閃光の真実と深淵の影 ◆Z9iNYeY9a2
「ねえほむら、何で今遊園地に寄る必要があるの?」
「さっきはあの村上の不意打ちで逃げるのが精一杯だったから、一度落ち着ける場所でこれの状態を確認しておきたいのよ」
「さっきはあの村上の不意打ちで逃げるのが精一杯だったから、一度落ち着ける場所でこれの状態を確認しておきたいのよ」
遊園地。
C-4に位置する広めの土地を占領した施設。
6時間ほど前だったかに一度は来たことがある場所だったがまたここに寄ることになるとは思わなかった。
C-4に位置する広めの土地を占領した施設。
6時間ほど前だったかに一度は来たことがある場所だったがまたここに寄ることになるとは思わなかった。
ほむらの探す鹿目まどかの捜索を優先すべきなのではないかと思っていたが、ほむら自身がここに寄りたいと申し出たことから付き合うことにしていた。
確かに先の村上の触手を受けたほむらには何かしら身体的な影響は与えられていそうではあった。休憩も必要だろう。
確かに先の村上の触手を受けたほむらには何かしら身体的な影響は与えられていそうではあった。休憩も必要だろう。
ちなみにほむらが確かめておきたい、と言ったのは村上から貰った銃器だ。
あの男の自信からして手を加えているとは思えないが念には念を入れる必要はある、とはほむら談だ。
あの男の自信からして手を加えているとは思えないが念には念を入れる必要はある、とはほむら談だ。
「どうせ暇でしょ、その辺ぶらついてきてていいわよ」
「何勝手に人を暇って決めつけてるのよ?」
「あなた私が銃を整備するのにそんなに興味あるの?」
「いや、別に」
「正直言うとね、この作業って割と慎重にやらなきゃいけないのよね。
だから気を散らせたくはないの。その子と一緒に少し出ててくれないかしら」
「なら最初からそういえばいいのに」
「30分もかからないわ。すぐ戻ってくるから」
「何勝手に人を暇って決めつけてるのよ?」
「あなた私が銃を整備するのにそんなに興味あるの?」
「いや、別に」
「正直言うとね、この作業って割と慎重にやらなきゃいけないのよね。
だから気を散らせたくはないの。その子と一緒に少し出ててくれないかしら」
「なら最初からそういえばいいのに」
「30分もかからないわ。すぐ戻ってくるから」
そう言って建物の中の一室に入っていったほむら。
アリスはポッチャマと黒猫を連れて周囲を回ろうと2匹に声をかける。
アリスはポッチャマと黒猫を連れて周囲を回ろうと2匹に声をかける。
「ポチャ!」
「…あれ?」
「…あれ?」
しかしポッチャマの返事はあったものの、黒猫の気配が消えていた。
周囲を見回すが、猫の姿はどこにも見えない。
周囲を見回すが、猫の姿はどこにも見えない。
ポッチャマならばある程度のコミュニケーションも可能で言うことも認識してくれているようだが、猫にそこまでの知恵があるとは思えない。
早く探しておかないといざ出発する時に見つからないということになれば置いていくことになってしまう。
早く探しておかないといざ出発する時に見つからないということになれば置いていくことになってしまう。
「あーもう、結局仕事できてるじゃないの。
ポッチャマ、向こう側を見てきて。私はあっちを探すから」
「ポチャ!」
ポッチャマ、向こう側を見てきて。私はあっちを探すから」
「ポチャ!」
ビシッとポーズを決めて走りだすポッチャマ。
それを見送った後、アリスも遊園地の中を走り始めた。
それを見送った後、アリスも遊園地の中を走り始めた。
遊園地自体はそう広くはない。回るのもそう時間はかからないはず。
しかし動く猫を見つけられるかとはまた別だろう。
ほむらの休憩が終わるまでにはどうにか見つけなければ。
しかし動く猫を見つけられるかとはまた別だろう。
ほむらの休憩が終わるまでにはどうにか見つけなければ。
若干焦りつつもアリスは猫を探して走り始めた。
◇
その頃。
遊園地内の一室。
関係者以外立ち入り禁止、と書かれた場所。
遊園地内の一室。
関係者以外立ち入り禁止、と書かれた場所。
