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東方遅体験 第九話

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前回のあらすじ

無事パッショーネに入団し、ブチャラティチームの面々と対面した霊夢
アバ茶を飲まされてしまったゆっくりとブチャラティの運命や如何に!


「大きな星が…ついたり消えたり…」
「で、こいつどうするよ」

ミスタは前回から数ヵ月の間、放心状態のままのブチャラティを一瞥して言った
言うまでもないが、アバ茶を飲んでしまったのが原因である
口に含んだ瞬間に噴き出したとはいえ、それでも彼の精神はLv3ド低能20発分のダメージを負ってしまったのだ

「こうなったらオレが愛を込めた治療を…」
「逆効果だからアバッキオは引っ込んでてください」

事の発端であるアバッキオの下心丸出しの申し出を素早く却下するフーゴ
そんな彼らをよそに、霊夢が立ち上がった

「私が何とかしてみるわ」
「一体どうするつもりだ?」

自信ありげな霊夢に尋ねるミスタ

「こっちでは、物が壊れたら叩いて直すのよね?」
「質問を質問で返すな。まあ、一部の家電はそれで直ることも…まさか」

霊夢の返答で、ミスタは彼女が何をするつもりなのかを心で理解した
だが、止めようにもすでに霊夢はブチャラティを射程距離内に捉えていた

「さっさと正気に戻りなさい!」

そう言うと、霊夢はお祓い棒による鋭い突きを、ブチャラティのみぞおちに叩き込んだ!
ブチャラティは吹き飛ばされて勢いよく壁に叩きつけられ、その場に崩れ落ちてぐったりと動かなくなった

「ずいぶんクレイジーな事をやるヤツだぜ…」

あまりの力任せっぷりに呆然とする面々
誰もが固唾を飲んで、動かなくなったブチャラティの様子を伺った
数十秒後、ブチャラティはよろめきながら起き上がった

「ハァハァ…この痛み…ハッ!オレは今まで何を…」

どうやら、霊夢の一撃によってなんとか正気に戻ることができたようだ

「忘れてるなら思い出さない方がいいわよ」
「そうだな、その方がよさそうな気がする」
(チッ…)

幸いにも、ブチャラティの中からアバ茶の記憶も消えたようだ
アバッキオは悔しそうだが…


ショックから立ち直ったブチャラティは、改めて紹介を始めた

「では、改めて紹介しよう
 彼女は我がチームの期待の新人、博麗霊夢だ
 美しい見た目とは裏腹に戦闘力はかなりのもので、あのルカやポr…ゲフンゲフン」

得意気に話すあまり、つい口を滑らせそうになるブチャラティ
話を逸らすかのように、彼は慌てて他の仲間の紹介に移った

「霊夢、こいつらは小便たれアバッキオにあほのナランチャ、それからプッツンフーゴとワキガゲーマーだ!各自、自己紹介しろ!」

慌てるあまり、使うべき言葉を思いっきり間違えたブチャラティ
当然、それを聞いた仲間達は憤慨した

「オレはあほじゃねえ!風邪だって引かないんだぞ!」
「誰がプッツン空気だゴラァ!」
「名前ですらねえ…orz」

しかし、そんな3人をよそに、アバッキオだけは割と平然としている

(泥棒猫に自己紹介なんてしたくねーが、ブチャラティがやれって言うなら仕方ねえ)
「オレはレオーネ・アバッキオ
 ブチャラティはてめーを気に入ってるみたいだが、いい気になるんじゃねーぞ!
 ブチャラティの生涯の右腕はオレなんだからな!」
(何言ってるのこの人…)


アバッキオの発言に、さすがの霊夢も引き気味だ
他の3人も、怒りを抑えてアバッキオの後に続いた

「オレはナランチャ・ギルガ!このチームで最強なのはオレだからな!」
「パンナコッタ・フーゴです。空気とか影が薄いとか絶対に言わないでくださいね」
「グイード・ミスタだ。オレの腋はハーブの香りだ。よろしくな」
「よろしくね(ガチホモと⑨と空気とワキガね…覚えたわ)」

「よし、全員済んだな。では…」

4人全員の自己紹介が済んだ事を確認するブチャラティ
だが、霊夢はブチャラティの言葉を遮る

「待ってブチャラティ。遅かれ早かれ分かる事だし、せっかくだからこの子も紹介しておくわ」

そう言って、霊夢はゆっくりを出した

「ゆっくりしていってね!!!」

いきなり現れた奇妙な何かに驚く4人

「………………!(これは…何か分からんが可愛いじゃねーかチクショウ!)」

心を鷲掴みにされたアバッキオ

「なんだコイツ!食えるのか?」

ゆっくりに近づいて匂いを嗅ぎ始めるナランチャ

「ひょっとしてスタンド…ですか?」
「なんか微妙にムカつく面だな」

冷静にゆっくりを観察するフーゴとミスタ
霊夢は彼らにゆっくりを紹介した

「この子は私のスタンドだけど、私から独立した知能と人格を持ってるの
 だから、この子にも一人の仲間として接してあげてくれないかしら」
「ゆっくりなかよくしていってね!!!」

