橋本陽馬と禪院直哉の戦い。
単純な勝負のダイヤグラムを考えれば、圧倒的なまでに直哉に分がある。
確かに、陽馬も常人からすればはるかに常軌を逸したトレーニングをしたり、
行動をしていたと言うのは少なくとも、彼の日常を知る人間からは納得できるだろう。
そしてファットガムはオールマイトやエンデヴァーと言った名だたるヒーローには劣るが、
それでもヒーローと言う職業がほぼ、全員当たり前のように志望するぐらいの世界において、
ランキングで58位にランクインする程度には、ヒーロー社会においては十分上に位置するぐらいの肉体である。
単純な勝負のダイヤグラムを考えれば、圧倒的なまでに直哉に分がある。
確かに、陽馬も常人からすればはるかに常軌を逸したトレーニングをしたり、
行動をしていたと言うのは少なくとも、彼の日常を知る人間からは納得できるだろう。
そしてファットガムはオールマイトやエンデヴァーと言った名だたるヒーローには劣るが、
それでもヒーローと言う職業がほぼ、全員当たり前のように志望するぐらいの世界において、
ランキングで58位にランクインする程度には、ヒーロー社会においては十分上に位置するぐらいの肉体である。
だが直哉は呪術師、しかも元は御三家とさえされる禪院家であり等級も一級レベル。
加えて彼の術式である投射呪法は扇とも甚壱とも違って、それ自身に攻撃力を伴わない。
最終的ものを言うのはフィジカルによる肉弾戦。そう、それは彼が焦がれた男と同じものになる。
流石の直哉も(本人は絶対認めないだろうが)100%この体を扱えるものではないと理解していても、
根本的な戦術が変わってるわけではない。戦い慣れしてる経験値は完全に直哉の方が上だった。
そのうえでファットガムは特別素早い身体と言うわけではない。
加えて彼の術式である投射呪法は扇とも甚壱とも違って、それ自身に攻撃力を伴わない。
最終的ものを言うのはフィジカルによる肉弾戦。そう、それは彼が焦がれた男と同じものになる。
流石の直哉も(本人は絶対認めないだろうが)100%この体を扱えるものではないと理解していても、
根本的な戦術が変わってるわけではない。戦い慣れしてる経験値は完全に直哉の方が上だった。
そのうえでファットガムは特別素早い身体と言うわけではない。
「ガッ───」
故に彼が拳を突き出せども先にミドルキックが叩き込まれ、
「グッ……」
巨体で押しつぶそうとしても蹴り上げにより打ち上げられ、
「アホくさ。ド素人ならはよ這いつくばって死んどけ。」
迫る巨体を前にしても、髪をかき上げながら拳の乱打で返す。
もはや見る必要すらない、そういわんばかりに視線も向けず苛烈な攻撃を仕掛けていく。
与えた攻撃は優に数十、学生時代とは言え五条、夏油を下した肉体であるならば、
ミンチになっているのがしかるべきところではあるが、そうはならないのがファットガムの個性。
周囲に被害が出るであろう大爆発であっても、自身が盾になっても死ぬことはないタフさは此処での強みだ。
もはや見る必要すらない、そういわんばかりに視線も向けず苛烈な攻撃を仕掛けていく。
与えた攻撃は優に数十、学生時代とは言え五条、夏油を下した肉体であるならば、
ミンチになっているのがしかるべきところではあるが、そうはならないのがファットガムの個性。
周囲に被害が出るであろう大爆発であっても、自身が盾になっても死ぬことはないタフさは此処での強みだ。
「甚爾君なら瞬殺やろうに……ホンマ、ドブカスのせいで甚爾君が穢されてかなわんなぁ。」
幼いころに見た男の存在は、彼にとってはすべてを凌駕する。
ともすれば、信じる神を崇める敬虔な信者のような扱いにすら近い。
この身体は絶対最強だ。自分のせいで負けるようなことがあってはならない。
だと言うのに未だにこの肥満体に勝てない。最初からずっと苛立ちが止まらないでいた。
真希にボコボコにされ、有言実行のごとく後ろから刺され、呪霊として祓われ、
あまつさえこの身体での殺し合いだ。フラストレーションのメーターなど既に振り切れている。
今にも脳の血管がブチブチと切れてしまってもおかしくはなかった。
ともすれば、信じる神を崇める敬虔な信者のような扱いにすら近い。
この身体は絶対最強だ。自分のせいで負けるようなことがあってはならない。
だと言うのに未だにこの肥満体に勝てない。最初からずっと苛立ちが止まらないでいた。
