市街地を疾走する二つのバイク、比較的距離を開けながら彼ら四人は順調に進んでいた。
道中にNPCと遭遇する事もなく運転している人のうちの一人、パラドは考え事をしながらしっかり運転する余裕まで出来ていて、その真剣な様子を前にユフィリアは何も言葉を発さずに…見定めるように様子を見ていた。
一方のギラとまふゆは互いに軽く、そして楽しい会話をしながら走行していた。勿論ギラは運転に集中しながらである。
因みにまふゆは今、オージャカリバーを持っている。理由は単純、今のギラは安全運転の為に両手がふさがっているが、もし危険な人物が襲い掛かってきたら走っている途中でも即座に王鎧武装出来た方が都合がいい、しかしその為に運転を止める→バックから取り出す→変身とするより、渡してもらう→即座に変身の方がまふゆを護れると判断したからだ。
「もう間もなく着くぞ、あれが旧幻夢本社…もとい、旧幻夢コーポレーションだ」
パラドとギラは地図で見た場所付近で一時停止し、パラドは年季が入っていそうな建物を指差す。
「あの場所に僕達のバグスターウイルスの感染症をどうにか出来る物、そして殺し合いを打倒する為の物があるといいけど…」
「本来なら私達も果穂を助けに向かうはずだった身です。何としてもそれをチェイスさんに任せっきりにした立場として成果を出さなければいけませんね…露骨な物はないかもしれませんが…」
「わたしもおにいちゃん達のさがしものを見つけるお手伝いがんばる!!」
「ありがとうまふゆ、でも無理をしたら邪悪の王である俺様がまたくすぐっちゃうぞ~?」
「う、うん!!」
「本来なら私達も果穂を助けに向かうはずだった身です。何としてもそれをチェイスさんに任せっきりにした立場として成果を出さなければいけませんね…露骨な物はないかもしれませんが…」
「わたしもおにいちゃん達のさがしものを見つけるお手伝いがんばる!!」
「ありがとうまふゆ、でも無理をしたら邪悪の王である俺様がまたくすぐっちゃうぞ~?」
「う、うん!!」
視覚で確認した場所へ向かうべく、再びエンジンを噴かせようとする
「…待ってください、来ています、前と後ろにNPCだと思われる存在が!!」
前後に現れるはNPC達…狙いは恐らく自分達であるとユフィリア達は気づいていた
この時、もう少しNPC達の全貌…特に背後から迫るNPCをまふゆ以外の3人が確認しておけば、後悔するような事は起きなかったかもしれない
「…まふゆ、オージャカリバーお願い」
「う、うん!!」
「俺達も行くぞ…って何考え事してんだ?」
「…お待ちください、ギラ様」
「う、うん!!」
「俺達も行くぞ…って何考え事してんだ?」
「…お待ちください、ギラ様」
パラドもデュアルガシャットを取り出すが…後ろにいたユフィリアはとある武器を取り出しながら…何かを言いにくそうにしていた。
「…ギラ様、お願いがあります、キングズウエポンのギラ様としての使い方を見せて頂けませんか?」
ユフィリアの支給品は3つあった、一つはサタンサーベル、もう一つはギラの武器であるキングズウエポンであった。因みに最後の1つについてはまた後で話すとしよう
これを知った時、ギラに即座に打ち明けて、彼の力にしてもらおうとしたが、ギラは己の不死身の身体を理由にユフィリアに防御の為に使って欲しいと譲渡を断ったのだ。
そのご厚意を否定したくなかったユフィリアはシアゴースト等との戦いで使わせてもらう事にしたかったが盾を使う慣れていない戦い方に違和感を感じていた結果、ドゴルドとの戦いでは使用する事を忘れてしまい、死にかけるダメージを受けた。
そしてカマキリオージャーになった時に武器として利用させてもらった、これがキングズウエポンの今までの経緯である。
だがこの時に、武器として転用した時にユフィリアは思ったのだ、キングズウエポンはやはり本来の持ち主である彼が持っているべきなのではと、全く使った事がなかった自分でもここまで強い武器ならば、本来の持ち主である彼ならばもっと使いこなせるのでは、と
ユフィリアは考えていたのだ。だが厚意を否定したくなかった、故に思いついた事は
