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閃光に包まれ目を閉じた一同。
正体が分からぬまま、あるいは死を覚悟したかもしれない。

やがて閃光が収まっていく中で、小さく目を開く。
黄昏の空を思わせる色をした景色に、遺跡のような場所が存在していた。

その風景の中から、巨大な影がこちらを見ていた。

「ギラティナ…」
「ギォォォォッ」

一声咆哮を上げるその影、ギラティナ。

その声からは皆に対する感謝が聞こえた。
どうやら暁美ほむらを倒したことでその体が解放されたということだ。

「さっきの光は…」
「…うっ……」
「桜さん!」

状況が掴めない中で、桜が目を覚まし。

「あれ…、カードは…」

まどかの姿は魔法少女ではない、制服姿へと戻っていた。
まどかの使ったクラスカードは周囲を見回してもどこにも見えなくなっている。

空間にいるのはまどか、イリヤ、N、桜。
そしてギラティナやゾロアーク、クローンのポケモン達。
手元を確かめると、ボールをはじめとした所持品は消えていないようで安心する。

「ギシャアアアア」

状況が掴めぬまま困惑する一同の前で、ギラティナが警戒するような声を上げる。

その視線の先を見ると、一人の恰幅のいい男の姿がそこにあった。
どこか威厳も感じるその傍に、4つの黒い影が姿を表す。

Nはその姿がポケモン城でポケモン達の命を奪った黒い騎士達のものであることに気付き、警戒する。

「よい、下がれ」

しかし男はそう指示を出して黒い騎士を下がらせた。
4人の騎士は影となって消えていく。

「我が名はシャルル・ジ・ブリタニア。この殺し合いの儀を取り仕切る者の一人だ」
『あなたが、スザクさんが言っていたアカギの協力者かもしれないという人物ですか』
「そうだ。今は儀式を生き延びたお前達を祝福しにきたのだ。
 喜ぶがよい。ここにいる者たちが、儀式を生き抜いた者の全てだ」
「えっ、全てって…、乾さんは…」
「あれ…、スザクさんがいない…」
「………」

桜が巧を、まどかがスザクを探す。
知っているイリヤは顔を伏せる。

「言ったであろう。ここにいる者が全てだと。
 この先にアカギが待っておる。あとはお前達次第だ」
「あっさり通すんだな。妨害はしないのかい?」
「既に儀式が続けられる状況ではない、マリアンヌも逝った。私だけここにいる意味もないのでな」

そう言ったシャルルの体から光の粒子が漏れ始めた。

「一人となった今ではそろそろ限界のようだ。あとは好きにするがよい」

それだけ言って、シャルル・ジ・ブリタニアの体は消失し。
空間には大きな扉が一つだけ残されていた。

『イリヤさん、皆さん体調が万全ではありません。休息を取って回復してから入った方がいいのではないでしょうか?』
「そうかな…」
「…いや、これ以上戦うことはないんだろう。
 シャルル・ジ・ブリタニアの反応を見るに、彼やアカギが僕たちを殺すことに利点がないみたいだ」

言って扉に手をかけるN。

「だけどもしものことがあった場合は、僕とゾロアークが全力で逃がすさ」

そう言うNも全身傷だらけで、少し足を引きずっているようにも見えた。

イリヤ、まどかに抱えられた桜。
そしてクローンのポケモン達、リザードン・サザンドラ・ポッチャマ・ピンプク。

4人と4匹は扉を開いて門をくぐった。


「…4人か」

二匹の巨竜のポケモンが固まっている中で、その間の虚空を見つめながらアカギは呟いた。

「アカギ…」
「儀式は失敗だな」

名を呼んだところで、こちらを振り向くこともなくアカギは手を翳す。
身構えたN達だったが、次の瞬間空間に割れ目が生じた。

「その歪はお前達の帰るべき世界に繋がっている。
 細かい調整はギラティナに任せればいいだろう。さっさと帰れ」

にべもなくアカギは皆に対して帰れと言っていた。

「ま、待ってよ…。あなたのせいで皆死んだんだよ!
 せめてみんなに謝るとか―――」
「知らん。私は目的のためにお前達を利用した、それだけにすぎん。
 今回は失敗したようだが、次はうまくやってみせるさ」
「次って…」
『あなたは、また同じようなことを繰り返すつもりですか?!』

シャルル・ジ・ブリタニアは消え、キュゥべえも追放された。
協力者はいなくなり、アカギは一人しかいない。
同じようなことができるとは思えなかった。

「次はもっと有用な協力者を探す。それに暁美ほむらの最期のおかげで収穫はあった。
 お前達は生き残ったことで私の望む世界には届かないものだが、あれは確かに暁美ほむらの望みだけであれば叶えうる力だった。
 しかしそれでも世界改変には失敗した。世界を、『神』を殺すには尚も強力な力が必要だということ。
 また一からだ、だが時間がかかろうと必ずたどり着いてみせるさ」
「…っ!ほむらちゃんのことをモノみたいに言わないで!」

