第四回定時放送 ◆Z9iNYeY9a2
24:00。これより第四回放送を開始する。
まずは死亡者の名を読み上げよう。
草加雅人
村上峡児
木場勇治
ゼロ
メロ
L
セイバーオルタ
美遊・エーデルフェルト
ゲーチス
美樹さやか
美国織莉子
村上峡児
木場勇治
ゼロ
メロ
L
セイバーオルタ
美遊・エーデルフェルト
ゲーチス
美樹さやか
美国織莉子
以上、11人だ。
続いて禁止エリアを発表する。
1:00よりE-7
2:00よりC-6
3:00よりC-5
4:00よりC-4
2:00よりC-6
3:00よりC-5
4:00よりC-4
以上だ。
残り人数が10人を切ったがお前達の行うことは変わらん。
もし24時間以内に死人が一人も出ないようであれば呪術式の発動により皆が死ぬこととなる。
無論私としてもそのような結末は本意ではない。
もし24時間以内に死人が一人も出ないようであれば呪術式の発動により皆が死ぬこととなる。
無論私としてもそのような結末は本意ではない。
ここまで人数が減ったのだ。お前達の健闘を祈った後放送を終了としよう。
◇
黄昏の空に覆われた空間。
そこにはアカギの他にシャルル、アーニャ、そしてキュゥべえの姿があった。
そこにはアカギの他にシャルル、アーニャ、そしてキュゥべえの姿があった。
たった今、4度目の放送を終えたアカギ。
殺し合いの儀式の人数は10人を切ったというのに、放送の内容には変化がなかった。
殺し合いの儀式の人数は10人を切ったというのに、放送の内容には変化がなかった。
「代わり映えのしない放送ね」
アカギの傍に立つシャルルと共に控えていたアーニャがそんな感想を呟く。
「それに、正直残っている子達を見ても殺し合いが進むとは思えないし、大丈夫なの?」
混沌をもたらす者として己の役割に準じていたゼロ。
欲望の赴くままに他者を踏みにじり生き残ってきたゲーチス。
欲望の赴くままに他者を踏みにじり生き残ってきたゲーチス。
先の放送に残っていたこの二人は既に脱落した。
狂気に操られ、自身の体に巣食う闇を振り回して蹂躙の限りを尽くしてきた間桐桜。
唯一残った殺戮者の少女も生きてこそいるが、戦いの果てに力の大部分を失った。
精神状態を合わせて見ても残りの人数全てを殺しきれるとは考えられない。
精神状態を合わせて見ても残りの人数全てを殺しきれるとは考えられない。
「構わんよ。おそらく残った者達は近い内にあの場を脱する術を見つけることであろう」
「そして、そのためのあの娘だ」
「そして、そのためのあの娘だ」
暁美ほむら。
参加者であり一度命を落としながらも条理を跳ね除けて復活を果たした者。
参加者であり一度命を落としながらも条理を跳ね除けて復活を果たした者。
彼女の存在は、その実アカギ達には大きな利となりうる者だった。
もし参加者を減らしたければこちらの持つ戦力を会場に投入すればよい。
だがそれでは参加者の持つ因果を幾ばくか無にしてしまう。
だがそれでは参加者の持つ因果を幾ばくか無にしてしまう。
参加者は各世界から選別し、なおかつ呪術式の付与によって因果の収束を果たすようにしているのだ。
そこに無関係な者の力が加われば、集めた因果を霧散させてしまうことになる。
そこに無関係な者の力が加われば、集めた因果を霧散させてしまうことになる。
だが、あの少女は元々参加者として集められた存在だ。
一度死したとはいえ未だその身には術式の残り香が残存している。
一度死したとはいえ未だその身には術式の残り香が残存している。
「ついでに言うならば、あの娘が我々に協力するというのであれば、あの娘の力としてこちらの持つ力を振るうこともできる」
これは会場に投入したポケモン達と同じ理屈だ。
術式を持たぬ生物であっても、もし参加者達の力として振るわれるものであれば参加者達のそれと同じように因果の収集は行われる。
そういう概念が術式には付与されている。
術式を持たぬ生物であっても、もし参加者達の力として振るわれるものであれば参加者達のそれと同じように因果の収集は行われる。
そういう概念が術式には付与されている。
言ってしまえば、ここまで来たならばあの場に留まられるよりは脱出してくれた方がつつがなく進行する。
しかしこちらからその脱出のヒントを与えるような真似まではしない。
脱出の過程で命を落とす者がいるかもしれないし、可能性は低いがこのまま殺し合いが進行し最後の一人となることもありえる。
脱出の過程で命を落とす者がいるかもしれないし、可能性は低いがこのまま殺し合いが進行し最後の一人となることもありえる。
「――――なるほどね、私を引き入れたのはそういうこと」
不意に、空間に歪みが生じ、ヒビ割れて闇色の異次元が現れる。
その奥から、一人の少女が姿を現した。
その奥から、一人の少女が姿を現した。
「結局、あなた達の側についたとしても、あなた達の掌からは逃れられないってことね」
「不服か?」
「別に。私は私の目的のためにするべきことをするだけ。あなた達の思惑にはそこまで興味はないわ」
「不服か?」
「別に。私は私の目的のためにするべきことをするだけ。あなた達の思惑にはそこまで興味はないわ」
長い黒髪を手をやりながら、空間を割って現れた暁美ほむらはアカギの言葉に対し否定した。
「だから最終的な目的にズレが生じない限りは、あなた達の力にもなってあげる。
だけど、覚えておきなさい。もし必要なら、あなた達の持つ神の力も、私が奪わせてもらうから」
不遜にそう言い放ったほむらに、小さく鼻で笑いながら視線を前に戻すアカギ。
そんな彼らの会話を、空間の片隅に佇んだキュゥべえは静かに聞いていた。
◇
やがてアーニャ、キュゥべえ、ほむらは立ち去り。
静寂な黄昏の間にはアカギとシャルルの二人だけが残された。
静寂な黄昏の間にはアカギとシャルルの二人だけが残された。
「アカギよ。今宵の儀式では目的の世界には近づけそうか?」
「因果は集い、創世の贄に近づきつつある。もう少しだ」
「因果は集い、創世の贄に近づきつつある。もう少しだ」
眼前に開かれた光景には、様々な者達の死の形が浮かび上がっていた。
救いを求めて手を伸ばしながら死んだ者。
自身の希望を他者に託して死んだ者。
絶望の果てに己の生を諦めた者。
希望をもって己の体を投げ出した者。
自身の希望を他者に託して死んだ者。
絶望の果てに己の生を諦めた者。
希望をもって己の体を投げ出した者。
「感情とは実にくだらんものだ」
その光景を見ながら口にされた言葉には何かを思い出すように嫌悪感が滲んでいた。
その中にいた者達。
撃たれた事実に唖然としながら倒れる少年。
友に看取られながら死ぬ少女。
強い悔いを残しながらもこれが最善と魔王に臓腑を抜かれる少女。
割れた仮面の下の素顔を晒し消えゆく魔王。
撃たれた事実に唖然としながら倒れる少年。
友に看取られながら死ぬ少女。
強い悔いを残しながらもこれが最善と魔王に臓腑を抜かれる少女。
割れた仮面の下の素顔を晒し消えゆく魔王。
彼らの姿を見ながら。
「ああ、そうだな」
アカギとは違う瞳の色を見せつつ頷いた。
やがて空間は静寂な黄昏の間に戻り。
シャルルが去っていった後闇色へと変じた部屋の中で、静かに瞑想を始めた。
シャルルが去っていった後闇色へと変じた部屋の中で、静かに瞑想を始めた。
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