ピースギア > ピースギア標準技術階層(PSTH)


T0等級:常規技術

T0等級、すなわち常規技術とは、ピースギアにおいて最も基礎的かつ広範に運用される技術水準であり、旧地球圏文明圏における21〜23世紀の科学技術に基づいた、完全再現可能な工業技術および生活支援技術を指す。
この等級に分類される技術は、生体医療、機械工学、基礎情報通信、燃焼系動力、構造工学など、多くの人員が日常的に扱う技術群である。
また、ナノ機械による修復技術、環境制御型居住モジュール、標準的な空間移動手段などもこの範疇に含まれ、ピースギアにおける文明生活の根幹をなす存在である。
T0技術の管理は技術開発班および生活支援班によってなされ、量産性と応用性に優れるため、共立世界各地の拠点や小規模セクターにも安定的に供給されている。
またこの階層の技術は、いかなる倫理審査や封印処置も不要であり、むしろ拡張的に再普及が推進されている。
再建初期において最初に再現されたT0技術としては、重力中和昇降機、自己再生居住ブロック、非放射性動力炉(SFR)が代表的であり、これらが再建後のインフラ整備に決定的な貢献を果たした。
特筆すべきは、この等級の技術は常に他等級の基礎となっており、T1等級以上の技術運用においてもT0技術のモジュール構造を利用する設計が推奨されている点である。
したがって、T0等級は単なる「旧世代の技術」ではなく、技術階層全体の基盤構造を担う知的基礎資産として、技術開発の中核的役割を果たしていると言える。


T1等級:拡張応用技術

T1等級は、常規技術を基盤としながら、次元理論や量子構造の部分的応用によって拡張された先進的応用技術の領域である。
この階層には、環境適応型ナノ再構築技術、局地重力制御装置、自己調整型医療ユニット、亜空間通信モジュール、心理同期型インターフェースなどが含まれる。これらは再現性と安全性においてT0等級に近い水準にあるが、理論上は常規科学を一部超越しており、技術者の習熟や倫理的な運用判断が求められる。
T1等級技術は主に技術開発班および医療・ナノメンテナンス班の管轄下にあり、応用研究と臨床的運用の双方が平行して行われている。
特に、戦闘医療分野においては、生体外組織の高速再生、意識同期によるPTSD治療、強化外皮との適合調整など、T1等級の恩恵が顕著に現れている。
また、輸送部門における無軌道重力スライダーや、局所拡張領域(LEZ)による資材搬送技術も、T1技術の実用例として挙げられる。
一方で、T1技術には「限定理論確定性」という特性があり、すべての挙動が理論的に解析されているわけではない。
そのため、倫理審査班による利用範囲の監査が年次で実施されており、特に医療応用技術においては「不可逆変異」のリスク評価が義務づけられている。
運用時には、再現環境・習熟者・自動監査モジュールの三要素がそろわない限り、T1等級技術の展開は原則として凍結される。

T1等級は、実用性と未来性を兼ね備えた技術群であり、ピースギアにおける文明的優位性の象徴ともいえる階層である。

T2等級:境界領域技術

T2等級、すなわち境界領域技術とは、既知科学と未知理論の端境に位置し、部分的に理論構造が未解明であるか、もしくはその挙動が観測者依存的である技術群を指す。
この階層には、時空間歪曲場の発生制御、観測位相の可変システム、意識インターフェースを介した局地現実書き換え装置、ならびに微小次元構造の再帰解析装置などが含まれる。
これらは原理の一部が不確定性原理や多次元位相理論に依存しており、再現性が限定的である場合も多く、運用には特殊訓練を受けた技術者や解析官が必要とされる。
T2等級技術の運用は、主に未来因果班および次元研究班が管轄する。
とりわけクロノシミュレーションとの併用により、可能性変動領域内での結果導出や、決定論的未来予測補正が可能となるなど、戦略構築において極めて重要な役割を果たしている。
また、異常環境対応ユニットや、観測者意識との同調を利用した情報伝達手段など、通常の物理法則では説明困難な機能を有する装置も、この階層に含まれる。
倫理的な観点からは、T2技術には「因果撹乱の懸念」が常に付随しており、使用環境が誤れば時間軸の非線形歪曲、観測系の多重干渉、記憶改変などの重大リスクを伴う。
そのため、使用には倫理審査班と監査評価班の二重認可が必須であり、常時監査装置による記録・干渉履歴の保全が求められる。
この階層はピースギアにおける技術的前線であり、同時に危険な可能性の交差点でもある。