とりあえず使い方を見せてもらう体で渡して、その後は理由をつけて彼にずっと持ち続けてもらうという事にするというものであった。
「うっ…」
「私がもし万が一また黄色い王の姿になった時の為に参考にさせて頂きたいのです、どうか見せて頂けませんでしょうか」
「私がもし万が一また黄色い王の姿になった時の為に参考にさせて頂きたいのです、どうか見せて頂けませんでしょうか」
礼も、そして本当に考えている事も混じえてキングズウエポンを渡してくる彼女に対し、ギラは言葉が詰まってしまった。
薄々彼女の狙いはギラもわかっているのだ。本当は自分に使ってもらいたいと思っている事は、故にこれを受け取っていいのかをどうしても考えてしまっていた。
「お前らそんな事今話している場合かよ、来てるぞNPC!!」
パラドの言っている事もごもっともだ。故に一刻も早く決断しなければいけなかった、その結果…
「…分かった、君の為に…一回だけ使い方を見せるよ」
ギラは受け取る事を決めた、後で返すための理由も考えておこうと思いながら左手に掴む
「ぎ、ギラおにいちゃん」
こうして持ち上げようとした瞬間にまふゆはNPCが迫ってきている焦りからか早くオージャカリバーを持って欲しかったようで、思わず声をかける
「あ、ごめんまふゆ」
ギラは謝りながら右手をオージャカリバーに伸ばした
その時だった
「なっ…!?」
「えっ!?」
「これは…!?」
「………は!?」
「えっ!?」
「これは…!?」
「………は!?」
ギラがまふゆに伸ばした手を、そしてユフィリアが持つキングズウエポンに伸ばしている手を『断つ』かのように紫のクリスタルゲージと雷による円が2つ展開されたのは
「何なんだ…この壁は…!?」
「ギラおにいちゃん…!!ユフィリアおねぇちゃん!!パラドおにいちゃん!!」
「ギラおにいちゃん…!!ユフィリアおねぇちゃん!!パラドおにいちゃん!!」
ギラは即座にドンブラスターによる銃撃で破壊を試みるがビクともしない
まふゆはバイクの上から拳で開かずの扉を叩くようにするが変化は訪れず、ミニティラも蹴りを壁にするが無意味に終わる。
「NPC…こんな事が出来る奴もいたのか!?」
「ギラ様!!まふゆ!!」
「ギラ様!!まふゆ!!」
パラドは未知のNPCに驚愕し、慌ててユフィリアはマシントルネイダーから降りてサタンサーベルを振るうが壁に穴が開くことはなかった。
当然である、『エリア内のNPCを全員倒さなければクリスタルケージの壁は解除されない』それがこの殺し合いにおいてのルールなのだから
そして更に
「ええええっ!?」「うわっ…!?」
クリスタル内部が…紫色の霧に覆われた
「何も…見えない…ハッ!?」
ギラは即座に口と鼻を塞ぐ、もしかしたらこれが毒の可能性を…考えたからだ…だが
すぐやめた、理由は単純である。自分の肉体は不死身…もとい生命力は高い、ならば簡単には死なない自分があえて毒かどうかを確かめ、毒ならば何が何でもまふゆの方のクリスタルをユフィリア達に壊してもらい、まふゆだけでも助けてもらう、毒でないのならばパニックになっているまふゆを落ち着かせるため、そして不安になっているだろうユフィリア達を安心させるために呼び掛ける事にしたのだ。
そう考えていて…だいぶ目が慣れてきたタイミングで
「…ッ!!」
同じクリスタルケージの内部に巻き込まれたNPC達が襲いかかってくるのに気がついたギラは慌ててドンブラスターをそちらへ向けて攻撃を防御せざるおえなかった。
その攻撃をしてきたのはダスタード、刀、手裏剣、煙幕等様々な武器を使いこなすフォーゼ達仮面ライダー部に立ちはだかった雑魚兵である。
襲い掛かってきたダスソードをバレルで受け止めた後に前蹴り
『いよぉー!』
両脇から襲い掛かってくるダスソードを前転してすぐにその先にいるダスソードを頭突いて
『どん!どん!どん!』
背後からきた敵の振るう刀を屈みながら避けた後に
『ドンプラコ~!!』
「アバターチェンジ!!」
「アバターチェンジ!!」
赤いギアのエフェクトで吹き飛ばした後に戻ってきたギアを纏い
「ドンモモタロウ~!!よっ日本一!!」
ドンモモタロウへの変身を完了した。
