目次
Part26
1つ目(>>128)
オグリ「・・・」ジィー
イチ「な、なんなのよ。見られてると着替えづらいんだけど」
オグリ「いや、イチは着やせするタイプなんだと思ってな」
イチ「オグリだって別に小さいわけじゃないでしょ。むしろバランス取れててうらやましいわ」
オグリ「なるほど、イチは栄養が胸に行くタイプなんだな!」
イチ「あなたねぇ、次に変なこと言ったら蹴っ飛ばすわよ」
オグリ「・・・」フニッ
イチ「無言で胸つつくな、この変態!変態!変態ウマ娘!」
その2 自分が一番人気になった時の反応(>>129~)
個人的オリウマ娘へのイメージ その5
自分が一番人気になった時の反応
自分が一番人気になった時の反応
イチ:
「え、私が一番人気? へえー……。って一番人気!? 嘘!? ちょ、え、それ本当なの!?」
「──ほ、ホントだ……、私が一番人気……。そっか、一番人気かー……」
「えへへ、一番人気……。よし! よし! よ──」
「はっ!」
「ん゛ん゛っ!! いや、まあそれだけ期待されてるなら? その期待にきちんと答えないとね。まあ、いつもどおり全力で走るだけだけど」
「……何よその顔? あ、こら! そんな生暖かい目で見るな!! やめろ!!」
モニー:
「私が一番人気になった?」
「ええー、ちょっと勘弁してほしいなあ……。苦手なんだけどそういうの」
「みんなの注目集まるって、それ絶対マークされるやつじゃん」
「逃げウマ娘にそれってけっこう致命的なんですけどー」
「──はぁっ。まあ、愚痴ってもしゃーないか。ま、成るようになるでしょ」
ベリコース:
「私が一番人気になったですって? ふふーん! 当然よ! 私ほどのウマ娘が一番人気以外なるもんですか!」
「さてと、ほら! 準備があるんだから早く出てって! 乙女の秘密を覗くなんて破廉恥極まることしないでほしいわ! しっし!」
(トレーナーが退出し、扉が閉まる)
「──行ったかしら?」
「ど、どど、どうしよう……。まさか私が一番人気になるなんて……」
「そんなに期待されてアタシ応えられるの? そもそもそんなに注目されてたらアタシ普段の走りができるかすら怪しいじゃない」
「無理、無理よ! 今回だけは本当に無理!」
「レースを棄権……。そんなことできるわけないじゃない! ここまで応援してくれたファンを裏切れるわけない」
「あぁ、もうどうしたらいいのよ……。やだ、もう帰りたい……」
「勝てるの? こんな状態で?」
「だれか助けてよ、もう……」
(ノックの音と共にトレーナーから時間が来たこと告げられる)
「──ふうッ……。今行くわ!」
「さあ見てなさい! 最高の走りをお見せするわよ!」
アッパーグリザリア:
「ええっ!? アタシが一番人気!?」
「ほんとに!? 見せて見せて!」
「──ホントだ……。アタシが一番人気になってる……」
「~!」
「~~~~!」
「yeah! yeah! yeah! Excellent!! Fantastic!! Que ótimo!!」
「やったやった!! 最高だよトレーナーさん!」
「みんな私に夢中ってことだよね!!」
「よーし! エンジン全開! 最ッ高のレースをしてくるよ!」
「思いっきり楽しむぞー!!」
「YAーHAー!!」
ダウナーグリちゃん:
「わ、私が一番人気……。ほ、ほんとに……?」
「そ、そっかあ……。一番人気かあ……。」
「えへ、えへへへへへ……」
「嬉しいなあ……。一番人気なんて──」
「……あれ、一番人気ってことは、もしかして一番注目を受ける?」
(トレーナーが頷く)
「他の子達からも注目受ける?」
(再び頷く)
「じゃ、じゃあ、その……。もしかしてだけど、みんなの視線が全部私に……?」
(頷く)
「ふ、ふへ」
(グリ?)
