目次
part44
その1(>>92)
休日、ふと思いついて縮毛矯正に行ってみるイチちゃん
サラサラなうるつやヘアーを手に入れてご満悦なイチちゃん
その日一日オグリには「イチがいない…イチはどこだ…?」「あ…そこの君、イチを見かけなかったか。ふわふわな髪の毛の娘なんだ」と探され続け、アヤべさんからは信じられないような絶望の目を向けられ、ハヤヒデはハヤヒデで「同志よ、裏切ったのか…」といった表情をしており
果ては休日自主練から帰ってきたモニーに侵入者呼ばわれされ、流石におこなイチちゃん
なお珍しくベリが(半笑いしつつ)慰めに回った模様
「なんか今日一日疲れちゃったな…ロクな反応されなかったし、オグリのヤツなんてあたしのことに気づいてすらなかったし…
…次の矯正は、もう行かないでおこうかしら」
「…あら、レスアンカーワン。そんなシケたツラして、どうしたんですの」
「げ、ベリコース…
…シケたツラって…あんたねぇ」
「まあ大体の成り行きは風の噂で聞いてますのよ、愚痴ならいくらか聞いて差し上げますけど?」
「…なんか悔しいけど、あんたがいいってんならそうさせてもらうわ。
聞いてよ、オグリったら、アイツ………」
◇◇◇◇◇
「………結局愚痴るだけ愚痴って、勝手に突っ伏して寝てしまいましたわね」
「………」
「………私は、貴女のストレートヘアも…いつもの癖毛も、嫌いではないですけど、ね」サラ
その2(>>100)
運転免許を取得したイチちゃんズ
- イチ
要領よく1発で免許取得。
筆記のひっかけ問題には少しモヤる(それはそれとして満点はきっちり取る)タイプ。
中古車屋でチョコレート色のラパンに一目惚れして即決し、普段はオグリ用の食料品類を大量に買い込む足として使っている。
- オグリ
実技試験で何度もコケるタイプ。
イチに手取り足取り教えてもらい、やっとこさ取得。
あまり運転が上手くないことは自覚しているし、自分の運転で他人を巻き込むことがあってはならないと考えているので、結果的にペーパードライバー。
イチの横乗りは落ち着くので大好き。
- モニー
車好き。マイカー選びでもオタク気質。
あえて86じゃなくBRZを選ぶタイプ。
社外の車高調やらエアロやらモモステやらウーファーやら組み付けて、毎週末丁寧に洗車しながらニヨニヨしてる。
飛び石で塗装が削れてるのを見るとレースに負けた時ぐらい凹む。
- タマ
ボロっボロのド直管ドシャコタンのグランドシビックで環状線にカチ込むタイプ。
誰も同乗したがらない。外練で足を捻ったモニーですら送迎を断って歩いて帰った。
トレセンの正門の段差にアンダースポイラーを引っ掛けてバキバキ言わせながらゲラゲラ笑う。たづなさんには毎回叱られる。
その3(>>104)
Q:皆の使ってるスマホは?
- イチ
「お母さんから買ってもらったiPhone11。物持ち良いでしょ」
- タマ
「ギャラクシーのA21?ちゅーやつやな。ゲオで安かってん」
- モニー
「うーん、あたしパソコン派だからなあ…まあiOSはあんま好かんかな、ちっちゃいときからAndroidのほうが使い慣れてるし。でもFirefox OSとかUbuntu touchの端末もロマン感じてうらやましーんだよなあ…ああでも、いつだったかトランと一緒にアキバ行ったときに買ったwindowsスマホ、結局使い心地サイアクで押し入れにしまいっぱだっけか。そういや最近Xiaomiから新しいハイエンド端末が出たらしくってちょっと気になってるんだよね、でもHuaweiのカメラでっかいヤツも気になってるし…あーでも今のHuaweiはGMS使えないからウンニャラカンニャラ」
- オグリ
「パカパカするヤツだ」
その4(>>148)
猛吹雪の雪山で遭難し、命からがら山小屋に避難した一同
- イチ
これといったサバイバルスキルもなく、料理するにもあくまで家庭的な一般料理しか知らないゆえ食糧管理に苦しみそう
- モニー
日頃からyoutubeでそういう類の動画は見まくっていたものの、いざ実践になるとプチパニックで好き勝手行動してイチと軽く揉め事を起こしそう
- タマ
まとめ役 兼 切り詰めレシピごはん役
- オグリ
案外こういう時に限って空腹を極限まで我慢しそう
- ベリ
「腹減りましたわね」と呑気にぼやく
- グリ
南米の血は寒さに耐えられない
part45
その1(>>139)
「トランー」
「んー?モニちゃん。どしたん」
「昨日のWWDC24見た?」
「見たよん。iOS18が凄いんだとかなんだとか」
「や っ と アプリアイコンが自由に配置できるようになるんだっけ」
「……15年前のAndroidも同じことできるよねぇ」
「否定できん……」