変身出来たドンモモタロウは改めて冷静に戦場を…もとい襲いかかってくるであろうNPCを毒霧で見えない中、必死に見て…
何種類かのNPCが混ざっている事は確認出来た。
何種類かのNPCが混ざっている事は確認出来た。
まず1種類目は先程あしらったダスタード達
2種類目は合掌している仕草が特徴的な…妙に静観しているように見える九尾の狐…らしい存在である。
ギラは知らないが、これはマルガムと呼ばれるこの世界においても様々な形で登場している悪意の化身であった、名をキュウビマルガムという。
ギラは知らないが、これはマルガムと呼ばれるこの世界においても様々な形で登場している悪意の化身であった、名をキュウビマルガムという。
3種類目はこのクリスタルを展開した元凶のNPC、名を仮面ライダーレンゲル、奇しくも仲間の一人である狭間の王が変身するスパイダークモノスと同じく蜘蛛を仮面にしているライダーであった
そして最後の4種目のNPC、それは
ブロロロロロロロ…
「…ッ!!」
突如ドンモモタロウに向かって『空から』放たれる銃弾、慌ててザングラソードの峰で防いだ
その機関銃は赤い羽根、黄色いプロペラの小型プロペラ戦闘機から発射された物であった。
とある誇り高き血統の継承者の一人は言った、そばに現れ立つ生命エネルギーが作り出す、パワーあるヴィジョンそれを『幽波紋(スタンド)』と呼ぶと
その種類は様々な時代に多種多様な形で黄金の精神を秘めている者達や相反する存在である吐き気を催す邪悪達に現れ、戦いの為に行使されてきた。
そして今回ドンモモタロウ…ギラの前に現れたのは、この殺し合いにてもう一人のギラにあっけなく殺されてしまったプレイヤー、セッコと敵対したチームのメンバーの一人、ナランチャ・ギルガのスタンド、エアロスミスが再現された物であった。
何故あえて再現するスタンドにエアロスミスが選ばれたのか…それはこの世界においてのNPCとしてMSを始め、多くの《戦闘機》が利用されている故の…繋がりかもしれない
襲い掛かるダスタードの群れ、ドンモモタロウはザングラソードの次々と斬り捌いていこうとするが
「く…!!」
その途中、エアロスミスから視線を背けた瞬間をエアロスミスは機関銃で撃ち抜いてくる。これによってできた隙を
「ごふっ…!!」
ダスタードの剣によって胸と腹を斬られ、ダメージを少しずつ与えられていく
(このままだとダスタードを倒しきった時には大きなダメージを受けていそうだ…!!)
そう考えながら彼はもう一つ…考えなければいけない事があった。
(でも…そんな事より…まふゆは本当に大丈夫なのか…!?)
ギラは横を、同じくクリスタルに閉じ込められているまふゆを…見る事が出来ない、紫の濃霧に自分も彼女も覆われているからだ。
ハッキリ言って不安であった。一人で自分と同じくNPC達と…戦えているだろうか、いくらキョウリュウレッドになれるとしても、一人で戦う事態に初めて遭遇してパニックになっていないだろうか…と戦闘中だが考えを割きざる負えないくらいに不安であった
だとしたら令呪を使ってでもこのゲージとまふゆが閉じ込められたゲージを破壊するべきなのでは
と思ってしまうがそれは出来ない、理由の一つ目は今考えたように彼女がどうなっているのかどうかが不確実なのに命を賭けるにはリスクが大きすぎる事、そしてもう一つは学校での戦闘で勇気を出してキョウリュウレッドに変身した彼女を信じたかったからだ。
そう考えると冷静になれた、そして
「まふゆ!!!ユフィリア!!!パラド!!!この霧は毒霧じゃない!!!さっきから吸ってるけど身体に少しも異常は起きない!!!恐らくただの見かけだけを再現した物だと思う!!!」
と、大声で3人に安心させる為の言葉を伝え、令呪を切らずにNPC達を倒してこのクリスタルを解除する事に全霊を注ぐことに決めた…
この選択を大いに後悔してしまう事を、今のギラはまだ知らない。
120:被験体の進化における考察:寄生編 | 投下順 | 121:交情Ⅱ:役立たずの警察 |
116:確かめたい答え | 時系列順 | |
109:今だけの休暇 | ギラ・ハスティー | |
ユフィリア・マゼンタ | ||
朝比奈まふゆ | ||
パラド |