メモ帳の中身を見た。……字が汚い!
船乗り休職後っつーか、モラトリアムっつーか? の、旅先で会った奴について書いとくことにする。
書いとかないと忘れるからな!!
ここから下はエレガンティアの酒場、ミモザでの知り合い!
シャッテン
吞んでたら話しかけてくれた!
というか、ペルベヌア出の奴をどんどん連れてきてくれた。世話焼きなのか?
おかげで話し相手に困らねえ楽しい時間になった~
アトラス・ウィッカとかいう出版社の人らしい。
……そういや、酔っててあんま気にしてなかったけど、なんであたしのこと知ってたんだ?
フツーの船乗りで、特に名が知れるような事してねえんだけどなぁ。謎~~~
フリードリヒ・レシリモン
おんなじテーブルでちょいと話した。フリード!
腕が立つらしいし、実践的な魔法も多少使えるとかなんとか。
「お姉さんなら安くしとくよ」っつってたし、内陸に行くときの護衛頼むのもアリかも。
ハンマー
フリードと顔見知りらしい。冒険者? 傭兵?
バカでかい斧をひょいひょい持ち上げるし、命がけの仕事しててあの年まで生きてるってんだから、手練れなんだろうなあ。
腕利きが要るときは声かけてみるかな。値段次第だけど……
メツィア・ド・ケネモルティ
モルティ商会っていうデッカい商会の主様らしい。ヒエ~~~
祖父?の代でガッと成り上がったらしいが、そっからド金持ちを維持して商会回してるんだから、この人もやっぱやり手なんだろうなあ。
リゾートとして開発したビーチを経営してるらしく、曰く平民にも門戸は開いてるらしい。
あたしは「よし!じゃあ早速遊びに行くぜ!」ってほど漫遊できる身分じゃないけど、いつかは行ってみてえな~~
コリン・コート
細い目した変な訛りの商人。
酔いながらウンウンって言ってたらいつの間にか頼まれごとをいっぱい抱えてた。話し上手め。
第一に、自前の商船を持ちたいらしいから、ペルベヌアの造船関係で当たれるところがあれば紹介する。
第二に、記憶喪失でペルベヌアに倒れてたらしいから、似た訛りの奴=同郷かもしれねえ奴を見かけたら教える。
あと関係ないけど、漂流物?の謎楽器をメツィアさんに売り込んで、楽団できるレベルで同じもん大量に納品する羽目になってた。
用意しきればウハウハだし、営業成功ってことになるんだろが、豪商の無茶振りに対応しきらにゃいけねえのはキツそうだなあ、商人ってのも。
ま、あたしは横で酒飲んでウハウハになってただけだから、し~~らな~~~い
緑の服着た、たぶん貴族の人
生まれつき声が出ないのを、魔法で発声することで克服してるらしい。すげ~~~!!
フリードとハンマーと話してる時にちょろっと話したんだけど、名前を聞き忘れた!
こういっちゃアレだが、一目見て与太者だらけのテーブルに声かけてくれる貴族?っての珍しい気がする。
豪胆だしカッケエよな。今度会ったらお名前きいとこ!
ナルシサス
口を開けばガント種の事しか言わねえ、フォグコースト在住の研究者。
多角的に物事や世界を知って、ガント種研究に役立てたいってことで、諸国を巡ろうとしてるとこだったらしい。
話の流れで、「旅慣れてるだろ?」ってとこから、なぜか案内人を務めることに。
別に慣れちゃいねえんだけどな。港町と航路にだけは詳しいが。
縁あってルーネウッドくんだりまで行ったり、その後もちょくちょく顔合わせたり、なぜだか妙に縁深い奴になってきた。
スピネル・ファーヴニル
アルカナ学院の教師らしい。
苗字は聞いてなかったが学院についてちょいと調べたら出てきた。
ガント種について個人的に調べてるらしいから、死海に近い海域に出てた頃の話をちょろっとしたな。
あとは種族の話。
あたしは種族について聞かれたら、一言で答えるときは海棲種族、って言ってる。
詳しく話すなら「何が混じってるのかも自分でもわからんが、ざっくり海棲種族で、鱗を見るにちょっと竜っぽいとこもある」と言ってる。
このへんがまだるっこしいし、自分でも気になるから、実は自分の混血のルーツを詳しく掘ってみたいと思ってたんだよな。
……って話をしたら、スピネルも竜族だってんでびっくりした。
それっぽい特徴は隠してた(そんなのできるとも思ってなかった)からホントにびっくりしたよ!
