「ち」って何?
「ち」とはパワポケシリーズにおけるパスワード入力で「おててててて…て」と打ち込むとパスワードが通り、選手登録される選手の名前である。
その2種類の文字だけの入力で単純で覚えやすく、なおかつそれでパワポケ3以降の全てのパワポケ作品で入るので、パワポケファンの間で知らない人はまずいないと思われる。
おとてだけうちこむだけのかんたんなおしごとですわ。
「ち」の選手能力
一般的にパワポケで視覚的に表示されるステータスは以下のもの。
選手名 ち
ポジション 捕手
投打 左投両打
背番号 0
出身 極悪久高校
チーム 阪神
製造番号 0
打撃フォーム スタンダード(ノーマル)
ミート 0(1)
パワー 17
走力 0(1)
肩力 0(1)
守備力 0(1)
エラーしにくさ 0(1)
特殊能力 アベレージヒッター 対左投手○ チャンス○
()内は後の作品によっては能力修正がされる所
なぜこれで登録されるのか
結論から言うと、偶然にも後の作品に入れても何ら支障がないデータ設定になっていて通過できるからである。
以下、おててててて…のパスワードを復号して説明をしていくが、細かいところまで詳しく説明をしていると長いので、まずはパスワードの仕組みの予習として前に作った動画を見てもらうと分かりやすいと思う。
パワポケ3 色々なパスワードが入った理由(ニコニコ動画)
動画で紹介されている色々なパスワードはパワポケ3より後の作品に入れようとしても、データに異常があるので入らなくなっているのに対し、「ち」はこれを上手い具合に通過している。
パスワードの詳細
パスワードの復号
「ち」はパワポケ1のパスワードに対応しているパワプロ99開幕版の時点で既に入り、出身が極悪久高校なのでパワポケ1のパスワードである。
パワポケシリーズでは、パスワード入力が実装されたパワポケ3から入力できる。
最初に「ち」のパスワードはおてててて…と打つが、「て」は19文字目まであればこのパスワードに必要なデータ量としては完結する。
文字換算で各文字10進数で「お」=5、「て」=17に換算される。
表にすると以下のようになる。
文字数 |
文字 |
32 |
16 |
8 |
4 |
2 |
1 |
数値 |
1文字目 |
お |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
1 |
5 |
2文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
3文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
4文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
5文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
6文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
7文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
8文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
9文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
10文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
11文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
12文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
13文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
14文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
15文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
16文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
17文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
18文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
19文字目 |
て |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
文字データをバイトデータに変換
換算した6ビットのデータを4文字毎に以下の式に当てはめ、文字の時点で6ビットだったデータを8ビット(1バイト)のデータに3ビット分に変換する。
nバイト目=Int((m+1文字目)/16)*64+(m文字目)
n+1バイト目=Int((m+2文字目 mod 16)*16)+(m+1文字目 mod 16)
n+2バイト目=Int((m+2文字目)/16)*64+(m+3文字目)
nとmはそれぞれ1から始まってnは3ずつ進み、mは4ずつ進んで変換していく。
intはカッコ内の小数点切り捨て 例 int(10/4)=2
modは割った数の余り 例 10 mod 3=1
計算していくと、以下のデータが得られる。
バイト |
128 |
64 |
32 |
16 |
8 |
4 |
2 |
1 |
数値 |
1バイト |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
1 |
69 |
2バイト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
3バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
4バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
