「エアニードル…ファイアーアロー…エアカッター…ファイアーボール!!」
ユフィリアの風の針と刃も、炎の矢と弾も、何れもクリスタルを砕くにも、隙間を通る事もなく無慈悲に消えていった。
「こうなったら…!!」
「やめろユフィリア」
「やめろユフィリア」
諦めずに他の魔法を使おうとするユフィリアをパラドが制止する。
「恐らくコイツは外部からの干渉が不可能に設定されている奴だ、バグ技でもなければ、どんな威力の技だろうと破壊も侵入も不可能だろうな…こんな風に空から入る事もな」
『PERFECT PUZZLE!!』
パラドもデュアルガシャットでエナジーアイテムを操り、高速化をクリスタルゲージに上空から入れようとしても…見えない壁によって跳ね返されてしまった
冷静にパラドはこのクリスタルゲージの特徴を理解していたようである…が
「ですが…ですがっ!?分かっているのですか!?今の状況を!?」
…断っておくがこれは別に運営が仕向けたわけでも、NPC達が意図した事でもない
同じゲームから出典のNPCがたまたま別方向から来ていなかったら
もしギラ・まふゆがいた場所にパラド・ユフィリアの2人が居たら
そしてギラ・まふゆがいた場所が数cmズレていたら
もしユフィリアがキングズウエポンの話を早く終わらせて、あるいは持ち掛けないでギラ達の側に立っていたら
もしギラ・まふゆがいた場所にパラド・ユフィリアの2人が居たら
そしてギラ・まふゆがいた場所が数cmズレていたら
もしユフィリアがキングズウエポンの話を早く終わらせて、あるいは持ち掛けないでギラ達の側に立っていたら
決して…決して起きなかった
『10歳に満たない少女が単独で詳細を把握していない敵達に立ち向かわなければいけない』という事態は…!!
「どうすれば…どうすればいいんですか…!?ギラ様は恐らく問題ないと思われますが、このままではまふゆが…!!」
「落ち着けよ!!アイツは戦えるって自分で言ってた!!それに最強のNPCの一人であるドゴルド等の例外を除いたらNPCの中にそこまで強い奴はまぎれていないはずだ!!この殺し合いがゲームというのが本当なら戦って欲しいのはプレイヤーである俺達で、NPCにプレイヤーが殺される展開を羂索達は望んでねぇだろうからな!!」
「落ち着けよ!!アイツは戦えるって自分で言ってた!!それに最強のNPCの一人であるドゴルド等の例外を除いたらNPCの中にそこまで強い奴はまぎれていないはずだ!!この殺し合いがゲームというのが本当なら戦って欲しいのはプレイヤーである俺達で、NPCにプレイヤーが殺される展開を羂索達は望んでねぇだろうからな!!」
明らかに狼狽するユフィリアに対し、パラドはゲーマーとしての視点からそこまで問題はないから落ち着くように促す。
「まふゆ!!聞こえていますか!?大丈夫ですか!?毒霧だったりしませんか!?」
大声でゲージの中に呼び掛けて紫の霧で姿が見えないまふゆの安否を確かめる
「だ、だいじょうぶ!!…だけどぉ…!!こ、こないでっ!!」
「…え?」
ユフィリアは違和感を抱いた、しっかり応答できている以上、死にかけているとか、ダメージを受けている等は起きていない…はずである。恐らくキョウリュウレッドにはなれている事は伺えた
逃げながら戦っているのかもしれないとも思った…だが…『だけど』の先が気になってしまう、まふゆの身にイレギュラーが起きているかもしれない事は確かだった。
それと同時に
「まふゆ!!!ユフィリア!!!パラド!!!この霧は毒霧じゃない!!!さっきから吸ってるけど身体に少しも異常は起きない!!!恐らくただの見かけだけを再現した物だと思う!!!」
(ギラ様…!!自らの身をもって毒かどうかを確かめるなんて…!!…それはまふゆの為、そして私達の為に行ったのでしょう…私も彼女の為に…何かしなければ…!!)
