Lost the way ◆Z9iNYeY9a2
どれだけの間飛び続けただろうか。
もう美遊から充分離れることができただろうか。
もう美遊から充分離れることができただろうか。
怖い。
誰かを殺し、傷つけてしまう自分が。
怖い。
そんな自分を木場さんや海堂さんに見られるのが。
誰かを殺し、傷つけてしまう自分が。
怖い。
そんな自分を木場さんや海堂さんに見られるのが。
先の放送で呼ばれた名前。その中には木場勇治や海堂直也の名こそなかったが、菊池啓太郎の名前があった。
こんな自分を、正体は知らないまでもよくしてくれた。周りの人間に虐げられてきた結花にとってその存在は大きなものだった。
どうして彼が死ななければならないのだろう?私のような化物が生きて啓太郎さんのような優しい人間が死んでいって。
どうして彼が死ななければならないのだろう?私のような化物が生きて啓太郎さんのような優しい人間が死んでいって。
何も考えたくなかった。ただもう、それこそ鳥のように飛び続け、やがて朽ちてしまいたいとまで思ってしまうほど飛び続けた。
時間ももう分からないほどに。
時間ももう分からないほどに。
だからだろうか、彼女は近くにいた存在すらも知覚することができなかった。
「っ!?」
急に翼を焼くような痛みが襲う。
「うああっ!!?」
バランスを崩し地面を転がる結花。
翼の痛みは消えず、恐怖のあまりオルフェノクの姿で辺りを見渡す。
そしてそこに立っていたのは――
翼の痛みは消えず、恐怖のあまりオルフェノクの姿で辺りを見渡す。
そしてそこに立っていたのは――
「乾…さん?」
◇
『美遊様、焦る気持ちも分かりますが少し休まなければ…』
「分かってる、分かってるけど…!」
「分かってる、分かってるけど…!」
痛みを堪えつつも前に走ろうとする美遊。その腕には銃弾による傷がつき、歩いた後の地面を血で濡らしていた。
それは今より時間を遡り、第一回放送の直後まで戻る。
飛び去った長田結花を追う中、突如始まったアカギの放送に思わず足を止めた美遊とロロ。
飛び去った長田結花を追う中、突如始まったアカギの放送に思わず足を止めた美遊とロロ。
『凛様が…?!』
「まさか…、そんな…!」
「まさか…、そんな…!」
何かとても大きな鈍器で殴られたかのような衝撃。
サファイアの中には信じられないというような驚愕が、美遊の中には大きなショックが生まれる。
長田結花を追わねばならないということをすっかり忘れてしまいそうになる。
サファイアの中には信じられないというような驚愕が、美遊の中には大きなショックが生まれる。
長田結花を追わねばならないということをすっかり忘れてしまいそうになる。
「兄…さん……?」
そして隣にいたロロも、信じられないといった表情を浮かべて立ち尽くしている。
兄さん。
確かロロ・ランペルージの兄、ルルーシュ・ランペルージ。その名は遠坂凛の名が出る前に呼ばれたためまだ記憶に残っている。
つまり、彼の兄も死んだということだ。
確かロロ・ランペルージの兄、ルルーシュ・ランペルージ。その名は遠坂凛の名が出る前に呼ばれたためまだ記憶に残っている。
つまり、彼の兄も死んだということだ。
(兄……)
「ロロさん、その―――っ?!!」
話しかけている最中、腕に激痛が走った。
混乱の中で左腕に目をやると、いつの間にか何かで抉られたかのような痕がついている。
