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  • Side Story 翼の継承 前編

創作女児小学生ズ@wiki

Side Story 翼の継承 前編

最終更新:2024年05月14日 12:57

yuchan

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ここに作品タイトル等を記入

「はぁっ…はぁっ…!」
 どこまでも広がる闇を弱々しい街灯が、心許なく照らす路地裏の道を一人の少年が走る。
 その顔は必死の形相だ。何故なら、その後ろから世にも悍ましい怪物が粘液を撒き散らしながら、彼を追いかけているからだ。
 イカのような触手が身体のあちこちから生やし、鋭い臼歯がぎっちりと生え揃った嘴から、聞くに耐えない金切り声をあげる怪物からは殺意しか感じられず、生物に詳しくない少年にも、確実に友好的な存在ではないと分かる。

「はぁっ、なんなんだよもうっ…!」

 少年は今まで普通に過ごしていた。普通に勉強して、普通に遊び、今日だって特筆すべきことなんて事ないほど平凡な日だった。だが、その帰り道。一瞬意識が遠のくような感覚がしたかと思ったら、この闇が包む変な街にいて、怪物に追われている。

「俺が何したっていうんだよーっ!?」

 少年は狭い曲がり角を曲がる。人一人入れるくらいの幅の狭い道。ここならばあの怪物は入って来れまい──そう思った次の瞬間。怪物はネチネチと音を立てて変形しながら狭い道へと入ってくる。

「うおっ!?アリなのかそれ!?」

 しかも最悪というのはどうも重なるもので。彼が逃げ込んだ先は壁が聳え立っており──つまり、行き止まりだった。

「ちょっ、ちょちょっ!」

 最悪な状況だ。壁を叩くがビクともしない。少年が手間取っている間に怪物は道を抜けると哀れな獲物へと勢いそのまま殺到する。

「う、うわっ……!!」

 もうダメだ──襲いかかる恐怖に少年が目を閉じ、身構えたその時。

「伏せて──」

 何処からか声が聞こえる。打つ手がない少年は藁にもすがる思いでその声に従い、身を屈める。
 すると、上空から凄じい勢い影が降ってくる。影は空中で一回転すると強烈な踵落としを怪物に叩き込む。

「───!!!」

 嫌な音を立てながら、痛烈な一撃が身体に減り込み、怪物は声にならない悲鳴をあげながら地面に倒れ伏す。
 口から泡を噴いてビクビクと痙攣していたが、しばらくすると全身から力が抜けたように沈黙し、そのまま動かなくなった。

「す、すご…」

 目の前で起こった出来事に、少年が唖然とする中、一撃で怪物を沈めた、黒のメッシュが入った長い白髪を持ち、中華服のような着物を着ている少女が彼の方に振り返り、手を差し出して尋ねる。

「怪我、ない?」

「えっ?あっ、はい。おかげさまで……」

 少女の手を取って立ち上がった少年が礼を言う。

「助けてくれて、ありがとうございます。俺、天海 柚紀(あまうみ ゆき)って言います。あの、お名前を聞いても?」

「名前……名前、か。」

 少年、柚紀に尋ねられた少女は一瞬考えるような仕草をした後。

「ボクの名前はイザベラだ。よろしく。」

 イザベラと名乗った少女は柚紀を頭の先からつま先までジロジロと無遠慮に眺めると。

「キミ、迷い込んだ?」

「そうなんです!気がついたらこの黒い町にいて、あのイカの怪物に追いかけられて、もう死ぬかと……」

 柚紀がそう言うと、イザベラはふむ、と顎に手をやり考えると、彼に向き直る。

「一応聞くけど、キミここから出たい?」

「それは勿論、帰りたいです。ここはなんか不気味だし、怖いし。」

 柚紀が食い気味に答えると、イザベラはふむ、と頷き、クルッと振り返いて歩き出す。

「ついて来て。ここから出してあげる。」

「ホントですか!?ありがとうございます!」

 イザベラの背を追いかけるように柚紀も歩き出す。そんな二人を迎え入れるように黒い町は広がっているのだった。




「……む。」

 蝋燭の灯りがぼんやりと照らす部屋の中で、紫色のドレスに頭から軟体動物の脚を角のように生やし、長い青白い髪と肌の少女が声を漏らす。

「どうした?」

 赤黒い無骨な鎧のような肌を持ち、2m近い巨躯を持つ龍人が少女に尋ねる。

「いや、獲物を追ってたワシの眷属の一匹が消滅したじゃき。」

「へー。」

「おやおや。」

 少女が答えると、一緒にいた毒々しいピンク色の髪をお団子に纏め、手を覆うほどの大きな袖から黄緑色の液体を垂れ流す、少女と蝙蝠のような見た目の白い怪物が話に興味を示す。

