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東方魔蓮記 第五話

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雲山とディアボロの戦いから少しの時間の経過後・・・

「わかった。今後集落内であまり能力は発揮しないようにしておこう。」
「ああ、お前の能力がどれくらいの規模か想像がつかないからな。」
命蓮寺内で会話する慧音とディアボロ。
あの戦いを見た慧音は、ディアボロに人里の中でなるべく能力を使わないようお願いした。
気象と炎。少なくともその二つを操る彼には注意が必要だと判断したからだ。
ついでに、あの後雲山はクレイジーダイヤモンドで治しておいた。

「どうだ?治療の効果は?」
「『抜群だ』と言っています・・・貴方の能力は攻撃用だけでなく治療もあったのですね。」
「ああ。あと、敬語はしなくていいと食事のときに言ったはずだが。」
「私はこのままでいいです。」
「・・・好きにしろ。」
一輪と雲山との会話を交わした後、ディアボロは白蓮の部屋に向かう。

「白蓮、いるか?」
呼びかけるも返事がない。それを確認したディアボロはふすまをあける。
「(いないということは住職としての仕事の最中だろう。大して気にすることもない。)」
彼の予想どおり、部屋には亀しかいない。ディアボロは亀に近寄り、背中の宝石に触れて亀の中に入る。
ソファーに座ると、DISCケースを取り出して中身の整理をしながら昨日の出来事を振り返る。
「(今振り返れば、昨日の出来事はあっという間に過ぎていったな・・・)」
紫との出会いとの中で辿りついた幻想郷。そして出会った星とナズーリン、そして白蓮達。
昨日の数時間のなかで、出会いがかなりあった。そして、二つの戦いもそこにあった。
ふと、ある吸血鬼の言葉を思い出す。
『君は引力を信じるか?』
この言葉での引力は実際の引力とは違う。人と人は引力という運命によって出会うという意味である。
まさにその通りだ、とディアボロは心のうちで思いながらもDISCの整理を終える。

「・・・ふう。」
軽いため息をつきながら、三枚のDISCを取り出す。『ヘビーウェザー』『メイドインヘブン』ともう一枚のDISC。
これらはあえて元から切り離しておいた。
ダンジョンから脱出し、ボヘミアン・ラプソティーで絶頂の日々を取り戻した後、DISCを整理していたとき偶然発見したことがあった。
『元が一つのスタンド、あるいはスタンドとその能力』のDISCを一緒にいれ、取り出すと一枚にまとまっていた。
さらに、能力も問題なく発揮できることを確認した彼は可能な限りまとめていった。
しかし、ヘビーウェザーは制御不能、メイドインヘブンはそのままでは使えないと判断した彼はそのままケースに入れた。
そして取り出したある一枚のDISC。ディアボロはそれを見つめると少し考え、そのままケースに入れた。
そのDISCは今の彼とは切り離せない関係。他のスタンドDISCより大事なもの。
「・・・・・」
何もすることがない。しょうがないから何処かに出かけようかと思ったが、いきなりいなくなったら驚くだろう。
そう考えたディアボロは、ソファーから降りると亀の中から出た。
そしてふすまに手を掛けたのだが・・・
「・・・・(誰かふすまの向こうにいる。)」
エピタフで確認すると、命蓮寺に住む者でも慧音でもない女性が見えた。
赤と青のオッドアイ。持っている傘には目と口、さらには口から舌が出ている。
女性の行動を見る限り、出てくるのを待っているようだ。
「(いたずらで驚かす気か?面白い。逆に驚かせてやろう。)」
ディアボロは一枚のDISCと、あるものをとりだす。そして、キングクリムゾンでふすまを開く。
「恨め・・・あれ?誰もいない・・・。」
女性は部屋を見渡し、地面に落ちているものに気がつく。
「これ・・・鏡?」
じーっとその鏡を見ていると、鏡に女性にとっては見慣れない男が突然映る。
「!?」
後ろを振り返るも誰もいない。 男・・・ディアボロは、『鏡の中』にいるためだ。
マン・イン・ザ・ミラー。
かつてディアボロが組織の頂点に君臨していたとき、彼を裏切ったチームの暗殺者の一人が使っていたスタンド。
『鏡の中』にほぼ同じ世界を作り上げ、許可したものを鏡の中にひきずりこむことができる。
「え・・・え?」
何度鏡と後ろを見てもディアボロは鏡にしかいない。
「マン・イン・ザ・ミラー。あの女の侵入を許可する。但し、傘は駄目だ。」
ディアボロのその言葉とともに、マン・イン・ザ・ミラーが女性を引きずり込む。
「な・・・」
悲鳴を上げる間もなく、女性は鏡の中に引きずり込まれる。後に残ったのは、女性が所持していた傘だけだった。