このような場所にあったら逆に怪しい場所だろうが、ここが遊園地であることを考えれば自然に見えるようになっている。
一般的に考えれば、そこにあるのは遊園地の設備に関わるものだろう。
無論そこには鍵がかかっているはずであり、注意書きの有無に関わらず入れはしないはず。
一般的に考えれば、そこにあるのは遊園地の設備に関わるものだろう。
無論そこには鍵がかかっているはずであり、注意書きの有無に関わらず入れはしないはず。
その場所の扉が静かに開き。
何者かが室内に入っていく。
何者かが室内に入っていく。
暗い闇の中、機械音のみが規則的に音を刻む空間の中で。
「…これは……」
その者は何かに気付いたかのように呟き、そして静かに室内を後にした。
◇
「はぁ…はぁ…、ねえ、猫は見つかった?」
「ポチャ…」
「ポチャ…」
息を若干切らせながらも聞くアリスと、座り込みながら首を横に振るポッチャマ。
あれから数十分。園内を探して駆け回ったものの、結局猫は見つけることができなかった。
あれから数十分。園内を探して駆け回ったものの、結局猫は見つけることができなかった。
そこまで広い場所ではない。入り組んだような場所もないと思うしあっても入るとは思えない。
では、どこに行ったというのか。
では、どこに行ったというのか。
このまま見つけることができずに出発するようでは、ほむらに煽られてしまう。
「『たった数十分程度の間に猫1匹の面倒を見ることもできないのかしら』とか、絶対言ってきそうなのが…」
まあそう言われてもならアンタはしっかり目を離さずに見ていることができるのかと言い返して泥沼になりそうだが。
……いや、ほむらのことだ。沼にはならず短期決戦の泥合戦で終わりだろうが。
それもほむらが負けそうになって強引に打ち切り、しばらく不機嫌なままの状態が続くとか。
……いや、ほむらのことだ。沼にはならず短期決戦の泥合戦で終わりだろうが。
それもほむらが負けそうになって強引に打ち切り、しばらく不機嫌なままの状態が続くとか。
「…まあ考えても仕方ないか」
ほむらが鹿目まどか探しを優先するか、それともそっちを置いてまで猫を探すか。
どっちにしろ迷惑をかけてしまうことには変わりない。
どっちにしろ迷惑をかけてしまうことには変わりない。
僅かに後ろめたい思いを持ったまま、ほむらが出てくるのを待つアリス。
「おまたせ」
と、アリスの待っていた背後の扉から現れたほむら。
猫の件をどう説明したものか、と考えながら振り返ったアリス。
猫の件をどう説明したものか、と考えながら振り返ったアリス。
「………」
「どうかしたのかしら?」
「どうかしたのかしら?」
その手に抱きかかえられたのは件の黒猫。
いなくなって探し回ったこっちのことは素知らぬ顔で、ほむらに連れられている。
いなくなって探し回ったこっちのことは素知らぬ顔で、ほむらに連れられている。
「…………」
「ちゃんと面倒くらい見ておきなさい」
「……ねえ、その猫こっちに貸して」
「はい」
「ちゃんと面倒くらい見ておきなさい」
「……ねえ、その猫こっちに貸して」
「はい」
ほむらは猫を地面へと下ろす。
猫はこちらへとトテトテと歩いて迫ってくる。
足元に擦り寄ってきた猫を抱きかかえたアリスは、その額に小さくデコピンを放った。
猫はこちらへとトテトテと歩いて迫ってくる。
足元に擦り寄ってきた猫を抱きかかえたアリスは、その額に小さくデコピンを放った。
「ニャン!」
悲鳴のような鳴き声を上げる猫。
そんなアリスを、ほむらは咎めるでもなく静かに見つめていた。
そんなアリスを、ほむらは咎めるでもなく静かに見つめていた。
「まあ、ともあれ見つかって良かったわ。
体の調子は大丈夫なの?」
「ええ。銃には何の問題も無かったわ。
あのオルフェノクもそこまで卑劣ではなかった、ということね」
「…ああ、そう。
ところでこの猫、ずっとほむらと一緒にいたの?」
「銃の整備が一通り終わって少し試し撃ちしようと思ったところで入ってきたわ。
手綱くらいつけておいてくれないと困るわよ」
「…はいはい」
体の調子は大丈夫なの?」