「それはつまり、今回招き入れた“ゲスト”がクラーケン様の海魔を倒した──と言うことですかな?」

「ほほう?」

 蝙蝠男の言葉に龍人が興味を示す。クラーケンはどうも釈然としない顔をしながら。

「いやー……まぁそうなるんじゃきが……おかしいなぁ、天地がひっくり返っても、わしの海魔がそこらへんの砂利に負けることはないんじゃが…」

「なら、今回はその辺の砂利なんじゃねぇ、ってことだろ。いい事じゃねぇか。イカ擬きばっかりに獲物を取られて、こっちは退屈でしょうがなかったしよぉ。」

「おやおや。あまりそういうことを言うものではありませんよ。まぁ、退屈なのは同感ですが。」

「私も、退屈。」

「ワシの海魔に見回りやらせといてよく言うじゃき。」

 好き放題言う同僚にクラーケンが口を尖らせる。

「今回のゲストは興味深いですが、さりとてあまり放置していると“マスター”も良い顔をしないでしょう。」

「なら、私が、いく。」

 蝙蝠男の提案に毒々しい色の少女が手を挙げる。

「おや、毒々娘々(どぅどぅにゃんにゃん)。あなたが行きますか。」

「うん。マスター困っちゃうのは、私も嫌。」

「おい、おいおい。獲物の横取りは感心しねぇなおチビちゃんよぉ。俺が出るからお前はお留守番しときな?」

「いや。マスターに褒められたい。」

「お、喧嘩?喧嘩じゃき?」

「こらこら。赫槍龍(かくそうりゅう)。喧嘩はよくありませんよ。それならここは一つ、早い者勝ちというのは如何です?」

「…別に、構わない。」

「面白れぇじゃねぇか。俺もそれでいいぜ。」

「はぁ、ならワシはパスじゃき。海魔召喚も疲れるしの。」

「ふむ。では我ら三人早い者勝ちということで。」

 そう言うと蝙蝠男、毒々娘々と赫槍龍は部屋を後にする。
 残されたクラーケンははぁとため息をついて、テーブルに置いていたグラスに飲み物を注いだ。



 黒い町を柚紀とイザベラの二人は歩く。前を歩くイザベラに柚紀が話しかける。

「あの、イザベラ…さん。」

「なに?」

「ここって、どこなんです?」

「悪趣味な魔術師が作った結界。特定の条件を満たさないとここから出ることは難しい。」

「条件……わかるんです?」

「現時点じゃ分からないけど、別に条件を満たさなくても出れる方法があるにはある。」

「えっ、そんなんあるんです?」

 柚紀の問いに、イザベラは答える。

「簡単なこと。結界を作った本人に解除させるか、殺すかすれば結界は崩れる。」

「えっ、殺っ、えっ」

「最終手段だよ。素直に応じてくれれば殺しはしない。」

 イザベラの答えに困惑する柚紀に、彼女は面倒そうに続ける。
 困惑しながらも、柚紀は話しかけ続ける。

「ってか、イザベラさんなんか色々知ってますけど、何者なんですか?」

 柚紀がそう問いかける。

「さぁね。私はなんなんだろうね?」

「……はぐらかされた……」

 そうしながら歩いていると、ピタッとイザベラが止まる。そして柚紀の手を取り、物陰へと隠れる。

「?どうしたんすか?」

「……しー。」

 イザベラの指を立てて、静かにするジェスチャーを見た柚紀は口を紡ぐ。
 すると先程まで自分達がいたところへ粘液に覆われ、テカテカとした体表のイカのような化け物──先程彼を襲った怪物が触手を引き摺りながら通過する。

「──!!」

 驚いた柚紀が声を上げそうになるが、イザベラが素早く彼の口を押さえて黙らせる。

「……」

 必死に息を殺し、体を縮こまらせて二人は気配を消す。
 それからどれほど時間が経っただろうか。怪物はしばらくウロウロしていたが、二人を見つけられなかったのか、身体を翻してどこかへ去って行こうとする。

「……助かったぁ。」

 やり過ごせたことにホッとして、柚紀が胸を撫で下ろしたその時。

「!」

 イザベラが柚紀の首根っこを掴んで、物陰から飛び出す。

「ゲホッゲホッ!何ご──」

 突然の事に彼が困惑していると、怪物もさっきまで彼らがいたところに緑色の液体が付着する。
 液体から胸がムカムカするような不愉快な臭いを撒き散らす。そんな液体を浴びた怪物は耳を裂かんばかりの悲鳴をあげて暴れ回る。
 だが、それも徐々に弱まっていき、ぶるぶると震えたかと思うとパタリと力尽き、倒れ伏す。

「な、何々!?ど、毒!?」

「肌に触れるだけで作用する毒か。厄介だな。」

 慌てる柚紀と対照的にイザベラは冷静に分析する。

「残念。避けられちゃった。」

 そう言いながら一人の少女が二人の前に降り立つ。病的なまでに白い肌、髪の毛で左眼を隠しているが、見開いた緑色の右目はギョロリと、二人を睨め付ける。
 両手の裾とスカートからは緑色の液体……恐らく先程怪物を仕留めた毒が垂れ流されている。

