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  • 昨日へは決して進めないから

真贋バトルロワイヤル

昨日へは決して進めないから

最終更新:2025年07月01日 18:38

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だれでも歓迎! 編集
『ゼロォォォォッ!!!!』
「くっ、まるでかつての僕を模しているみたいだ…!」

放送も間近になった頃、会場内にて白く喧しい騎士と黒い騎士が切り合う。
黒い騎士こそタイクーンブジンソード…枢木スザクが相対するは、かつての自らの愛機ランスロット。
それが話す内容はユフィを殺された後の自分のものであり…どこか彼はやり辛さのようなものを感じていた。

『ルルーシュゥゥゥゥ!!!!ここは協力する、ゼロ!!!!ゼロは何処だ!?!?俺はゼロをぉぉぉぉっ!!!!」』

一応会話を試みてはみたものの、壊れたスピーカーのごとくまくし立てて、ゼロ及びルルーシュへの憎悪と怒りを叫びながら(何故か協力するとか言い出したりもしてたが)攻撃を止めなかった為無駄に終わる。
この有様では仮に何かしらの情報を持っていたとして、それを話す事はないだろう。それこそルルーシュの身柄か首でも持ってきたなら話は別だろうが。

(もしコイツが模してる、この頃の僕が巻き込まれてたら……きっとゼロに…ルルーシュに復讐する為なら手段なんて一切選ばないんだろうな)

そんな事を浮かべながら武刃でMVSを受け止め鍔迫り合い。そこから飛ばされてきたスラッシュハーケンをジャンプし避けた上で……スザクは必殺技であるブジンソードビクトリーを発動、今回は斬撃波ではなく必殺キックを放つ。

「…僕は……お前のようにはなれない。そして復讐心だけしか背負ってないお前に……オレは負けてはやれない!」

ヴァリスを放とうとするランスロット目掛けて、過去に訣別を告げようとスザクは叫ぶ。
…復讐を果たす為だけに、真意を欺き潜り込みその時を待つには、自分は咎を…業を背負いすぎた。
故に皆殺しという血塗られた手段を取ってでも理想の世界を…全てを清算した世界を作らなければならないのだと、その思いを以て放たれたヴァリスとランスロットを貫く。

『ゼロォォォォッ!!!!』

最期まで怒りと怨嗟の叫びを響かせながら、ランスロットは爆散した。
そして残るは残骸とドロップアイテム。

「…僕は、オレは……」
(……取り扱いには気を付けたほうがいいか)

これまでの戦いと、その中で投げかけられた言葉と、結果共闘や並び立った事に加えて…かつての自らを模した相手との戦闘を超えた事により、否が応でも狂気とは別の所へと向き合わされるスザク。
…それらを一旦考えの外に置こうと、遺された火炎瓶を手に取ってリュックへとそっとしまうも…。

『定刻の9月2日午前11時15分となった。
はじめまして、我々の集めた紳士淑女諸君。
私は茅場晶彦。
このゲームの主にシステム周りを司るゲームマスターだ』

主催者は参加者達の感傷を考慮などしてくれない。ここで放送が流れた。



茅場と名乗るどこか疲れた様子の男は、死んでいった参加者たちの名前を呼んでいく。

『ビスマルク・ヴァルトシュタイン』

…ヴァルトシュタイン卿が、ラウンズ最強の座に居るあのナイトオブワンが…?
……優勝を狙う以上いずれ殺さなければ行けない相手だったとはいえ、ブリタニア最強の騎士と言っても過言では無い彼が死んだという事実に…何処か動揺を隠せない自分が居た。
あのエターナルというライダーやグリオン、ゼイン辺りなら出来てもおかしくはないけれど…。

『カラレス総督』

…たしかゼロ…ルルーシュに殺された筈の元総督が、この殺し合いに??
そこまで考えて、ようやく自分が名簿すら見ていなかった事に気付く。…どのみち、皆殺す事には変わりないと言う自分と、だとしても知るべきだ、それがせめてもの…という自分が居た。

どちらの選択も取れないまま、名前は更に呼ばれていく。

『卜部巧雪』
『衛藤可奈美』
『ロロ・ヴィ・ブリタニア』

…自分にとってかつての師である藤堂さんの部下、四聖剣のひとりで…元総督同様死んだ筈の名前が呼ばれた。そして…あの時相対した操り人形に成り下がった少女に、自分の知らないブリタニア姓のロロ。

『柊篝』

…刃を交え成り行きで助けて一時共闘する事となった、今はもう居ない少女の名。たしかキラと呼んでいた彼に篝と呼ばれていたような。
…浮かんだのは、さっき視たピンク髪の輪っかを浮かべ羽を生やした…自分と同じ復讐者の少女。「ミカ」とキラや篝に呼ばれていた彼女の憎悪と悲しみが浮かぶ形相が、どうにも離れない。彼女もまた…あのランスロットとは違った方向で…あり得た自分の姿なのだろうか?

