘲笑が漏れる。

「何がおかしい、セイバーのサーヴァント」
「なに、貴様があまりにも愚かなのでな。
 まさか意志のない人形を倒したぐらいで粋がっていたとはな」
「自意識の有無など些細な違いでしょう。自我があろうがなかろうが、同じ英霊には違いない。その性能に変わりはありません」
「ほう? ならば試してみるか?」
「試すまでもありません。私はあなたを倒し、クラスカード回収の任務を遂行する。これは決定事項です」

 両の拳を強く打ち鳴らす。
 ルーンの刻まれた手袋をはめた拳は、金属がぶつかり合うような音を立てた。

 任務に変わりはない。
 眼前のセイバーを打倒し、名簿にあったバーサーカーも撃破し、クラスカードを回収する。
 例外はアーチャーのカードを持つクロエ・フォン・アインツベルンだが、これはその時の状況で判断する。


 だが疑問は残る。
 眼前の剣士はセイバーのサーヴァントだ。それは間違いない。
 サーヴァントはマスターの召喚によって呼ばれるモノ。その存在の維持はマスターの魔力によって行われる。
 つまりマスターがいなければ、存在するだけで魔力を消費し消滅する。
 この問題はクラスカードを依り代にしてしまえば解決される。
 だが、私の知る冬木の街で“聖杯戦争は起こっていない”。
 ならばあのサーヴァントはいつ、どこから呼ばれたと言うのか。

「私も舐められたものだ。
 喜べ、一時戯れてやる。―――そして我が力、その身を以って思い知れ!」
 セイバーが剣を構え、床を踏み砕いて突進する。
 考えるのは後だ。
 今は何より、眼前の敵を粉砕する。


 踏み込む。
 振り下ろされる剣閃を掻い潜り、その重厚な鎧ごとセイバーの胴めがけて渾身の右ストレートを打ち込んだ。

「ッ――――!」

 それを防がれた。
 時速八十キロを誇る私の右ストレートは、いとも容易くセイバーの左手に受け止められた。
 またも読まれていた。
 それで確信する。この敵に生半可な奇襲やカウンターは通じない。
 一撃を加えるには、真正面から叩き潰す必要がある。

 一瞬の間。
 渾身のカウンターを防がれた私と、その小柄な体躯ゆえに衝撃を殺し切れなかったセイバー。
 その僅かな差は、この状況を作り出したセイバーに傾いた。

「雑だな。しかも軽い!」

 掴まれた拳を起点に、力任せに私の体が持ち上げられる。
 そのまま急降下、今やリングのマットと化した、柔らかい筈の絨毯へ叩きつけられる。

 それを防ぐ。
 激突の寸前に体を捻り拘束を外し、四肢を全て使って衝撃を殺し切る。
 すぐにその場から飛び退く。
 閃く一撃。前髪を数本切り裂かれた。

 だがセイバーの攻撃は終わらない。
 壁際に詰められた私に向かって突撃し、背後の壁ごと両断してくる。

「グ、づ…………ッ」

 それをどうにか凌ぐ。
 壁ごと断ち切るのは流石に剣閃が鈍るのか、セイバーの猛攻をどうにか潜り抜け、部屋の中央へと躍り出る。

 追撃してくるセイバー。
 それを尻目に拳を振り上げ、一撃。部屋の床を粉砕し、足場を崩す。
 直後に浮遊感。床は完全に崩落し、下階との吹き抜けとなる。

 舞い上がる粉塵を煙幕に、より狭い廊下へと抜け出す。
 当然セイバーも追ってくるが、こちらの狙いを悟ったのか、廊下へ出ると同時に足を止める。

 お互いの距離は二十メートルほど。
 狭い廊下は一直線に伸びており、敵に全身か後退しか許さない。
 壁を壊せば道は開けるが、そんな隙を逃すつもりはない。
 更に、無手のこちらとは違い、あちらは長剣。
 剣は振るう度に壁に当たり、その速度を落とさざるを得ない。

 敵が後退するならよし。
 攻守は入れ替わり、今度はこちらが攻める番となる。
 前進するならそれもよし。
 鈍った剣筋なら、カウンターを入れる余地も十分にある。
 セイバーがどちらを取ったとしてもすぐに行動できるよう、拳を構える。

 だがセイバーは、そのどちらでもない行動をとった。

「ぬるいな。やはりこの程度か」

 セイバーがそう呟くと同時に、剣に黒色の魔力が渦巻く。

 “宝具”―――ではない。ラックは反応していない。
 ならばこの攻撃は―――遠距離攻撃!