真希にボコボコにされ、有言実行のごとく後ろから刺され、呪霊として祓われ、
あまつさえこの身体での殺し合いだ。フラストレーションのメーターなど既に振り切れている。
今にも脳の血管がブチブチと切れてしまってもおかしくはなかった。
「使え、と言うつもりはないが、何故刀を使わない……?」
さっきからずっと肉体だけの戦術だ。
使うまでもない、と言うのはこの僅かな戦いで分かり切っていることだ。
刀を使ったらさらに勝ち目があるのかどうかが分からないのは事実だが、
携えた刀に欠片も手につけていないことについて、違和感のあることで指摘する。
(彼は知らないがファットガムの個性は、刃物であろうと吸収できるので耐えることは可能ではある)
使うまでもない、と言うのはこの僅かな戦いで分かり切っていることだ。
刀を使ったらさらに勝ち目があるのかどうかが分からないのは事実だが、
携えた刀に欠片も手につけていないことについて、違和感のあることで指摘する。
(彼は知らないがファットガムの個性は、刃物であろうと吸収できるので耐えることは可能ではある)
指摘と同時に飛んでくる顔面ストレート。
それだけで頭部は生前の真希から受けた当人のように骨が砕け散るだろうが、
これも個性のお陰で、ただ大きく吹き飛ばされてバウンドして道を転がる程度で済む。
倒れる陽馬を前に見下ろす直哉の表情は、漫画の表現なら青筋がいくつも浮かんでいるだろう。
視線だけで常人を殺せてしまうのではないかと疑いたくなるほどに、怒りに囚われた表情だ。
それだけで頭部は生前の真希から受けた当人のように骨が砕け散るだろうが、
これも個性のお陰で、ただ大きく吹き飛ばされてバウンドして道を転がる程度で済む。
倒れる陽馬を前に見下ろす直哉の表情は、漫画の表現なら青筋がいくつも浮かんでいるだろう。
視線だけで常人を殺せてしまうのではないかと疑いたくなるほどに、怒りに囚われた表情だ。
「甚爾君は完璧なんや。こないなダサい武器なんぞ意味あらへん。」
世界の何よりも固き、折れず曲がらぬ絶対の刀。
仮に直哉の世界であっても呪具でなくとも間違いなく名刀の類だ。
値段なんてものつけようがな代物であろうと、彼にとってはなまくらと同列でしかない。
こんなもの彼(の身体)には不要だ。完璧で究極のフィジカルギフテッド。それが伏黒甚爾なのだから。
仮に直哉の世界であっても呪具でなくとも間違いなく名刀の類だ。
値段なんてものつけようがな代物であろうと、彼にとってはなまくらと同列でしかない。
こんなもの彼(の身体)には不要だ。完璧で究極のフィジカルギフテッド。それが伏黒甚爾なのだから。
(あの男の身体……攻撃を受けきることは可能だが、捉えることはとてもできそうにない。)
この戦いは千日手、かというとそういうわけではない。
いくら耐久力に関しては並のヒーローの追随を許さなくとも脂肪と言う上限がある。
これを彼は認識していないが身体が覚えているのか、或いは都合のいい能力などないと認識してるのか。
いずれにせよ、このまま攻めたところで勝ち目があるとはいいがたく、釘崎の槌などまず届くはずもない。
フィクションとは言え彼も舞台俳優。演じる役がどのような行動をすればいいのかと考えるのは難しくはなかった。
アドリブだって時にはいるものだ。彼の追求した肉体美をより魅せるのであれば、なおさら考えることだろう。
肉体は鈍重ではないにせよ、向こうには遠く及ばない。攻撃はことごとく先の先を取られてしまいダメージすら通らない。
ならばどうするか……そこにあるのは単純な答えしかなかった。
いくら耐久力に関しては並のヒーローの追随を許さなくとも脂肪と言う上限がある。
これを彼は認識していないが身体が覚えているのか、或いは都合のいい能力などないと認識してるのか。
いずれにせよ、このまま攻めたところで勝ち目があるとはいいがたく、釘崎の槌などまず届くはずもない。
フィクションとは言え彼も舞台俳優。演じる役がどのような行動をすればいいのかと考えるのは難しくはなかった。
アドリブだって時にはいるものだ。彼の追求した肉体美をより魅せるのであれば、なおさら考えることだろう。
肉体は鈍重ではないにせよ、向こうには遠く及ばない。攻撃はことごとく先の先を取られてしまいダメージすら通らない。
ならばどうするか……そこにあるのは単純な答えしかなかった。
(奴を捕まえる。攻撃の一瞬の隙に!)