……それ以降、顔見知りや面識のある名は呼ばれず。茅場は姿を変えた上で……心意システムとやらを実装し、そのまま放送を終えた。

……今更ながらに名簿をパッと見る。
…「ミカ」は聖園ミカか、或いは亀井美嘉のことだろうか?
氷竜と化してしまったキラ・ヤマトは准将の方なのか否か、さっき戦って…ゼイン相手に並び立ったギラと呼ばれていたあの王は、ハスティーの方か宇蟲王とやらの方なのか……浮かびはしても確かめる術は自分には無い。

『ごきげんよう諸君、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアだ』
「……ルルーシュ、君は…」

そんな中、ルルーシュの声が届く。……彼も放送を始めるらしい。



(ヴァルトシュタイン卿を討ったという実績は、彼にとっても評価が高いみたいだ。…てっきり嘘でも、自分が討ったと言ってもおかしくはなさそうだったけれど…) 
「…エターナルを、君が討ったのか。……なら、彼女は……」
ビスマルクを討った者にライダーの称号と爵位に領地等で報いるから名乗るよう言い、また自らの手でエターナル(とタイガ)を処断したと言い放つルルーシュに、スザクが抱くは尊大な振る舞いへの困惑と、エターナルが討たれたのなら操り人形となっていたあの刀使はどうなるのか、主が消えた以上は……という些細な思考であった。

その後画面の中に居るルルーシュは、プロトガシャットの件を告げた後医療或いは機械工学の知識持ちや、正当な所有権を持つらしい九条マリアとやら、神戸しおとやらの身柄やゼインの首を要求した上でテレビ局で待つとし、放送を終える。

(…君にとってもゼインは敵なのか、ルルーシュ。
……傍迷惑で過激な善意を振りかざして悪を討とうとする以上…それもそうか)

プロトガシャットや九条マリア、神戸しおについては全く知らず反応しようがないが、先のミカの表情の事もありゼインの首を求めた件をそう解釈するスザク。だが仮面の内は相変わらず困惑の表情が浮かんでいた。

「……ルルーシュ、君は僕とは違う…結果が全てだとしても、もっといいやり方がある筈だ…!オレとは違って、やり方を選べる筈だろ!?…なのにどうして……?」

自分がフレイヤを発射してしまった結果、万単位の人間が死んでしまった。その中にはルルーシュの最愛の妹であるナナリーも含まれているだろう。
それを知っていて、2度の放送で行ったようなムーブをする理由が思い付かなかった。

正体を暴かれた際「全ては過去!!」だの最悪の開き直り方をしておいて、ナナリーを一緒に助けてくれだのほざいて来るくらいにはなりふり構わず、かつそれ程妹を大事にしている。
…数度裏切られまた裏切ったり誤解されたりしてなお、枢木スザクにとってルルーシュ・ヴィ・ブリタニアへのその認識は揺らがない物だった。だからこそ……理解し難い。

(…ナナリーを、妹を生き返らせたいと思わないのか!?
…思うならあんな目立つ上に敵しか作らない行動なんて取るのは愚策だ、真意を隠して暗躍して、優勝か主催から技術を奪うかして、最後に全部掻っ攫うくらいは出来るはずだ…それが君のやり方なんじゃないのか…??)

自分の知るルルーシュなら、間違いなくそう動くだろうという確信があったからこそ、この殺し合いでの彼の動きの意図が分からない。

(…そもそも、あの時は気にもしてなかったけど……ルルーシュは黒の騎士団の事をシュナイゼルに与する騎士と同列扱いで、首を要求していた。
…何故か皇帝を名乗ってるのもそうだけど……彼は、本当に自分の知ってるルルーシュなのか…???99代皇帝という事は、シャルル皇帝に何かが…?)

ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアの頭の良さが突出しているから目立ちづらいが、別に枢木スザクは頭が悪いわけではない。
過去のトラウマ故の死にたがりと直情的な性格、単騎でルルーシュの策をひっくり返す暴れっぷりが合わさってそう見られがちとはいえ、どちらかといえば良い方だ。
でなければ本来の、及びいくつかの世界線で『ゼロ』として生きる事は出来ていないだろう。後事を任せる都合マニュアル等は遺してあるだろうとはいえ、『ゼロ』を務める以上頭の良さは重要になってくる筈だ。

──故に狂気が薄れ、考える時間が与えられれば疑問点に気付きもする。

(…いや、これ以上考えても今は意味は無い。どのみち…優勝を果たす以外に道はない)

とはいえ並行世界だの巻き込まれた時間軸の違いだの等の発想に行き着くには、あまりにも情報が足りなかった。
良くも悪くも真面目、かつ殺し合いに積極的に乗っているのもあるとはいえ、誰とも情報を交換しようとせず名簿すら見ないまま彷徨い戦っていたツケである。今の所当人は知る由もないが。

(…もう一度、ちゃんと名簿を見よう)

ルルーシュの放送もあって先程はパッと見るだけに留まった名簿をスザクは、今度はしっかりと見ることとした。



名簿にあった、さっき呼ばれなかった参加者で元からの知り合いは3人。
ブリタニアの第99代皇帝を名乗ってるルルーシュに、弟という役割を与えられたランペルージ姓になってる方のロロ。
そして友達でありかつての同僚でもあった、MIAになった筈のマーヤ。

…ごめん、マーヤ。君が相手だとしても…僕は躊躇わない。躊躇う資格なんて……オレにはないんだ。ないはずなんだ。

それと、目に留まったのはもうひとつ……二代目ゼロという名前。
…ルルーシュが黒の騎士団をああ扱ったという事は、シュナイゼル殿下に騎士団が乗っ取られ…後継として擁立された存在、なのだろうか。

……誰であろうと、願いを叶える為に、自分は──そうまで思った瞬間、聞こえてきたのは足音。
武刃を構え、先手を取るかそれとも受けた上でカウンターを狙うかを……そこまで考えたその時だった。

「…あなたは……まって、ください…!
…信じててもらえないかも…しれないけど。……わたしは…あの時とは、ちがいます」

刀を置く音と同時に、女の子の声が届く。震えて涙声になってるそれに、自分は聞き覚えはない。姿には見覚えはあった、けれど自分の知っているそれとは違う。
空虚な筈の瞳には光が灯って、泣き腫らした跡があった。それだけで……あの時とは違うという言葉に説得力が出る。