「そら、躱して見せろ!」

 放たれる黒刃。
 魔力と剣圧によって繰り出されたそれは、天井床壁面を斬り抉りながら飛翔する。

「…………ッ!」

 敵の攻撃を鈍らせるための作戦が仇になった。
 作戦とは真逆に、狭い廊下は私の回避空間を殺いでいる。

「どうした? この程度の攻撃、容易く防いで見せろ。
 アーチャーの弓はより強く、より正確だったぞ」
「――――ッ!」

 躱しきれなかった黒刃に、刃の側面から一撃する。
 イリヤスフィールのソレとは違う、より強靭でより鋭角な刃は、砕けることなく私を弾き飛ばす。

「グ、ァッ………!」

 想定外すぎる。
 魔術や礼装でなく遠隔攻撃が出来る剣士など聞いたことがない。
 剣技自体も桁違いだ。追い込むどころどころか、互角にすらなっていない。

 彼我の距離はプラス十メートル。
 合わせて三十メートルのその距離は、お互いの実力差を表しているように見えた。

「立つがよい。まだ終わりではないぞ」

 セイバーから膨大な魔力が溢れる。
 剣は腰だめ、突きの形に構えられている。
 その体からは、重厚な鎧が取り払われていた。

「まさか―――!」

 即座に立ち上がり、構える。
 絶好のカウンターの好機。だが同時に、セイバーが放つ必殺の一撃のはずだ。

 ……だが、やはりまだラックは反応しない。

「行くぞ―――散るがいい!」

 ドン、と言う音とともにセイバーが突進する。
 重厚な鎧に要していた魔力さえも『魔力放出』に動員される。
 さらに狭い廊下が銃身となり、弾丸であるセイバーをより加速させる。

 お互いの距離は三十メートル。
 それをセイバーは、僅か三歩で踏破した。

「――――――ッ!」

 カウンターもなにもない。ただ自らの存命の為に、必死に敵の一撃を回避する。

「、ガハッ…………!」

 それは成功。
 だがセイバーが掠めた衝撃だけで、より後方へと弾き飛ばされる。

「そら、次だ!」
「っ…………!」

 後ろからセイバーの声。
 すぐさま跳ね起き、放たれた剣閃の回避に徹する。

 なぜこんなにも早く後ろに迫れたのかと思えば、セイバーの後方の壁が大きく凹んでいた。
 どうやらセイバーは、廊下の端の壁を足場に停止、方向転換したらしい。

「遅い。この程度も凌げぬのか? もっと足掻いて見せろ。
 ランサーの槍はより鋭く、より疾かったぞ」

 疾風怒濤と振るわれる剣閃。
 刺突を基本としたそれは、確かにランサーの槍を思わせる。
 だが速度、精度は及ばずとも、一撃の威力はそれ以上だ。

「ガ、ッ…………!」

 剣劇を捌ききれず、弾き飛ばされる。
 吹き飛ばされた私の体は、廊下の壁を粉砕し、その奥の室内へと叩き込まれる。

「、ッ…………!」

 ……これがセイバーのサーヴァント。これが本物の英霊。
 私が相手にした黒化英霊とは、そもそもの質が違う……!

「物足りぬ、立て。それともそのまま朽ちるか?」

 セイバーが部屋へと入ってくる。
 その体には、魔力の霧が集うように結晶化し、漆黒の鎧を新たに作り上げる。
 その様を見て更なる驚愕を味わう。
 あれだけの魔力放出を行いながら、セイバーのその膨大な魔力は、まったく陰りを見せていない。
 眼前のサーヴァントは、一体どれほどの魔力を蓄積させていると言うのか。

「万策尽きたか。全く……手応えのない。身の程を誤ったな」

 未だに膝をついたままの私を見て、失望したようにセイバーが言った。
 返す言葉もない。
 私から仕掛けておきながら、結局私は最後まで攻勢に出る事が許されず、セイバーの猛攻に翻弄されるしかなかった。

「自我がなくとも性能は変わらない。そう言ったな、魔術師。
 確かにその通りだ。自我があろうとなかろうと、肉体の能力はそう変わらん」

 壁の残骸を踏み砕きながら、セイバーが前進する。
 それに圧されるように、私も僅かに後退する。

「だが勘違いをするな。
 そもそも英雄とは、己が生き様を貫いた果てに成るものだ。肉体の性能など、その結果付いてきた物に過ぎん。
 故に、自我のない英霊など本物に及ぶべくもない。それを侮るなど、片腹痛いわ」