後手以外に方法はなかった。
そもそも、彼は直哉を殺す気はない。
あくまで生け捕りにして、その究極とも言える身体を手に入れたい。
だからどうしてもそういう戦術をとる、と言うよりとらざるを得なかった。
となれば今の武装では勝てるわけがない。無論、調達のため逃げれるわけもなく。
今ある支給品と己の持てる身体を以って、天与呪縛の身体を手に入れんと躍起になる。
意味の分からない玉と、食生活を考えて控えていた異質な木の実をとりだし、それを取り込む。
取り込むと言うが、玉の方が手に持つと消えたため、食べる行為で取り込むと言うものではなく、
残された赤とクリーム色の実を一気に咀嚼して、反撃の準備を万端とする。
味ははっきり言って嫌いだ。甘さと辛さが両立した木の実とはいいがたい味で、
普段から完璧な食生活をしている彼にとっては嫌悪の対象でしかないものだが、
もともとこの肉体は自分のものではないと言うのもあり、遠慮はしなかった。
そもそも、彼は直哉を殺す気はない。
あくまで生け捕りにして、その究極とも言える身体を手に入れたい。
だからどうしてもそういう戦術をとる、と言うよりとらざるを得なかった。
となれば今の武装では勝てるわけがない。無論、調達のため逃げれるわけもなく。
今ある支給品と己の持てる身体を以って、天与呪縛の身体を手に入れんと躍起になる。
意味の分からない玉と、食生活を考えて控えていた異質な木の実をとりだし、それを取り込む。
取り込むと言うが、玉の方が手に持つと消えたため、食べる行為で取り込むと言うものではなく、
残された赤とクリーム色の実を一気に咀嚼して、反撃の準備を万端とする。
味ははっきり言って嫌いだ。甘さと辛さが両立した木の実とはいいがたい味で、
普段から完璧な食生活をしている彼にとっては嫌悪の対象でしかないものだが、
もともとこの肉体は自分のものではないと言うのもあり、遠慮はしなかった。
「なんやドーピングか? ダサいなぁ。
そういうものがないと勝てへん言うとるのと同じやで。」
そういうものがないと勝てへん言うとるのと同じやで。」
武器を持つことをダサいとしている直哉にとって、
物でなんとかしようとする行為など侮蔑の対象だ。
ま、それも仕方ないかと軽く流す。この身体が相手なら。
ドーピングの一つや二つ、頼らずして追い付けるわけないのだから。
物でなんとかしようとする行為など侮蔑の対象だ。
ま、それも仕方ないかと軽く流す。この身体が相手なら。
ドーピングの一つや二つ、頼らずして追い付けるわけないのだから。
「だからどうしたって話やけどな、ボケが。」
そんな程度で追い越せるような存在じゃないんだよ。
誰も越えられない。自分だけが追い付けると信じてやまない。
あんな女(真希)じゃない。追い付くのは、自分なのだと。
アスファルトにクレーターを作るほどの勢いで踏み出し回し蹴りを繰り出す。
当然回避は間に合わない。ふくよかな脇腹へと文字通り食い込んで吹き飛ばす、
誰も越えられない。自分だけが追い付けると信じてやまない。
あんな女(真希)じゃない。追い付くのは、自分なのだと。
アスファルトにクレーターを作るほどの勢いで踏み出し回し蹴りを繰り出す。
当然回避は間に合わない。ふくよかな脇腹へと文字通り食い込んで吹き飛ばす、
「な……」
と同時に、がしりと足を掴まれた。
彼が取り込んだものは防御と回避能力を強化する防衛本能だ。
いくらそれでも動き回る直哉を捉えることは到底不可能ではあるものの、
攻撃を受けた一瞬を、捉えるだけの速度を得ることはできるようにはなった。
無論、これはファットガムの個性と防衛本能で底上げされた防御力の相乗作用。
普通であればまずこの対応をすることそのものが不可能だ。
彼が取り込んだものは防御と回避能力を強化する防衛本能だ。
いくらそれでも動き回る直哉を捉えることは到底不可能ではあるものの、
攻撃を受けた一瞬を、捉えるだけの速度を得ることはできるようにはなった。
無論、これはファットガムの個性と防衛本能で底上げされた防御力の相乗作用。
普通であればまずこの対応をすることそのものが不可能だ。
そのまま一緒に路上を転がっていく陽馬と巻き添えの直哉。
二人ともアスファルトの地面を転がり、時折頭を打つほどの威力ではあるが問題はそこではない。
最終的に二人の姿勢はと言うと、直哉を文字通りプレスするように陽馬が押しつぶさんとするレベルで全身を押し付けてきたからだ。
二人ともアスファルトの地面を転がり、時折頭を打つほどの威力ではあるが問題はそこではない。
最終的に二人の姿勢はと言うと、直哉を文字通りプレスするように陽馬が押しつぶさんとするレベルで全身を押し付けてきたからだ。
「ッ、離せ気色悪いわ!」
何が目的なのかさっぱり分からなかった。
殺すのではなく肉体の入れ替わりをするのが目的。
ならばここで殺さない。では一体何をどうするつもりなのか。
ただ抱き着いて折れるまで待つ、なんてバカな話は考えるつもりはない。
少しだけ思考を巡らせていると、彼の意図が分かり少しばかり焦り出してしまう。
殺すのではなく肉体の入れ替わりをするのが目的。
ならばここで殺さない。では一体何をどうするつもりなのか。
ただ抱き着いて折れるまで待つ、なんてバカな話は考えるつもりはない。
少しだけ思考を巡らせていると、彼の意図が分かり少しばかり焦り出してしまう。
伏黒甚爾と言う人類と言うくくりならば最強に等しい存在だ。
優れた呪術師だろうと、特級呪霊だろうと屠れる化け物が人間の形をした怪物。
けれど、それでも彼であったとしても絶対に逃れられない問題が存在する───酸素だ。
優れた呪術師だろうと、特級呪霊だろうと屠れる化け物が人間の形をした怪物。
けれど、それでも彼であったとしても絶対に逃れられない問題が存在する───酸素だ。
(こいつ、窒息させる気か!?)
