ディスクブレイカー☆フラン『神遊び‐勝者はただひとり』 OPテーマ 水樹奈々『MARIA&JOKER』
「とりあえず、飲んでちょーだいな」
諏訪子は、緑茶を急須から4つの湯呑みへと注いで、お茶請けのお菓子と共にちゃぶ台に置いた。
咲夜たち三人と諏訪子は社殿の中、ちゃぶ台を挟んで対面している。
「それで、貴方たちの目的はこれで間違いないよね?」
諏訪子はお茶を一口で飲み干して、ちゃぶ台の上に春水晶を置いた。
春水晶を見た咲夜の目が、わずかに動く。
「おっと、時を止めても駄目だよ。今ここは結界が張られてて出られないからね」
諏訪子は咲夜に釘をさして、自分の湯呑みに熱い茶を注ぐ。
「ところで咲夜さん。貴女……レミリアと恋仲だって噂が流れてるけど、それ本当なの?」
唐突な質問に、茶を飲んでいる最中の咲夜はむせてしまった。
「ごほっ、ごほっ……ど、どうしてそれを……」
「風の噂で聞いたのよ。で、どうなの? 『ABC』で言うところのどこまで行ったの?」
諏訪子に言い寄られ、顔を真っ赤にする咲夜。
「そ……そんなこと言うわけないじゃないですか……」
必死に顔を横に振る咲夜。鼻血がボタボタと落ちて服にシミを作る。
「え~。つまんないの」
さもつまらなさそうに諏訪子はお茶を飲む。茶を飲みながら、諏訪子はこれで時止めのイカサマを封じることができた、とほくそ笑んだ。
一連の話を聞いていたチルノは、琢馬の隣に座った。
「ねぇ、『ABC』って、何?」
「アルファベットの出だし三文字のことだ。いわゆる『あいうえお』だ」
チルノの耳打ちに、琢馬は眉一つ動かさずに答える。
「まったく……こんな時になんて会話をしてんだコイツは……」
小声でぼやきながら、琢馬は怪訝な表情で諏訪子を観察する。
諏訪子は琢馬たちに背を向けて、段ボール箱の中をあさっている。
「さて。本題に入りましょう。あなた達には私とゲームで戦ってもらうわ」
振り向きながら、諏訪子はちゃぶ台の上にトランプを置いた。
「これから、この春水晶を巡って、ゲームをしましょう」
諏訪子はちゃぶ台の上にトランプを広げる。
きれいにトランプは広がり、一番上にスペードのAが位置し、順番にトランプが並び、最後に2枚のジョーカーが位置している。
広げられたトランプは年季が入ったものらしく、よく見るとシミや傷があちこちにある。
琢馬はそれをぎらぎらした目で見つめる。
「そんな怖い目で見ないでよ君。このトランプには術とかかけてないよ」
「いや、広げられたトランプの並びが開けたばかりの新品と同じだったからな。このトランプを使って遊んでいる奴はよほど几帳面に違いない。そう思っただけだ」
「いやいや、貴方たちが来る前に並べなおしただけだって」
訝しげにトランプを見つめる琢馬の前で、諏訪子はおどけて首を横に振る。
そしてトランプをさっとまとめ、山札にする。
山札をきっちり2分の1に分け、慣れた手つきで二つの山札を持つ。
バラバラバラバラ……と音がして両方の山札のカードが一枚づつ重なっていく。
いわゆるリフルシャッフルである。
諏訪子はそれを続けて7回やる。
「さて、今回やるゲームは、ババ抜きだ……と言ってもただのババ抜きじゃない。『最後に手札が残っていた者が勝つババ抜きだ』」
諏訪子はそう宣言し、山札の一番上を三人の背後にある出入り口に張った。
「ルールは簡単。私含めた4人でババ抜きをする。ゲームが終わった時、あなたたち3人がカードを持っていたらあなたたちの勝ちよ」
諏訪子は簡単にルールを説明し、札を配ろうとする。
そこに、チルノが割って入った。
「ごめん。全然わからないや」
チルノの質問に諏訪子は手を止めた。
「もっとわかりやすく言うと、さっき後ろの障子にカードを貼ったでしょ? ババ抜きが終わった時に、あのカードと同じ数のカードを持っていた人が勝ち。OK?」
諏訪子に説明されて、チルノは障子に張られたカードを見る。
「でもカード裏返しだよ?」
次にチルノは諏訪子を見る。
チルノの質問に諏訪子はチッチッ、と指を振る。
「わからないから面白いんじゃない。さ、ゲームを始めましょうか」
諏訪子は素早くカードを配り始める。
山札は4人分の手札に分けられた。
配られた手札を見て、咲夜は違和感を感じた。
咲夜の手札は全てダイヤなのだ。
「…………」