「ふへへへへへへへ……」
(グリがロッカーの方へ向かう)
(勢いよくロッカーを開けたかと思えば、ロッカーの中に入り強くドアを閉めた)
「無理イイイィィィィ!?」
(ロッカーを開けようと試みるが開かない)
(扉を叩きながらグリを呼ぶトレーナー)
(やあああああぁ! 人の視線怖いいいぃぃ!!)
その3 ~イチちゃんの真夏のキッチン~(>>169)
~イチちゃんの真夏のキッチン~
——あれはうだるような暑い日だった。
その日はあまりにも暑くて、肩ひもの細いタンクトップと短めのスパッツを履いて、その上にエプロンを着て寮のキッチンで素麺をゆでてたの。
そしたらオグリがキッチンに来たんで振り返ったら、なぜかオグリが
「見てはいけないものを見てしまった!!」という表情をしてた。
たぶんオグリから見たら、タンクトップとスパッツがエプロンで隠れてて、私が裸にエプロン着ただけに見えたんでしょうね。
「まずい、このままじゃ汗だくで、裸エプロンで、寮のキッチンでお素麺をゆでる変態ウマ娘だと思われちゃう!」
と思った私は、
「ち、違うの!ちゃんとエプロンの下にタンクトップ着てるから!」
ってオグリに言いながらエプロンをめくって見せようとしたら——
勢いあまってタンクトップごとめくっちゃったのよ。
オグリは固まってたわ。
その後はもう、パニックになっちゃって。
「着てるの!ちゃんと着てるもん!ほらほら!」
と叫びながら、ちゃんと着てるのを見せるたびにくるくる回ったりしたけど、オグリも混乱しちゃって
「わかった!イチはちゃんと着てるな!すっごく着てるぞ!」
って慌ててるし、もう大変よ。
騒ぎを聞いたフジ寮長やクリークまで来ちゃったし・・・
正直あの時は、今すぐキッチンがガス爆発しないかなあって心から願ったわ。
Part28
その1(>>93)
タマの誕生日を祝うモニー。
気恥ずかしそうにお礼を言うタマに「何か欲しいものありますか? 私に用意できるものなら何でもあげますよ?」とモニーが言う。
少し思案するタマの脳裏にふと、ある悪戯がよぎる。
普段色々と揶揄われてるから、ここぞとばかりに仕返しで「それじゃモニちゃんが欲しい」とタマがてら言う。
一瞬呆気に取られるモニー。
企みが成功したと思い笑いながら「冗談や」って言おうとすると、「いいですよ、タマ先輩なら」と小悪魔のような表情をして反撃をするモニー。
っていうお誕生日SSありませんか?
その2(>>129)
「え、料理のさしすせそですか? えとえとえと、さ、サラダ油!」
「おばか! それは多々の油じゃない! こういうのは調味料を言うのよ!」
「ベリちゃん知ってるの? すごい!!」
「ふふん、当然でしょ?」
「さは砂糖、しは塩、すは酢、せはせうゆ、つまり醤油のことね」
「すごいすごい! じゃあ、そは?」
「簡単よ! そは──」
「ソースのそよ」
「ぶふっ!」
「くくくっ……」
「……え、あの、なにかへんなこと言いましたわたし?」
「ベリコース、そはソースじゃなくて味噌のことを言うんだ。知らなかったのか?」
「よく知ってたわねオグリ」
「昔、トメさんが教えてくれたんだ」
「じゃあ、さらにそこに付け足されるもの分かる?」
「む? うーん……。だめだ、分からない。イチ、ヒントをくれ」
「ヒント、ヒントねえ……。頭文字は”あ”、よ」
「”あ”か……。わかったぞ!! 料理に欠かせないものだな」
「さすがに分かるか。そう正解はあぶ──」
「”愛情”だな!! イチの料理はいつも愛情たっぷりだから美味しいんだ──ってイチ? どうかしたのか? 顔真っ赤だぞ?」
その3(>>135)
~消灯前 ベリとグリの部屋~