混乱の中で左腕に目をやると、いつの間にか何かで抉られたかのような痕がついている。
『美遊様!大丈夫ですか?!』
「これは…っ、ロロ……さん…?」
「あ…、う…、くっ!!」
「ロロさん!!」
「これは…っ、ロロ……さん…?」
「あ…、う…、くっ!!」
「ロロさん!!」
状況も掴めぬまま、美遊の前から走り去るロロ。
追おうとするが腕から激しい痛みが伝わりその場に蹲ってしまう。
追おうとするが腕から激しい痛みが伝わりその場に蹲ってしまう。
「サファイア…、今のは…」
『分かりません。話しかけられた美遊様だけが急に止まってロロ様が銃を向けてきたのです。
私が気付いて気をそらしたので大事こそは避けられましたが…、申し訳ありません』
「ううん、いいの。これは私のミスだから…、っ」
『美遊様?!』
『分かりません。話しかけられた美遊様だけが急に止まってロロ様が銃を向けてきたのです。
私が気付いて気をそらしたので大事こそは避けられましたが…、申し訳ありません』
「ううん、いいの。これは私のミスだから…、っ」
『美遊様?!』
兄さんが、死んだ。
そんなの嘘だ。
兄さんは強いんだ。これまでどんな危機も乗り越えてきたんだ。
そう、僕の自慢の兄なんだ。こんなところで名前を呼ばれるはずはないんだ。
そんなの嘘だ。
兄さんは強いんだ。これまでどんな危機も乗り越えてきたんだ。
そう、僕の自慢の兄なんだ。こんなところで名前を呼ばれるはずはないんだ。
自分の中にどれだけそう言い聞かせてもロロの中から不安は、動揺は消えなかった。
そう、兄さんが死ぬはずはないんだ。あのナナリーやユーフェミアですら生きているのに。
でも、もしも本当だったら?
もし、あの時ナナリーに構わず兄さんを探すのを優先していたら、兄さんと合流できたかもしれない。
ナナリー。
どうしてあいつはまだ生きているんだろう?
でも、もしも本当だったら?
もし、あの時ナナリーに構わず兄さんを探すのを優先していたら、兄さんと合流できたかもしれない。
ナナリー。
どうしてあいつはまだ生きているんだろう?
「ロロさん」
そんなことを考えていると、ふと声が聞こえた。
それは美遊の発した声。だが今の不安定な状態にあるロロには、
それは美遊の発した声。だが今の不安定な状態にあるロロには、
(―ナナリー!!)
それが憎きナナリーの声に聞こえてしまった。
そこからの反応は早かった。
ギアスを発動させ、確実に殺すために銃を向け、
そこからの反応は早かった。
ギアスを発動させ、確実に殺すために銃を向け、
『美遊様!!』
発砲したところであの喋るステッキの体当たりにより妨害されてしまった。
ロロにとって幸か不幸か、狙いであった心臓を反れた銃弾は美遊の左腕を掠めていた。
しかし44マグナム弾という大口径の弾は掠めただけでも美遊の細腕の肉を大きく抉り取っていった。
それと同時にギアスが解除され、ロロ自身も我に返った。
ロロにとって幸か不幸か、狙いであった心臓を反れた銃弾は美遊の左腕を掠めていた。
しかし44マグナム弾という大口径の弾は掠めただけでも美遊の細腕の肉を大きく抉り取っていった。
それと同時にギアスが解除され、ロロ自身も我に返った。
そして呼び止める美遊の声を無視して走り出して今に至る。
(兄さん…、兄さん……!!)