「あれ?一人かと思ったら二人いたんだ。」

 少女は小首を傾げながら二人を見つめる。その動作一つ一つが妙にぎこちなく、人間、よりも人形を相手にしているような気分になる。

「キミがこの結界を作ったのか?」

「いや。作ったのはマスターだよ。私は毒々娘々。」

 イザベラの問いに対し、少女──毒々娘々は答えながら腕を振るった。

「マスターのためにあなた達を殺すのが役目。」

 次の瞬間振るわれた腕から毒が飛沫となって二人に飛ぶ。

「すまない。」

「え?うおっ」

 イザベラはそれに超人的な反応を見せ、柚紀を突き飛ばして物陰に隠しながら、その攻撃を避ける。

「キミは隠れてて。ボクが対応する。」

 物陰に隠れた柚紀は彼女の言葉にコクリと頷くしか出来ない。そしてイザベラも毒々娘々が対峙する。

「一応最初に言っておくけど──後悔する前に降参することをお勧めする。」

「時間の無駄。死んで。」

 先手を取って仕掛けたのは毒々娘々だ。腕を振るい、毒の飛沫を高速で放つ。
 だが、イザベラはそれを身を低くしてかわしながら、低姿勢のまま爆発のようなスタートを切る。

「──警告はしたよ。」

 彼女は距離を潰す。そんなイザベラを迎撃せんと、毒々娘々が毒の拳を繰り出す。
 繰り出された拳をイザベラは横へとサイドステップを踏んでかわすと攻撃のために伸び切った彼女の腕に手を添える。

「ちょっと関節を外すよ。」

 次の瞬間イザベラは掴んだ腕に上下同時に力を入れる。ボキン、と音がしたと同時に毒々娘々の腕から力が失われ、ダラリと垂れ下がる。

「あ。やったな。」

 だが、腕を破壊されたにも関わらず、彼女はまるでそれを意に介さず、もう片方の腕で反撃をしてくる。

「む。」

 彼女はそれを腕で受け止めると、カウンターの裏拳を彼女の顎に炸裂させる。
 常人であれば一瞬で意識を刈り取れる一打。しかし、毒々娘々は止まらない。今度は彼女の脚が跳ね上がる。

「死んで。」

 その一撃もイザベラはサイドステップを踏んでかわし、一旦地面を蹴って距離を取る。

「むん。」

 その隙に嫌な音を立てて、彼女は無理矢理外された骨をはめ込んで腕を治す。

「手間をかけさせないで。」

「我慢強いね。キミ。」

 そう言うとイザベラはスッと両手を上げて、ボクサーのようなファイティングポーズを取る。

「なら、手を変えようか。」

「変えても無駄。」

 そう言うと、毒々娘々は両手を前に突き出し、ドッジボール程の大きさの毒液の弾丸を複数発射する。
 高速で迫り来る弾丸。だが、それに対し、イザベラはステップを踏み、時に身体反らせ、時に屈むことでその弾丸を回避しながら、毒々娘々との距離を潰す。
 そしてとうとう彼女を自身の攻撃の射程圏内に捉える。

「!」

「覚悟しろ。相当痛いぞ。」

 次の瞬間毒々娘々が反撃を繰り出すよりも先にイザベラの鋭いストレートが彼女の顔面に突き刺さる。

「ふんっ。」

 次は彼女の体にボディブローを叩き込む。よろめく彼女の顔面にジャブとフックをお見舞いする。
 毒々娘々も負けじと腕を振るうが、イザベラは最小限の動きでそれをかわすと、怒涛の拳を彼女に振るう。

「うわっ……」

 それは傍から見ていた柚紀もドン引きする位に一方的なものだった。しかし、拳を振るいながらも、イザベラは妙な違和感を拭えずにいた。

(……妙だな。これだけ打ち込んだのに少しも防御に回そうという気配も、痛がる素ぶりも見せない。)

 相打ち覚悟なら分からなくもないが、それにしては、自暴自棄の特攻のような気迫も、狙いも感じられない。
 かと言ってここまで痛めつけているのに、防御や、引き剥がして体勢を立て直そうとするような動きも見られない。

(…試してみるか。)

 そう判断すると、イザベラはローキックを毒々娘々の脚に叩き込む。その威力は凄まじく、彼女は体勢を崩す。

「おっ?」

「……なるほど。」

 体勢を崩した彼女はキョトンとした表情になり、その様子を見たイザベラは何かを察する。尚も反撃しようとする彼女の手を弾いて防御すると、その顔面に拳を捩じ込む。
 しかし、毒々娘々は殴られながらも、ぺっと口から緑色の液体を吐き出す。それはベチャリとイザベラの頬に付着する。