彼もまた、呼吸なくしては行動することができない人間なのだ。
陽馬は口にしたチイラの実と防衛本能によって強引にパワーと守備を固めることで
直哉をプレスした状態で脂肪の中へと吸収。窒息による気絶を狙っているのだ。
それだけの強化をしておいて狙いは殺しではなく気絶なのは、なんともおかしな話ではあるのだが。
陽馬は口にしたチイラの実と防衛本能によって強引にパワーと守備を固めることで
直哉をプレスした状態で脂肪の中へと吸収。窒息による気絶を狙っているのだ。
それだけの強化をしておいて狙いは殺しではなく気絶なのは、なんともおかしな話ではあるのだが。
(ざけんなや! いくら甚爾君の身体が常軌を逸しても、長時間の無呼吸は不可能や……!!)
もしかしたら長時間止められる可能性はあるのかもしれないが、
それはあくまで伏黒甚爾本人。肉体が完全に馴染んだわけではない直哉で、
長時間の窒息に対して耐えられると言う保証はどこにも存在しない。
故にあがく。脂肪の塊の中シンプルに蹴ったり殴ったりするものの、脱出は叶わず。
それはあくまで伏黒甚爾本人。肉体が完全に馴染んだわけではない直哉で、
長時間の窒息に対して耐えられると言う保証はどこにも存在しない。
故にあがく。脂肪の塊の中シンプルに蹴ったり殴ったりするものの、脱出は叶わず。
(クソがっ!! デブの面積で狭いせいで勢いが出ぇへん!!)
いつもの身体のようにスピードを出して殴りぬける。
無論伏黒甚爾の身体だ。たとえ勢いがなくとも並のパンチを凌駕する勢いだ。
けれどそれを耐え抜く。肉体の慣れ、とにかくパワーを掛け合わせた力技に加え脂肪吸着は、
元々ファットガムと言うヒーローはヴィランを倒すために個性を用いているわけではない。
麻薬犯などと言ったヴィランを捕縛するために活用してきた個性。倒すのではなく捕まえるにおいて、
並のヒーローでは成し遂げられない優秀な個性であると言うことが伺えるものになる。
無論伏黒甚爾の身体だ。たとえ勢いがなくとも並のパンチを凌駕する勢いだ。
けれどそれを耐え抜く。肉体の慣れ、とにかくパワーを掛け合わせた力技に加え脂肪吸着は、
元々ファットガムと言うヒーローはヴィランを倒すために個性を用いているわけではない。
麻薬犯などと言ったヴィランを捕縛するために活用してきた個性。倒すのではなく捕まえるにおいて、
並のヒーローでは成し遂げられない優秀な個性であると言うことが伺えるものになる。
一方で陽馬と言えども無傷、と言うより消費が0ではない。
いくら地面と脂肪の中で勢いが殺されてる状況でもフィジカルギフテッドの拳だ。
一発一発はそんじょそこいらのヒーローのパワーの比にならない。
天候を変えてしまったりするオールマイトの領域を超えることはないが、
プロヒーローでも指折りの実力者になる可能性があるのは否定できない。
いくら地面と脂肪の中で勢いが殺されてる状況でもフィジカルギフテッドの拳だ。
一発一発はそんじょそこいらのヒーローのパワーの比にならない。
天候を変えてしまったりするオールマイトの領域を超えることはないが、
プロヒーローでも指折りの実力者になる可能性があるのは否定できない。
もはや時間との勝負だ。
脂肪を使い切ってしまうか、気を失うか。
どちらが消費しきるかの勝負の決着は数分以上に続いていてき───
脂肪を使い切ってしまうか、気を失うか。
どちらが消費しきるかの勝負の決着は数分以上に続いていてき───
(ざけん、なや……)
数分か、十数分か。
常人であれば窒息死も余裕だろう時間を、
直哉は生きてはいたものの、意識をついに手放してしまう。
こんな、こんなしょうもないとしか言えない方法で敗北する。
あれだけ焦がれた男の最強を証明したかったのに、この程度、こんな方法で負ける。
屈辱だ。人間の時よりも、呪霊としての死よりもはるかに屈辱でしかない。
こんなクソみたいな場所で、クソみたいな相手に、クソみたいな理由で負けるなど。
常人であれば窒息死も余裕だろう時間を、
直哉は生きてはいたものの、意識をついに手放してしまう。
こんな、こんなしょうもないとしか言えない方法で敗北する。