5バイト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
6バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
7バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
8バイト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
9バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
10バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
11バイト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
12バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
13バイト |
0 |
1 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
81 |
14バイト |
0 |
0 |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
1 |
17 |
15バイト |
0 |
1 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
0 |
64 |
圧縮フラグからの選手データ構築
パワポケ1のバイト構造には1~4バイトに圧縮フラグ群が格納されているため、それを元に5バイト目以降は正しい選手データを構築する。
圧縮フラグで水色に塗られているフラグがONになっているので、ONになっているところに合わせて構築すると以下のようになる。
バイト |
128 |
64 |
32 |
16 |
8 |
4 |
2 |
1 |
数値 |
1バイト |
12バイト圧縮フラグ |
11バイト圧縮フラグ |
10バイト圧縮フラグ |
9バイト圧縮フラグ |
8バイト圧縮フラグ |
7バイト圧縮フラグ |
6バイト圧縮フラグ |
5バイト圧縮フラグ |
69 |
2バイト |
20バイト圧縮フラグ |
19バイト圧縮フラグ |
18バイト圧縮フラグ |
17バイト圧縮フラグ |
16バイト圧縮フラグ |
15バイト圧縮フラグ |
14バイト圧縮フラグ |
13バイト圧縮フラグ |
17 |
3バイト |
28バイト圧縮フラグ |
27バイト圧縮フラグ |
26バイト圧縮フラグ |
25バイト圧縮フラグ |
24バイト圧縮フラグ |
23バイト圧縮フラグ |
22バイト圧縮フラグ |
21バイト圧縮フラグ |
81 |
4バイト |
未使用 |
未使用 |
未使用 |
未使用 |
未使用 |
31バイト圧縮フラグ |
30バイト圧縮フラグ |
29バイト圧縮フラグ |
81 |
5バイト |
名前1文字目128 |
名前1文字目64 |
名前1文字目32 |
名前1文字目16 |
名前1文字目8 |
名前1文字目4 |
名前1文字目2 |
名前1文字目1 |
17 |
6バイト |
名前2文字目128 |
名前2文字目64 |
名前2文字目32 |
名前2文字目16 |
名前2文字目8 |
名前2文字目4 |
名前2文字目2 |
名前2文字目1 |
0 |
7バイト |
名前3文字目128 |
名前3文字目64 |
名前3文字目32 |
名前3文字目16 |
名前3文字目8 |
名前3文字目4 |
名前3文字目2 |
名前3文字目1 |
81 |
8バイト |
名前4文字目128 |
名前4文字目64 |
名前4文字目32 |
名前4文字目16 |
名前4文字目8 |
名前4文字目4 |
名前4文字目2 |
名前4文字目1 |
0 |
9バイト |
名前5文字目128 |
名前5文字目64 |
名前5文字目32 |
名前5文字目16 |
名前5文字目8 |
名前5文字目4 |
名前5文字目2 |
名前5文字目1 |
0 |
10バイト |
名前6文字目128 |
名前6文字目64 |
名前6文字目32 |
名前6文字目16 |
名前6文字目8 |
名前6文字目4 |
名前6文字目2 |
名前6文字目1 |
0 |
11バイト |
未使用 |
両打 |
左打 |
左投 |
メインポジション8 |
メインポジション4 |
メインポジション2 |
メインポジション1 |
81 |
12バイト |
未使用 |
サプポジション外 |
サプポジション遊 |
サプポジション三 |
サプポジション二 |
サプポジション一 |
サプポジション捕 |
未使用 |
0 |
13バイト |
パワー128 |
パワー64 |
パワー32 |
パワー16 |
パワー8 |
パワー4 |
パワー2 |
パワー1 |
17 |
14バイト |
ミートカーソル8 |
ミートカーソル4 |
ミートカーソル2 |
ミートカーソル1 |
肩力8 |
肩力4 |
肩力2 |
肩力1 |
0 |
15バイト |
走力8 |
走力4 |
走力2 |
走力1 |
守備力8 |
守備力4 |
守備力2 |
守備力1 |
0 |
16バイト |
背番号128 |
背番号64 |
背番号32 |
背番号16 |
背番号8 |
背番号4 |
背番号2 |
背番号1 |
0 |
17バイト |
チャンス× |
チャンス○ |
対左投手× |
対左投手○ |
流し打ち |
広角打法 |
パワーヒッター |
アベレージヒッター |
81 |
18バイト |
キャッチャー○ |
送球○ |
盗塁× |
盗塁○ |
ヘッドスライディング |
内野安打○ |
サヨナラ男 |
逆境○ |
0 |
19バイト |
ムード○ |
ムラッ気 |
バント× |
バント○ |
威圧感 |
ブロック○ |
体当たり |
キャッチャー◎ |
0 |
20バイト |
寸前× |
回復× |
回復○ |
ケガ× |
ケガ○ |
センス× |
センス○ |