その取扱いには技術者の専門性だけでなく、倫理的成熟と精神的安定が強く要請されるのである。

T3等級:禁理準拡張技術

T3等級とは、既知宇宙の論理構造を部分的に逸脱し、現実操作または情報現象の変質を引き起こす特異的な技術群である。
通称「禁理準拡張技術」と呼ばれ、技術的には高度であるものの、現象制御が極めて不安定で、既存の理論体系との整合性が著しく低いのが特徴である。
主な例としては、構成情報の実体化、夢現境界インターフェース、崩壊位相の逆算展開、非存在概念の部分実装などが挙げられる。
これらは通常の科学的枠組みに収まりきらず、物理的存在の有無すら観測者の精神状態に左右されるものも多い。
そのため、T3技術の使用には極めて高度な精神制御訓練を経た専任者が必要であり、運用中においては常に観測補助者による外部同調が要求される。特に情報解析部門においては、T3技術による「反実仮想情報抽出」や「崩壊因果ログ補完」などが研究対象とされているが、その応用には未だ多数の未知数が残されている。
倫理的側面においては、T3等級の技術は「存在論的危険性」が伴うとされる。
もし適切な運用がなされなかった場合は最悪の場合、記憶消去・記録封印・運用者隔離といった措置が原則的に適用される。

この等級の技術が漏洩した場合、文明全体への因果的被害すら想定されるため、封印処理および封鎖保管は最重要技術保管庫である「第二記憶構造塔」にて行われている。
T3等級技術は、可能性世界の「裂け目」そのものであり、ピースギアにおける技術的境界を内包した禁断の領域である。

T4等級:封印技術

T4等級に分類される「封印技術」は、かつて存在した技術体系または知識群のうち、現在の倫理的・物理的枠組みでは管理・運用が不可能と判断され、完全封印の措置がとられた技術領域である。
この階層に属する技術は、ピースギアにおける黎明期、すなわち多次元戦争期や初期次元融合実験において開発または遭遇されたもので、その中には自己進化型戦略兵器、永続型精神接触装置、恒常次元崩壊機構など、現実そのものの持続性を脅かすものが含まれていた。
これら技術は、研究者の死没、施設の消失、あるいは制御不能な自律発展などにより封印された経緯が多く、現在においても断片的記録のみが機密コード“Λ-Black”として封鎖保管されている。
また、T4技術の特性上、封印構造そのものが一種の存在論的防壁を形成しており、これを破壊または解析しようとする試みは多くのケースで失敗または損失を伴った。
倫理審査班ではT4等級技術を「観測不可能な因果破砕のリスクを内包した技術」として扱い、組織内ではいかなる理由においても復元・使用を禁止している。

一部の終末シナリオ(Ω-04、Ω-07など)においては「選択的解封許可(Conditional Lambda Unlock)」が発動する可能性が記録されており、限定的状況下においてのみ再活性化の検討が認められている。
封印技術は、ピースギアの記録の中でも最も曖昧かつ危険な技術群であり、過去の過ちを内包した警鐘としての側面も持つ。その存在は現在の技術開発における倫理基準の根幹を成すものである。

T5等級:終末的構造技術

T5等級「終末的構造技術」とは、宇宙的規模の破壊・再構成能力を持つ技術体系、もしくはそれに準ずる機構であり、通常の時間軸・空間構造を超越する影響力を持つ。
この等級には、星系間距離を即時無効化する極限連結構造(ZeroSpan)、完全無限情報圧縮による精神複製装置、次元反転投射兵器、時間方向非対称性制御システムなどが含まれており、いずれも単独で文明の存続可能性に決定的な影響を及ぼしうる。
これらの技術は、一部がかつての並列世界において使用された痕跡があるとされ、ピースギアではT5技術の一部断片を“Ω因子構造体”として保管しているが、その使用には統合評議会全会一致と4重ロック認証が必要とされ、理論的にも再現不可能な構造が多い。
運用を想定する場面は、いわゆる「宇宙論的災害」、すなわち現行宇宙の終焉、次元連鎖崩壊、大統合知性による侵食などの、物理法則そのものの書き換えに直面した事態に限られる。
ピースギアにおいてはこれを「最後の選択肢(Ultima Ratio)」と呼び、歴代の最高評議官のみが使用権限を持つとされる。