黙って咲夜は隣で手札を見つめる琢馬を見る。
少し角度を変えて、琢馬の手札を覗き見る。ハートマークばっかりであった。
「何か仕込んでいるわね……」
咲夜は視線を元に戻した。チルノから手札を一枚抜き取る。
クラブのAを抜き取った。
咲夜はそれをハートのAと共に捨てる。
琢馬は黙って咲夜の手札に手を伸ばした。
抜き取るカードは一番左端にあるハートのK。
それをダイヤのKと共に捨てる。
琢馬は黙ったまま手札を諏訪子の方へ向ける。
諏訪子はハートのJを抜き取った。
そしてスペードのJと共にカードを捨てる。
「さて……」
諏訪子はスペードのJを捨てて、他の3人の手札を見る。
「チルノが持っているのはクローバーのカード……Aが抜けているわね……」
諏訪子は手札の中のスペードのAをずらして、一枚に見えるようにする。
チルノは諏訪子の手札に手を伸ばす。
「へへ……どれにしようかな~」
抜き取ったカードは、スペードの3。
チルノはそれをクローバーの3と組み合わせて捨てる。
そんな調子で、ゲームは数分続いた。
最初に上がったのはチルノ。続いて咲夜が上がる。
残るは諏訪子と琢馬の2人。
「さて……プレイヤーが2人になったところで、一つ聞きたいことがある。君は必ず自分の手札に余りの一枚が来るように、なおかつその余りの一枚が何かわかるように仕込んだね?」
琢馬は、手札を持ったまま諏訪子を見つめた。
「何のことかな……?」
諏訪子ははぐらかして、ハートの4を取る。
「パーフェクトシャッフル……君はリフルシャッフルを8回行って、トランプの順番をシャッフルされる前に戻しただろう? となると一番上に来るカードはジョーカーだ。一枚足りな
いのはジョーカーだ」
琢磨は、諏訪子の持つジョーカーを抜き取った。
「博識ね」
諏訪子は冷静にジョーカーを抜き取る。
「他にも、君はトランプ自体にも仕込んであるだろう?」
琢馬は再びジョーカーを抜き取った。
「……なんのことかしら?」
諏訪子はジョーカーを抜き返し、茶を飲む。
「一見なんてことないトランプの裏についているシミや傷には、一定の法則がある。シミの数がトランプの絵柄を表し、傷の形がトランプの数を表しているんだ」
琢馬は諏訪子の手札からスペードのAを抜き出して、捨てる。
「この短時間でよくここまで見抜いたわね。でも、どうやってその組み合わせの秘密を見抜いたの?」
「簡単なことだ。パーフェクトシャッフルで順番が元に戻っているなら、まず最初に君の手札にジョーカーがくる。続いてクラブのKがチルノの手札になり、ダイヤのKが咲夜の手札に
なり、ハートのKが僕の手札になり、そしてスペードのKが君の手札になる」
諏訪子は琢馬の手札からハートの5を取って、スペードの5と一緒に捨てる。
彼女の手札にはジョーカーと、スペードのQが残るのみ。
琢馬の手札には、ハートのQが残る。
「記憶力には自信があってね。すでに全てのパターンを把握している」
琢馬は諏訪子の手札からジョーカーを抜き取る。
いついかなる時でもジョーカーを正確に抜き取る琢馬。
それを見て諏訪子は、笑ってため息をついた。
「アンタの勝ちよ。少年」
諏訪子は、琢馬の手にあるハートのQを抜き取った。
そしてハートのQをスペードのQと共に捨てた。
琢馬は黙してちゃぶ台の上に安置してある春水晶を持ち、ジョーカーを背後の障子に張ってあるカードに合わせる。
二枚のカードは地面に落ちて、障子がひとりでに開いた。
三人は靴を履いて、夜の境内に立つ。
「無事に春水晶も手に入りましたね。後は帰るのみです」
咲夜は楽観的に微笑み、琢馬の持つ春水晶を見る。
「真っ先に上がれたあたいはさいきょーね!」
終始ルールを理解していなかったチルノは駆け出して参道の階段を降りはじめる。
琢馬は……険しい表情を崩さなかった。
「どうしました?」
ずっと険しい表情のままの琢馬を、咲夜は見る。
よくよく考えてみると、琢馬は境内で合流してからずっとこの物騒な表情だ。
突然、琢馬は振り向いた。
琢馬の視線の先には、神社の瓦の上に立つ神奈子の姿。
屋根の上から2人を見下ろす神奈子の表情は、不敵な表情だった。
彼女の周囲に4つのオンバシラが浮かび上がる。
「……来るか!」
琢馬は『The・Book』を発動させた。