あれだけ焦がれた男の最強を証明したかったのに、この程度、こんな方法で負ける。
屈辱だ。人間の時よりも、呪霊としての死よりもはるかに屈辱でしかない。
こんなクソみたいな場所で、クソみたいな相手に、クソみたいな理由で負けるなど。
「……思ったよりは顔も肉体もいいらしいな。」
直哉を気絶に追い込んだ陽馬はと言うと、すっかり脂肪がなくなっていた。
殴り蹴られるだけで持ち合わせていた脂肪を使い切らされる相手の強さには驚くが、
それ以上に脂肪を消費してみれば、思ったよりも伊達男でしっかりとした身体になっている。
流石に気になったのでプロフィールを見れば、個性で脂肪を集めて力としてることが分かった。
色々合点はいくし、今までよりは悪い気分ではない。ヒーローとして身体が資本であるのもあり、
魅せる身体ではないにしてもいい身体であることは変わらない。無論、自分や伏黒甚爾と比べることはできないが。
殴り蹴られるだけで持ち合わせていた脂肪を使い切らされる相手の強さには驚くが、
それ以上に脂肪を消費してみれば、思ったよりも伊達男でしっかりとした身体になっている。
流石に気になったのでプロフィールを見れば、個性で脂肪を集めて力としてることが分かった。
色々合点はいくし、今までよりは悪い気分ではない。ヒーローとして身体が資本であるのもあり、
魅せる身体ではないにしてもいい身体であることは変わらない。無論、自分や伏黒甚爾と比べることはできないが。
「さて、後はこの身体を入れ替えさえすれば……」
「それは困るよ。」
パン、と乾いた音が鳴り響き、陽馬の身体が宙を浮きながら跳ねる。
何をされたか言うまでもない。彼が手に持っていた銃器に撃たれたことだ。
ファットガムの個性ならば耐えられる。だが、その脂肪がもう彼には残っていない。
ヒーローとしての肉体だけである程度は耐えているが、軽傷と呼ぶには無理があった。
何をされたか言うまでもない。彼が手に持っていた銃器に撃たれたことだ。
ファットガムの個性ならば耐えられる。だが、その脂肪がもう彼には残っていない。
ヒーローとしての肉体だけである程度は耐えているが、軽傷と呼ぶには無理があった。
「騒がしいと思って来てみれば、まさかこの男と出会うことになるとはね。」
近くの路地から出てくるのは、陽馬からみても人間ではないと察せられた。
元々玉壺みたいな人間でないものは死亡者の中にいたので驚くものではないが、
少なくともこうして相対すると、危険な存在であると言うのが嫌でも認識させられる。
元々玉壺みたいな人間でないものは死亡者の中にいたので驚くものではないが、
少なくともこうして相対すると、危険な存在であると言うのが嫌でも認識させられる。
外れの支給品にため息を吐いた夏油は、
武器の調達に最寄りのケンド鉄砲店に行ってみた。
予想通り、拳銃の類はいくらかあったのは行幸ではある。
一方で、高性能な銃は見込めなかったし、品ぞろえはよくなかった。
恐らく、他人の支給品を奪い合うことで質を高めていけと言う扱いであり、
この手のタイプの店は、先着一名の特別サービスと言った扱いなのだろうと。
とは言え銃器はいくらか手に入った。魔物に持たせる分も少し確保できている。
今後の戦力としては悪くはないのは事実。だが何よりも驚かされたのは、伏黒甚爾の存在。
まさかこの短時間で、この化け物と出会うことになるとは思いもしなかった。
そしてそれを制しているこの男も、警戒するに十分値する存在だ。
武器の調達に最寄りのケンド鉄砲店に行ってみた。
予想通り、拳銃の類はいくらかあったのは行幸ではある。
一方で、高性能な銃は見込めなかったし、品ぞろえはよくなかった。
恐らく、他人の支給品を奪い合うことで質を高めていけと言う扱いであり、
この手のタイプの店は、先着一名の特別サービスと言った扱いなのだろうと。
とは言え銃器はいくらか手に入った。魔物に持たせる分も少し確保できている。
今後の戦力としては悪くはないのは事実。だが何よりも驚かされたのは、伏黒甚爾の存在。
まさかこの短時間で、この化け物と出会うことになるとは思いもしなかった。
そしてそれを制しているこの男も、警戒するに十分値する存在だ。