「ええ。銃には何の問題も無かったわ。
あのオルフェノクもそこまで卑劣ではなかった、ということね」
「…ああ、そう。
ところでこの猫、ずっとほむらと一緒にいたの?」
「銃の整備が一通り終わって少し試し撃ちしようと思ったところで入ってきたわ。
手綱くらいつけておいてくれないと困るわよ」
「…はいはい」
◇
そうしてサイドバッシャーに乗ったほむら。
しかし彼女はアリスに対して嘘をついていることがあった。
しかし彼女はアリスに対して嘘をついていることがあった。
この遊園地に寄ったことには理由があったこと。
そして、この猫はアリスの元を離れてどこに行ったのかを知っているということ。
そして、この猫はアリスの元を離れてどこに行ったのかを知っているということ。
(インキュベーターは私の入ったあの建物の、さらに奥からやってきた。
気になってそこの様子を見に行ったけど、そこには何もなかった)
気になってそこの様子を見に行ったけど、そこには何もなかった)
銃の整備を終えたほむらの前に現れた、インキュベーターの擬態した猫。
その向かってきた方向にあったのは遊園地の管制室と思わしき部屋。
多くの機材が並んだその空間には、しかし何の変哲があるようにも見えなかった。
その向かってきた方向にあったのは遊園地の管制室と思わしき部屋。
多くの機材が並んだその空間には、しかし何の変哲があるようにも見えなかった。
そして周囲を探る自分の姿を、あいつは咎めることもなく静かに眺めていた。
絶対にそこにあるはずの何かを見つけることはできないという自信の現れか、それとも本当に何もないというのか。
いや、何もないということはまずないだろう。
絶対にそこにあるはずの何かを見つけることはできないという自信の現れか、それとも本当に何もないというのか。
いや、何もないということはまずないだろう。
(…例え何かあったのだとしても、今の私にはどうすることもできない)
最終的に数分粘ってみた後、アリスの元に出てきたのだ。
(今考えるのは止めましょう。その前に、この胸を焼き尽くすような不快な感情の元を絶たないと)
銃器の整備などというのは建前だ。本来なら一刻も早く美国織莉子の元に向かいたかった。
それを妨げたのがキュゥべえだ。
移動を開始した彼女の詳細な場所が知りたいなら、少しの時間遊園地に立ち寄ってくれなどと言ってきた。
苛立つ心を抑えつけながら、逆にあいつの手の内を知るためにも、と取引に応じた。
それを妨げたのがキュゥべえだ。
移動を開始した彼女の詳細な場所が知りたいなら、少しの時間遊園地に立ち寄ってくれなどと言ってきた。
苛立つ心を抑えつけながら、逆にあいつの手の内を知るためにも、と取引に応じた。
時間を無駄にした感は否めないが、それでも全く無駄になったというわけではない。
あの遊園地には何かがある。そして、それには自分達には気付けない何かしらの細工が施されている。
収穫としては低いが、この先どこかで役立つかもしれない。
あの遊園地には何かがある。そして、それには自分達には気付けない何かしらの細工が施されている。
収穫としては低いが、この先どこかで役立つかもしれない。
(そんなすました顔でいられるのも今のうちだけよ、インキュベーター。
美国織莉子を殺したら、覚悟していなさい)
美国織莉子を殺したら、覚悟していなさい)
無表情の奥に激情を隠したまま、ほむらはサイドバッシャーを走らせた。
【C-5/遊園地付近/一日目 午後】
【暁美ほむら@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ソウルジェムの濁り(5%) 、疲労(中) 、不快感
[服装]:見滝原中学の制服
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、グロック19(14発)@現実、(盾内に収納)、ニューナンブM60@DEATH NOTE(盾内に収納)、