「汚いな。」

「……勝負あり。私の毒はヒュドラの毒。あなた程度の大きさなら、その量で致死量。苦しんで」

「ふんっ」

「!?」

 彼女の言葉を遮り、イザベラは拳を振るって殴り飛ばす。
 地面を転がる彼女を見ながら、彼女は頬についた液体を拭う。

「“西洋の蛇”ごときの毒がボクに効くと思わないことだ。」

「ぐっ……!あなた、一体…?」

 動揺しながらも毒々娘々もすぐさま立ち上がり、臨戦体勢を取る。そんな彼女にイザベラは構えを取りなおす。
 そんな彼女に物陰から柚紀が尋ねる。

「あいつ、あんだけイザベラさんに殴られてもピンピンしてるけど大丈夫なんですか?」

 柚紀の問いに、彼女は目の前の少女の震える脚を見つめながら言う。

「心配しなくていい。アイツはダメージが効いていない訳じゃない。正しくはダメージを正しく認識出来てないだけだ。」

「何を……」

 毒々娘々が言い返そうとしたその時。ガクッと、彼女の体勢が崩れる。

「!?」

「痛みを感じないキミは気づかなかっただろうが……もう既にボクはキミから機動力を奪っている。」

 イザベラが先程の攻防の際に繰り出したローキック。その一撃は彼女の脚に常人なら筋肉が断裂している程のダメージを与えていた。

「ぐっ……」

「さぁ。これが最後の質問。」

 王手をかけたイザベラが毒々娘々に最後通牒の如く、尋ねる。

「“この結界を作った人物の居場所を教えなさい”。」

「だれが!」

 毒々娘々が腕を振るうと、その腕からムカデのように形作られた毒の一撃がイザベラに向かって放たれる。

「死んで!」

「それが答え、か。」

 凄まじい速度で地面を這いながら放たれた毒を見て、イザベラははぁとため息をつく。そしてムカデが口を広げ、彼女を直撃しようとした次の瞬間。

「──ふっ。」

 イザベラが振り上げた蹴りがムカデの顔面を打ち抜き、四散させる。

「え」

「──残念だよ。」

 飛び散った毒が降り注ぐ中、イザベラは地面を蹴る。まさしく流星の如き速さで彼女は毒々娘々との距離をあっという間に詰める。
 拳による攻撃を警戒した毒々娘々が間合いを侵略される前に攻撃しようとする。

「悪いけど、ボク、決める時は蹴りって決めてるんだ。」

 次の瞬間イザベラの脚が跳ね上がり、毒々娘々の喉に綺麗に横脚蹴りが炸裂する。
 その威力は凄まじく、肉を潰し、骨を砕くパァンっという音共に彼女の首は千切れ飛び、辺りに緑色の液体が飛び散る。

「こっ」

「──“煌星一条”」

 彼女が足を下ろすと、首から上を失った毒々娘々の身体は血を飛び散らせながら、倒れる。
 完全に倒したのを確認したイザベラは返り血を拭いながら、柚紀がいる方へ振り返ると。

「もう出て来ていいよ。」

 イザベラがそう言うと、柚紀は壁越しに辺りを見回した後、おずおずと出て来て、倒れ伏す死体を見て、思わず口を押さえる。

「うっ」

「見ない方がいいよ。見て気持ち良いものじゃないし。」

「こ、殺したんですか。」

「うん。」
 イザベラは頷く。柚紀は口を押さえ、吐きそうになるのをなんとか堪えると、涙目になりながらも、彼女へと向き直る。

「…大丈夫です。ビックリしました、けど。……襲って来たのはあっちで、正当防衛、だから……」

「…無理しなくていいよ。ボクのこと、怖いだろう?」

 彼女は今、目の前で人一人を殺してみせた。怪物を倒した時はそうではなかったが、やはり、同じ人の形をしたものを殺した、というのは彼の中の嫌悪を掻き立てる。
 だが、それでも、彼は。背負っていたバックからタオルを取り出し、彼女へと渡す。