T5技術は、人類が触れてはならぬ“終末の鍵”に他ならず、その存在は技術の極限と倫理の限界を同時に示すものである。

TΩ等級:超存在論技術


TΩ等級とは、あらゆる定義体系・物理法則・存在論に従わない、またはそれらを包括的に内包・上書きするような「超存在論的技術体系」である。この等級に属する技術は、原理的に理解不能な領域に属し、言語・数式・記号による説明が不可能に近い。
また、存在そのものが観測者の定義によって変化する「非確定性存在場」に属しており、特定の条件下でのみ一時的に“現出”することがある。
TΩ等級には、「無定義存在圧」「反観測意識連結構造」「観測者連鎖超越共鳴体」などが仮説的に含まれるが、いずれも技術というよりは「概念の干渉」に近く、その実体すら曖昧である。
実際、過去にピースギアが遭遇した「ヴァリド=センス干渉体」や「フォーマット外生命体事象」において、この等級の構造的影響が確認されたとされているが、その全容は未だ不明である。
この技術等級は、もはや人類が制御・理解しうる領域を超えた存在との接触または影響下で発現する性質を持つ。
そのため、ピースギアではTΩ等級技術を「非技術的領域への窓」として扱い、管理ではなく隔離と観察を原則としている。
また、倫理的にはこの等級の技術に関する議論自体が許可されておらず、認知制限フィルタおよび記憶封鎖処理が施される。

TΩ技術の存在は、ピースギアが技術の果てに至ったその先、すなわち「理解不能なるものと共に在る」可能性を示しており、それは同時に人類という存在の限界点を告げるものでもある。

各階層認定例リスト(T4以降は理論のみもしくは未解明、不明技術)


T0等級:民間基幹技術

Q-NET(量子常時接続網)
 一般市民にも開放されている低位量子通信網。生活インフラや医療支援、教育支援などに用いられる。

バイオ共鳴調整型義肢(BRL-3)
 ナノ繊維と神経結合体によって市民でも使用可能な義体パーツ。

トリジン食物再構成装置(TF-GEN)
 簡易分子複製器。飢餓解消のための標準化栄養合成技術。

T1等級:組織運用標準技術

P-Link端末(PeaceLink標準機)
 構成員が携行する量子鍵付き多目的通信・解析端末。

ID-Trace分離識別網
 次元座標単位で認識し行動ログを記録・保存する自動監査網。

ナノコロニー環境維持網(NCE-Mesh)
 ピースギア施設内で自動的に気圧・温度・微生物バランスを制御する網状インフラ技術。

T2等級:限定運用高機密技術

多層干渉装甲(MIS-Field)
 異次元干渉を含む攻撃を無効化する動的重畳装甲フィールド。

反実仮想空間制御装置(IF-Space)
 ある条件下の「存在しなかった現実」をシミュレーション可能とする戦術投影装置。

クロノアノマリーフィードバック装置
 時空構造内の矛盾点を検知し、時間因果ループの発生を予防する。

T3等級:次元制御・兵器技術

ハイパーシンクロドライヴ(HSD)(エリスドライブの開発初期のシステム)
 艦艇や大型構造体を次元の裂け目を用いて移動させる跳躍推進技術。

四重収束型陽電子収束砲(Q-PB Canon)
 次元境界を揺るがす高エネルギー兵器。過去の戦争で実戦投入例あり。

T4等級:封印技術

自己拡張型意識ネット(SELF-Net)*変異型KAEDEは分類上これになる。
 使用者の意識を基にして拡張・分裂を繰り返し、独自の人格群を形成する自己進化型AI群。

T5等級:終末的構造技術

多重位相文明遺構封鎖機構《ARCHEIN PROTOCOL》
パラレル多世界構造そのものが破綻・崩壊する状況においてのみ作動を許された、時間因果再構成型最終兵器

TΩ等級:超存在論技術

観測者反転共鳴体(O-I Resonator)
 観測者の概念を入れ替えることで、世界そのものの定義を再解釈可能とする場共鳴装置。
最終更新:2025年08月24日 06:59