「…何が目的なんだ、君は」

斬ろうと思えば、斬ることは出来た。
…彼女は刀を2本とも…帯刀したのも含めれば3本か、全てを地面に落としている。
あの時とは違うと言えど、斬ってしまった方が早いだろうことは分かっていて……だけどなぜか、そうしてしまう気にはなれないまま、自分は彼女に問いかけていた。



時刻は少し遡る。
黒き最後の神の襲来をどうにか凌いだ十条姫和、龍園翔、伏黒甚爾の3名だったが、どう動くかの選択を委ねられた形となる龍園は…姫和の調伏に時間を費やし手札を増やす事を選んだ。

「私としては有難くはあるが…理由は?」
「さっきの色黒野郎や、先生とか呼ばれてた奴みてぇな輩に出くわしたらって考えりゃ、先に手札をもうひとつ増やしておくのも悪くはないと思ってな」

もし他参加者との接触に動いていれば、位置の都合方向次第だと柳瀬舞衣らと遭遇出来ていたかもしれないが…かつてルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが言った通り、全ては過去で終わった事。ifの話にしかならない。
ともかく、先程同様甚爾は調伏に駆り出され、1時間式神に追いかけ回されながらも難なく成功へと導いた。

「幸か不幸かは知らねぇが、そっちもNPC以外と出くわす事は無かったみたいだな」

確認するかのように言う甚爾。参加者との接触或いは接敵は互いに無し。よく言えば調伏に巻き込み要らぬ敵を作るような事態にはならなかったと、悪く言えば結局誰とも出会えないまま…仲間を集めていきたい龍園からすれば姫和の手札が増えた以外は何も進んでないも同然である。
この1時間の間で当人自身のプラスになった出来事といえば、時間経過でスタンガンによる痺れが回復した事くらいだろうか?

「ああ、お前を呼び戻すまでもなかったぜ。身体の痺れも問題は無くなったって言っていい」
「ドロップアイテムの類は何も落ちなかったがな。…お前の方も…」
「出くわした連中は潰してみたが、生憎戦果は0だ」

モビルワーカーの砲撃で大半は蹴散らし、討ち漏らしは姫和自身の攻撃により撃破したものの…と伝えた所欠伸をしつつ、言葉に応える甚爾。

「…そろそろテレビ局のあるエリアに行くのか?」
「ここからまた調伏を行うにしてもだ、従来の方法でやればその最中に放送が流れちまう。まあ打って出た方が良いだろうよ」
「…それもそうだな。…お前は…」
「…さっきも言ったが、クライアントが決めた判断な以上、文句をつける気はねぇよ」

甚爾に任せず、姫和が単独で式神を倒して調伏を果たすなら別だが、消耗等のリスクを考えると避けた方がよろしいだろうという判断である。
ともかくテレビ局のあるD-7へと向かおうとする……その最中だった。

「…来やがったか!」

目にも留まらぬ速さで突っ込んで来た人影に、それまでだらけた体勢だった伏黒が即座に対応。エンジンブレードと刀がぶつかる音がした。

「チッ、このタイミングで敵襲かよ…十条?」
「…──な……っ…!!?」
「伏黒に任せておきゃ──」
「……わたしが、私が終わらせて、やらなきゃいけないんだ……っ!」

モニターに2人がモビルワーカーから下り付近の民家近くで剣戟を始めた様を映した途端、姫和は目を見開き、動揺した末…座席からハッチの外へと向かおうとする。
思わず声をかけた龍園だったが…姫和の瞳は潤んでいた。そうだけ言って、ハッチ外へと飛び出していく。

(…まさかあれが、お前の言っていた衛藤可奈美の……成れの果て、か?)

姫和から聞いていたそれと異なる上、血塗れかつ服が破け縫い目が見え光の無い瞳である為面食らったものの、彼女の態度から龍園は察する。
とはいえ予断を許さないだろう状況なのもあって、避けられる可能性を考慮しつつ砲身を相手へと向けておいた。



画面越しに視ただけで、それが可奈美『だった』モノなのはわかった…わかってしまった。
……ひとりだったら、なりふり構わず怒り泣き叫んでいたかもしれない。…共に帰ろうとした筈の、私の半分を持ってくれた相手で……有耶無耶になってしまった決着をつけれる筈だったのに……もう、彼女は居ない。
……なのに、殺されただけでなくっ……利用されて、血に塗れて……『殺してしまっている』なんて。
NPCを倒しただけだって楽観視は…私には出来そうにもなかった。
…よりにもよって、殺す道を最後まで選ばなかったあいつの、手を……!!!!

…せめて、これ以上あいつが、可奈美が手を汚す前に……止めてやらなければいけない。
……そんな役割を、舞衣や薫、沙耶香や母さんにはさせたくない。分かり合えた以上は、タギツヒメにもさせるつもりはない。
これは……私が負うべき重荷(つみ)だ。

「どういう風の吹き回しだ?十条のお嬢ちゃん」
「……アレの相手は、私にやらせてくれ。伏黒……これ以上、被害を齎す前にアイツを…眠らせて、やりたいんだ」

鍔迫り合いに勝ち可奈美を遠方まで吹っ飛ばしたと同時に、そう聞いてきた伏黒に答える。
…聞き入れてもらえない可能性もあるが……。

「…勝てるのか?」
「勝つ。『どんな手段を取ってでも』だ」

端的に聞いてきた相手に、端的に返す。

「…じゃあお嬢ちゃんの好きにしろ。とは言えだ、ある程度の配慮はするだろうが…長引くようなら龍園は介入に入るだろうし、俺もクライアントの意見に逆らう気はねぇとは言っておくぜ」
「…感謝はしておく。…それと龍園に伝言を頼みたい、『今後私の知り合いに会ったら、可奈美の件は言わないでおいてくれ』と」

万一の事態を考慮した上で告げてみる。すると少し考えた後、

「考えておいてやるよ」

と残し、姿を消した。おそらく龍園の方まで行ったんだろう……なら、後は止めるのみだ。
刺し違える気はない。だが他に方法が無いのなら──そう考えたとほぼ同時に、迅移を使って斬り掛かってきた可奈美を長刀を以て迎え撃つ。
ぶつかり合いで伝わってくるものは、剣戟を行う事への楽しさではなく……命を刈り取らんとする殺意だった。

……ああ、やはりお前は……もう、いないのかっ……可奈美……!!