「……それでも、あなたは俺を守ってくれた。それだけは変わらない事実だから。」

「……そうか。ありがとう。」

 イザベラは微笑むと、差し出されたそのタオルを受け取って身体を拭く。

「……ところで、自然に拭いたはいいけど、これ、返さなくても良いやつかい?」

「え?」

「いや、毒を拭いたから、もうこのタオル、キミが触れると死ぬよ。」

「……マジっすか」

「うん。大マジ。」

「…マジかぁ……」






「……おや。」

 戦闘の気配を感じた蝙蝠音が路地裏へと足を踏み入れる。
 あちこちに見られる戦闘の痕を辿って歩を進めていた彼の前に佇む赫槍龍を見つける。

「おやおや。先に着いてましたか。」

「ファルファレロか。」

 蝙蝠男ことファルファレロが声をかけると、赫槍龍は顎である場所を促す。
 そこにあったのは首から上を失い、そこから毒を垂れ流す毒々娘々の死体だった。

「おやおや。これはこれは……」

「ったく。コイツをやるとは思ったよりとんでもねぇゲストが迷い込んじまったようだな。」

「困りましたね。彼女がやられたとなると、マスターもさぞお悲しみになられるでしょう。」

「アイツがそんなタマかね。」

 赫槍龍はやれやれと首を竦めた後、踵を返す。

「どうします?私も一緒に行きましょうか?」

「結構だ。俺一人でやる。ガラじゃねぇが……コイツがやられちまってるのを見たら…ちょっと燃えてきたんだよ。」

 彼はそう言うと、路地裏を離れる。そんな彼の背を見ながらファルファレロはふむ、と顎に指を添えるのだった。




 黒い街を歩きながら、ふと柚紀はイザベラに尋ねる。

「……あの、今どこに向かってるんです?」

 彼がそう問うと、イザベラは街に悠然と佇む高い不気味な塔を指差す。

「あそこ。あそこにマスターとやらがいる。」

「分かるんですか?」

「こんなふざけた結界を用意する奴なんて大抵自己顕示欲だけはすごいアホに違いない。十中八九あそこにいる。」

「はぁ…そんなもんですか。」

 イザベラの推理に若干不安を感じながら、柚紀は彼女に着いていく。

「そう言えば、イザベラさん、格闘技やってたんです?」

「うん。」

「あ、やっぱり。俺、古武術やってて。少し心得があるんですよ。」

「へぇ。古武術か。珍しいね。」

「イザベラさんは何を?やっぱりさっきの動き的にボクシング?」

「色々さ。ボクシング、功夫、合気道、システマ……まぁ、あとは省略だ。」

「ええっ。そんなに?」

 想像以上の習得数に柚紀は驚きを隠せない。そんな柚紀に彼女は微笑みながら。

「無駄に長生きしているからね。手慰みに始めたが……これが中々どうして、面白い。」

「長生きって……」

 イザベラの外見はかなり若い。身長も柚紀に比べたら小さく、中学生と言われても信じてしまうほどだ。さりとてなんとなく年齢を聞くのも失礼かな、と思い、彼女を見つめていると、イザベラはクスッと笑って。

「ま、ここから無事出られたら手ほどきしてあげる。一回怪異に魅入られるとまた出会う可能性が高まるから。」

「げぇっ。マジっすか。」

 そんなやり取りをしていると、何かに気づいたのかキッと彼女の表情が鋭くなる。

「イザベラさん?何が…」

「キミは物陰に隠れてて。」

 そんな二人の前にザッと音を立てて、赤黒いゴツゴツした甲殻に身を包んだ、龍の怪物が現れる。

「見つけたぜぇ。お前らがゲストか。一人、と聞いちゃいたが、二人いるじゃねえか。ま、別にいいけどよ。」

 怪物、赫槍龍はそう言って槍を構える。

「まずは自己紹介だ。俺の名は赫槍龍ってんだ。名前だけでも覚えて死んでくれ。」

「戯言はボクを倒してから言うんだね。」

 イザベラがそう言いながら構える。その構えを見た赫槍龍は嬉しそうな声をあげる。

「いいねぇ。その立ち振舞い。己の技量に誇りと自信を持っている奴にしか出来ねぇモンだ。」

「そうか。ボクもキミに言いたいことがある。」

「なんだ?」

「痛い目を見る前にマスターとやらの情報を吐くつもりはあるかい?」

「クハハ。ほざけ。」

 赫槍龍は笑いながら、姿勢を低く構える。

「久々の実力者との戦い、楽しまねぇバカがいるかよ!」

 次の瞬間赫槍龍が槍を構えて、仕掛ける。爆速でイザベラを間合いに捉えると、神速の槍を突き出す。

「戦闘を楽しむタイプ、か!」

 だが、それはイザベラは見切っており、繰り出された突きを両腕で受け流す。
 そして距離を詰めようとした瞬間、槍が横薙ぎに振るわれる。

「!」

 それも屈んでかわす。しかし今度は振り下ろしが彼女を襲い、それ以降も突き、薙ぎ払い、振り下ろしが変幻自在に襲い掛かり、彼女の侵攻を阻止する。

「俺の変幻自在の槍、たっぷり馳走してやるぜ!味わってくれよ!」

 赫槍龍の繰り出す槍の間合いを保ち、懐に入れさせることない攻撃にイザベラは後手に回らざるを得ない。

(自身の得意の間合いを正確に把握し、自身の得意を押し付ける攻撃型。なんとかこっちの間合いに持ち込みたいけど…!)

 赫槍龍の攻撃にイザベラは舌を巻く。槍の攻撃を乗り越え、懐に潜り込まなくては彼女に攻撃手段はない。だが、目の前の敵はそう簡単に近づかせてくれそうにもない。

(無傷で突破は出来そうにもない、ならば!)

 イザベラはそう決心すると、一歩前に踏み込む。次の瞬間彼女を迎撃せんと槍が突き出される。
 その一撃は彼女の脇腹をハスり、鮮血が飛び散る。

「イザベラさん!?」

「は!俺相手にそれはちと無謀じゃねぇか!」

「いや…!これで間合いは詰めた!」
 イザベラは肉を削がれながらも、槍の柄を掴み、踊るようにクルリと回転しながら距離を詰めると、裏拳を赫槍龍に飛ばす。

「おおっと。」

 その一撃を彼は片腕を槍から離して防御する。だが、放たれた裏拳は途中で握り拳から開かれ、彼の腕を取る。そしてもう片方の手も掴んだ腕に添える。

「回れ!」

 次の瞬間彼女が力を込めると、赫槍龍の身体が回転する。

「おおおお!?」

(これは、合気道かぁっ!?)