今のロロにはあのナナリーの声色を感じる美遊と一緒にいることはできなかった。
それがあいつのことを、まだ生きているナナリーのことをどうしても意識してしまう。
それがあいつのことを、まだ生きているナナリーのことをどうしても意識してしまう。
普段のロロであれば美遊を殺すこともあるいは選択できたかもしれない。
だがそんな発想もできないほどに取り乱していた。それは美遊、そしてもしかしたらロロにとっても幸運だったのかもしれない。
だがそんな発想もできないほどに取り乱していた。それは美遊、そしてもしかしたらロロにとっても幸運だったのかもしれない。
ただ、何かに我慢できなくなってしまった。
何かとは何だ?分からないまま、自分の心も定まらないまま、ロロは走り続ける。
何かとは何だ?分からないまま、自分の心も定まらないまま、ロロは走り続ける。
兄の死を受け入れたくないという思いを抱いて。
◇
「くっ…!」
腕にはできる限りの治癒魔術をかけたにも関わらず、成果は芳しくない。
出血量こそ抑えられたものの未だに少しずつ血は流れ、痛みも美遊から体力を奪っていた。
出血量こそ抑えられたものの未だに少しずつ血は流れ、痛みも美遊から体力を奪っていた。
『美遊様、このまま行かれては危険です』
「分かってる。でもロロさんと長田さんが…」
「分かってる。でもロロさんと長田さんが…」
失念していた。彼が失ったのは自身の兄なのだ。
そんな状態にあるロロへの気配りを疎かにしてしまった。
そんな状態にあるロロへの気配りを疎かにしてしまった。
遠坂凛が死んだという事実は、表にこそ出していないが美遊に大きなショックを与えていた。
ともすれば彼女の存在に関わるほどの。
それは彼女に無意識の内に強い罪悪感と責任感を植えつけていたのだった。
己の状態すら見えなくなってしまうほどの。
ともすれば彼女の存在に関わるほどの。
それは彼女に無意識の内に強い罪悪感と責任感を植えつけていたのだった。
己の状態すら見えなくなってしまうほどの。
そんな状態で動き続けていれば体力を普段以上に消耗してしまうのも当然だろう。
歩く足取りはふらついている。どころか視線すらもはっきりしているようには見えない。
歩く足取りはふらついている。どころか視線すらもはっきりしているようには見えない。
熱を持つ腕、少しずつではあるが流れ出る血液、そして削られる体力。
『もうこれ以上はいけません…!せめて血が収まるまでは――』
「大丈夫だから。私の体のことは私がよく分かってるから」
『…。美遊様、申し訳ありません』
「え、サファ――――」
「大丈夫だから。私の体のことは私がよく分かってるから」
『…。美遊様、申し訳ありません』
「え、サファ――――」
言いかけた言葉を最後に、美遊の意識は落ちていった。
催眠音波を流し、美遊の意識を奪ったサファイア。
そもそもこうなってしまったのも自分の責任だとも、サファイアは考えていた。
そもそもこうなってしまったのも自分の責任だとも、サファイアは考えていた。
バーサーカーの戦いのダメージもさほど時間を掛けずに治癒することができたはず。にもかかわらずこの傷の治りは遅い。
それはなぜか。
バーサーカーの戦いの際は、サファイアが付きっきりの状態で、美遊も十分な警戒を払い戦っていた。
しかしロロの放った銃弾はロロ本人ですら予測しえなかったもので、ギアスの効果も合わさり完全な不意打ちであった。
さらにその時対応すべきだったサファイアはロロの暴挙を止めるため美遊の手から離れてしまっていた。
結果、バーサーカー戦のように障壁や保護を張ることができず、もろに銃弾を受けてしまったのだ。
それはなぜか。
バーサーカーの戦いの際は、サファイアが付きっきりの状態で、美遊も十分な警戒を払い戦っていた。
しかしロロの放った銃弾はロロ本人ですら予測しえなかったもので、ギアスの効果も合わさり完全な不意打ちであった。
さらにその時対応すべきだったサファイアはロロの暴挙を止めるため美遊の手から離れてしまっていた。