Apple発表会の話題で早速盛り上がるガジェット好き二人。
part47
その1(>>117)
「ネー、ベリ!イチセンパイの髪の毛、すっごくフワフワ、デスよ!」モフモフモサモサ
「わっ!?もう、ちょっと!やめなさいったら」
「嫌がってらっしゃるでしょう?やめて差しあげなさいな」
「チェー…」
「すみませんわ、レスアンカーワン。うちのグリサリアがとんだ粗相を」
「いや、まあ…大したことじゃないし、別に気にしないけど。
…あとその呼び方はやめてっての」
「では御機嫌よう、レスアンカーワン」
「あのねぇ…」
◇◇◇◇◇
「あら…あれは」
「…」
「…レスアンカーワン」
「…」
「いえ…」
「…」
「イチ、先輩」
「深夜のカフェテリアなんかで寝てしまわれて…よっぽど疲れてるのかしら」
「…」
「…」
「…」
「………ふふ」モフ
「確かに、いい触り心地ね」
どうしてこんな感情なんか抱いてしまったんだろう。
私は、ずっと、オグリ先輩を夢見てここまでやってきた。
あの方の存在というものが脳に焼きつけられてから、少しでも近づけるように精進してきた。
勉強して、鍛錬して、走り込んで、憧れのトレセン学園に入れた。
グリサリアという、思わぬ出会いの存在もあったけれど。
ただひたすらに、ずっと、オグリ先輩の後だけを追い続けていくはずだった。
敬愛と尊敬の念すら持っていた。
ああ、私は、この方にこそ認められなければならないのだ…と。
なのに、あの方は、何なの。
麗しくも可愛らしく、確かな実力を持つオグリ先輩に付きまとってばかりの、ぽっと出のクセに。
ただわたくしよりも先に、オグリ先輩と仲がよろしくなっていただけだと言うのに。
私は、何度もあの方に喧嘩を売った。
嫌いで、嫌いで、大嫌いだった。
許せなかった。
恐れ多くも先輩にそんな激情を抱いてしまったわたくし自身のことも、許せなかった。
でも、あの方は…認めてくれた。
私のことを、私として。
よき後輩として。
誇り高きライバルとして。
この感情は、なんなの。
目が離せない。
放っておけない。
放っておいてくれない。
どうしてここまで私を苛立たせるの。
悔しい、苦しい、腹立たしい、
切ない。
part55
その1(>>74)
◇◇◇◇◇
「アナタの料理にしてはまあまあ上出来じゃないですの。褒めて差し上げますわ レスアンカーワン」
隣にいる私の担当は、生意気を言いながらも、尻尾をゆらゆらと躍らせながら私の料理をパクつき、こくこくとお酒を飲んでいる。
今日は、コイツの特別な日。
トレセン学園で激動の三年間を走り抜け、ドリームトロフィーリーグに移籍したグレイベリコースは、私と押し合いへし合い、揉め、いがみ合いながらも、今も私の元で走っている。高等部を終えて早々に引退し、一年の勉強と元トレーナーのツテのおかげで再びトレセン学園の門をくぐることになった私は、ちょうど高等部1年に上がったコイツと再会することになった。半分成り行きでトレーナーとして面倒を見ることになったけれども、なんだかんだ言って私が現役でやってた頃から才能には目を見張るものがあったし、口も態度も(私に対してはすこぶる)悪いけれど、レースでは結果を常に示してきてくれた。トレーナーとしての私の評価も着々と上がっていって、正直この子には感謝と尊敬の念が湧き起こることもある。んん…なんか癪だな。
そんなコイツも、今日で早二十歳。晴れて大人の仲間入りなのだ。
中等部の頃から面倒を見てやっていた今までの日々を思い出して、つい少し微笑ましい気持ちになってしまう。中等部での猪突猛進っぷりは落ち着いて、お互い少しずつ甘えることも覚えてきた。今朝だって、
「今日がどういう日か分かっていますわね しっかり準備してちょうだい」
なんてLANEのメッセージを送ってきたのである。つっけんどんな文面だけど、しっかりお祝いしてもらうつもりな一面が垣間見えて、かわいらしいものだ。
「何のこと?」なんて返信してからかってやろうかとも思った。けれど、せっかくの二十歳の誕生日。素直に祝ってあげた方が変な空気にもならなくていいだろう。
了解。楽しみにしてて、とだけ返信をしてから、自宅のキッチンに立つのであった。
◇◇◇◇◇
「お酒を飲むのは初めてで少し緊張していましたけど、意外とすっきりして飲みやすいんですのね…これは?」
「アマレットジンジャーね。ホントはあんまり割って飲むものでもないけど、こっちの方がアンタには合うかなって」
「なんですか、私がお酒に弱そうに見えるんです」
多めに作った料理もあらかた平らげてしまい、どことなく満足げにしっぽを揺らすベリコースが、ふと口を開いた。いくらなんでも、初心者にロックでお出しするのもね…と返そうとしたその時、