 だが、回転しながらも赫槍龍は空中で体勢を立て直すと、なんとか着地して、地面に叩きつけられることだけは防ぐ。だが、イザベラは既に足を振り上げており、そして着地でバランスを崩している赫槍龍にそれをかわす術はない。

「ちぃっ」

「“煌星一条”!」

 次の瞬間弾丸の如く鋭い蹴りが放たれる。赫槍龍は槍を挟み込ませて防ごうするが、蹴りの勢いは凄まじく、ガードごと彼は蹴り飛ばされ、建物の壁に激突する。
 轟音を立てて、砂塵が舞い上がる。イザベラは脇腹を抑えながら、片手で構える。

「イザベラさん!大丈夫ですか!?」

「ま、なんとか。」

 イザベラはそう応えるが、脇腹から流れる血が彼女の白の衣服を赤く滲ませる。柚紀が彼女を心配する一方、舞い上がった砂塵を切り裂いて、赫槍龍が建物から出てくる。

「くくっ。やるじゃねぇか。一瞬の命のやり取り、この攻防。たまんねぇな。」

 あちこちに砂埃がついているが、彼自身は大したダメージを負っているようには見受けられない。

「さぁて。仕切り直しだ。今度はさっきみたいに上手くいかねぇぜ?」

「上等。」

 そう言うと、互いに走り出す。またもや凄じい速度の槍が彼女に向けられる。彼女はその攻撃を受け流しながら回避する。

「ははは!どうする?また自傷覚悟で突っ込んで来るか!?」

「さぁ、どうしようかな?」

 攻撃は最大の防御を体現するかのような猛攻に晒されながら、イザベラは仕掛けるタイミングを図る。

(中々の防御だが、ならその姿勢を崩す!)

 次の瞬間赫槍龍が仕掛ける。槍を下段の横薙ぎに振るい、足払いをかける。
 イザベラもそれを見切り、跳躍してかわす。だが、それこそが赫槍龍の狙いだった。

「空中じゃあかわせねぇだろ!」

 そう叫び、彼が槍を繰り出す。宙に浮いた彼女にそれをかわす術はない。放たれた一撃が彼女の身体を貫く──そう誰もが思った刹那。
 黒と白が入り混じった翼がはためく。次の瞬間彼女の姿が消え、槍は目標を失って空を突く。

「んなっ」

 赫槍龍が驚く。何故なら。イザベラの背から一対の翼が生え、空中に舞っていたからだ。虚を突かれた赫槍龍の動きが一瞬止まる。そして彼女はその一瞬を逃しはしない。

「“流星一毫”!」

 彼女は足を振り上げ、そのまま高速で赫槍龍へと振り下ろす。
 迫る痛烈な踵落としに一瞬反応が遅れた赫槍龍は対応できない。踵が彼の左肩にめり込み、骨を軋ませる嫌な音が鳴る。

「ぐぅおっ…!な、め、るなーッ!」

 だが赫槍龍はそう叫ぶと自身にめり込む彼女の足を掴んで思い切り地面に叩きつける。
 そしてそのまま彼女を地面に擦り付けながら、思い切り投げ飛ばす。投げ飛ばされた彼女はそのまま建物の壁を突き破る。
 イザベラを投げ飛ばした赫槍龍は攻撃を受けた肩を押さえる。一方の彼女も壁を支えにしながら立ち上がると、建物から出る。
 その姿を認めた赫槍龍はククと笑う。

「テメェ、人間じゃねぇとは薄々思っていたが…やるじゃねぇか。その翼見てると、昔……」

 そこまで言いかけた次の瞬間。彼の脳裏にある光景が過ぎる。それは激闘の記憶、龍の少女、黒い翼の少女、そしてこちらへと手を伸ばす桃色の髪の青年の顔。

「──あ?なんだ?」

 突然流れ込んできた自身の知っているようで、知らない記憶に赫槍龍は戸惑うが、すぐに首を振って払うと槍を構える。

「チッ。なんなんだ一体?」

 一方のイザベラは口元を拭いながら、状況を分析する。

(奴と私はほぼ互角。互いに仕掛ければ、手痛い反撃が待っている。)

「……どちらにしても早く決めないと。」

 ここは敵の本拠地だ。あまり長いこと戦っていると、増援が現れる可能性がある。
 そう判断すると、イザベラは地面を強く踏み締め、技を繰り出す構えを取る。

(ヤロウ、次で決めるつもりか。)

 それを見た赫槍龍も槍を振り回した後、腰を低く落とし、必殺の一撃を放つ構えを取る。
 強く地面を踏み締め、翼をはためかせるイザベラと赤黒い雷を纏いながら槍を構える赫槍龍が睨み合う。
 空気が張り詰める。そして互いがタイミングを見計らい、ほぼ同時に仕掛けた。

「“煌星一条”!」

「“雷撃龍槍突”!」

 二人が必殺の一撃を放ち、交差する。そして二人はそのまま着地し、一瞬の静寂が流れる。
 だが、その静寂を破ったのはイザベラの切り裂かれた肩口から噴き上がる鮮血だった。