目から溢れる物を拭う暇など無い、猛攻を凌いだ上で……終わらせなければいけないのだから。



「龍園、十条のお嬢ちゃんから伝言だ」
「…戻ってきたって事は、十条ひとりでアレとやり合わせてるって訳かよ」
「当人のたっての希望だからな」
「…それで何だ?あいつの伝言は」
「知り合いに会ったらあの可奈美ってお嬢ちゃんの事は言うな、だとよ」
「……そうかよ」

2人の剣戟が続く中、モビルワーカー越しに注意を逸らさずにいた龍園の元にハッチを開けて現れる甚爾。

「…で、どうすんだ?まさか黙って見守るなんて事は言わねぇだろうが」
「…危うくなれば、介入を厭う気はねぇ。わざわざ時間を割いてやった貴重な戦力が死体人形とトレードになるのは御免被る」
「流石俺の依頼人(クライアント)、それが賢明な判断って奴だ」

言いつつも、死体人形となった衛藤可奈美を視て龍園に浮かぶのは──自分を負かし恐怖を植え付けた唯一の男、綾小路清隆が同じようになったらというif(もしも)。
ただでさえまんまとルルーシュに従わされている時点で度し難いというのに、そういなってさらなる醜態を晒すというのならば…当然、自分の手で終わらせにかかる事を選ぶだろう。冷静でいれる自信は無かった。
…故に、自分の手で可奈美を終わらせようと試みているだろう姫和の心情にはある程度理解はある。が……だからこそいざという時は介入する心持ちであった。

「それともうひとつ言っておくとだ、直に放送が始まるぜ」
「…ルルーシュが何かしら動く可能性を考えると、一旦降りておくべきか」

先ほどのように放送をルルーシュが行った場合も甚爾なら聞こえるだろうが、自分自身で聞けるならそれに越したことは無い。
よって一旦モビルワーカーから降りた上で、内容が聞こえ易くなるよう民家の窓などを開けるという行動に龍園は出た。

その上で視線を2人に戻すと……居合による斬撃の雨と、連撃がぶつかり合う。


戦況は姫和が若干不利となっていた。
実力自体は本来なら伯仲であるものの、別の世界の様々な剣技を視て覚え、今も姫和が行使する石田三成の剣技をも覚えていっている。
しかも全集中の呼吸とソードスキルによるバフと刀使の技能も併さっている為、それでなお食い下がれている姫和が凄まじいと言えるだろう。
凪で防がれる事も多いものの、それをくぐり抜け写シを剥がしたり着々とダメージは与えれているも…姫和からしても疲労などが馬鹿にならない状態であった。

「……こんな場で、こんな形でお前と……斬り合いたくはなかった。…可奈美……!」

瞳を潤ませ溢してしまいながら、ここで姫和は影絵を描き、斬り合いだけでなく自らのソードスキルで調伏した式神、玉犬による攻撃を不意を打つ形で放つ。その瞬間…能面な表情が変わったように視えたのは姫和の気の所為なのだろうか。

兎も角戦いは続く。
剣技だけでなく、式神の行使も躊躇わず行うようになった姫和と…なお斬撃を以て戦う可奈美。
しかし戦闘は均衡状態となり……やがて埒が明かないとなったのか、流れ始めた放送を気にも留めずに可奈美は不完全にしか使えない大技を…自らを屠った王の乱撃を放とうとする。

「そうか…っ…ここで、決着をつけよう…可奈美。…悪いな、龍園、伏黒……──布瑠部由良由良……」
「っおい、十条…!!」

対し姫和は今の自らに撃てる最大の火力を、代償を顧みず放とうとした。
…その式神を呼ぶとどうなるのか、事前に言っていたのもあり龍園は思わず声を荒げながらモビルワーカーへと戻ろうとする。
甚爾ですら勝てるかわからない、その場にいる全員に調伏の儀と言う名のクソゲーを強いる式神…八握剣異戒神将魔虚羅を呼び出そうとしたその瞬間だった。

……カラン、と。刀が落ちる音がした。
それは放送にて、脱落者達の名が読み上げられた直後である。

「……ぇ、ぁ…わた、し……!?……そんな…わたし、ころ、ころしてっ……ぅぁあ
あああ"ぁ"ぁっ…────!!!!」
「…可奈美… 可奈美…なのか!?」
「……ひより、ちゃ……わたし、なんて…ことをっっ…わたしの、わたしのせいでぇっ……!!」

膝から崩れ落ち、慟哭する少女の瞳には光が戻っていた。
…きっかけは精神に作用するキノコによる綻び、それがやみのせんしとの交戦で広がり、更に姫和との戦いで広げられて、かつ従えていたエターナルこと大道克己が討たれた。
そして放送にて自らと自らが殺めてしまった相手である切島鋭児郎の名、それに止めようとしてくれていた柊篝の名が呼ばれたのがトドメとなり……彼女は己を取り戻した。…いや、取り戻して『しまった』。
そして同時に自壊へのカウントダウンも始まる。