←To be continued... EDテーマ 六弦アリス『守るべきもの』
「とりあえず、飲んでちょーだいな」
諏訪子は、緑茶を急須から4つの湯呑みへと注いで、お茶請けのお菓子と共にちゃぶ台に置いた。
咲夜たち三人と諏訪子は社殿の中、ちゃぶ台を挟んで対面している。
「それで、貴方たちの目的はこれで間違いないよね?」
諏訪子はお茶を一口で飲み干して、ちゃぶ台の上に春水晶を置いた。
春水晶を見た咲夜の目が、わずかに動く。
「おっと、時を止めても駄目だよ。今ここは結界が張られてて出られないからね」
諏訪子は咲夜に釘をさして、自分の湯呑みに熱い茶を注ぐ。
「ところで咲夜さん。貴女……レミリアと恋仲だって噂が流れてるけど、それ本当なの?」
唐突な質問に、茶を飲んでいる最中の咲夜はむせてしまった。
「ごほっ、ごほっ……ど、どうしてそれを……」
「風の噂で聞いたのよ。で、どうなの? 『ABC』で言うところのどこまで行ったの?」
諏訪子に言い寄られ、顔を真っ赤にする咲夜。
「そ……そんなこと言うわけないじゃないですか……」
必死に顔を横に振る咲夜。鼻血がボタボタと落ちて服にシミを作る。
「え~。つまんないの」
さもつまらなさそうに諏訪子はお茶を飲む。茶を飲みながら、諏訪子はこれで時止めのイカサマを封じることができた、とほくそ笑んだ。
一連の話を聞いていたチルノは、琢馬の隣に座った。
「ねぇ、『ABC』って、何?」
「アルファベットの出だし三文字のことだ。いわゆる『あいうえお』だ」
チルノの耳打ちに、琢馬は眉一つ動かさずに答える。
「まったく……こんな時になんて会話をしてんだコイツは……」
小声でぼやきながら、琢馬は怪訝な表情で諏訪子を観察する。
諏訪子は琢馬たちに背を向けて、段ボール箱の中をあさっている。
「さて。本題に入りましょう。あなた達には私とゲームで戦ってもらうわ」
振り向きながら、諏訪子はちゃぶ台の上にトランプを置いた。
「これから、この春水晶を巡って、ゲームをしましょう」
諏訪子はちゃぶ台の上にトランプを広げる。
きれいにトランプは広がり、一番上にスペードのAが位置し、順番にトランプが並び、最後に2枚のジョーカーが位置している。
広げられたトランプは年季が入ったものらしく、よく見るとシミや傷があちこちにある。
琢馬はそれをぎらぎらした目で見つめる。
「そんな怖い目で見ないでよ君。このトランプには術とかかけてないよ」
「いや、広げられたトランプの並びが開けたばかりの新品と同じだったからな。このトランプを使って遊んでいる奴はよほど几帳面に違いない。そう思っただけだ」
「いやいや、貴方たちが来る前に並べなおしただけだって」
訝しげにトランプを見つめる琢馬の前で、諏訪子はおどけて首を横に振る。
そしてトランプをさっとまとめ、山札にする。
山札をきっちり2分の1に分け、慣れた手つきで二つの山札を持つ。
バラバラバラバラ……と音がして両方の山札のカードが一枚づつ重なっていく。
いわゆるリフルシャッフルである。
諏訪子はそれを続けて7回やる。
「さて、今回やるゲームは、ババ抜きだ……と言ってもただのババ抜きじゃない。『最後に手札が残っていた者が勝つババ抜きだ』」
諏訪子はそう宣言し、山札の一番上を三人の背後にある出入り口に張った。
「ルールは簡単。私含めた4人でババ抜きをする。ゲームが終わった時、あなたたち3人がカードを持っていたらあなたたちの勝ちよ」
諏訪子は簡単にルールを説明し、札を配ろうとする。
そこに、チルノが割って入った。
「ごめん。全然わからないや」
チルノの質問に諏訪子は手を止めた。
「もっとわかりやすく言うと、さっき後ろの障子にカードを貼ったでしょ? ババ抜きが終わった時に、あのカードと同じ数のカードを持っていた人が勝ち。OK?」
諏訪子に説明されて、チルノは障子に張られたカードを見る。
「でもカード裏返しだよ?」
次にチルノは諏訪子を見る。
チルノの質問に諏訪子はチッチッ、と指を振る。
「わからないから面白いんじゃない。さ、ゲームを始めましょうか」
諏訪子は素早くカードを配り始める。
山札は4人分の手札に分けられた。
配られた手札を見て、咲夜は違和感を感じた。
咲夜の手札は全てダイヤなのだ。
「…………」
黙って咲夜は隣で手札を見つめる琢馬を見る。