グロスフスMG42@魔法少女まどか☆マギカ(盾内に収納)、サイドバッシャー(サイドカー半壊、魔力で補強)@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、双眼鏡、あなぬけのヒモ×2@ポケットモンスター(ゲーム)、ドライアイス(残り50%)、 グリーフシード(残り30%使用可)@魔法少女まどか☆マギカ
モンスターボール(サカキのサイドンwith進化の輝石・全快)@ポケットモンスター(ゲーム)、まどかのリボン@魔法少女まどか☆マギカ、はっきんだま@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:アカギに関する情報収集とその力を奪う手段の模索、見つからなければ優勝狙いに。
1:鹿目邸へと向かい、おそらくいるであろう美国織莉子を抹殺する
2:全てを欺き、情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
4:ポッチャマを警戒(?)。ミュウツーは保留。ただし利用できるなら利用する
5:サカキ、バーサーカー(仮)は警戒。
6:あるならグリーフシードをもっと探しておきたい
最終目的:“奇跡”を手に入れた上で『自身の世界(これまで辿った全ての時間軸)』に帰還(手段は問わない)し、まどかを救う。
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ソウルジェムはギアスユーザーのギアスにも反応します
※サイドバッシャーの破損部は魔力によって補強されましたが、物理的には壊れています
※アリスは”友達”として信用できる存在と認識しました
[状態]:ソウルジェムの濁り(5%) 、疲労(中) 、不快感
[服装]:見滝原中学の制服
[装備]:盾(砂時計の砂残量:中)、グロック19(14発)@現実、(盾内に収納)、ニューナンブM60@DEATH NOTE(盾内に収納)、
グロスフスMG42@魔法少女まどか☆マギカ(盾内に収納)、サイドバッシャー(サイドカー半壊、魔力で補強)@仮面ライダー555
[道具]:共通支給品一式、双眼鏡、あなぬけのヒモ×2@ポケットモンスター(ゲーム)、ドライアイス(残り50%)、 グリーフシード(残り30%使用可)@魔法少女まどか☆マギカ
モンスターボール(サカキのサイドンwith進化の輝石・全快)@ポケットモンスター(ゲーム)、まどかのリボン@魔法少女まどか☆マギカ、はっきんだま@ポケットモンスター(ゲーム)
[思考・状況]
基本:アカギに関する情報収集とその力を奪う手段の模索、見つからなければ優勝狙いに。
1:鹿目邸へと向かい、おそらくいるであろう美国織莉子を抹殺する
2:全てを欺き、情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:協力者が得られるなら一人でも多く得たい。ただし、自身が「信用できない」と判断した者は除く
4:ポッチャマを警戒(?)。ミュウツーは保留。ただし利用できるなら利用する
5:サカキ、バーサーカー(仮)は警戒。
6:あるならグリーフシードをもっと探しておきたい
最終目的:“奇跡”を手に入れた上で『自身の世界(これまで辿った全ての時間軸)』に帰還(手段は問わない)し、まどかを救う。
[備考]
※参戦時期は第9話・杏子死亡後、ラストに自宅でキュゥべえと会話する前
※『時間停止』で止められる時間は最長でも5秒程度までに制限されています
※ソウルジェムはギアスユーザーのギアスにも反応します
※サイドバッシャーの破損部は魔力によって補強されましたが、物理的には壊れています
※アリスは”友達”として信用できる存在と認識しました
【アリス@コードギアス ナイトメア・オブ・ナナリー】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、ネモと一体化
[服装]:アッシュフォード学園中等部の女子制服、銃は内ポケット
[装備]:グロック19(9+1発)@現実、ポッチャマ@ポケットモンスター(アニメ)、黒猫@???