「ぐっ……」

「イザベラさん!?」

 肩口を押さえながら膝をつくイザベラに柚紀の悲鳴が上がる。一方の赫槍龍はハッと笑いながら振り返る。

「クハハっ…テメェ……やるじゃねぇか。」

 その胸は蹴り砕かれて、ぽっかりと穴が空いている。赫槍龍が槍を落とし、顔を押さえる。

「ククッ。いやぁ、楽しい殺し合いだった。まぁ、無念があるとすれば、赫槍龍じゃなくて、“トゥバン”として戦いたかったが……まぁ、死後のロスタイムにしちゃあ、極上の時間だった。ありがとよ。」

 そう言いながらトゥバンの身体は蹴り砕かれて開いた穴からヒビが入っていく。そんな彼を見て、イザベラが口を開く。

「……キミもからかなりの強者だった。キミのことは絶対忘れないだろう。」

「ソイツは嬉しいね。ならサービスしておくか。」

 赫槍龍は後ろにある大きな塔を指差す。

「大体察してるだろうが……マスターはあそこにいる。だが、気をつけることだな。俺たち永闇四天王は…脱落した毒々娘々と俺を除いて、あと二人いる。俺と違って卑しい奴らだ。気をつけた方がいいぜ。」

「忠告どうも。胸にしかと刻んだよ。」

「ならいい。」

 とうとう亀裂が全身に拡がる。そして赫槍龍は高笑いして。

「クハハハッ、お前らの健闘を祈ってるぜ。せいぜい足掻いてみせな。」

 その言葉を最期に、赫槍龍は砕けて消滅してしまう。それを確認した柚紀がイザベラに駆け寄る。

「イザベラさん!大丈夫ですか!?」

「…気にしないで。これくらい大丈夫だから。」

「いやでも、さっきすごい血が……あれ?」

 先程まで確かについていたイザベラの傷はいつの間にか塞がっており、血も止まっていた。
 そのことに柚紀が困惑していると、イザベラは立ち上がりながら言う。

「…ボクは人間じゃないからね。あの程度の傷ならすぐ塞がる。」

「あぁ。……いや、でも。治っても痛いもののは痛いでしょう?すぐ治るって言ったって……後ろに隠れているだけの俺が言うのもなんですけど、心配と言うか、その……とにかくイヤなんです。あなたが傷つくのを見るの。」

 心配そうに自分を見つめる柚紀を見てイザベラはポカンとした後、クスクスと笑う。

「……ふふっ。キミは優しいね。こんな状況で他人に気を遣えるのはある種の才能だ。」

「こんな状況だからですよ。」

 そう言うと柚紀はイザベラに手を差し出す。彼女はその手を取って立ち上がる。

「微力かもしれないですけど、俺も頑張ります!何か今欲しいものとかあります?あっ、チョコありますよ!」

「……じゃあ貰っておくよ。」

 彼がカバンから取り出したチョコを口に入れると、彼女はコロコロとそれを舌で転がす。

「そう言うイザベラさんこそ、なんで俺を助けてくれるんです?」

 柚紀が彼女に尋ねる。それに対し、彼女は口をモグモグさせながら答える。

「そうだね。一言で言うなら、私は人間が好きだからさ。」

「人間が……好き?」

「うん。人間が好きなんだ。」

「その、どういうところが?」

「そうだな。──強いて言えば寿命が短いところが好きだ。」

「短いところが?短いのは普通嫌なんじゃ?」

 イザベラの答えに柚紀は首を傾げる。

「そうだ。人の一生は短い。短いから皆懸命に生きる。ボクは長く生きて、色んな人を見た。弱い人、強い人、優しい人、ずるい人、とにかく様々な人生を見た。そしてボクが見てきた全ての人が短い人生を鮮烈に駆け抜けた。避けられない終わりに抗い、受け入れ、そして子や周りの人間に託して死を迎える。」

 イザベラは空を見上ながら、笑みを浮かべて言う。その瞳はどこか羨望が感じられた。

「そんなキミ達人間の生き様が、ボクにとっては羨ましくて仕方ない。ボクは基本不老不死だ。看取ることは出来ても託すことは出来ない。なにも生み出せない。ただ…漫然と生きているだけ。手慰みで武術を学んでも…結局は壊すしか出来ない。」

「でも、イザベラさんのおかげで俺は助かりました。」

 柚紀の言葉にイザベラは目を丸くして彼の方を見る。

「イザベラさんのおかげで俺は今、こうして生きているんです。だから、イザベラさんが何も生み出せないなんてこと、絶対に無いです!俺が保証します!」

 柚紀はイザベラの手を取ってそう力強く宣言する。イザベラは驚いた顔をしていたが、彼が自分の手を取っていることに気づくと、優しく振り解く。

「そ、そうか。キミもスキモノ、だな。危うくて眩しい程真っ直ぐだ。」

「はい!周りからバカ正直とよく言われます!」

「……そう聞くとちょっと心配になってきたよ。ほら、行くよ。キミにはこんな暗い世界は似合わない。」

 そう言ってイザベラは振り返って塔へと歩き始める。その際、ほんの一瞬彼女の頬が朱に染まっているのが見えたが、柚紀は。

(…まぁ、さっきあれだけ動いてたみたいだし、赤くもなるか。)