結果、バーサーカー戦のように障壁や保護を張ることができず、もろに銃弾を受けてしまったのだ。
あの時美遊様の手から離れさえしなければ、あるいはもっと早く対応できていれば――
そう考え始めてしまいそうになるのを抑えて全魔力を治癒に注ぐが、治癒の進行は普段と比べて格段に遅かった。
そう考え始めてしまいそうになるのを抑えて全魔力を治癒に注ぐが、治癒の進行は普段と比べて格段に遅かった。
(これは…どうしたら―――)
その時だった。
近くに人の気配を察知したのは。
近くに人の気配を察知したのは。
◇
北崎、Lと別れて鹿目邸へと向かう草加雅人と鹿目まどか。
まどかが迷いの中発するべきかと考えた言葉は、ついに発せられることはなかった。
それは移動の最中、空を飛ぶ灰色の怪人を見たことがきっかけだった。
それは移動の最中、空を飛ぶ灰色の怪人を見たことがきっかけだった。
「草加さん、あれってやっぱり…」
「ああ、オルフェノクだ。
まどかちゃん、君は先に家に向かっていてくれ。あれを放ってはおけない」
「えっと…、分かりました。気をつけてください」
「ああ、オルフェノクだ。
まどかちゃん、君は先に家に向かっていてくれ。あれを放ってはおけない」
「えっと…、分かりました。気をつけてください」
草加さんはオルフェノクを放っておけないと言っていた。それはきっと正しいのだろう。
最初に会ったあの馬のようなオルフェノク。そして先ほどのあの北崎という男。
共に恐ろしい存在だった。
まどかを襲った方はもちろんのこと、一時的に協力していた彼もまるで戦いを楽しんでいるかのようだった。彼が自分を見ていたあの目は人に向けるものではなかった。
正直まどかとしてはあの時草加の近くにいるべきではないかと思っていた。
だが、馬のオルフェノクに襲われたときの彼の出していた、自分へ向けた殺気。それはまどかに恐怖を植え付けていた。
今まで魔女に殺されかけたことこそあれ、あそこまで明確に殺意を向けられたことなどなかった。それも憎しみからくるものなど。
だから、怖くて逃げ出してしまったのだ。オルフェノクという存在から。
最初に会ったあの馬のようなオルフェノク。そして先ほどのあの北崎という男。
共に恐ろしい存在だった。
まどかを襲った方はもちろんのこと、一時的に協力していた彼もまるで戦いを楽しんでいるかのようだった。彼が自分を見ていたあの目は人に向けるものではなかった。
正直まどかとしてはあの時草加の近くにいるべきではないかと思っていた。
だが、馬のオルフェノクに襲われたときの彼の出していた、自分へ向けた殺気。それはまどかに恐怖を植え付けていた。
今まで魔女に殺されかけたことこそあれ、あそこまで明確に殺意を向けられたことなどなかった。それも憎しみからくるものなど。
だから、怖くて逃げ出してしまったのだ。オルフェノクという存在から。
(結局私って足手まといなのかな…?)
さやかちゃんやほむらちゃん、マミさんや杏子ちゃん、草加さん達のような力もなければ。
ユーフェミアさんやLさん、夜神さんのように自分を貫ける確固たる意志もない。
そもそもどうしてこんな何のとりえもない私なんかがこんなところにいるのか。それすらも分からない。
ユーフェミアさんやLさん、夜神さんのように自分を貫ける確固たる意志もない。
そもそもどうしてこんな何のとりえもない私なんかがこんなところにいるのか。それすらも分からない。
『君は途方もない魔法少女になるよ。恐らくこの世界で最強の』
『まどか。いつか君は、最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう』
『まどか。いつか君は、最高の魔法少女になり、そして最悪の魔女になるだろう』
ふと思い出すのは、キュゥべえの言葉。
もし、あの時契約していれば、皆の力になれたのだろうか?
最高の魔法少女。
あの時は魔法少女の真実を知ってしまった直後であり何も感じなかった。
だが、今のまどかにはとても甘美なものに思えた。思えてしまった。
もし、あの時契約していれば、皆の力になれたのだろうか?