[道具]:共通支給品一式、
[思考・状況]
基本:脱出手段と仲間を捜す。
1:ナナリーの騎士としてあり続ける
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい
4:ほむらが若干気になっている
最終目的:『儀式』からの脱出、その後可能であるならアカギから願いを叶えるという力を奪ってナナリーを生き返らせる
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※アリスのギアスにかかった制限はネモと同化したことである程度緩和されています。
魔導器『コードギアス』が呼び出せるかどうかは現状不明です。
[状態]:疲労(中)、ダメージ(小)、ネモと一体化
[服装]:アッシュフォード学園中等部の女子制服、銃は内ポケット
[装備]:グロック19(9+1発)@現実、ポッチャマ@ポケットモンスター(アニメ)、黒猫@???
[道具]:共通支給品一式、
[思考・状況]
基本:脱出手段と仲間を捜す。
1:ナナリーの騎士としてあり続ける
2:情報を集める(特にアカギに関する情報を優先)
3:脱出のための協力者が得られるなら一人でも多く得たい
4:ほむらが若干気になっている
最終目的:『儀式』からの脱出、その後可能であるならアカギから願いを叶えるという力を奪ってナナリーを生き返らせる
[備考]
※参戦時期はCODE14・スザクと知り合った後、ナリタ戦前
※アリスのギアスにかかった制限はネモと同化したことである程度緩和されています。
魔導器『コードギアス』が呼び出せるかどうかは現状不明です。
◇
そうしてほむら達が遊園地を出発した頃。
彼らのいる会場とは違う、どこでもない空間。
一人の男がひたすらに手を動かし機械音を規則的に響かせる空間に、1匹の白い獣が入り込んだ。
一人の男がひたすらに手を動かし機械音を規則的に響かせる空間に、1匹の白い獣が入り込んだ。
「アクロマ」
「おや、キュゥべえくんですか。どうかしましたか?」
「どうして伝えてくれなかったんだい?」
「?何のことでしょう?」
「遊園地に置かれた装置を見てきたんだ。近くに立ち寄ったついでにね」
「おや、キュゥべえくんですか。どうかしましたか?」
「どうして伝えてくれなかったんだい?」
「?何のことでしょう?」
「遊園地に置かれた装置を見てきたんだ。近くに立ち寄ったついでにね」
遊園地に配置された装置。殺し合いにおける観測機の役割を果たすもの。
会場においては幾つかの施設に潜まされたものの一つ。殺し合いの目的である、エントロピーの発生を観測するためのもの。
それを調べていた時、一つの異常があったことにキュゥべえは気付いた。
それを調べていた時、一つの異常があったことにキュゥべえは気付いた。
「殺し合いの中で、平行世界へと繋がる”穴”がほんの一時だけど観測されていた。
その時刻と会場内での出来事を照らし合わせると、最も近いのはシロナのガブリアスが進化した時だ」
その時刻と会場内での出来事を照らし合わせると、最も近いのはシロナのガブリアスが進化した時だ」
穴。物理的なものではなく、あくまで概念的な現象としてのもの、ワームホールとでも言うべきものだろうか。
どこに繋がるかも明確には分からぬそれ。ただ分かるのは、それが並行世界へと繋がるものだということ。
現に、観測されたその穴もまたどこかへの並行世界に通じていたらしい。
どこに繋がるかも明確には分からぬそれ。ただ分かるのは、それが並行世界へと繋がるものだということ。
現に、観測されたその穴もまたどこかへの並行世界に通じていたらしい。
「ふむふむ。それで?」
「ポケモンのことに関して、僕たちの中では最も詳しいのは君だ。現にメガストーンを会場に撒いたのも君だって言っていたね。
その君がこの件を知らなかったとは思えない」
「ええ、知っていました」
「ポケモンのことに関して、僕たちの中では最も詳しいのは君だ。現にメガストーンを会場に撒いたのも君だって言っていたね。
その君がこの件を知らなかったとは思えない」
「ええ、知っていました」
悪びれる様子も無くキュゥべえに、メガネを押し上げながらそう返すアクロマ。
「どうして教えてくれなかったんだい?」