霊夢の言葉にうなずく面々

「こいつほんのり甘い匂いがするぜ。でも微妙に臭いような…」
「初対面の我々にスタンドを見せるあなたの誠意に、ぼくは敬意を表するッ!」

「ピストルズに少し似ているな…チームのマスコットの座が…」
「そ、そういうことならしょうがねーな(あのアマのスタンドのくせに愛らしい…)」

そう言って、アバッキオは厨房に向かっていった

ゆっくりは割とすんなり受け入れられたようだ
その様子を微笑みながら見つめるブチャラティ

「こいつには何か人に認めr」
「それは前回ぼくが言いました」
「………………」

フーゴに決め台詞を取られて凹むブチャラティ
そこに、アバッキオが厨房から戻ってきた
手にはティーカップを持っている

「おい、これを飲んでみろ
 べ、別にオマエのために淹れ直してやったわけじゃねーからな!」

そう言って、アバッキオはゆっくりにカップを近づけようとした
どうやら今度はちゃんとした紅茶のようだ
しかし、アバッキオが近づくとゆっくりは目に涙を浮かべて後ずさりした

「ゆ゙……ゆ゙……」
(な…なんだ?コイツにいきなり嫌われるような事はしてないはずだが…)

普通は本体にあんな物を飲ませれば嫌われて当然だろう
おまけに、ゆっくり自身が霊夢の身代わりにされてアバ茶を飲み干す事になったのだから尚更である

「なんか怯えてるみたいだな。嫌われてやんの!」
「うるせぇぞナランチャ!おい新入り!テメースタンドの教育がなってねーぞ!」

嫌われたショックで周りに当たり散らすアバッキオ
そんな彼を、ブチャラティは制止した

「そこまでだ!これ以上は時間を無駄にできない
 これからすぐにとある場所に向かわなくてはならないからな!」
「どこへ行かれるのですか?(ドミネ・クオ・ヴァディス)」

ブチャラティに尋ねるフーゴ

「最終的な目的地はまだ言えないが、まずは港へ向かう
 そこに用意してある船で目的地に移動するつもりだ。それでは行くぞ!」

そして、ブチャラティチームは港へ向かっていった


一方その頃、場面は変わってとある市街地
二人の男が、ドライブをしている
運転手の男は、赤い帽子と青いオーバーオールを着用し、顔に付け髭をつけている
助手席に座るもう一人は、うっすらと影がかかっていて姿がよく分からない…ということにしておこう
ふと、助手席に乗っていた男が口を開いた

「今さっき聞いた情報なんだがよー、幹部連中が騒いでる…『ポルポ』が『失踪』したってな!」
「『失踪』?あのピザがか?」

運転手の男が驚きつつも車に付いているスイッチを操作すると、バナナの皮が車体の後方に射出された
それを踏んだ後続車はスリップして失速し、その車に他の車が次々に衝突していった

「普通の奴はマジで失踪したと思っているようだが、あのデブが牢獄から出れるなんてありえねえ」
「どこかの『スタンド使い』にバラされたってとこか」

車はカーブにさしかかったが、運転手はスピードを落とさずにカーブに突っ込み、見事なドリフトで曲がった
しかし、急に飛び出してきた彼らの車を避けようとした対向車は、他の車や歩道に次々に突っ込んでいった

「それよりだな…ポルポの財産のうわさ…知ってるか?
 ポルポは牢獄に入る前、自分の財産を少しばかり宝石とか金塊に変えてどっかに隠したってウワサなんだ!
 ポルポが生きてる時は、誰も盗もうとか探そうとする命知らずはいないな…
 しかし、死んだ今となっては、そういうカネは誰のものでもない!『フリーなカネ』だ!
 つまり最初にてにした者のカネってわけさッ!
 金額にして4億とか言われてるぜ」
「4億円?もしそんだけのカネがありゃあ、残機が400万機は増えるな」

金額を聞いて興奮した運転手は、さらに別のスイッチをいじり、前方に巨大な亀の甲羅を射出した
前を走る自動車が甲羅に弾き飛ばされて次々にスリップしていく

「で、こっからはオレだけの考えなんだが、もしポルポがマジに4億もの金塊を安全な所に隠そうとするならだ…
 あの『体』だぜ、ひとりで外出できるかどーかっつーデブだぜ。ひとりで隠せると思うか?
 誰かにやらせたと思うんだ。口の固い誰かにな…ポルポはネアポリスのブチャラティを気に入っていた…
 隠し財産がマジに存在するってえなら!オレの考えではブチャラティが動くはずなんだ…
 フリーになった『4億』を回収しになあ~、ブチャラティだって金は欲しいだろうからよォ~」

話していた男がふと運転席を見ると、運転手の男はいつの間にかいなくなっていた

「おいッ!ズッケェロ!」

残された男は慌ててハンドルを握ったが、対向車が目前に迫っている
避けられないと悟った男がスイッチを押すと、なんと車体は宙に舞い、対向車を飛び越えた
男は一息ついて呟いた

「行っちまったよ、ズッケェロのヤツめ~っ。マジに信じたのか!
 それにしても、あの妙なコスプレと運転はどうにかならないもんか…車も改造されちまったし」

相方ズッケェロを心配するより、行動に愚痴をこぼす男
そのズッケェロは、ブチャラティの行方を追って港へと向かっていった…

東方遅体験
第9話 「遺産だってさ」「おお、ほしいほしい」
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