「いいわ、出しなさい。そのアマレットってヤツを、そのまんまで。これでもアナタよりは強い自信あるわ」
ほー、根性あるじゃない。
普段ならば乗らずに躱してしまうやっすい売り文句ではあったが、なにぶん私も程よく飲んで気持ちよくなっていたものだから、つい挑発に乗ってしまったのである。
「いいわよ、お望み通り。心ゆくまで飲み明かそうじゃない」
◇◇◇◇◇
さすがにやり過ぎた。
隣にいるよくわかんない生き物は、さっきからよくわかんない鳴き声をあげながら、真っ赤な頬をこちらの腕の皮膚が削れ落ちそうなほど摺り寄せてくるのである。
あまりにもぱかぱかとグラスを開けてはおかわりを要求するものだから、こちらもつい楽しくなって注ぎまくってしまった。悪酔いはしていないだろうけど、完全に潰しちゃったな…と、ちょっぴりだけ罪悪感がよぎる。
ばつの悪さをごまかすように頭を撫でてやると、ただでさえせわしなく動いていた耳がさらにピコピコとはためく。こんなにストレートに甘えてくるコイツもなかなか珍しいもんだな…と思っていると、
「いちとれーなー」
「ん…なに」
「…あのね、」
もはや私の腕と同化してしまいそうにとろけているコイツは、ぽつりぽつり、と今までの日々を回想し始めた。
オグリを追いかけて、トレセンに入学したあの日。
憧れの先輩に引っ付いてたいけ好かない奴の存在。
そのいけ好かない奴に噛み付いては食い下がっていた日々。
そんな日々を送るうちに、レスアンカーワンは一足先に引退した。
一足先に、トレセンを出て行った。
心がせいせいするわ、もうアイツなんか見なくて済むと、そう思っていた。
ろくに呂律も回らない口で、でもね、と彼女は続ける。
あれからずっと張り合いがなかった。いまいちやる気が出なかった。
模擬レースの結果も出なかった。グリにも全然勝てなかった。
もうダメなのかもしれない、とすら思っていた。
なんでこうなったのか、自分でもわからなかった。
そんなときに、あなたは戻ってきた。
再会したその場では、ちょっとひどいことも言ったけれど…と、彼女の口は、なおも言葉を紡ぐ。
いっぱい喧嘩もしたけれど、自分の素直な気持ちも真っ向からぶつけることができた。
本当の私をちゃんと見抜いて、正面から私のことを見据えてくれた。
照れくさくて意地を張ることもあったけど、ちゃんと向き合ってくれた。
夜遅くまで私のためにメニューを考えてくれてたのは知ってたし、
だからこそ、意地でも走りの結果で報いなくちゃって、必死になれた。
そして、レースに負けた時は一緒に悔しがって、勝ったときは抱き合って喜んで。
いつも一緒に歩むこんな日々が、いつの間にか当たり前になってたけど、
あなたが私のトレーナーでいてくれて、幸せだったんだって、今、気づけました。
いけない。つい、胸に熱いものがこみ上げてしまう。こいつに悟られないように、少し顔を背けて目頭を擦った。
それでも、すすった鼻からは、ずび…と情けない音が出てしまう。
しまった、と思わずベリコースの顔をとっさに見ると、
「すー………すー………」
言いたいことを散々言った稀代の甘えん坊さんは、一人で勝手に気持ちよく舟を漕いでいた。
相変わらず、この生意気さは変わらないなあ。
私はそう独りごちて、グラスにわずかに残ったアマレットをぐいっと飲み干した。
今日は、私にとっても特別な日。
part56
その1(>>37)
「んん…………ねむ、い」
「もう、せっかくアンタのために部屋空けてやったんだから、そっちで寝なさいったら」
「いいじゃないですか……こっちのほうが、あっかかいん、です、から……」
「ああ〜〜〜もう……今日もかぁ……」
ひとくち健全同衾イチベリ(成人)。
その2(>>51)
「あんた毎年この時期は大変そうよね……」
「ああ……沢山貰えるのはとても嬉しいんだが、流石に甘いチョコレートばかり食べ続けていると……少しだけ、ほんの少しだけ飽きてしまうんだ」
「そんなことだろうと思って」
「……?」
「じゃん、豚の生姜焼き。甘いもの食べたあとはしょっぱいの食べたくなるでしょ?」
「ああっ……イチッ……!」
part58
その1(>>175)
「ああ、こんなところにいましたのね……屋上なんかで黄昏れて、一体何を………あ」
「げ…見られた」
「あらあらあら…学園内は全面禁煙なのではありませんこと?レスアンカーワン」
「…お願いだから他の先生たちにはナイショにしててくれる?」
「さあ、どうしましょうか…」
「いじわる」
「じゃあ、おひとつだけくださいな」
「え…?」
「貴女の味を、教えてくださる?それで、手打ちにしてあげますわよ」
「ダメに決まってるでしょバカ。未成年が調子に乗るな」
「えへ」