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小人と猫と白黒と。 その一

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shinatuki

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だれでも歓迎! 編集
「えーっと・・・、野菜は買ったから・・・、あとは鶏肉とひき肉か。
 ったく、こう言うのはギアッチョにやらせればいいじゃねぇか、今夏だし。しょおがねぇなぁー。」
そう言ってエコバック片手に、メモを見つめるどう見てもカタギに見えない男が一人。
幻想郷には似つかわしくないその男は、まさしく暗殺チームの一人、ホルマジオだった。
彼はその性格が災いしてか、よく頼みごとをされる。
自分が嫌なときはもちろん断るが、それでも大抵は引き受けるのでこうしてよく雑用を押し付けられるのだ。
まぁ、多分今回は慣れない土地で他の奴らよりは適合性があると判断されたのだろう。
実際、彼はそれなりにうまくやっていた。
先ほども、店のおばちゃんにおまけでニボシを貰った。
「ブイヨンとかに使ったりするらしいが・・・・・。」
よく分からないが、とりあえず貰っておけるものは貰っておく。
それにしてもいい天気だ。日差しが、憎々しいほど照っている。
「あちぃなぁ・・・、ここがイタリアならバールでも入って一服するところだが・・・・。」
だが、こんな閉鎖された空間にコーヒーがおいてあるとも思えないし、あったとしても味は期待できそうにない。
そんな事を考えながら、とっとと買い物を済ませて帰ろうと思ったが・・・・。
「おっ!」
店と店との間の裏路地に、何やらネコが暑さを避けて寝ているのを発見した。
「ねこだねこだ、ねこ。」
妙にうきうきした足取りで、彼はひょいひょいとネコに近づいていく。
「ほれ。」
ちっちっちっちっと舌を鳴らすが、ネコは反応しない。
だが、ホルマジオはそれくらいではあきらめない。
お持ち帰り・・・とまでは言わないが、喉くらい撫でて帰りたい。
すると、ホルマジオは先ほど店のおばちゃんにもらったものを思い出す。
そしてごそごそと、袋の中を漁り、ニボシを取り出し、ネコに差し出す。
「おい、お前、これいるか?」
ネコは、ピクッと反応する。
「ほら、やるよ。何個欲しい?四つか?五つか?このいやしんぼめ!」
ネコは人間から物を貰うのに慣れているのか、ホルマジオの手からパクッと煮干を食べた。
「おぉぉぉぉぉ・・・・・・・・・・・。」
イタリアでは死ぬ程猫に懐かれなかったホルマジオは、その様子に目を輝かせる。
すると、ニャーと言う声が別の方向から聞こえてくる。
「う・・・・嘘だろ?!」
見てみると、このネコの仲間らしきネコが大量に集まっていた。
思わずホルマジオは頬をつねる。
ネコはにゃーにゃーと鳴いて、彼にニボシを催促した。
「ほら、並べ並べ。全員に分けてやるからな、な?」
にやけながら、ホルマジオはネコ達にニボシをやる。
もし、今のホルマジオが職質を受けたとしたら、間違いなくギャングと言ってもふざけるな!と一蹴されるだろう。
それくらい、今の彼はデレデレのグダグダだった。

「もー!皆どこ行っちゃったんだよー!!」
そう言いながら彼女は道をぷんすかと歩く。
頭についた耳はピンッと張っており、尻尾は怒りのあまり激しく揺れている。
何故なら、一緒に連れてきた配下のネコ達が、全員勝手な行動をしてしまい、いなくなったのだ。
「うぅー・・・・、これじゃお使いできない・・・。」
彼女こそ八雲 紫の式の式、りっぱな妖怪、ネコマタである。
すると、彼女のとなりに現れる影が一つ。
「よう!橙!」
白と黒の服に身を包み、箒に乗った少女。
「何だ・・・、魔理沙かぁ・・・。」
「何だとは何だ。橙のくせに生意気だぞ!」
そう言って、魔理沙がグシャグシャと橙の頭を撫でる。
「ん・・・、それはそうと、何だその鞄。」
魔理沙は橙の肩から掛けられた大きな鞄を指差した。
中には棒の様なものが入っているらしく、その形になっていた。
「これは幽々子様から紫さまへのお届け物だよ。なんでも白玉楼の書庫で見つかった、危険な魔導書なんだ!
 紫様の作った専用の箱に入れて運ばなきゃとてもじゃないけど運べないくらい危険な魔導書だ!!
 私はそれを運ぶ重要な役目を担っているんだ!!
 わかったか?分かったなら私はいそがしいんだ!とっととあっちに行け!!」
しっしっと彼女は魔理沙を追い払おうとする。
「ほう・・・、そうかそうか。魔道書かぁ・・・・。」
魔理沙が、ニヤリと笑った。そして、帽子の中から瓶を取り出した。
「あらよっと!!」
それを地面に叩きつけると、その瓶から煙がもの凄い勢いで噴出した。
「にゃぁっ?!げほっ・・・げほっげほっ!!」
橙は突然のことに驚き、思いっきり煙を吸ってしまい咳き込んだ。
「けほ・・・!!」
ようやく煙が晴れる。
「ま・・・魔理沙?!一体何のつもり・・・!!」
橙は必死に魔理沙を探すが、その場に既に魔理沙の姿はなかった。
そして、橙は自分の鞄がやけに軽くなっていることに気づく。
「まままままま・・・・・まさかっ?!」
鞄の中を探ると、メモが一つ。