「ねえ、あなたなは日本の料理に使う『さしすせそ』って知ってる?」
グレイベリコースはほんの少しだけ意地悪っぽく質問した。
同室のグレイグリサリアは親が南米出身で、実家ではブラジル料理が食卓に並ぶという。
そんなグリサリアが日本料理に詳しいわけはないだろう、と踏んだのだけれど。
「それくらい知ってるもん! 『さ』は砂糖、『し』は塩、『す』は酢でしょ?」
「正解。でも、難しくなるのはここからよ」
「お母さんに教えてもらったの。『せ』は醤油!」
「お見事、すごいじゃない。じゃあ最後の『そ』はわかってるわよね」
さ、し、す、せ、とグリサリアはすらすらと答える。
どうやら彼女のお母さんは、きっちりと日本料理の基礎を教えてくれていたらしい。
「もちろん。『そ』から始まる日本の調味料なんて、ひとつしかないもの!」
これは簡単すぎる質問だったか、なんてがっかりしつつベリコースはペットボトルのお茶をひと口飲んだのだが——
「『そ』はソイソーーース!」
「ブヘッwwww」
予想外の回答に、盛大にむせこんでしまった。
その4(>>159)
「ねー、ねー、タマ先輩」
「なんや?」
「お話ししましょーよー」
「後でなー」
「えー、今しましょーよー」
「あかん、見たらわかるやろ? 今、勉強中や」
「ちぇー、いけずー」
「はいはい、なんとでもいいやー。自分もテスト近いんやからちゃんと勉強しーや」
「むー」
「唸ってもダメなもんはダメや」
「……」
「ん? なんや? 近寄って――」
「ハプッ」
「ちょ!? 何してん!?」
「フウー」
「何を血迷うてんねん!? 悪い冗談はやめ……ってあっつう!!」
「フウー、フウー」
「こらあああ!! 服越しに肩に噛みついたまま息吹きかけんのやめんかい!! あーもう!! わーった、わーった!! 構ったるから離せやぁ!!」
Part29
1つ目(>>176)
仲良くなって間もない頃、どこか元気のないグリちゃん。
消灯時間を迎えてベッドに潜って就寝しようとするんだけど、グリちゃんの蚊の鳴くような声ほどに小さいすすり泣く声が聞こえてくる。
ホームシックになってしまって思わず涙を流す姿を見かねたベリちゃんが声をかけて掛け布団をわずかに捲る。
こっちを向いたグリちゃんにわざとぶっきらぼうに来たきゃ来ればって言うんだ。
言葉に甘えてベリちゃんのベッドに潜り込むとあっさり眠りにつくグリちゃん。
そんな姿をため息混じりに優しい顔をして見守るベリちゃん。
ていうSS置いてませんか?
Part30
1つ目(>>47)
レスアンカーワン。
レスアンカーワン。
イチの本名。つい先日、教えてもらったもの。
レス…失われた、不足している。
アンカー…船などの錨、停泊する際に降ろすもの。
つまりレスアンカーで、錨を失った船のごとく留まることのない…という意味になるんだろう。
ワン。イチが、イチである所以。そして、おそらく一着や一等を意味しているのだろう。
レスアンカーワン。留まることを知らずに、一着を目指して駆け抜ける。生涯を通して宣言とも、覚悟とも取れる、凛として、ひたむきで、真っ直ぐな名前だと思う。
授業中。先生の教科書をわかりやすく噛み砕いた講義を意識半分で聴きながらも、しかし頭の中の大部分を占めるのはそれだった。
レスアンカーワン。他でもない、イチの名前。
レスアンカーワン。ぐるぐるぐるぐる、繰り返す。
友人の名前というだけなのに、どうしてこうも気が行ってしまうのだろう。
なかなか教えてもらえなかったからだろうか。はたまたいつも“イチ”として認識していた存在の新たな呼称に馴染めていないからか。
それとも…?