思わず駆け寄る姫和を、龍園は止める気にはなれなかった。
ともすれば年齢よりも幼い子供のように泣き喚く可奈美のあの様が姫和を殺す為の演技だったとしたら、とんだ役者だろう。
第一、わざわざ放とうとしていた大技を中断し、あまつさえ武器である刀を放り出して隙を作ってまでそれをしようとしているとは考えづらかった。



しんだはずのわたしのあたまのなかにながれこんできたのは きづいたらかってにうごかされているこうけい。
ただみてることしかできなくて なんどもやめてっていっても…めのまえのこうけいはかわらない。NPCであっても ひとをなんにんもころして このてできりころしてしまったことも。

ないちゃいながらくやんでるかがりさんにも わたしをとめるためかがりさんたちといっしょにたたかってくれたかめんのひとにも こんなかたちじゃなかったらなかよくなれたはずっていってた どらごんにされちゃったきらくんってこにも
いまにもないちゃいそうになってたさやかちゃんにも つらそうにしてたたぎつひめにも…のってはいたけどおわらせようとしてくれた ふくめんのひとにも……なにもできない なにもとどかない。

なにより……まいちゃんをころそうとして それで…きりしまってひとをころしてしまって……まいちゃんのこころに きえないきずをおわせてしまったんだ。
じぶんかってなだけのわたしなんかとはちがう ふつうにやさしいこだから……だからきっと いっしょうまいちゃんはじぶんをゆるせなくなってしまった。わたしのせいで……しかも…あやうくひよりちゃんまでしなせかけて……わたし……さいていだっ……。




泣き喚きごめんなさいと何度も謝る可奈美を、そっと抱き寄せ落ち着かせようとする姫和…という光景が暫し続いた後、ようやく彼女は目を潤ませながらも落ち着く。
その間ルルーシュの放送を民家のTV越しに聴いていた龍園と甚爾が戻ったのを視てから、涙声ながらも可奈美は話そうとする。

「…いいのか可奈美?…まだ、お前は……」
「…自分でも、わかるんだ。こうしてる内にも、少しずつだけど…崩れてるみたいな、感覚があって
…今のわたしの命が…仮初でしかないんだって。だから…伝えれることを伝えれるうちに、言っておかなきゃ…」

気遣う姫和に、少し嬉しさを感じた素振りを見せながら言った後、可奈美は経緯を話した。その上で、龍園と甚爾が放送等での補足を行う形になる。

「そうか、母さんが……」
「呼ばれたのは後ろの方だったな。
それとエターナルとか言うライダーは放送でルルーシュが討ったと、レジスターを持ち出しながら言ってたぜ」
「…わたしが、こうして居れる時点でそうだとは思ってましたけど…やっぱり、そうなんですね…」
「…お前を操ってた奴が死んだって割には、浮かない顔してんな衛藤」

「…わたしを蘇らせた時、あの人は言ったんです。
『…過去が消えていくNEVERの方が、よっぽど上等に思えるとはな』って…吐き捨てるかのように。
……NEVERってものが、なにかはわからないけど…きっとあの人にも、そうなるだけのなにかがあったのかな…って」
「……十条の言ってた通り、難儀な奴だな」
「えっ。….…姫和ちゃんも人のこと言えないと思うけど!?」
「元はと言えば龍園がだな…!」
「…喚いてる時はどうしたもんかと思ったが、年相応のガキのやり取り出来るくらいには落ち着いたようだな」

抗議する可奈美に反論する姫和、それを視て何を思ったかは不明だが呟く甚爾。
そんな中…龍園の頭にはある可能性が過る。

(…衛藤のあの目…十条と同じ、いやともすればそれ以上に頑固な奴のそれだ。従いたくない事には死んでも従わない…一度死んで蘇らせられるまでは最期まで人を殺そうとしなかったってのも納得がいくぜ。
それで消えかけてるって事は……同行は無理筋だろうな。…柳瀬舞衣の事やどっちかはわかんねぇがキラ・ヤマトってやつの事を気にかけてる以上…方針がテレビ局付近での他参加者との接触な俺たちとは合わない。

……とはいえだ、殺し合いに乗ってないのは変わりがなく。どの道消えちまうのなら…可能性の段階とはいえ、情報の整理を兼ねて教えておいてやってもいいか)

「衛藤、そのエターナルってライダーの本来がわかるかもしなれないぜって言えば…どうる?」
「…知りたいです、ひょっとしたら誰も知らないまま、ルルーシュさんに…殺されちゃったかもしれないのなら…」
「…まず放送で、お前の名前が呼ばれた直後に同行して戦ってたって言うブリタニア姓のロロの名前が呼ばれた。それで暫く空いた後、こっちで殺されたのを視たマコって奴の名前が、ひとつ空いてお前が殺しちまったって言う切島の名前が呼ばれて…そこから後、エターナル共々名前を挙げられていた松坂さとうが柊篝の2つ後に呼ばれた訳だが。
この辺りの事を考えれば、放送は死んだ奴順に呼ばれている可能性が出る。

…この仮定が単純に事実なら、松坂さとうの前か後ろかで呼ばれた大道克己かディアッカ・エルスマンがエターナルの正体なんじゃねぇかと思うが…現状絞り込むのは無理だな。まともに話せる参加者とロクに出会えてないせいで情報が足りないったらありゃしねぇ」

放送で名を呼ばれた松坂さとうと満艦飾マコ以外だと接触した相手は、戦士と視て攻撃してきたグラファイト、乱入した斧の戦士、黒き神、先生、灯悟と呼ばれていた女。
この内マコと灯悟と呼ばれていた女とは話をする機会もなくあの顛末となった為、まともに話が出来たのはさとうひとりという現状となってしまう。