『そんな危険な物をお前に持たせるわけにはいかない。
  と、言うわけであずかっておくぜ! 魔理沙』

「あぁーーーーーーーーっ!!」
人間の里に、橙の悲痛な声が木霊した。

「あうぅー・・・・・、散々だぁ・・・・。」
橙は泣きそうになりながら、トボトボと歩く。
お使いは失敗するし、配下のネコ達は見つからない。
やめて!もう橙の精神的残機は一つよ!!
「どうしよう・・・、このままじゃ帰れないよ・・・・。」
落ち込んだ彼女に、みゃーと何かが鳴きかける。
「にゃあ・・・・・・。」
「あ・・・・・・。」
それは彼女の配下のネコの一匹だった。
そのネコは心配そうに橙の足元で彼女を見つめている。
「う・・・うぇぇぇぇぇ・・・・・・!どうしよぉぉぉぉぉぉ!!!」
ネコを見て少し安心したのか、橙はしゃがみこみ、ネコに抱きついた。
「どうしよぉ・・・、どうしよぉぉぉぉぉ!!」
すると、突然声が後ろから響いた。
「・・・お!お前らのご主人様か?」
その声に反応し、橙は思わず構える。
「あ?」
すると、そこいたのは頭、肩、腕、全てにネコを乗っけた、ホルマジオだった。
その様子に橙は一瞬固まるが、すぐに持ち直す。
「何だお前!!私の配下に何をした!!」
橙は爪を構えて、ホルマジオを威嚇する。
「何って・・・・・。ニボシやってたら・・、突然ぞろぞろと歩き出したからついてきたんだが。」
そう言ってホルマジオは肩に乗ったネコの喉を撫でる。
すると、ネコは気持ちよさそうにゴロゴロと鳴いた。
「なっ・・・!!嘘だ!!人間なんかに私の配下が懐くわけがない!!」
橙はそう叫び、ホルマジオに飛び掛ろうとする。
次の瞬間、感じたのは悪寒。
ホルマジオの目は、既に暗殺者のそれになっていた。
その殺意を受けてホルマジオの周囲にいたネコ達は毛を逆立てて逃げ出す。
「あ?やんのか?」
「・・・・・っ!!」
初めて受ける本気の殺意に、橙は一瞬怯える。
「ば・・・馬鹿にするな!巫女でも何でもない普通の人間が・・・・・!」
橙はホルマジオに、飛び掛った。
しかし、次の瞬間、ホルマジオの姿が消えた。
「な・・・っ?!どこだ!!」
橙はそう言って辺りを見渡す。
そして次の瞬間、彼女の首ねっこを何者かにつかまれた。
「にゃあぁっ?!何だ!!何だ?!」
「おいおい、人が何もしてないのに襲い掛かるこたぁねぇだろ・・・・。しょうがねぇなぁー。」
橙の首ねっこを掴んでいたのは、もちろんホルマジオである。
リトルフィートで小さくなり、橙の視界から姿を消し、そのまま背後に回りこんで橙を捕まえたのだ。
暗殺者である彼は気配を立つのに長けている上、橙の未熟さもあって簡単に背後を取れたのだ。
「う・・・・う・・・・うわぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
次の瞬間、橙は思いっきり泣き出した。
配下は言う事聞かないし、魔理沙に大事な本を取られるし、ただの人間にはやられる。
あまりに散々な自分に、涙止まらない。
「あ・・・あー、何だ。その。」
突然泣き出した橙に、ホルマジオは戸惑う。
(脅しすぎたか・・・?)
そう思い、ホルマジオは橙を下ろす。
「うわぁぁぁぁぁぁ!!うわぁぁぁぁぁぁぁぁん!!」
「あー、泣くな泣くな・・・。しょうがねぇなぁ~。そこの茶店でなんか奢ってやるからな、な?」
「うぇぇぇぇぇぇぇ!!」
人間の里の裏道で、猫又を慰める暗殺者と言う奇妙な光景が繰り広げられていた。



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