ムード× |
0 |
21バイト |
負け運 |
勝ち運 |
尻上がり |
一発 |
ピンチ× |
ピンチ○ |
リリース○ |
ランナー× |
81 |
22バイト |
安定感 |
三振 |
初球○ |
対左打者× |
対左打者○ |
けん制○ |
短気 |
打球反応○ |
0 |
23バイト |
未使用 |
人気者 |
打撃フォーム2 |
打撃フォーム1 |
エラー率8 |
エラー率4 |
エラー率2 |
エラー率1 |
0 |
24バイト |
球速128 |
球速64 |
球速32 |
球速16 |
球速8 |
球速4 |
球速2 |
球速1 |
0 |
25バイト |
コントロール128 |
コントロール64 |
コントロール32 |
コントロール16 |
コントロール8 |
コントロール4 |
コントロール2 |
コントロール1 |
17 |
26バイト |
スタミナ128 |
スタミナ64 |
スタミナ32 |
スタミナ16 |
スタミナ8 |
スタミナ4 |
スタミナ2 |
スタミナ1 |
0 |
27バイト |
投球フォーム8 |
投球フォーム4 |
投球フォーム2 |
投球フォーム1 |
スライダー8 |
スライダー4 |
スライダー2 |
スライダー1 |
81 |
28バイト |
カーブ8 |
カーブ4 |
カーブ2 |
カーブ1 |
フォーク8 |
フォーク4 |
フォーク2 |
フォーク1 |
0 |
29バイト |
シンカー8 |
シンカー4 |
シンカー2 |
シンカー1 |
シュート8 |
シュート4 |
シュート2 |
シュート1 |
81 |
30バイト |
未使用 |
未使用 |
Hスライダー |
スローカーブ |
フォーク系特殊変化球8 |
フォーク系特殊変化球4 |
フォーク系特殊変化球2 |
フォーク系特殊変化球1 |
0 |
31バイト |
未使用 |
未使用 |
未使用 |
未使用 |
チーム8 |
チーム4 |
チーム2 |
チーム1 |
0 |
32バイト |
チェックサム128 |
チェックサム64 |
チェックサム32 |
チェックサム16 |
チェックサム8 |
チェックサム4 |
チェックサム2 |
チェックサム1 |
17 |
33バイト |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
- |
64 |
圧縮フラグから5〜31バイトまでのデータを構築し、構築で残ったバイトで一番最初のバイトは32バイト目のチェックサムのデータとみなされる。
チェックサムはチェックサム以外のバイトの数値(1バイト〜31バイト)を全て足した値の和からmod256した値なので、合計785をmod256すると17になり、パスワードに付加されていた32バイト目のチェックサム値と一致するため、このパスワードは入るということになる。
パワポケ1の圧縮フラグは31バイトまでしかないので、4バイト目に残った未使用の5ビット分は16と64にフラグが立った状態になっているが何も意味を成していない。
また、チェックサムより後のバイトはパワポケ1のパスワード的には不要なデータなので64があっても除外される。
そのため「て」は19文字目より多く打っても意味がないし、同じ出力結果が出る。
復号された選手データを見てみる
要約するとパスワードに載っている情報では以下の選手能力になっている。
選手名 ち ア
ポジション 捕手
投打 左投両打
背番号 0
出身 極悪久高校(パワポケ1のパスワードとして入れば強制的に極悪久高校になる)
チーム 阪神(0は阪神に割り当てられている)
製造番号 0(パワポケ1には製造番号がパスワードに無いので強制0設定)
打撃フォーム スタンダード(0はスタンダードに割り当てられている)
ミート 0(1)
パワー 17
走力 0(1)
肩力 0(1)
守備力 0(1)
エラーしにくさ 0(1)
投球フォーム アンダースロー2
コントロール 17
スライダー 1
シンカー 5
シュート 1
特殊能力 アベレージヒッター 対左投手○ チャンス○ ランナー× 一発 勝ち運
まず一番目に付くところで投手能力が存在しているが、メインポジションが捕手と決まった時点で特殊能力を含む、投手能力は削除されてしまっている。
名前は3文字目にもデータは存在しており、本来なら「ち ア」と名前がなるべきだが、名前のデータを1文字目から読んでいって途中で0(空白)になったところで終了となっているようで、2文字目が0なので処理終了となり3文字目の「ア」は表示されないようになっている。
実は選手名が「ち ア」になっているのは、パワポケ1のパスワードに対応しているパワプロ99開幕版などで確認出来たりする。
パワポケ1のパスワードの通過条件
パワポケ1のパスワードが後の作品全てに入るには以下の条件がある。
作品によって条件にある物無い物はあるが、これが1つでも満たされないと例えチェックサムが合っていても弾かれるようになっている。
- 名前1文字目の値が1以上。
- メインポジションの値が6以下。
- 背番号の値が109以下。
- 各方向変化球の変化量が7以下。
- 圧縮フラグがONになっている数に対して、その後に数値が1以上あるバイトの数が一致している。
これらは見ての通り「ち」のパスワードは条件を満たしているので、どのパワポケにおいても入力が可能になっている。
パワポケ3で色々入っていた「をを」等のパスワードはこれらのいずれかの条件が満たせなかったので、そこでお別れとなってしまった。
「ち」を投手にしてみる
実際に投手能力を見たい人用のパスワードはこちら。
「ち」投手版
おてて ててて ててそ ててて ててて ててそ て
まとめ
- 「ち」のパスワードは元はパワポケ1のパスワードであり、偶然にも後の作品に入れても何ら支障がないデータ設定になっていた。
- 不要なデータも含めて「て」の連続を成立させていた。
- 「ち」の本当の名前は実質「ち ア」である。
- 投手能力もあったが、野手扱いなので投手能力は無くなっていた。
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