「こうなったら…!!これに…頼るしかないのでしょうか…!?」
「…何だそれ」
「…何だそれ」
ユフィリアが凄く嫌そうに取り出すは彼女の最後の支給品であった。
「これを使えばまふゆの所に助けを向かわせることが…出来る…はず…なんです…」
「何で自信なさげなんだよ」
「何で自信なさげなんだよ」
ユフィリアの様子に違和感を抱き、理由を聞いた瞬間に、その説明書を渡された
それを見るやいなや
「…とんだポンコツを支給されてるなお前、それ本当に当てにするつもりか?」
思わず絶句すると同時にそれが本当に使えるのかをユフィリアに聞いてしまっていた。
それは仮面ライダーを召喚出来るアイテムであった。
「…こんなの当てにしたくなんかないです本当は!!ですがどんな場所であろうと召喚出来るというのなら、この檻の中にもきっと…!!」
…断腸の想いで…そして藁にも縋る気持ちで…彼女はそれにチップを置いた
そのライダーを召喚する機械には説明書にはこう書かれていた
この「ライドゲート」という機械に「ライドフィギュア」を置く事でライダー…もとい味方NPCを召喚し、「ライドチップ」を置く事でフィギュアを使って召喚したライダーのフォームチェンジや味方NPCの召還などを行える。【因みにライドゲートは非常に読み取り機能の認識が甘すぎる為、本当に召喚したい時に召喚できるかは保証出来ない
緑色の戦士が写っているチップを置いた
反応はないようである
黒色の戦士が写っているチップを置いた
反応はないようである
白い戦士が写っているチップを力強く置いた
反応はないようである
黒い戦士が写っているチップを力強く置いた
反応はないようである
緑色の戦士が写っているチップをつい乱暴気味に置いてしまっていた
反応はないようである。
ユフィリアの中で怒り…もといイライラのボルテージが上昇しているのを感じていた。下手したら令嬢としての振る舞いを忘れかねないくらいに、そして今まで使わない選択をし続けた事は正しかったと認識し始めていた。
パラドも同じようにイライラがたまると同時に確信していた、ユフィリアにコイツを支給する事を決めた奴はおちょくるつもりで支給したのだと。
そしてユフィリアは黒色の戦士と白色の戦士が写っているチップを同時に乱暴気味に置いてしまっていた
反応はないようである。
「ああもうっ!!」
よっぽどのことがなければ怒る事がないはずの彼女が、焦りのあまり遂にやけになってしまい、説明書でリスクを知っていたはずなのに3つ同時に置いてしまった。
その瞬間、ユフィリアの脳内に
「成功…したのでしょうか…?」
3つの音声が響き渡ったと同時に、空から巨大なチップが3つ…クリスタル内部に降り注いできた
二つの疾風のエフェクトと一つの白いエフェクトが晴れた先にいたのは
『キョウカライド ドライブ タイプワイルド』
マッシブな体格を持つパワーの戦士、仮面ライダードライブ、タイプワイルド
『キョウカライド ドライブ タイプテクニック』
精密なガンマンでもあるクールな戦士、仮面ライダードライブ、タイプテクニック
『ナカマライド マッハ』
チェイサー、ドライブと共にロイミュード撲滅のために戦い続けた戦士、仮面ライダーマッハ
3人の戦士がユフィリア達の目の前、まふゆがいるクリスタルゲージの内側に召喚された。
「よ、良かったです…!!御三方、まふゆの救援をお願いします!!」
ユフィリアはお辞儀をしてまで召喚したNPCの3人にまふゆの救助を頼んだ。
へんじがない ただの鉄くずのようだ
「…え?」
(だろうな)
(だろうな)
3体同時召喚が成功していた時、パラドの冷めた表情は変わらなかった…こうなるだろうなと予想していたからだ。
パラドは既に召還機に期待していなかったのである。
「あ、あの…お願いですから助けに行ってください!!今すぐに!!」
へんじがない…… ただのかかしのようだ。
分かっている、ユフィリアも本当は分かっているのだ
3体同時変身のリスク、それが発動してしまったであろう事は
だから最初は一体ずつ召喚しようとしていたというのに
それでも動いて欲しいという思いを込めて、意味がないだろう事は分かっていても
3体同時変身のリスク、それが発動してしまったであろう事は
だから最初は一体ずつ召喚しようとしていたというのに
それでも動いて欲しいという思いを込めて、意味がないだろう事は分かっていても
「お願いです!!今動けるのは、彼女を助ける事が出来るのは貴方達だけです!!どうか…動いてください!!お願いします」
言葉を綴らずにはいられなかったのだ。
先程話した説明書には続きがある
更に複数のライダーを同時召還すると召喚した仮面ライダー達全員がフリーズして棒立ちのまま動かなくなる可能性がある】
……返事がない、ただの死体のようだ。
次の瞬間、深紅の聖剣によってライドゲートは八つ裂きにされ、爆発してしまっていた。
剣を振っていた時、感情を表に出す事が苦手なはずの彼女の顔には青筋が浮かんでいたという
剣を振っていた時、感情を表に出す事が苦手なはずの彼女の顔には青筋が浮かんでいたという
貴重な支給品を壊すという選択を取ったのを見たパラドは全く文句を言うつもりはなく、壊されたライドゲートには見向きもせず、まふゆが閉じ込められたクリスタルゲージの方だけを見ていた。
因みに一応フォローしておく
ライドゲートの認識が甘すぎると思ったかもしれないが、実を言うと最初の置き方を後二回繰り返せば召喚は成功していたのだ。
だが焦っていた結果丁寧に扱える余裕がなくなった結果強くおいてしまったせいで後に続く失敗をしてしまったと追記しておく事にしよう
121:交情Ⅰ:衝撃のEncount! | 投下順 | 121:交情Ⅲ:未知の力で~マジ・マジカ~ |
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パラド |