「聞かれませんでしたから」
「まさかあの件がそこまでのことを起こすものだなんて想定できるわけないじゃないか」
「聞かれませんでしたから」
「まさかあの件がそこまでのことを起こすものだなんて想定できるわけないじゃないか」
あの現象自体は道具が揃わねば起こし得ないものであり、そうでない状況で発生したという事実そのものは興味深いものがあった。
まさかあれが平行世界へのワームホールを開くほどのエントロピーを発生させるものであるとは想定していなかった。
まさかあれが平行世界へのワームホールを開くほどのエントロピーを発生させるものであるとは想定していなかった。
「…まあいいさ。それが繋がることそれ自体は僕たちとしても望むべきことだ。
ただ、それが起こったということは報告しておいて欲しいね」
「おや、てっきり私はあなた達なら既に知っていることだと思ってました」
「それが可能ならわざわざ僕は自ら会場に潜り込んだりなんてしないよ」
ただ、それが起こったということは報告しておいて欲しいね」
「おや、てっきり私はあなた達なら既に知っていることだと思ってました」
「それが可能ならわざわざ僕は自ら会場に潜り込んだりなんてしないよ」
アクロマはポケモン関係の施設、支給品、機材に関するほとんどを取り仕切っている。
さすがにアカギの管理するアレまでは任されていないものの、この殺し合いでのポケモンについての詳細な情報は彼以上に知ってる者はいないだろう。
一方でそれ以外、魔法少女に課した枷や新たなオルフェノク誕生の封印などといった制約に関してはからっきしではあるが。
さすがにアカギの管理するアレまでは任されていないものの、この殺し合いでのポケモンについての詳細な情報は彼以上に知ってる者はいないだろう。
一方でそれ以外、魔法少女に課した枷や新たなオルフェノク誕生の封印などといった制約に関してはからっきしではあるが。
そしてそれはキュゥべえにも当てはまる。
ポケモンに関することはアクロマにほとんど任せっきりであったためあまり多くの情報を持ってはいなかったのだ。
ポケモンに関することはアクロマにほとんど任せっきりであったためあまり多くの情報を持ってはいなかったのだ。
「ただ僕は僕で改めて調べさせてはもらったけどね。ポケモンという生命体のことについて。
特にあの時起こしたメガシンカ、というものについては」
「ほう」
「確か君から聞いたそれは人間とポケモンの絆がキーストーン、メガストーンを通じさせることで発動するポケモンの新たな形態変化、と言ってたね」
「ええ、大雑把にはそう説明しました」
「ポケモンと人間の生体エネルギーを掛けあわせて発生するエネルギーが、メガシンカを引き起こす。
それに必要な要因というのが『ポケモン』と『力を持った石』、そして『人間』が結びつくこと。
これらが合わさることで、超絶なエネルギーを生み出すと共にメガシンカが発動する。これが僕なりに調べた結果だね」
「なかなか高い情報収集能力を持っていますね、別に私が教えなくても問題なかったのではないですか?」
「それはさすがに手間になっちゃうけどね。
そしてもしそれが事実なら、あそこでキーストーンの無い状態でのガブリアスがメガシンカを発動させたことにも納得がいく」
特にあの時起こしたメガシンカ、というものについては」
「ほう」
「確か君から聞いたそれは人間とポケモンの絆がキーストーン、メガストーンを通じさせることで発動するポケモンの新たな形態変化、と言ってたね」
「ええ、大雑把にはそう説明しました」
「ポケモンと人間の生体エネルギーを掛けあわせて発生するエネルギーが、メガシンカを引き起こす。
それに必要な要因というのが『ポケモン』と『力を持った石』、そして『人間』が結びつくこと。
これらが合わさることで、超絶なエネルギーを生み出すと共にメガシンカが発動する。これが僕なりに調べた結果だね」
「なかなか高い情報収集能力を持っていますね、別に私が教えなくても問題なかったのではないですか?」
「それはさすがに手間になっちゃうけどね。
そしてもしそれが事実なら、あそこでキーストーンの無い状態でのガブリアスがメガシンカを発動させたことにも納得がいく」
あの時メガストーンを輝かせたものはクロエ・フォン・アインツベルンの投影したエクスカリバー。