少し角度を変えて、琢馬の手札を覗き見る。ハートマークばっかりであった。
「何か仕込んでいるわね……」
咲夜は視線を元に戻した。チルノから手札を一枚抜き取る。
クラブのAを抜き取った。
咲夜はそれをハートのAと共に捨てる。
琢馬は黙って咲夜の手札に手を伸ばした。
抜き取るカードは一番左端にあるハートのK。
それをダイヤのKと共に捨てる。
琢馬は黙ったまま手札を諏訪子の方へ向ける。
諏訪子はハートのJを抜き取った。
そしてスペードのJと共にカードを捨てる。
「さて……」
諏訪子はスペードのJを捨てて、他の3人の手札を見る。
「チルノが持っているのはクローバーのカード……Aが抜けているわね……」
諏訪子は手札の中のスペードのAをずらして、一枚に見えるようにする。
チルノは諏訪子の手札に手を伸ばす。
「へへ……どれにしようかな~」
抜き取ったカードは、スペードの3。
チルノはそれをクローバーの3と組み合わせて捨てる。
そんな調子で、ゲームは数分続いた。
最初に上がったのはチルノ。続いて咲夜が上がる。
残るは諏訪子と琢馬の2人。
「さて……プレイヤーが2人になったところで、一つ聞きたいことがある。君は必ず自分の手札に余りの一枚が来るように、なおかつその余りの一枚が何かわかるように仕込んだね?」
琢馬は、手札を持ったまま諏訪子を見つめた。
「何のことかな……?」
諏訪子ははぐらかして、ハートの4を取る。
「パーフェクトシャッフル……君はリフルシャッフルを8回行って、トランプの順番をシャッフルされる前に戻しただろう? となると一番上に来るカードはジョーカーだ。一枚足りな
いのはジョーカーだ」
琢磨は、諏訪子の持つジョーカーを抜き取った。
「博識ね」
諏訪子は冷静にジョーカーを抜き取る。
「他にも、君はトランプ自体にも仕込んであるだろう?」
琢馬は再びジョーカーを抜き取った。
「……なんのことかしら?」
諏訪子はジョーカーを抜き返し、茶を飲む。
「一見なんてことないトランプの裏についているシミや傷には、一定の法則がある。シミの数がトランプの絵柄を表し、傷の形がトランプの数を表しているんだ」
琢馬は諏訪子の手札からスペードのAを抜き出して、捨てる。
「この短時間でよくここまで見抜いたわね。でも、どうやってその組み合わせの秘密を見抜いたの?」
「簡単なことだ。パーフェクトシャッフルで順番が元に戻っているなら、まず最初に君の手札にジョーカーがくる。続いてクラブのKがチルノの手札になり、ダイヤのKが咲夜の手札に
なり、ハートのKが僕の手札になり、そしてスペードのKが君の手札になる」
諏訪子は琢馬の手札からハートの5を取って、スペードの5と一緒に捨てる。
彼女の手札にはジョーカーと、スペードのQが残るのみ。
琢馬の手札には、ハートのQが残る。
「記憶力には自信があってね。すでに全てのパターンを把握している」
琢馬は諏訪子の手札からジョーカーを抜き取る。
いついかなる時でもジョーカーを正確に抜き取る琢馬。
それを見て諏訪子は、笑ってため息をついた。
「アンタの勝ちよ。少年」
諏訪子は、琢馬の手にあるハートのQを抜き取った。
そしてハートのQをスペードのQと共に捨てた。
琢馬は黙してちゃぶ台の上に安置してある春水晶を持ち、ジョーカーを背後の障子に張ってあるカードに合わせる。
二枚のカードは地面に落ちて、障子がひとりでに開いた。
三人は靴を履いて、夜の境内に立つ。
「無事に春水晶も手に入りましたね。後は帰るのみです」
咲夜は楽観的に微笑み、琢馬の持つ春水晶を見る。
「真っ先に上がれたあたいはさいきょーね!」
終始ルールを理解していなかったチルノは駆け出して参道の階段を降りはじめる。
琢馬は……険しい表情を崩さなかった。
「どうしました?」
ずっと険しい表情のままの琢馬を、咲夜は見る。
よくよく考えてみると、琢馬は境内で合流してからずっとこの物騒な表情だ。
突然、琢馬は振り向いた。
琢馬の視線の先には、神社の瓦の上に立つ神奈子の姿。
屋根の上から2人を見下ろす神奈子の表情は、不敵な表情だった。
彼女の周囲に4つのオンバシラが浮かび上がる。
「……来るか!」
琢馬は『The・Book』を発動させた。
←To be continued... EDテーマ 六弦アリス『守るべきもの』