レスアンカーワン。いつのまにか、私の日常の一部になったもの。
レスアンカーワン。ぐるぐるぐるぐる、シャーペンが回る。
…この気持ちがなんなのか、私にはまだわからない。
“今何をしてるのだろう”、“どこにいるのだろう”、“誰といるのだろう”と。そんな解を得てもしょうがないだろう問いが、しかし思考を支配している。
今朝言葉を交わしてきたばかりのあの瞬間が、あまりにも遠く、昔の事に思う。次にその存在を目にする機会はいつになるかと、焦れている。
…病気にでもなってしまったのだろうか。今まで、こんな経験は無かった。ああ、でも。
病気なら病気で、病名だけならはっきりしている。
シャーペンを正しく握り直して、ノートの端に書き留めた一文。
“レスアンカーワン”。
その2(>>59)
迫る短距離のイベントに向けて短距離オグリを育成しているんだけど、オグイチに出会ってから史実で勝てなかったレース(秋天とか)に勝った時に
おかしい。いつも通り走っているはずなのに、妙に脚が重い。
目の前の道が、ふさがっていく。いけない。冷静を欠いてはいけない。のに。
…負ける、のか? このままバ群に埋もれて…
それは…困る。まだ私は、返し切れてない。故郷のみんなにも、トレーナーにも、タマにも…
皆の声援は届いているのに。鼓動は、脈動は、“正常に”稼働しているのに。嘘みたいに前に抜け出せない。
他の皆が急に速くなった…というより、この脚に何かがまとわりついていると言った方が正しい気がする。鎖…のような…何かが。
––––もう、ダメか。これが運命だったというのか。それなら私には…もう…
「オグリいいいいいいい!!」
耳を撃ち抜く声。聞き間違えるはずが無い声。
観に来てくれたのか。そうか。ならば…
“大丈夫”だ。“大丈夫”になってしまった。
内に感じる鼓動が、脈動が、私のエンジンがとびきりの燃料を得て、強く、速く稼働し始めた。
「はああああああああああッッ!!」
『オグリが行った!オグリが行った!さあ頑張るぞオグリキャップ!!』
みたいな妄想をして捗ってるんだ
その3(>>77)
「オグリ、そういやイチちゃんとはどこまでいったんや?」
「唐突だなタマ…イチとは、この前駅の向こうのスーパーまで行ったぞ」
「はぁーそらホヤホヤの新婚さんみたいやね」
「ってちゃうねん!イチちゃんと何したか聞いとんねん!」
「何したか?いや…スーパーに行ったら買い物をするだろう」
「もうスーパーの話は置いとき、あれやホラ…その…」
「手ぇ繋いだり、腕組んだりとか…んーと、2人一緒にするやつや」
「そうだな…一緒にスタミナのトレーニングをしたぞ」
「はあ…」
「タマ?」
「いやもうええわ…こーんなボケボケつかまされたイチちゃんに同情するで」
「ん…もう良いのか?」
「ええで。急に妙ちくりんな事聞いて悪かったなあ」
「別に、構わないが…」
(それにしても、あんなトレーニング方法があったとは…口と口を合わせることで互いに呼吸を制限し、肺活量を増大。ひいてはスタミナの上昇をはかるなんて)
(トレーナーにも出来ない、ウマ娘同士ならではのトレーニング…目からウロコだったぞ)
みたいなやつが見たい
その4(>>98)
オグリに対して恥ずかしさと照れで極度に余裕が無くなったイチちゃんはオグリに>「バーカ!」としか言えなくなる妄想保守
「これがこの前イチと海に行った時の写真だ」
「なっ…」
「あらあらあらあら」
「おーええやん」
「ここに大きな岩が見えるだろう?」
「ちょっと、オグリ!」
「イチは急にここの岩陰に連れてきてな…」
「わーっ!バカ!バーカ!バーカバーカ!!」