最高の魔法少女。
あの時は魔法少女の真実を知ってしまった直後であり何も感じなかった。
だが、今のまどかにはとても甘美なものに思えた。思えてしまった。
そんなことを考えつつ家までもうすぐというところに着いたあたりのこと。
『すみません、そこの方!』
「え?」
「え?」
何者かの声がまどかの耳に届く。
『お願いします!力を貸してください!』
「え、どこ?誰?」
「え、どこ?誰?」
周囲を見回しても人の姿は見えない。実際まどかの視界には人の姿はなかった。
「え?何これ…」
まどかに話しかけていたのは輪っかに羽が生えて真ん中の星が印象的な何か。
何かとしか言えなかった。あえて言うなら魔女の使い魔に見えなくもない。
何かとしか言えなかった。あえて言うなら魔女の使い魔に見えなくもない。
「つ…使い魔、ならどこかに魔女が…!」
『驚かせてしまって申し訳ありません、お願いします!美遊様を…!』
「え?」
『驚かせてしまって申し訳ありません、お願いします!美遊様を…!』
「え?」
謎の物体に案内された場所、そこはまどかの家からさほど離れている所ではなかった。
そしてそこに倒れていたのは小学生ほどの少女。
そしてそこに倒れていたのは小学生ほどの少女。
「これは…、大変!早く手当てしなきゃ!」
腕にできた大きな怪我。そしてそこから流れる血がただ事でないことはまどかにも分かる。
『お願いします!美遊様を…!』
「う、うん!とにかく家に運ぶから!」
「う、うん!とにかく家に運ぶから!」
自分にできることがあるかは分からない。もしかしたらただの足手まといなのかもしれない。
それでも、目の前で倒れる少女を助けることくらいはできるかもしれない。
それでも、目の前で倒れる少女を助けることくらいはできるかもしれない。
そんな思いを胸に、自身の家を模した建物の扉を開いた。
◇
草加雅人。
彼はオルフェノクを憎む存在と考えている。それが例え共に戦う仲間であろうと、かつての同級生であろうと。
そして、育ての親であろうとその心自体は変わらない。
彼はオルフェノクを憎む存在と考えている。それが例え共に戦う仲間であろうと、かつての同級生であろうと。
そして、育ての親であろうとその心自体は変わらない。
だから偶然見つけた長田結花に対しても、一切の情けも加えることはなかった。
「うぁっ!」
クレインオルフェノクの顔面にファイズの拳が突き刺さる。
吹き飛ばされる結花をさらに蹴り付ける。
吹き飛ばされる結花をさらに蹴り付ける。
もうかなりの攻撃を加えていたが、彼女からの反撃は一切なかった。
どうやらファイズの中にいるのが乾巧だと思っているようだ。
だからあえて声を発することなく、乾のスタイルの真似をして攻撃を加えていたのだ。
どうやらファイズの中にいるのが乾巧だと思っているようだ。
だからあえて声を発することなく、乾のスタイルの真似をして攻撃を加えていたのだ。
(全く、どうしようもない奴だな。君は)
北崎のこともあり、今の草加はかなり機嫌が悪かった。
そこで現れた長田結花は彼にとっては格好の獲物だった。忌み嫌う化物である彼女の存在は。
そこで現れた長田結花は彼にとっては格好の獲物だった。忌み嫌う化物である彼女の存在は。
だが、それを指しおいても、彼はこの女のことは気にいらなかった。
化物でありながらまるで弱者であるかのように振る舞い、木場や乾に守られて過ごすこのオルフェノクが。
こういうやつに限って木場の知らないところで人間を襲っているのではないかとさえ思えてくる。
化物でありながらまるで弱者であるかのように振る舞い、木場や乾に守られて過ごすこのオルフェノクが。
こういうやつに限って木場の知らないところで人間を襲っているのではないかとさえ思えてくる。
(お前ら化物がそうやって弱い者みたいなふりして、気持ち悪いんだよな)
さらに気にいらないのは彼女が自分の攻撃を受け入れているということだ。
まるで自分を裁かれたがっているかのように、こちらの攻撃を受け入れている。
あの時の乾巧のようだった。
何があったか知らないが、もう少し抵抗くらいはしてくれないと倒しがいもない。
まるで自分を裁かれたがっているかのように、こちらの攻撃を受け入れている。
あの時の乾巧のようだった。
何があったか知らないが、もう少し抵抗くらいはしてくれないと倒しがいもない。
(そんなに死にたいんだったら、望みどおりにしてやるよ)
蹴り飛ばされた長田結花を見ながら、オルフェノクに止めを刺すための武器を手にとる。
左腰に装着されているツールを右手に取り付け、ファイズフォンのスイッチを押す。
右腕に紅い光が流れ込んだ。
左腰に装着されているツールを右手に取り付け、ファイズフォンのスイッチを押す。
右腕に紅い光が流れ込んだ。
と、その時だった。
「……!」
背後で響く微かな足音。
誰だ、と振り返ったところにいたのは銃を持った一人の少年。
誰だ、と振り返ったところにいたのは銃を持った一人の少年。
声を出すわけにはいかない。出してしまえばお膳立ては台無しだ。
周囲を注視すると、長田結花は逃げようとしているのかそれとも迎え撃とうとしているのかはっきりしない。
だが少なくとも彼女を味方する存在、というわけではないようだ。
周囲を注視すると、長田結花は逃げようとしているのかそれとも迎え撃とうとしているのかはっきりしない。
だが少なくとも彼女を味方する存在、というわけではないようだ。
声を出したくはない。出してしまえばお膳立ては台無しだ。
周囲を注視すると、長田由香は逃げようとしているのかそれとも迎え撃とうとしているのかはっきりしない。
だが少なくとも彼女を味方する存在、というわけではないようだ。
周囲を注視すると、長田由香は逃げようとしているのかそれとも迎え撃とうとしているのかはっきりしない。
だが少なくとも彼女を味方する存在、というわけではないようだ。
(はぁ…、せめてこの化物を見て逃げてくれたら楽なんだが――何!?)