「お前、は……」
「しかし現代兵器はなじみが薄いか。
呪霊を弾丸のように扱うのとはわけが違う。
頭を狙ったが、肩を抉る程度に留まってしまうか。
海外ではなじみ深いし、ミゲルとかならばうまく扱えたのだろうか。」
呪霊を弾丸のように扱うのとはわけが違う。
頭を狙ったが、肩を抉る程度に留まってしまうか。
海外ではなじみ深いし、ミゲルとかならばうまく扱えたのだろうか。」
同じ志を持った仲間を思い出しながら、銃を眺める夏油。
あの時のような仲間はおらず、今いるのは猿とまではいかないにしても、
呪霊のような魔物。少々複雑な気分であるが、だからと感傷に浸る暇はない。
あの時のような仲間はおらず、今いるのは猿とまではいかないにしても、
呪霊のような魔物。少々複雑な気分であるが、だからと感傷に浸る暇はない。
「貴様───」
痛みなど堪えながら即座に動いた。
少なくとも彼は倒れる男のことを知っている。
此処で彼を渡すわけにはいかないと即座に立ち上がり走り出す。
少なくとも彼は倒れる男のことを知っている。
此処で彼を渡すわけにはいかないと即座に立ち上がり走り出す。
「君の体力は限界だ。そこを見越したうえでの行動だよ。」
夏油が見ていたのは今しがたではなく途中からだ。
元々音を聞いて近くまで駆けつけたが、相手が相手なのもあり、
天与呪縛の五感で悟られる可能性もあって様子をうかがってたのもある。
だから彼の限界もおおよそ理解している。スローな動きでは銃など不要だ。
魔剣を手に、すれ違うように彼の頸動脈を斬り、鮮血と共に彼は地に伏せた。
元の肉体も、望んだ肉体も、手に入れることなどかなうことなく。
元々音を聞いて近くまで駆けつけたが、相手が相手なのもあり、
天与呪縛の五感で悟られる可能性もあって様子をうかがってたのもある。
だから彼の限界もおおよそ理解している。スローな動きでは銃など不要だ。
魔剣を手に、すれ違うように彼の頸動脈を斬り、鮮血と共に彼は地に伏せた。
元の肉体も、望んだ肉体も、手に入れることなどかなうことなく。
「……まさか、こんな早くに出会うとはね。誰かは知らないが。」
アスファルトに仰向けに倒れる男を彼は忘れない。
全ての分岐点。彼が理子を殺さなければ、すべては変わっていた。
憎悪があると言えばある。たとえ中身が別の誰かであったとしてもだ。
全ての分岐点。彼が理子を殺さなければ、すべては変わっていた。
憎悪があると言えばある。たとえ中身が別の誰かであったとしてもだ。
「だが早急に始末できるいい機会だ。いくら君が天与呪縛だとしても、脳天を相手にすれば───ん?」
脳天に銃弾を当てれば、即死はなくてもほぼ再起不能のはず。
これで殺し合いにおける後顧の憂いの一つが断つことができる。
夏油の中では少なくとも指折りのレベルの最強の参加者なのは事実だ。
早めに死滅できることにホッとしていると、陽馬の近くに浮く浮遊物に目が行く。
これで殺し合いにおける後顧の憂いの一つが断つことができる。
夏油の中では少なくとも指折りのレベルの最強の参加者なのは事実だ。
早めに死滅できることにホッとしていると、陽馬の近くに浮く浮遊物に目が行く。
(何かの装備品か?)
それは彼がチイラの実と共に手にした防衛本能。
死亡することでも装備が外されて、黄と黒が混ざった塊のようなのものが浮く。
とりあえず手にしておくのが吉かと思いそれを手にしてから殺そうとした瞬間感じる殺気。
それは嘗て倒されたことによるものだろうか。感じた瞬間脱兎のごとくその場を逃げ出してしまう。
近くの物陰ではなく、建物を使ってどこにいるかを隠すほどに咄嗟に逃げを選んでしまったのだ。
死亡することでも装備が外されて、黄と黒が混ざった塊のようなのものが浮く。
とりあえず手にしておくのが吉かと思いそれを手にしてから殺そうとした瞬間感じる殺気。
それは嘗て倒されたことによるものだろうか。感じた瞬間脱兎のごとくその場を逃げ出してしまう。
近くの物陰ではなく、建物を使ってどこにいるかを隠すほどに咄嗟に逃げを選んでしまったのだ。
(もう復活したのか!? 支給品に囚われず先に攻撃するべきだったか……!!)