「こ、こんな余裕の無いイチ初めて見た…」
その5(>>104)
消灯時刻は、いつも苦手だ。少しでも明かりがあれば違うのだけれど…勝手に室内灯が切れて、部屋が真っ暗闇に覆い尽くされる瞬間はいつになっても慣れる気配がない。
「…イチ?」
「……んー…?」
ダメだ。イチは私と違って毎朝早起きしているから、もう意識が落ちるまで秒読み態勢になっている。
「…あのさ」
「……ん……」
暗闇が静寂を支配するまで、時間は目前。私はどうにか逃れたいそれを、おそらくイチは心待ちにしている。
「いっしょに寝ても…いい?」
あ、マズった。焦りからか、だいぶ踏み込んでいってしまった。部屋の空気がパキンと凍りついたかのように無言が続く。
…ガキじゃないんだぞ、と秒で反省した。小学生とかまでなら一緒に昼寝…みたいなノリでいけるかもしれないけど、あいにく我々はもう中等部だ。
「…………ん」
イチの少し眠気が遠のいたような声ともぞもぞ、という音に我に返る。反射的にそちらを確認すると…イチがさっきより遠い位置にいた。
やっぱり引かれたか…私のバカ。なんだってあんな事を言って…「ん。」えっ。
見ると、イチは壁の方を向いたまま、後ろ手に掛け布団を捲り上げていた。その手が無理な体勢にプルプルしているのに気付いた瞬間、一も二も無く弾かれたように自身のベッドを出た。
「おじゃましま…す」
掛け布団を持つ手を変わり、イチと背中合わせになるようにベッドに上がり込む。信じられない事態に頭の中が真っ白になっていたら、フッと眼前が真っ黒になった。
「–––––っ」
自動で電気が消えたのだと理解した時には、改めてなんてことをしてるんだと自問自答。しかしそれを阻害するように、イチのにおい、イチの体温、イチの呼吸…情報量が多すぎて脳みそが爆発しそう。
五感のうち、視覚を暗闇に奪われながら、味覚と触覚以外をイチに奪われるという板ばさみ。ないまぜになっていく感情。ありとあらゆる不測の事態で、きっとふるえてたんだと思う。
「……!」
そしたら、イチのしっぽが私のそれにゆるりと巻きついた。寝ぼけているのか、それとも。
…ともあれ、触覚までもイチのものになっちゃって、精神は完全に白旗を上げた。“ありがとう”“イチは優しいね”とルームメイトに喋る代わりに、自分もゆるくしっぽを巻き返して伝える。
規則正しい寝息をお手本に自分の呼吸を重ねて、そのまま意識を暖かさに埋めていった。
(編集者注:上記SSのイチちゃん視点で書かれたバージョンです)
今日もそこそこ激動だった日を終えて、ベッドに倒れ込む。早起きして、お弁当作りして、オグリに渡して、学園で授業とトレーニングして…帰りに買い出しして、寮でもろもろ済ませた後にこうやって身体を休める瞬間が一番幸せな瞬間かも知れない…
「…イチ?」
「……んー…?」
いざ意識を手放さんとしていたその時、モニーのおずおずとした声が聞こえた。…ああそっか、もう消灯時刻なんだな。
「…あのさ」
「……ん……」
声が震えている気がして、あちら側に揺らぎかけてた自分が返す波のように戻ってくるような感覚。
「いっしょに寝ても…いい?」
声を失った。絶句…いや、この表現は誤解を生むか。
意外だった。彼女はけっこう弱みを見せないタイプで、良く言えば気丈、悪く言えば図太いと思っていたからだ。
「…………ん」
こりゃかなりやられてるな、と判断した私は、モニーを迎えようとベッドの真ん中辺りからもぞもぞ壁の方へ移動してスペースを用意する。
これだけだと不親切かな。モニーが入って来やすいように布団を捲ってやるか。
「ん。」