思わず声を出しそうになってしまう。
その少年は確かに離れた場所でこっちを見ていたはずだった。
なのに一息ついた瞬間、目の前でその手に持った銃を放ってきたのだから。
その少年は確かに離れた場所でこっちを見ていたはずだった。
なのに一息ついた瞬間、目の前でその手に持った銃を放ってきたのだから。
もし北崎やファイズアクセルフォームのような高速移動であればそこまで驚きもしなかっただろう。
あるいは何らかの前触れのようなものがあればワープのようなものと判断できただろう。
だが、目の前の少年はいきなり目の前に現れた時には既に銃を構えていたのだ。
あるいは何らかの前触れのようなものがあればワープのようなものと判断できただろう。
だが、目の前の少年はいきなり目の前に現れた時には既に銃を構えていたのだ。
訳の分からぬ現象に思わず後ずさる草加。
幸い変身中だったおかげでさほどのダメージこそなかったものの、もしベルトを盗られることがあれば二重の要素で危ない。だから迂闊に動けない。
幸い変身中だったおかげでさほどのダメージこそなかったものの、もしベルトを盗られることがあれば二重の要素で危ない。だから迂闊に動けない。
(チッ…、どうする…、このガキと長田結花、どうするべきか…)
◆
僕はどうしたらいいんだろう。
兄さんはもういない。僕の全てだった兄さんは、いないんだ。
兄さんはもういない。僕の全てだった兄さんは、いないんだ。
もしかしたら放送が嘘だったかもしれない。そう言い聞かせることもできたかもしれない。
あれさえ見なければ。
あれさえ見なければ。
それは道をがむしゃらに走っている時に見つけてしまった。
平地に不自然に広がった大量の灰。その中に埋まったカチューシャとリボン。
その瞬間、これが誰のものか分かってしまった。
篠崎咲世子。
さっきの放送で名前を呼ばれた一人だった。
彼女の死自体に別段特別な思いというほどのものはない。せいぜい、あああいつは死んだんだな~といった感想程度だ。
しかし、ここで彼女の死を知ったことにはある種重要な意味があった。
あの放送が間違っている可能性はかなり低いということ。ここにある咲世子だった何かのように、ルルーシュ・ランぺルージもどこかで物言わぬ骸と化しているのだろう。
もちろん、放送で流した真実の中に嘘を交えることもできたかもしれない。
しかし、ロロはそうやって自分を誤魔化せるほど心を保てている状態ではなかった。
平地に不自然に広がった大量の灰。その中に埋まったカチューシャとリボン。
その瞬間、これが誰のものか分かってしまった。
篠崎咲世子。
さっきの放送で名前を呼ばれた一人だった。
彼女の死自体に別段特別な思いというほどのものはない。せいぜい、あああいつは死んだんだな~といった感想程度だ。
しかし、ここで彼女の死を知ったことにはある種重要な意味があった。
あの放送が間違っている可能性はかなり低いということ。ここにある咲世子だった何かのように、ルルーシュ・ランぺルージもどこかで物言わぬ骸と化しているのだろう。
もちろん、放送で流した真実の中に嘘を交えることもできたかもしれない。
しかし、ロロはそうやって自分を誤魔化せるほど心を保てている状態ではなかった。
力なく歩いていると、見えてきたのは謎の強化服のようなものを着た誰かが長田結花を殴りつけている光景があった。
もう兄さんもいないのなら、いっそみんな殺してしまうか?そんな投げやりな思いが浮かぶ。
もう兄さんもいないのなら、いっそみんな殺してしまうか?そんな投げやりな思いが浮かぶ。
こっちを認識したことに気付いた瞬間、ロロはギアスを発動させて至近距離から銃を撃った。
しかしその装甲はロロの銃弾を弾き傷一つ残していない。
ああ、僕じゃこいつを殺せないのか、と弱気な考えも浮かんでくる。
しかしその装甲はロロの銃弾を弾き傷一つ残していない。
ああ、僕じゃこいつを殺せないのか、と弱気な考えも浮かんでくる。
後ずさる彼(?)を見ながら力のない目は周囲を見回す。
(兄さん、僕はどうすればいいの?)
【D-6/鹿目邸/一日目 午前】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:擦り傷が少々
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~3(確認済み)
[思考・状況]
1:目の前の少女を助ける