何処かのビルの扉を背に、千載一遇のチャンスを逃したことを悔やむ夏油。
最初に出会った男とは違う。あれは自分にとって障害にしかなりえない存在だ。
先にとどめを刺しておくべきだったが、今となってはもうどうにもならないことになる。
此処は一度撤退し、彼と対峙した時の対抗策を公示することを優先することとした。
最初に出会った男とは違う。あれは自分にとって障害にしかなりえない存在だ。
先にとどめを刺しておくべきだったが、今となってはもうどうにもならないことになる。
此処は一度撤退し、彼と対峙した時の対抗策を公示することを優先することとした。
直哉は気を失ってたのは事実だ。
とは言え酸欠による気絶は存外短いもので、
精々が一分から二分程度のものでしかないため、
実のところ、陽馬がしていたことは無駄に等しかった。
とは言え酸欠による気絶は存外短いもので、
精々が一分から二分程度のものでしかないため、
実のところ、陽馬がしていたことは無駄に等しかった。
「あ……? デブやなかったんか?
ま、ええわ。何勝手に死んどるんや。」
ま、ええわ。何勝手に死んどるんや。」
肩と首の傷と身動き一つ取らない様子。
どう見ても死んでるところに死体蹴りをする。
身体が身体だ。普通の蹴りでも軽く死体は転がっていく。
動く気配はなく、完全に死んだと分かると、怒髪天を衝く思いになる。
どう見ても死んでるところに死体蹴りをする。
身体が身体だ。普通の蹴りでも軽く死体は転がっていく。
動く気配はなく、完全に死んだと分かると、怒髪天を衝く思いになる。
「誰かは知らんが、なめくさはってるなぁ。
気絶してたこっちを放置する……それも許せんが、
甚爾君は殺す価値もないってことと言ってるやろがぁ!!!」
気絶してたこっちを放置する……それも許せんが、
甚爾君は殺す価値もないってことと言ってるやろがぁ!!!」
無茶苦茶すぎる理由ではあるが、
彼にとってはそれが全てと言ってもいい状態だ。
生き延びたのではなく見逃された。それだけは許せず更に死体を蹴り飛ばし、大きく飛んでいく。
果てまで飛ぶか、近場に転がるかは不明だが、彼にとっては最早どうでもいい些事である。
酸欠で意識が朦朧としていたのもあり、辛うじてその目で記憶しているのは銀髪の男。
少なくとも陽馬の下手人と自分を見逃した人物は、同一人物であることは間違いない。
彼にとってはそれが全てと言ってもいい状態だ。
生き延びたのではなく見逃された。それだけは許せず更に死体を蹴り飛ばし、大きく飛んでいく。
果てまで飛ぶか、近場に転がるかは不明だが、彼にとっては最早どうでもいい些事である。
酸欠で意識が朦朧としていたのもあり、辛うじてその目で記憶しているのは銀髪の男。
少なくとも陽馬の下手人と自分を見逃した人物は、同一人物であることは間違いない。
「殺したる……このデブを殺しておきながら、甚爾君を狙わなかったドブカスは必ず殺したるで。」
更なる怒りを募らせながら、脳を焼かれた男は動き出す。
理不尽極まりない怒りと共に。
理不尽極まりない怒りと共に。
【橋本陽馬@岸辺露伴は動かない(身体:ファットガム@僕のヒーローアカデミア) 死亡】
【G-5 町/黎明】
【夏油傑@呪術廻戦】
[身体]:ギラヒム@ゼルダの伝説 スカイウォードソード
[状態]:健康、五条悟が巻き込まれていることに少し動揺
[装備]:召喚した剣@現地調達
[道具]:基本支給品、キン肉マンのマスク@キン肉マン、カマロのお面@ゼルダの伝説ムジュラの仮面、雑巾2枚@ボボボーボ・ボーボボ、全か無か@Caligula2(召喚術で召喚した誰かに装備させてるかもしれません)、何かしらの銃器×少々(ケンド鉄砲店のものなので性能は高くない)
[思考・状況]
基本方針:優勝し、世界の清浄・非呪術師(さるども)の絶滅を望む
1:参加者は殺す。ただし争いに使えそうな者は生かしておく。
2:悟を探す。
3:ひとまず、一人殺すことはできたので目的は達成か。
4:伏黒甚爾の肉体の参加者に警戒。まあ、あの性格からろくでもないようだが。
5:禪院家の落ちこぼれの猿(真希)は、今度こそ殺害する。次はしっかりと止めを刺す。
6:他の禪院家の呪術師達(扇、直哉)も、大義のために殺す。
7:この身体で出来ることをもっと試したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※召喚術で、魔物を一度に召喚できる数は限られています。また、全て殺されると、再召喚まで時間を要します。
(ボコブリン(赤)×5 モリブリン×2 スタルフォス×2 青ボコブリン×1)