淡々と話し続けるアカギの言葉、その中にほむらの名を出されてまどかは激昂する。
イリヤもステッキを構える。

「戦うというのであれば付き合いはするが、しかし今のお前達で戦えるかな?」

巨竜、ディアルガとパルキアの瞳が赤く光り、咆哮を上げる。
その威圧感に皆が気圧されていた。
様子を見ていたギラティナが介入しようと爪を振り上げるも、それを拒絶するかのように張られた障壁が侵入を阻む。

イリヤと桜は傷つき、まどかは戦える人間ではない。
ポケモンも多くがダメージを追っており、伝説のポケモン2匹を相手にする力は残っていない。

「みんな、お願いがあるんだ」

そんな状況を見回して、Nは口を開く。

「君たちは先に帰っていてほしい。
 あとは僕が決着をつける」
「Nさん?」
「アカギも言っている。ここで君たちが戦うメリットはない。
 ただ、それでも僕には戦わなければならない理由がある。これは僕一人でケリをつけたいんだ」

真っ直ぐアカギを見るN。
他の皆にはその背中にどこか強い決意を感じさせていた。

「分かりました。だけどNさん」
「大丈夫だ。僕は絶対に生きて、勝つ」

心配するまどかの言葉に、続く言葉を読むようにNは答えた。

空間を潜っていく3人。おそらくだが、これが最後の会話になると思った。
次いでダメージが大きすぎるクローンのリザードンも先に帰らせた。

他のクローンポケモン達は付き合うと言って聞かなかった。彼らの居場所を作ると言った自分が死んでは元も子もないと心配しているのだろう。

「理解に苦しむな。お前一人残って何がしたい」
「まだ終わらせていないことがある。そこにいる2匹、ディアルガとパルキアを解放しなければいけないからね」
「………」

アカギが初めてこちらを振り向いた。
鋭い眼光の奥の瞳は、どこか虚無を感じさせるように感情がなかった。

「黙って帰っていればいいものを、くだらん感情に惑わされて死に急ぐか」

ゾロアークとリザードンがボールから飛び出す。
サザンドラとポッチャマ、ピンプクが前に出る。

だが相手にはならないだろう。それだけの力が目の前の二匹にはあった。

「それでも、諦めたくはないんだ。僕の信じる、理想を、真実を」
アカギの瞳を真っ直ぐに見返しながらそう告げるN。

その時だった。

「キシャアアアアア!!」

皆を送り届ける役割を負ったはずのギラティナが空間に姿を現した。

「ギラティナ…?どうして」

この空間に干渉することはできない。戻ってきても何もすることはない。困惑するN。
ギラティナの手元から二つの光が現れ、Nの手元へと収まる。

「これは…」

干渉できないはずなのにそれはNの元へと届けられた。
それを確認すると同時に、ギラティナの尻尾が空間を割る。

二つのモンスターボール。
一見すれば何の変哲もないボールだが、片方は自分には分かる。これに入っていたポケモンが。
だとすればもう片方のボールは。

「そうか。君は、僕を探してくれていたんだね!」

Nの心に歓喜が溢れ出す。
巨大な咆哮と共に、二つの空間の割れ目から巨大な影が姿を表す。

黒い体と紅い瞳を持った竜。
白い体と蒼い瞳を持った竜。

ゼクロムとレシラム。
一方はNのトモダチで、もう一方はあのトレーナーを選んだ伝説のドラゴンポケモン。


二匹が空間の障壁に阻まれることなくディアルガ、パルキアの前に足をつける。
同時にギラティナは本来の自分の役割を果たすために飛び去っていった。

アカギの顔が不快そうに歪んだ。


「決めよう。アカギ、君の持つ願いと、僕の持つ心、そのどちらが強いか」

ディアルガ、パルキアの牙、爪が振るわれ。
それをレシラム、ゼクロムが受け止める。


最後の戦いが、ここに始まった。




【間桐桜@Fate/stay night 生還】
【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ 生還】
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ 生還】


176:時間よ止まれ/時間は止まらない 投下順に読む 178:そこに空があるから
時系列順に読む
176:時間よ止まれ/時間は止まらない 鹿目まどか 182:続く・ツナガル・円環の中で
暁美ほむら GAME OVER
間桐桜 180:あなたのいない、春をゆく
175:閃光のマリアンヌ イリヤスフィール・フォン・アインツベルン 181:Over Kaleidscope
枢木スザク GAME OVER
173:ポケットの中の戦争(前) N 178:そこに空があるから
175:閃光のマリアンヌ マリアンヌ・ヴィ・ブリタニア GAME OVER
160:第四回定時放送 シャルル・ジ・ブリタニア
174:シンセカイ アカギ 178:そこに空があるから

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