2:さやかちゃん、マミさん、ほむらちゃんと再会したい。特にさやかちゃんと。でも…
3:草加さんが追ってくるのを待つ
4:乾巧って人は…怖い人らしい
5:オルフェノクが怖い…
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆~ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
[状態]:擦り傷が少々
[装備]:見滝原中学校指定制服
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~3(確認済み)
[思考・状況]
1:目の前の少女を助ける
2:さやかちゃん、マミさん、ほむらちゃんと再会したい。特にさやかちゃんと。でも…
3:草加さんが追ってくるのを待つ
4:乾巧って人は…怖い人らしい
5:オルフェノクが怖い…
[備考]
※最終ループ時間軸における、杏子自爆~ワルプルギスの夜出現の間からの参戦
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
【美遊・エーデルフェルト@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ】
[状態]:ダメージ(小)、左腕に大きな傷、意識無し
[装備]:カレイドステッキサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、支給品0~1(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す
1:気絶中
2:結花、ロロを追いかける
3:知り合いを探す(ロロの知り合いも並行して探す)
3:結花の件が片付いたら、橋を渡って東部の市街地を目指す(衛宮邸にも寄ってみる)
4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える
5:ナナリー・ランぺルージには要警戒。ユーフェミア・リ・ブリタニアも、日本人を殺す可能性があるので警戒。
6:『オルフェノク』には気をつける
7:凛さん…
[状態]:ダメージ(小)、左腕に大きな傷、意識無し
[装備]:カレイドステッキサファイア@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ
[道具]:基本支給品一式、クラスカード(アサシン)@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ、支給品0~1(確認済み)、タケシの弁当
[思考・状況]
基本:イリヤを探す
1:気絶中
2:結花、ロロを追いかける
3:知り合いを探す(ロロの知り合いも並行して探す)
3:結花の件が片付いたら、橋を渡って東部の市街地を目指す(衛宮邸にも寄ってみる)
4:真理の知り合いと出会えたら、真理のことを伝える
5:ナナリー・ランぺルージには要警戒。ユーフェミア・リ・ブリタニアも、日本人を殺す可能性があるので警戒。
6:『オルフェノク』には気をつける
7:凛さん…
[備考]
※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません
※参戦時期はツヴァイ!の特別編以降
※カレイドステッキサファイアはマスター登録orゲスト登録した相手と10m以上離れられません
【D-5/一日目 午前】
【草加雅人@仮面ライダー555】
[状態]:負傷(中)、疲労(中)
[装備]:ファイズギア@仮面ライダー555(変身中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~1(確認済み)
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:真理を探す。ついでにまどかに有る程度、協力してやっても良い
2:オルフェノクは優先的に殲滅する。そのためにLと組む
3:長田結花は殺しておく。目の前の少年に対処
4:鹿目家に向かった後、流星塾に向かう。その後、Lとの約束のため病院か遊園地へ
5:佐倉杏子はいずれ抹殺する
6:地図の『○○家』と関係あるだろう参加者とは、できれば会っておきたい
7:可能なら長田結花には俺(ファイズ)を乾巧と思わせておくのも面白いかもしれない
[備考]
※参戦時期は北崎が敵と知った直後~木場の社長就任前です