それが投影したハリボテとはいえ、あの剣は人々の祈りを込めた神造兵器の模倣品だ。
キーストーンとしての役割を果たすには十分だったということなのだろう。
加えて、彼女はガブリアスの主、シロナから魔力供給を受けている。それがほんの僅かながらパスとして繋がる要因でもあったのかもしれない。
それが投影したハリボテとはいえ、あの剣は人々の祈りを込めた神造兵器の模倣品だ。
キーストーンとしての役割を果たすには十分だったということなのだろう。
加えて、彼女はガブリアスの主、シロナから魔力供給を受けている。それがほんの僅かながらパスとして繋がる要因でもあったのかもしれない。
「そしてもう一つあった疑問も調べていくうちに解けていったよ。
メガシンカのメカニズムで発生するエネルギー、それを応用することで空間転移が可能らしいね」
「ええ。しかしそれには接続先を安定させるための通信ケーブルが必要となりますが。
なければどこに転移するかも分からない以上、無闇に使えるものではありませんよ」
「そうだね。だけど一つだけ。クロエ・フォン・アインツベルンが聖杯、万能の願望機としての機能を持った存在であったこと。
これが、さっき言った、メガシンカの影響で空いた穴にある役割を与えたんだ]
メガシンカのメカニズムで発生するエネルギー、それを応用することで空間転移が可能らしいね」
「ええ。しかしそれには接続先を安定させるための通信ケーブルが必要となりますが。
なければどこに転移するかも分からない以上、無闇に使えるものではありませんよ」
「そうだね。だけど一つだけ。クロエ・フォン・アインツベルンが聖杯、万能の願望機としての機能を持った存在であったこと。
これが、さっき言った、メガシンカの影響で空いた穴にある役割を与えたんだ]
人とポケモンの繋がりが与えた、膨大なエントロピーによる奇跡。
そこに理論をすっ飛ばして結果を持ってくることが可能な願望機が関わった。
そこに理論をすっ飛ばして結果を持ってくることが可能な願望機が関わった。
ではあの場で彼女が願ったことは何だったか。
決まっている。バーサーカーを打倒することだ。
そのために望んだことは、残りの命の数も分からぬあの巨人を倒し得る最大の攻撃。
すなわち、約束された勝利の剣による攻撃。
決まっている。バーサーカーを打倒することだ。
そのために望んだことは、残りの命の数も分からぬあの巨人を倒し得る最大の攻撃。
すなわち、約束された勝利の剣による攻撃。
「だけど彼女にはそれが可能な魔力は持っていない。あの時の彼女は魔力を枯渇させているに近い状態だったんだから。
しかし、現実に聖剣は光を放った。
もしかして開いた穴は、その不足を埋めるだけの魔力を彼女に送り込んだんじゃないかな?その願望機の願いを叶えるように」
しかし、現実に聖剣は光を放った。
もしかして開いた穴は、その不足を埋めるだけの魔力を彼女に送り込んだんじゃないかな?その願望機の願いを叶えるように」
ただ開いただけのはずの穴、そこに聖杯の願いが合わさったことで役割を持ち。
結果、約束された勝利の剣にもガブリアスのドラゴンダイブにも耐性を持っていたはずの肉体から3つの命を削り取った。
もしそのどちらかにでも耐性を持っていなければ、一体バーサーカーはどれほどの命を消滅させられていただろう。
結果、約束された勝利の剣にもガブリアスのドラゴンダイブにも耐性を持っていたはずの肉体から3つの命を削り取った。
もしそのどちらかにでも耐性を持っていなければ、一体バーサーカーはどれほどの命を消滅させられていただろう。
「アクロマ、アカギはこのメガシンカのことを知ってるのかな?」
「さあ?知っているかもしれませんし知らないかもしれません。どちらにしても私には興味がありません。
アカギには、私のやりたいようにやれとしかいわれていませんので」
「ずいぶんと信用されたものだね」
「まさか。私が多少アカギに不都合になることを仕出かしたとしても些細な事としか見ていないのですよ、彼は。
想定外のことが発生したとしても怒ることも驚くこともないのでしょう」
「なるほど。確かに放送の時以外は滅多に出てくることもないしね、アカギは」
「さあ?知っているかもしれませんし知らないかもしれません。どちらにしても私には興味がありません。