「あれ?ここって・・・」
「鏡の中の世界だ。」
その言葉に振り返ると、先ほど鏡にだけ映っていたディアボロが女性の前にいた。
「鏡の・・・なか?」
「そうだ。お前の傘は許可しなかったからここにはない。」
その言葉に気がついて周囲を見渡すも、ディアボロの言葉どおり傘はない。
それに気がつき、困惑する女性。
「さて、お前は何者だ。」
「多々良 小傘(たたら こがさ)よ。貴方は?」
「ディアボロだ。」
「変な名前・・・それより、ここから出してくれる?」
「質問の返答次第だ。正直に答えていないと判断したらお前が困ることになるからな」
ディアボロの言葉に少々不機嫌になりながらも、早く出るために質問に答えることにする小傘。
「一つ目の質問だ。『なぜ命蓮寺の住職の部屋の前にいたか』」
「ただ彼女に会いに来ただけ。」
なんか怪しいと判断したディアボロは、一枚のDISCを自分の中に入れると・・・
「本当か?なんか怪しいな。」
なんと小傘のおでこに自分の手を入れたのだ。妖怪ですらしないようなことに小傘は驚く。
「止めて止めて止めて!お願いだから止めて!」
自分のおでこに手を入れられる感触はかなり不快だろう。小傘もその不快な感触を嫌がっているのだ。
両手で腕を押して手を出させようとするが、それをキングクリムゾンが止める。
ディアボロがおでこから手を出した瞬間、なんと小傘は目が見えなくなったような行動をしだす。
「あれ?あれ?あれ?」
ディアボロの手には一枚のDISC。彼は小傘の視覚をDISCにして取り出したのだ。
「お前の視覚を奪った。お前は今、何も見えていない。次は動けない状態にするぞ。」
ディアボロの言葉に、小傘は正直に質問に答えざるを得なくなる。
そのまま正直に答えないでいると、いずれ聴覚以外の全ての感覚を失いかねないからである。
「何故部屋の前にいた?」
「ちょっと誰か驚かそうかなって・・・」
質問に答えてはいるが、その顔は少し焦りを隠しきれていない。
「何で驚かす?普通、妖怪は人の身体を食べるものだろう。」
「私は身体じゃなくて心を食べるのよ。人を驚かせて、そのときの心を食べるの。」
「(そんな種類の妖怪もいるのか・・・)」
「だけど最近誰も驚いてくれなくて・・・」
小傘はため息をつく。
「そうか。」
それを聞いて、ディアボロは視覚のDISCを小傘の頭に挿す。
「ああ・・・また見えるようになった・・・」
ほっとする小傘。ディアボロは危害を加えることがないと判断し、鏡の外に出すことにした。

「おい」
外に飛んでいこうとする小傘にディアボロは声を掛ける。
「何?」
「他人を驚かすなら、『気づかれず背後から』驚かしてやれ」
暗殺者も気づかれずに相手を始末する。彼は、かつて死闘を繰り広げたある男を思い出していた。
「それが上手に驚かすコツの一つだ」
その言葉を聞き、『いいことを聞いた』と言わんばかりの表情をする小傘。
「教えてくれてありがと。お礼に、いつか貴方を驚かせてあげる」
そういって飛び去っていく小傘。それを見てディアボロはこう思った。
「(それができるなら・・・な。)」

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