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
[状態]:負傷(中)、疲労(中)
[装備]:ファイズギア@仮面ライダー555(変身中)
[道具]:基本支給品、不明ランダム支給品0~1(確認済み)
[思考・状況]
基本:園田真理の保護を最優先。儀式からの脱出
1:真理を探す。ついでにまどかに有る程度、協力してやっても良い
2:オルフェノクは優先的に殲滅する。そのためにLと組む
3:長田結花は殺しておく。目の前の少年に対処
4:鹿目家に向かった後、流星塾に向かう。その後、Lとの約束のため病院か遊園地へ
5:佐倉杏子はいずれ抹殺する
6:地図の『○○家』と関係あるだろう参加者とは、できれば会っておきたい
7:可能なら長田結花には俺(ファイズ)を乾巧と思わせておくのも面白いかもしれない
[備考]
※参戦時期は北崎が敵と知った直後~木場の社長就任前です
※自分の知り合いが違う人物である可能性を聞きました
【長田結花@仮面ライダー555】
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、怪人態、仮面ライダー(間桐桜)に対する重度の恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考・状況]
基本:???
1:仮面ライダー(間桐桜)から逃げる
2:仮面ライダー(間桐桜)に言われた通り、“悪い人”を殺す?
3:木場さんの為に、木場さんを傷つける『人間』を殺す?
4:乾さんに倒されるなら―――
[備考]
※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です
※目の前にいるファイズが乾巧だと思っています
[状態]:ダメージ(大)、疲労(大)、怪人態、仮面ライダー(間桐桜)に対する重度の恐怖
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、不明支給品1~3
[思考・状況]
基本:???
1:仮面ライダー(間桐桜)から逃げる
2:仮面ライダー(間桐桜)に言われた通り、“悪い人”を殺す?
3:木場さんの為に、木場さんを傷つける『人間』を殺す?
4:乾さんに倒されるなら―――
[備考]
※参戦時期は第42話冒頭(警官を吹き飛ばして走り去った後)です
※目の前にいるファイズが乾巧だと思っています
【ロロ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[状態]:ギアス使用による消耗(中)、精神的に疲弊
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:????
1:僕はどうしたらいいんだろう?
?:ロロ・ヴィ・ブリタニアを陥れる方法を考える?
?:ナナリーの悪評を振りまく?
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています
使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます
[状態]:ギアス使用による消耗(中)、精神的に疲弊
[装備]:デザートイーグル@現実、流体サクラダイト@コードギアス 反逆のルルーシュ(残り2個)
[道具]:基本支給品、デザートイーグルの弾、やけどなおし2個@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:????
1:僕はどうしたらいいんだろう?
?:ロロ・ヴィ・ブリタニアを陥れる方法を考える?
?:ナナリーの悪評を振りまく?
[備考]
※参戦時期は、18話の政庁突入前になります
※相手の体感時間を止めるギアスには制限がかかっています
使用した場合、肉体に通常時よりも大きな負荷がかかる様になっており、その度合いは停止させる時間・範囲によって変わってきます
084:悪意と悪夢―聖杯と魔女 | 投下順に読む | 086:Cross point |
時系列順に読む | ||
080:憤怒 | 草加雅人 | 094:暴君主権 |
鹿目まどか | 092:招かれたもの達 | |
062:幻影と罰 | 美遊・エーデルフェルト | |
ロロ・ランペルージ | 094:暴君主権 | |
長田結花 |