瞬間移動(大)(原作で剣を回して消える技)は、一度使うとしばらくは使えません。
[身体]:ギラヒム@ゼルダの伝説 スカイウォードソード
[状態]:健康、五条悟が巻き込まれていることに少し動揺
[装備]:召喚した剣@現地調達
[道具]:基本支給品、キン肉マンのマスク@キン肉マン、カマロのお面@ゼルダの伝説ムジュラの仮面、雑巾2枚@ボボボーボ・ボーボボ、全か無か@Caligula2(召喚術で召喚した誰かに装備させてるかもしれません)、何かしらの銃器×少々(ケンド鉄砲店のものなので性能は高くない)
[思考・状況]
基本方針:優勝し、世界の清浄・非呪術師(さるども)の絶滅を望む
1:参加者は殺す。ただし争いに使えそうな者は生かしておく。
2:悟を探す。
3:ひとまず、一人殺すことはできたので目的は達成か。
4:伏黒甚爾の肉体の参加者に警戒。まあ、あの性格からろくでもないようだが。
5:禪院家の落ちこぼれの猿(真希)は、今度こそ殺害する。次はしっかりと止めを刺す。
6:他の禪院家の呪術師達(扇、直哉)も、大義のために殺す。
7:この身体で出来ることをもっと試したい。
[備考]
※参戦時期は死亡後です。
※召喚術で、魔物を一度に召喚できる数は限られています。また、全て殺されると、再召喚まで時間を要します。
(ボコブリン(赤)×5 モリブリン×2 スタルフォス×2 青ボコブリン×1)
瞬間移動(大)(原作で剣を回して消える技)は、一度使うとしばらくは使えません。
【禪院直哉@呪術廻戦】
[身体]:伏黒甚爾@呪術廻戦
[状態]:屈辱(極大)軽い酸欠、主催への怒り(極大)
[装備]:絶刀・『鉋』@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:全て潰す
1:甚爾君を穢したクソアマ共を皆殺しにする。
2:俺を見下し切ったアバズレ共は絶対に呪い殺す。
3:1、2の為に参加者も全員殺す。甚爾君の身体で負けるなんてあったらいかんのや
4:目の前のデブを確実に殺したかったが、そのデブを殺して見逃した奴を殺す。
[備考]
※参戦時期は呪霊として祓われた後。
[身体]:伏黒甚爾@呪術廻戦
[状態]:屈辱(極大)軽い酸欠、主催への怒り(極大)
[装備]:絶刀・『鉋』@刀語
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×0~2
[思考・状況]基本方針:全て潰す
1:甚爾君を穢したクソアマ共を皆殺しにする。
2:俺を見下し切ったアバズレ共は絶対に呪い殺す。
3:1、2の為に参加者も全員殺す。甚爾君の身体で負けるなんてあったらいかんのや
4:目の前のデブを確実に殺したかったが、そのデブを殺して見逃した奴を殺す。
[備考]
※参戦時期は呪霊として祓われた後。
【チイラの実@ポケットモンスターシリーズ】
橋本陽馬に支給。原作においてはポケモンのHPが1/4になったとき使用でき、
使用者の攻撃力を1段階上げることができるアイテム。なお、味としては辛みと甘みが強い。
橋本陽馬に支給。原作においてはポケモンのHPが1/4になったとき使用でき、
使用者の攻撃力を1段階上げることができるアイテム。なお、味としては辛みと甘みが強い。
【全か無か@Caligula2】
橋本陽馬に支給。装備品とは言うが見た目に変化はなく、魂の残滓(宝箱)を手にしたら装備される。
この装備は防衛本能に分類し、防御の上昇率は上から5位、回避は1位に分類する程度のゲーム上ではかなりの性能。
装備した人物が死亡した場合、再び魂の残滓となって再利用が可能。
その際魂の残滓は装備した人物の遺体のそばに発生する形で外れる。
魂の残滓の形状は黄と黒が混ざった塊のようなのもの(Caligula2における宝箱のビジュアル)。
橋本陽馬に支給。装備品とは言うが見た目に変化はなく、魂の残滓(宝箱)を手にしたら装備される。
この装備は防衛本能に分類し、防御の上昇率は上から5位、回避は1位に分類する程度のゲーム上ではかなりの性能。
装備した人物が死亡した場合、再び魂の残滓となって再利用が可能。
その際魂の残滓は装備した人物の遺体のそばに発生する形で外れる。
魂の残滓の形状は黄と黒が混ざった塊のようなのもの(Caligula2における宝箱のビジュアル)。
| 41:見えた攻略未来(クリアルート) | 投下順に読む | 43:[[]] |
| 時系列順に読む | ||
| 36:君は完璧で究極のフィジカル | 禪院直哉 | |
| 橋本陽馬 | GAME OVER | |
| 33:「また会えるよね」って、声にならない声 | 夏油傑 |