「…待て龍園、その仮定だと先生と名乗った男はどうなる?マコよりも先に、それも最序盤の方に呼ばれていたが…」
「それについては、死んで名前を呼ばれた筈のコイツが動き回った末今もここに居る時点でどうとでも考えれる。
コイツみたいに操り人形にされた…ってのは言動から薄そうな以上…死んだ後身体や姿を使われてるか、先生のニセモノを乗ってる側の人間が造った辺りかもな」

姫和の懸念に対して応える龍園。
もしここまでにこの場の誰かがELSと対峙していれば、姿を使われているだけでなく変身などの可能性も浮かんでいたかもしれないがこればっかりは仕方のないことだ。

「…ありがとう、ございます…龍園さん」
「俺としても情報の整理はやっておきたかった事だ。畏まられても困る」



その後、いくつか質疑応答をした後に…舞衣や薫、沙耶香にタギツヒメと元の知り合い、この場で共に戦ったリュージやアンク、マジアマゼンタやチェイス、果穂にラブリーチカ。
それにシビトとなってから、各々の動機は兎も角対峙し止めようとしてくれたギギストに黒い騎士って感じの仮面ライダー(スザク)に覆面の男(やみのせんし)、キラ・ヤマトに煩くない方のアスラン、流牙という男やミカという少女への伝言と…本来の遺体が残っていたら埋めるなりなんなりして欲しいと姫和へ頼む可奈美。

騎士の仮面ライダーや覆面の男については当人曰く、
「記憶が流れ込んできた時に、斬り合う中で伝わってくる筈だった気持ちも…わかったから」
とのことらしい。
兎も角了承を取り付けた可奈美は、その場から立ち去ろうとする。

「…わたし、そろそろ行かないと…」
「……何処へ向かうつもりだ、可奈美」
「…できればだけど、直接会いたい人がいて、それに止めなきゃいけない人がいるから。……償いになるなんて、思わないけど、でもっ……やれる事を、やらなきゃって……」

可奈美が浮かべるは心に消えない傷を負わせてしまった親友と、人ならざるモノへと変わってしまった少年。一応頼みはしたものの、自分の手で責任を果たせるならそれが一番だと彼女は思っていた。

「……っ……!」

言葉を紡ごうとする姫和だが、出来ない。

(…せめて…せめて最期くらいは…看取ってやりたい。だが……私にそんな資格は…!)

かつて自らを犠牲にしてでも、成すべきと信じた事をやりきろうとして…可奈美がいなければそのまま犠牲になっていただろう選択を選んだ身として。遺された時間を贖罪の、そして出来る限りの事を成す為に使うという可奈美の選択に異を唱える事は……姫和には出来なかった。

「…そうだ。伏黒さん。ドロップアイテムですけど……多分、貴方が持ってた方がいいかな…って」
「…お嬢ちゃんと斬り合ってたのは1分も経ってないはずなんだがな。まあいいぜ、契約の延長報酬としちゃ悪くねぇ」

言いながらそれを手渡す可奈美。とりあえずそのドロップアイテムは、甚爾のお眼鏡に叶う物ではあったらしい。リュックへと仕舞った彼の視線は、可奈美を一瞥した後姫和へと向く。

「…それを言うのはやめとけ、十条のお嬢ちゃん。
衛藤のお嬢ちゃんの面は……どうしてもこれだけは譲れない矜持ってもんがある奴のそれだ。勿論俺や龍園の言葉じゃ梃子でも動かねぇだろうし、十条のお嬢ちゃんの言葉でも動かねぇ。
…それとだ衛藤のお嬢ちゃん、龍園や十条のお嬢ちゃんはお前さんの事を難儀っつってたが、俺も同意見だ」
「……ごめんね、姫和ちゃん。……もっと、話してたかったし、もっと楽しく、殺し合いなんかじゃない斬り合いがしたかった。
けど……わたし自身の意思じゃなくったって、みんなを傷付けて…舞衣ちゃんの心に、二度と治らないくらいの傷を付けて、切島さんを……殺してしまって……キラくんって子が、氷のドラゴンになった原因にもなっちゃった以上…責任を、果たさなきゃいけないから」

珍しく真剣な様子で言う甚爾の様もあって、姫和は黙り込むしかなくなった。
それを視て名残惜しそうに謝りつつ…それでも、戦いへと可奈美は征こうとする。
生じた責任から逃げるわけにはいかないんだと。
…そして背を向け去り往こうとする可奈美に……姫和は引き止めようとする言葉以外を発する事を選んだ。
ここで最後になる。言えなければ…二度と、伝える機会は訪れないだろうという確信が、彼女にはあった。

「……これだけは、言わせてくれ、可奈美。
……お前は、お前は何も悪くは無い…無いんだ。
…悪いのはお前を操っていたエターナルとかいう仮面ライダーであって…その責任をお前が……負う必要が何処にある!?そんな必要は…お前にはないんだ!!」