アカギには、私のやりたいようにやれとしかいわれていませんので」
「ずいぶんと信用されたものだね」
「まさか。私が多少アカギに不都合になることを仕出かしたとしても些細な事としか見ていないのですよ、彼は。
想定外のことが発生したとしても怒ることも驚くこともないのでしょう」
「なるほど。確かに放送の時以外は滅多に出てくることもないしね、アカギは」
その点シャルルは何と思っているのだろうか。
彼の場合自分より早く、こちらの言った穴を把握していることも有り得る。
適当なところでタイミングを見計らって聞きに行ってみるとしよう。
彼の場合自分より早く、こちらの言った穴を把握していることも有り得る。
適当なところでタイミングを見計らって聞きに行ってみるとしよう。
「そういえば、今回の件を通して一つ疑問が生まれたんだけどさ」
「何でしょう?」
「メガストーンやポケモンが人間との繋がりでもたらすエントロピーが膨大なものであることは分かった。
そしてそれ自体は君の求めているものともまた大きく繋がるものだ。つまり、そこには僕たちとの間にも大きな利害が存在している。
なのに、あの場に配られたポケモンの数に対してあの進化が可能なものはあまりに少ない。
そこに理由はあるのかい?」
「何でしょう?」
「メガストーンやポケモンが人間との繋がりでもたらすエントロピーが膨大なものであることは分かった。
そしてそれ自体は君の求めているものともまた大きく繋がるものだ。つまり、そこには僕たちとの間にも大きな利害が存在している。
なのに、あの場に配られたポケモンの数に対してあの進化が可能なものはあまりに少ない。
そこに理由はあるのかい?」
あの場に配られたポケモンは退場済みの者を含めて10匹弱。それは参加者達の所持していたポケモンから選別された者ばかりだ。
しかしその中でその進化が可能な者がどれほどいるか。
中にはピカチュウやポッチャマ、テッシードやピンプクといった未進化のポケモンも存在している。
それよりももっとメガシンカの可能なポケモンを入れた方が儀式の目的達成も効率的に果たせたのではないか。
例えばヘラクロスやルカリオ、オニゴーリやジュカイン、同じ進化前であるならミミロルなどの方がよかったのではないか?
しかしその中でその進化が可能な者がどれほどいるか。
中にはピカチュウやポッチャマ、テッシードやピンプクといった未進化のポケモンも存在している。
それよりももっとメガシンカの可能なポケモンを入れた方が儀式の目的達成も効率的に果たせたのではないか。
例えばヘラクロスやルカリオ、オニゴーリやジュカイン、同じ進化前であるならミミロルなどの方がよかったのではないか?
「ああ、そんなことですか。簡単な話ですよ。
面白くないじゃないですか。ポケモンと人間の絆が、メガシンカという形のみで収まってしまうというのは。
メガシンカ自体は私にとっても大きな研究対象です。しかしそこで留まってしまうことは望んでいないのです」
「…やっぱり理解できないな、人間の価値観ってものは」
面白くないじゃないですか。ポケモンと人間の絆が、メガシンカという形のみで収まってしまうというのは。
メガシンカ自体は私にとっても大きな研究対象です。しかしそこで留まってしまうことは望んでいないのです」
「…やっぱり理解できないな、人間の価値観ってものは」
そんな言葉を最後に、キュゥべえはアクロマの作業部屋から退出していった。
その後部屋に響き渡ったのは、キュゥべえの存在などなかったかのように己の役割に没頭するアクロマが響かせる作業音のみ。
その後部屋に響き渡ったのは、キュゥべえの存在などなかったかのように己の役割に没頭するアクロマが響かせる作業音のみ。
※会場の施設にはエントロピー観測装置の配置された場所があります。しかし参加者には入ることのできない仕掛けが施されているようです。
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| 118:私であるために | 暁美ほむら | 126:憎悪-Badblood mind |
| アリス | ||
| 107:第二回定時放送 | キュゥべえ | 128:Not Yet |
| アクロマ |