あっ、この体勢意外ときつい。寝転がった状態で後方に腕を上げるというのは今まで使ってこなかった身体の部分に明らかに効いている。
今の私、情けなくプルプルしているかもしれない。それを知ってか知らずかモニーが駆け寄る音が聞こえた。助かった…
「おじゃましま…す」
捲っていた掛け布団を持ってもらい、モニーが背中合わせになるようにベッドに入ってきた。もし抱きつかれたら熱くて寝苦しいだろうなとぼんやり思っていたが、ちゃんと配慮してくれたみたいだ。
「–––––っ」
息を飲む音が聞こえて、電気が消えたんだなと思う。…改めて、モニーの苦手なものって珍しい。
単に暗いのが怖いんじゃなくて、急に暗くなるのがダメらしい。小さい頃、住んでた家が停電になって…その時パニックで発作を起こしたんだとか。そんな事情があるなら今、私の後ろで震えてるのも責められまい。
「……!」
なので、少しでも安心に繋がるよう、しっぽをモニーのそれに重ねた。びくん、と跳ね上がったのが布団越しにわかる。
効果はあったかな…?とこちらが不安になったものの、しっぽを絡め返してきてからはすっかり落ち着いたようで。その後すぐに穏やかな寝息が聞こえてきた。
…でもどうしよう。私はすっかり、目が冴えちゃった…明日起きれるかなあ…
その6(>>136)
生来の人の良さから死ぬほど恥ずかしいメイド服を着せられても笑顔で「いらっしゃいませー♪」と接客するイチちゃん
ガラじゃないな〜と思いながらも(メイド服着てるイチが見られるだけ役得かな…自分は立ってるだけで良いんだし)と教室の前で看板持ってるモニちゃん
お客さんとして来たタマとクリークに「べっぴんさんやんか〜」「よく似合っていますよ〜」と褒められて緊張と照れと嬉しさで真っ赤になるイチちゃんとモニちゃん…
「ああ、オグリはいろんな模擬レースに引っ張りだこやから。心待ちにしとったやろうにすまんなー嫁さん」「レースの合間に寄りたいとは言ってましたけど…方向オンチだから難しいかもですね」と言われて嫁さん違います!別に来なくて清々してます!あー良かったアイツにこんな恥ずかしいとこ見られなくて!とあわあわするイチちゃん…
(心待ちにしてなんて無いけど…なんでちょっと残念みたいな気持ちになるのよ…あんな奴来ない方が嬉しいはずじゃない…どうしちゃったのよ…)って内心困惑と自問自答で混乱するイチちゃん…
そんな背中に「すまないイチ、遅くなった。」とかけられる声、ビーンと立つ耳としっぽ、ロボットのようなぎこちなさで振り向くイチちゃん…してやったりの表情でにやつく案内役のモニちゃん…
その7(>>157)
「オグリはさ、好きな人と一年に一回しか会えないってなったらどうする?」
「そ、それは困る…イチには毎日お弁当を作ってもらわないと力が出ないんだ」
「私とは言ってないでしょーがっっ!!…まったく…」
「ところで、突然どうしてそんな事聞くんだ?」
「いや、今日はそんな話をあちこちで聞く日だから…」
「ああ。今日は七夕だったか」
「それでどうするの?私はその会える一日を最大限大事にするからてるてる坊主とか作って絶対晴れてもらうようにするけど」
「…私は、雨で川が増水しようが泳いで渡るぞ」
「いやあんた泳げないでしょ…氾濫してる天の川にビート板持ち込む気?」
「それでも…イチに会えるなら苦手な泳ぎだってなんとかしてみせる」
「そんな無茶したら会えるもんも会えなくなっちゃうでしょ…まあ溺れたら助けるぐらいはするわよ。あんたよりは泳げるし」
「イチ…!じゃあ、天の川で溺れてもいいように今度山の方のきれいな川を知ってるからそこで泳ぎの練習をしよう」
「いやいいけど… ってあんた本当に天の川で泳ぐつもりなの!?」