 セイバーがさらに歩を進める。
 私の体もさらに後退するが、背後の壁に阻まれる。

「無意味な勝負だった。確かに魔術師にしては鍛えられているが、それだけだ。名を覚える価値もない。
 共に時間を無駄にしたな」

 逃げ道を失くした私に、セイバーが剣を突き付ける。
 その刃から逃れる術はない。
 フラガラックは通常状態でも使用できるが、セイバーは確実に避けるだろう。
 それ以前に、発動の準備に入られた段階で気付かれる。

「くっ……」

 方法を。
 どうにかして、生き延びる方法を考えなければ……!

「祈れ。少しは楽になろう」

 セイバーのサーヴァントはそう言って、私に何の感情も向ける事なく、その剣を、この胸に突き出した。

「ッ……“後より出でて先に断つもの(アンサラー)”―――!」

 それを死に物狂いで躱し、ラックを発動させる。
 魔力を内包する鉄球が、切り裂かれ血の噴き出す左腕を砲台に、紫電を帯びて装填される。

「宝具……!」
 それを見てセイバーが警戒し、僅かに後退して剣に魔力を籠める。

 それでもなお、必勝の条件は発生しない……ッ!

 苦肉の策。
 生き延びる為の最後の一手を切る。

「くらえ……!」

 跳ね上がる鉄球。振り被られる鉄拳。
 眼前へと弾き飛ばされたそれへと向けて、渾身の右ストレートを叩き込む。

「――――我がフラガラック! ……じゃない球!」
「なっ………!?」

 ビリヤードの如く打ち出される砲丸投げの球。
 真正の宝具であるラックに注視していたセイバーは、その別方向からの奇襲に対処しきれない。
 だが、それを覆すのが剣の英霊。

 砲丸を躱すのが不可能と即座に判断し、剣での迎撃に切り替え、それを間に合わせる。
 振り抜かれた剣は違わず砲丸の軌道を遮り、見事に砲丸を両断した。
 両断して……しまった。

「ガッ………!」

 二つに切り裂かれた砲丸は、その勢いのままにセイバーへと飛来し、新たに作られたヘルムに覆われた頭部に直撃した。

 これを好機と、全力で駆け出す。
 セイバーにではない。あのサーヴァントならたとえ、今の状態からでも迎撃して見せるだろう。
 走るのは部屋に備え付けられた、外に繋がる窓へと向かってだ。

「ッ、貴様……!」
 それを見咎め、思わぬ反撃に激怒したセイバーは剣に魔力を纏わせ、一閃する。

 窓を体で叩き割り、空中に飛び出す。
 同時に体を捻り、迫る黒刃に相対する。
 魔術回路を限界まで回し、右腕に渾身の力を籠め、限界まで振りかぶる。


 生きるか死ぬか。
 生き延びるために、迫りくる死に最後の一撃を叩き込む――――!


        ◇


 崩壊した窓から地面を見下ろす。
 死体はない。
 完全に蒸発した可能性もあるが、手応えはなかった。

「……逃したか」

 それだけを呟いて、自身も跳び下りる。
 そのまま危なげなく着地し、足を進める。


 未だに鈍痛が残る頭部をさする。
 あの時、セイバー自身は砲丸を両断するのでなく、弾くか打ち砕くつもりだった。
 とっさの判断であった事と、慣れ親しんだ剣と似ているが違う剣の違和感に、失敗してしまったのだ。

 この魔剣は選定の剣によく似ている。
 似ている分だけ、その差異が齟齬となる。
 その結果、魔術師を取り逃がしてしまった。

 砲丸の威力にヘルムは砕けたものの、ダメージはない。
 だが、次も似たようなことにならないとは限らない。
 やはり、エクスカリバーの捜索は急務だろう。


 それはともかく、これからどうするか。
 対策本部はもう調べ尽くした。
 キラと呼ばれる犯罪者に関する資料があっただけで、有益な物はなにもなかった。
 先の魔術師も含め、全くの無駄足だったのが腹立たしい。

「む………」

 ふと、小腹がすいたと思い、ハンバーガーの入っていた紙袋をあさる。
 人間、空腹だと苛立ちやすいものだ。
 が、中身はない。
 どうやら既に食べ尽くしていたらしい。