騒がしくて入れ代わり立ち代わりいろんな奴と話してたから、その辺で話を終えちまったが……
魔法の素養の有無を調べるのがあたしの当座の目的だし、種族のことを調べたいときも、アテにできるかも?
今度学園の近くに寄ることがあれば、訪ねてみるか。
アドニラム・マタナル・サルムハル
名前合ってるか不安になるな…… 船長!
昔は海賊……というか、地域の親分だったのが、アストラヴェールに接収された今は軍属ってことらしい。
詳しくは聞いてないが、そこそこデカい規模の領地をシメてたっぽいな。
その辺踏まえたらもっと恭しく接するべき相手だったのかもしれんが、いかんせんノリが完全に船乗りによくいるタイプのおっちゃんだからな~
気づけばマブみたいなノリで話しちまった。
ま、お互い船乗りだし、立場をハッキリさせるのは万一同じ船に乗ることになったら、でいいんじゃねえかと思う。
それまでは陽気で海の話が分かって、かつ世知辛え世の中に揉まれてる、ただの酒飲み友達だ!
あ! 酒のついでの与太だが、もしあたしが死海を超える日が来たら、あたしの名を関した酒を売り出すとかなんとか喋った気がする。
世界にミアリンの酒が羽ばたく日が待ち遠しいね~
ここから下は……
エレガンティアでそうそうたる貴族の皆様がお茶会をしたらしく……
そのあとなぜだか、数人ほどミモザにいらっしゃったんだよな。
その時に話した!
本来、一介の船乗りがお目通りするような方々じゃないし、無礼がなかったか……今思うと怖え~~!
オリヴィア・ユング=フーヴッド様
ノースネイアの貴族様!
ネジさんっつー、しっっっかりした振る舞いでしかもべっぴんさんな従者を連れておいでだった。
詳細の分からん海域に向かってって中継港を作る仕事についてお話ししたが、危険な仕事だっつって労ってくださった。
あたしみたいなどこにでも転がってる平民にもお優しい方だったな~ 変な事口走ってなかったかなあたし……!?
お茶会? サロン? を卒業されるとか耳に挟んだから、たぶんこれから大きなことに挑むなりなんなりするんだろう。
中々お会いできるような方じゃないだろうが、前途に幸多いことをお祈りしたい。
ヒトを軽んじずうまく扱える奴こそ、世界の上の方に立ってほしいからな!
メラティオ・フラクタルム様
フラクタルム武装商会の商会長様!
死海を超えられたらどんなにいいかっつー、ペルベヌアの商人・船乗りがみんな思ってる話で意気投合。
同郷ってのもあってか、身体が本調子に戻ったら船乗りとして斡旋してもらえそうな流れにもなった。
フラクタルムの船には魔法が使えるやつを必ず乗せてるって話だから、
もしあたしが魔法使えたら……なおの事、将来の就職先として有望かもしれない!ラッキ~~~~!!!
あと、雇用先の話とは別だが、“ここだけの話”が聞けたのも僥倖だった。
……しかし、内容的にあたしが前見た“アレ”が脳裏をよぎったが、まぁ考えたところで真実は分からんのよな。
気にせんとこ。
ウィラ・スリア様
さる商会の副会長様!
貴い立場の方にこう思ってしまうのはアレかもだが、あたしと根っこのところは同類かもしれん、と思った。
見たことないものを見つけたい、って話にすげー乗り気だったもん。
ウィラ様とあたしは、ヒトを使って探す立場か、実際に自分が行って探す立場か、って違いがある。
ウィラ様としては、自分の足で探してみたいし、実際にそうしている者を尊敬する、とまで仰ってくださった。
光栄なことだが……あたしらが乗る船がちゃあんと帆を張って海を奔れるのは、
ウィラ様みたいな人がご自身の商会やペルベヌアの先を見通して、政治的にうまく立ち回るからこそだ。
ちょっとお話しただけで言うのもなんだが、名前だけ知ってる雲の上のお方だったのが、
実際に生身のいちニンゲンとして、改めて尊敬と感謝の念を抱いたよ。
※少しだけ話した奴とか、もっと色々いるはずなんだが……
酒が回りすぎてたか、ふんわりとしか覚えてねえや。
思い出したら書き足すことにする!
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