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みずきちゃんの大変な天邪鬼の説明はここ、パワ堂で色々と聞かされることになった。
既にプリン3個目。いい加減にしないと太ると言っても聞かないみずきちゃんは放っておいて・・・。
「何で聖ちゃんまで説明を・・・」
「ん?私のことは気にせず続けてくれ」
そんなこと言われても・・・。
ていうか初めから全部聞かれていたのに、みずきちゃんは聖ちゃんがさもそこにいて当然だという
がの如く平然としていた。
「それでさ、月野くん、あたしはこの2LDKのアパートにしようと思うんだけど、どうどう??」
「え、あ、うん・・・まあ・・・どこでも良いけど・・・」
「むっ、みずき、その間取りはだめだ、台所がリビングから丸見えになる」
「あ、ホントだっ、ん~・・・やっぱり広さと家賃で決めちゃだめだよね~」
「それよりこっちだ、私は少し家賃が高くなってもこっちが良い」
「実はマンションっていう手もあるのよね~、高くなり過ぎなければ卒業までは仕送りしてくれるしさ」
どうでも良いけど、本当に同棲しちゃうんだろうか、オレ。何か部屋まで決めだしてるし・・・。
何だかまるで聖ちゃんまで一緒に住むような勢い――
「よし決まり!3人の愛の巣はここで決まりね♡」
「ん、私もここなら異論はない」
―――ん?
「月野くんももちろんオッケーだよねっ、ここって近くに広場があって自主練習するにも最適だよ♪」
「え、ちょ、ちょっと・・・」
「月野先輩、この間おはぎ喜んでくれたから、また作る」
「待って、2人とも、ちょっとタンマタンマっ」
「「ん?」」
オレは少し声のトーンを荒げて、どんどん勝手に話を進めていってしまう2人を制した。
普通に聞き違いなら気は楽なのだが、この状況はどう見ても・・・
「聖ちゃんも一緒に住むの・・・?」
「何だ、嫌なのか」
「嫌なの?こんな可愛い女の子2人と一つ屋根の下で暮らせるのに」
「やややっ、そうじゃなくてっ!何でかなと思ってだね・・・別に聖ちゃんはフィアンセって訳でもないし、特
に一緒に暮らす理由が無いというか・・・、寧ろこれがみずきちゃんのおじいさんにばれたら、プロ入りと
かそんなの関係無しにそれこそオレの命が無くなるような気が・・・」
これはもはや、みずきちゃんのおじいさんを納得させる為の偽装工作とか、もしプロ入りできなかっ
た時の保険だとか、そんな域に収まっていない気がしてならない。
要するに二股同然の同棲生活だ。
みずきちゃんのおじいさんどころか、それは社会的に許してもらえないような・・・。
「分かってないなぁ、別に良いじゃない、お嫁さんが何人いても・・・愛があれば♡」
いや・・・駄目な気がする・・・の、ですよ・・・?
「私は月野先輩なら・・・・・・構わない」
何が!?え、ちょっと!?今の間は何??ねえ、その先は!?何が"構わない"の!!?
「月野くんは聖の大切な人だもんね~♪」
「なー!ち、違うっ、みずき!それは先輩の前では言わないって約束だ!」
「あら、そうだったっけ」
「せ、先輩違うんだっ!月野先輩はあくまで先輩としてとても大切な人なのであって――うぐぅ・・・」
うわぁ・・・こんな取り乱した聖ちゃんは初めて見たなぁ・・・。
オレは呆然と2人のやりとりを眺めながらそんなことを考えていた。
別に同棲が嫌、という訳ではない。オレだって健全な高校生だし、もし彼女がいて、その子が一緒に
住もうなんて言ってきたらそりゃもう歓喜の雄叫びを上げて喜ぶだろう。
でも今目の前にいる2人は別に彼女という訳ではない。可愛いし、彼女になってくれるなら願ったりだ
けど、自分の彼女でもない女の子と一つ屋根の下で生活してたらきっと、いつか欲求不満になるに違
いない。ガードの固い2人だ。夜這いをかけようものなら速攻で首を刎ねられかねない。
片や人使いが荒く、ご機嫌伺いしてないとえらい目に遭ったり、ちょっとスケベを感知すれば何処か
らともなく精神注入棒を振り下ろす、できれば一緒にいるのは程々にしたい高飛車娘。
片や良い子なのは認めるが、部屋にエロ本も隠せない程のR指定嫌い。秘蔵の本が見つかろうも
のなら、即刻オレのお宝は廃品回収車に乗せられてどこかで白い紙にリサイクル。
そんな2人と一緒に住めばきっと、オレはインポになる。うん、絶対なる。
「オレ・・・逃げ出したくなってきた・・・」
「もう遅いわよ、同棲するからにはとことんラブラブなんだからね、ダーリン♡」
「不束者だが六道家の女として先輩に尽くす、だから傍に居させてくれ、あ・・・・・・・・・、あな、た・・・」
その瞬間、オレは灰になった。
そう、それはまるで某ボクシング漫画の主人公が燃え尽きたかのように。
白く。白く。真っ白に。