「……ふん」

 紙袋を投げ捨てる。
 期待してしまった分苛立ちがさらに溜まった。

 そこでふと思い出したことがあり、地図を広げる。

 目を落としたのは【F-7】の衛宮邸。
 そこに書かれた衛宮邸が自分の知る衛宮邸なら、もしかしたら何かしらの食料があるかもしれないと思ったのだ。
 それに場所は町村。つまり参加者達が立ち寄る可能性が高い。

「決りだな」

 目的地が決まり、迷いなく北東に歩みを進める。
 心なしか早足なのは、決して食べ物の為ではない……ハズだ。


【G-5/キラ対策本部前/一日目 早朝】

【セイバー・オルタ@Fate/stay night】
[状態]:健康、黒化、魔力消費(微小)
[装備]:グラム@Fate/stay night
[道具]:基本支給品、不明支給品0~1(確認済み)
[思考・状況]
基本:間桐桜のサーヴァントとして、間桐桜を優勝させる
1:人の居そうな場所。さしあたっては、【F-7】の衛宮邸に向かってみる
2:間桐桜を探して、安全を確保する
3:エクスカリバーを探す
4:間桐桜を除く参加者全員の殲滅
5:次に士郎たちに合った時は、聖杯の器(イリヤ)を貰い受ける(積極的には探さない)
[備考]
※間桐桜とのラインは途切れています



        ◇


 未だ血の流れる左腕を右手で止血しながら走る。

「私としたことが、とんだ失態だ……!」

 失態も失態、大失態だ。
 事前情報は当てにならないと解っていながら、自身の経験という情報を当てにしてしまった。
 その結果がこのざまだ。

「指は……動く。骨にも異常はなさそうだ。
 しかし、これでは当分、戦闘に支障が出ますね。
 ……いや、腕が繋がっているだけ良しとしましょう」

 あの時。セイバーの止めの一撃を躱した時。
 避け切れなかった刺突は私の左腕を大きく抉った。
 しかもその直後、囮に使ったラックの砲台にしたため、更に悪化させてしまった。

 幸い腕の神経は問題ないようだし、ラックも消費せずに済んだ。
 これは不幸中の幸いと言う奴だろう。

「しかし、セイバー相手でこれでは、バーサーカーと相対した時が思いやられる」

 セイバーより厄介と聞くバーサーカーだ。
 セイバーにすら相手に成らないようでは、バーサーカーを倒すなど夢のまた夢だろう。

「戦力が入りますね」

 自分一人ではどうにもならない。
 誰か、セイバーを追い詰める事の出来るだけの力を持った人物、または武装が必要だ。
 目ぼしい人物としては、カレイドステッキを持つイリヤスフィール達だろう。
 一度はクラスカードを全て封印した経験を持つ彼女たちなら、サーヴァントを相手にしてもどうにかなるかもしれない。

 問題は。
 一度は彼女達を、自分が圧倒したと言うことだが。
 自分にラックを使わせたように、他にクラスカードがあればどうにかなるだろう。

 もっとも。

「それよりもまず、この腕を止血しなければ」

 未だに血を流し続ける左腕。
 これを完全に止血しなければ、どうする事も出来ない。

 どこか安全に処置できる場所を目指し、駆け足を止める事なく、冬木大橋へと足を踏み入れた。


【H-5/冬木大橋前/一日目 早朝】

【バゼット・フラガ・マクレミッツ@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:全身裂傷、左腕重傷(骨、神経は繋がっている)、疲労(中)
[装備]:ルーンを刻んだ手袋
[道具]:基本支給品、逆光剣フラガラック×3@プリズマ☆イリヤ
[思考・状況]
基本:何としてでも生き残る。手段は今の所模索中
1:取り合えず撤退。傷の治療をする
2:セイバーを追い詰めれるだけの人員、戦力を探す
3:とりあえず会場を回ってみる
4:障害となる人物、危険と思しき人物は排除する
5:安全とみなした人物、有用な人物にはニアの存在と計画を教える
6:呉キリカには借りをつくった
[備考]
※3巻の戦闘終了後より参戦。
※「死痛の隷属」は解呪済みです。
※キリカから、セイバーの存在と、マントの男(ロロ・ヴィ・ブリタニア)の情報を教わりました。
※呉キリカを、『殺し合いに乗っていない参加者』と認識しました。
※セイバーやバーサーカーは、クラスカードを核にしていると推測しています。


060:タイガー不思議のダンジョン ~城の探検隊~ 投下順に読む 062:幻影と罰
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058:「愛は無限に有限だからね」 セイバー 074:MEMORIA-黒き騎士の記憶
バゼット・フラガ・マクレミッツ 082:hollow


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