自然と、涙声になってしまいながらも…姫和は叫ぶ。
他の誰かがお前のせいだと糾弾するとしても、それでもお前は悪くないと、自分は思っていると…伝えんばかりに。

「……ありがとう、姫和ちゃん。
…そう、言ってくれるだけでも…わたしはもう、じゅうぶんすぎるくらいにっ……!
……バイバイ、姫和ちゃん!」

拭うも、溢れるものは止まらない。最後なのに格好がつかないなぁ、と思いながらも…笑顔を向けて、お別れをする事を衛藤可奈美は選んだ。



「……すまない、龍園、伏黒。少し……ひとりにさせて欲しいんだ」
「…おう、行って来い」

可奈美を見送った後、言葉少なげに、そう懇願するかのように言う姫和。対し龍園はあっさりと受け入れる。
礼を言うと、そう言った後姫和は民家の外へと出た。そして数瞬後…声は啜り泣きから始まり、やがて慟哭に至る。
どうしてだと、よりにもよってあいつが、可奈美が何故そんな罪を無理矢理背負わされなくてはいけなかったのだという怒りと悲しみの混じった叫びが響いていた。
しかも可奈美だけでなく、結局母とも再会を果たせぬままに死に別れる形となり…傷は浅くはない。

「…ひとりで行かせてよかったのか?」
「お前がそう聞いてくるのは珍しいな。…ある程度の理解は出来ても、そこから寄り添ってやれるかどうかは別だ。そして少なくとも十条は、そんなもんなくても立ち上がれる類の奴だ。今出来ることと言えば…泣かせるだけ泣かせてやるくらいだろうよ」
「まあ十条のお嬢ちゃんは…誰かの前では泣き辛え類だろうからな」

他人事みたいにごちつつ、クライアントたる龍園共々甚爾は待つこととし……。

「悪いな、待たせてしまった」

やがて姫和は現れる、その瞳にはもう涙は無い。

「これからどうするんだ?龍園」
「…そうだな、ここは──」

姫和と龍園が話し方針を改めて定めようとする中、伏黒甚爾の脳裏に過るのは先程の衛藤可奈美の顔。

(……最強(ごじょうさとる)に挑んだあの時の俺も、衛藤のお嬢ちゃんみてえな面だったのかもな)

ふとそんな考えが過ぎり、そこから更に考えは移ろう。

(……もし俺が、お嬢ちゃんと同じ立場なら……)

そんならしくも無い思考が浮かんできた為、やめだ。とそれを打ち切った。
本来の歴史にて、死後自らを再現した存在が一時顕現した事を…ここに居る天与の暴君は知る由もない。



一方、姫和達と別れひとり進む事を選んだ可奈美。
宛もなく歩く形になっていた所…地面が凍結した部分を発見した。

(…きっと、氷のドラゴンにされちゃったキラくんって子の遺した跡だ…宛も無い以上、行ってみよう)

キラと遭遇したその時は、この遺された猶予時間(ロスタイム)を使い切ってでも止めると決めながら捜索をしていた所……彼女は見覚えのある仮面ライダーを発見。武器を一時的に手放した上で会話を持ちかけ、時は今へと戻る。

「…何が目的なんだ、君は」
「……止めたい人が、会わなきゃいけない人がいるんです。わたしに…時間が残されてる内に…」



とりあえず聞いてもらえそうだったのもあって、わたしはここまでの事情を…名前を聞いたらタイクーンって名乗ったその人に話した。

「…だから君は、彼を…キラ・ヤマトを止めて、舞衣って子に会って謝りたいと。
…僕としても、彼がああなった事には……」
「…そうですよね、止めたいって…思いますよね」

あの時斬り合って、後からだけど伝わってきたのは…この人が優しさと真面目さ故に、苦しんで、狂気に身を落としてでも全てをひっくり返そうと藻掻いていた事。
…なら、わかってくれると信じたいなあって。

「……今から優勝を狙うって考えはないのか?」
「…それは無理、です。
ただでさえ、みんなを傷つけて悲しませてるのに……そんなこと、できないよ。
それに、わかってるから…それまでわたしのこの身体は保たないし、王を名乗った赤い人には…悔しくて仕方ないけど…今でも勝てないって。もしわたしが、なりふり構わず殺そうとしても……同じ終わりを迎えるだけだから」

その上で、わたしは言葉をがんばって選んで話す。
…こんな事なら、もうちょっと座学の方の勉強も頑張っておくべきだったかなあ…。

「…一応、一緒にキラくんを止めてくれるなら…貴方にもメリットはあります。
…わたしが消えたその時、複製されてるものの内武器やスキルは引き摺られて消えちゃうみたいで…だけどこのレジスターは、遺るみたいなんです。
その瞬間まで居ればひとつは手に入る。
…参加者にとっての枷と弱点だけじゃ、殺し合いに乗ってる人達が手に入れれても旨味が無い以上…何かしら、レジスターを必要とする何かがあったりしてもおかしくはなくって。乗る側でも…持ってて損は無いかなあ…と」

龍園さんに聞かされたレジスターについての推察を、自分なりの言葉で噛み砕いて言ってみたけど……

「……わかった、少なくとも君が消えるその時までは、一緒に行動して、キラ・ヤマトを止めるため動こう」

よかった…とりあえず、聞いてはもらえたみたいだ…。



(君は……)

可奈美の一連の言葉を、返答を聞いた瞬間、スザクの脳裏に浮かぶは……キラ達と共闘した時の事、考えてみれば2回程彼に命を救われているという事実、そして……。

(…君が今も生きていたなら、止めようと…動いたんだろうか)

篝の事も想起した上で…スザクは了承をした。

ほんのもう少し後、結果こそが全てだと開き直った辺りから巻き込まれるか、或いはルルーシュにより「生きろ」ではなく「奴隷になれ」などというギアスをかけられた世界線なら優しさをかなぐり捨て、或いは完膚なきまでに狂気に堕ちた上で、一時共闘を果たせるかどうかすら怪しかっただろう。
けれども根本的に、枢木スザクという男は優しさを捨てきれない人間である。

でなければルルーシュに全ては過去だのと吐かれた上でナナリーを助けようと持ちかけられた段階で、ナナリーは俺がとは言えないだろう。
お前の妹なんぞ知ったことかとなっても何らおかしくない仕打ちを、既にスザクはルルーシュにされていたのだから。
この地にて既に散ったナイトオブワンことビスマルク・ヴァルトシュタインが本来の歴史で評した通り、スザクにとっては弱さこそが優しさという強さの裏付けなのだ。

「……ひとつ聞かせてくれ、可奈美」
「…なんでしょうか?」
「…キラの事は…殺してでも止めるつもりか?」
「……それは…できない、かな。
…もう、わたしの手は血塗れになっちゃったけど。でも、ううん……だからこそ、もう殺したくなんてない」
「……強いな、君は」

フレイヤを撃ってしまった直後、呆然自失のまま狂気に身を委ねた自分が、愚かに見えてくる。
優勝の願い自体は揺らがずとも、可奈美のその在り方は、確実にスザクへ影響を与えていた。



二人は凍結した部分のある場所付近を捜索がてら、現れたNPCを倒していく。
幸か不幸か、NPCの中に人間型のそれは居なかった。

「……そういえば、最初、同じ世界のみんなとは同じ時間から呼ばれたって思ってたんですけど…昔の姫和ちゃんの身体を使ってるアンクさんに出会って、巻き込まれた時間の違いに気付けたんです」
「…時間の、違い?」

無言だった所からいきなりそんな事を言い出した可奈美に疑問を抱きつつ、先程の疑問点への答えに繋がりそうな気がしたスザクは促しつつ聞く事とした。

「例えば、薫ちゃんはわたしと姫和ちゃんが隠世って世界に飛ばされた直後からで、名簿に載ってる方の姫和ちゃんは、わたしと一緒に隠世から帰ろうとした時から。わたしはその辺りの諸々が片付いてから…って感じで」
「…呼び出された時間が違う、同じ世界や…或いは違う世界から参加者を集めてる、と」
(…やっぱり、あのルルーシュは……僕の、オレの知らないルルーシュなのか)

「……タイクーンさんは、なんで優勝を狙ってるんですか?」

答えに行き着いた上で、暫し無言が続いた後…再び可奈美が言葉を話す。
その様は沈黙に耐えれなくなったか、或いは寂しがり屋気質な所もあって話さずひとりと同じ状態なら自責や罪悪感に押し潰されてしまいそうだからかは、スザクにはわからなかった。

「…僕は、オレが…自分が犯した罪を、ルルーシュが犯した罪を清算させたい、したいだけだ」
「……ルルーシュさんへの復讐を、最優先にはしないんですか?…復讐を考えてた周りの人だと、昔の姫和ちゃんなら…そうしそうだなって」
「……彼に、ルルーシュにかけられたギアスのせいで、それは無理なんだ」
「…堀北さんって人がかけられてたのと同じ物?」
「同じ世界ならの話だが、そのはずだ」

そこからスザクは、既にミカやキラ達との交戦時に吐露したのもあり…気付くと己がかけられた「生きろ」のギアスについて話していた。

「……ルルーシュさんとは、親友だったんですよね?」
「…少なくとも、親友だったのは、間違いないよ」
「…今はどうかはわからないけど、かけられた状況的に…その時のルルーシュさんは、貴方に死んで欲しくなかったから、生きて欲しかったから…かけたんじゃないかなって。…結果として、貴方にとって呪いになってしまうとは、思ってもなかったんじゃと」
「……お人好しの考え方だよ、それは」

かつての自らなら、ある程度納得していたかもしれないそれを暗に否定する。
すると可奈美はそれについては肯定も否定もしないまま…自らの推察を話した。

「生きる事を最優先に動くのなら…例えばの話ですけれど、生きる為に目の前の相手を倒す…とか、そういう方向に考えれば、ある程度の制御みたいなのは出来そうだけど…」
「…──君は僕が殺し合いに乗ってる側なのを忘れてないか?」
「忘れてませんよ、けど……今は味方ですよね?それに……剣を交えて…苦しみとかも、伝わっちゃったから」

気付きを得てはっとしつつ、釘を刺し一線は引こうとするスザク。最も良くも悪くも自分勝手な所のある可奈美にはあまり通じていないが。

──そんな時だった、二人目掛けて氷により生成されたドラグーンが向かってきたのは。

「タイクーンさんっ…!」
「わかってる、ここに居たとは…!」

かたや二刀流によって、かたや武刃による一刀によってそれらを砕き捌いた二人の目前に現れたのは、氷細工のドラゴン。

「…黒い騎士に死体人形とは珍しい、エターナルの次の主が彼という解釈でいいのかな??」
「…ううん、わたしは…この人と一緒に、あなたを止めに来たんだよ。
…あなたがそうなった原因の一端は、この人にもわたしにもあるから、だからせめて……!」
「そうか、ならここで凍らせて二度目の終わりを迎えさせてあげよう」
「…君はここで止める、今の自分にとって…それがやるべき事なんだ!」

氷の三つ首竜が生成され向かってくる様に、可奈美とスザクは構えて迎え撃った────!



092:ブレイブの源 投下順 093:暴走~テラー?
086:委任状 受け取って絶対 時系列順
058:ファントムパレード(後編) 十条姫和
龍園翔
伏黒甚爾
069:確立したモノ、揺らぐモノ、変わらぬモノ 衛藤可奈美(シビト)
055:悲しみが終わる場所とはどこか 枢木スザク
084:奪い取ってしまった未来はいくつ? キラ・ヤマト
柳瀬舞衣
聖園ミカ
黒見セリカ
道外流牙
アスラン・ザラ
キラ・ヤマト准将
067:俺がいる-プロヒーロー 益子薫の負けっぷり- 宇蟲王ギラ

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