 そう解釈すると、歩く彼女の背を追うように駆け出した。




「おや、おやおや。これは一大事。まさか赫槍龍まで倒れてしまうとは。マスターになんとご報告すればよいのやら…」

「観察に徹しといてよく言うじゃき。っちゅーか、なんだって“ヘビクイワシ”の奴がこの空間にいるんじゃき?物好きだと思ってたがここまでとは思わんかった。」

 塔の近くにある高い建物の屋上から塔へと向かう二人を見下ろす影があった。
 それはファルファレロとじゃきロリクラーケンだった。

「ふむ。しかしどうしたものでしょうか。」

「んー。まぁ、塔の中に誘い込んでワシの海魔で圧殺じゃき。ヘビクイワシはまぁ難しいが、いかにアイツと言えど近くのガキは流石に守り切れんじゃき。」

「成る程。成る程成る程。すみませんねぇ。お手数をおかけします。」

「はっ。白々しいじゃき。」

 二人が打ち合わせをして、塔に戻ろうとしたその時。

「ちょっとぉ。生贄一体にどこまで時間かけてんのよ。」

 二人の目の前に魔女のような三角帽を被り、全身に目のような装飾があしらわれた黒と金のローブに身を包んだ金髪の少女がいた。
 その菫色の瞳は明らかに不機嫌の色が浮かんでおり、そんな彼女の姿を認めたファルファレロが恭しく頭を下げる。

「申し訳ございませんマスター。すぐに対応致します…クラーケン様が。」

「おいコラ。海魔の餌にするぞ。」

 マスターと呼ばれた少女はキョロキョロと辺りを見回す仕草をした後、二人に尋ねる。

「って言うか毒々娘々と赫槍龍は?サボり?」

「大変言いにくいのですが……二人は侵入者に倒されてしまいまして…。」

 ファルファレロが残念そうに言うと、少女の額に青筋が浮かぶ。

「はぁぁっ?私が呼び込んだのは“ただの人間一人”よ!?何倒されてんのよ!?」

「いえ、それが少々イレギュラーがございまして。もう一人侵入者が……」

「そこにおるじゃき。」

「ったく、毒々娘々の奴、ヒドラの毒とかレアモノつけてやったのに。赫槍龍だって、珍しい魂をサルベージして手を加えた奴なのにぶっ壊しやがって、一体どこの誰が…」

 少女が眼前を歩く二人へと視線を向ける。そして彼女がイザベラを捉えたその時。彼女は大きく目を見開く。

「……うそ。」

「どうされましたマスター?」

 ファルファレロが声をかけると、彼女は口元に手を当てると、かなり興奮した様子で喋り出す。

「ウソ、ウソウソ!!?“イザベラ”!?イザベラが来てるじゃない!夢!?夢かしら!?」

 先程とは打って変わり、まるで恋する乙女のような表情と黄色い声を上げながら少女はぴょんぴょんと飛び跳ねる。
 あまりの転身具合に若干クラーケンが引きながら尋ねる。

「……一応、アイツ二人をぶっ壊しとるんじゃが。」

「あぁ。“そんなのどうでもいいわ”!そんなことより早くイザベラを出迎えるわよ!あぁ、1000年ぶりかしら!?ファルファレロ!来なさい!」

「えぇ。仰せのままに。」

 身を翻し、塔へと向かう少女とそれに付き従うファルファレロを見て、クラーケンはげんなりとした表情を浮かべると。

「…恐ろしいのぉ…ニンゲンってものは…」




「ここか……」

 異様な雰囲気を放つ塔の前にイザベラと柚紀は立つ。

「…やっぱ、雰囲気ありますね。」

「うん。赫槍龍が言っていたとおりだ。ここにボスがいると見て間違いない。」

 イザベラがドアを開けようとすると、ギギッと音を立てて扉が一人でに開く。そして二人を迎え入れるように完全に開き切った扉の奥を見て、柚紀が言葉を漏らす。

「……これってどー考えても罠ですよね。」

「うん。まぁ十中八九罠だが……まぁ、入らざるを得ない。そして、入る前に注意だが……」

 イザベラは柚紀に掌を向ける。

「ボクのそばを絶対に離れないでくれ。もし離れてしまった時の合言葉も決めよう。合言葉は“翼”だ。」

「……分かりました。」

「なら、良い。行くよ。」

 そう言うと、二人は塔へと入る。入ったその先には大広間となっており、白を基調とした部屋に赤い絨毯が敷かれている。
 二人が進むとすぐ目の前に大きな階段がある。そして階段を登り切った先、上階に二人を見下ろすように一体の怪物がいた。
 そこにいたのは白い蝙蝠のような怪人、ファルファレロだった。彼は仰々しく翼を拡げると、恭しく首を垂れる。

「ようこそおいでくださいました。お待ちしておりましたよ、ゲストのお二方。」

「キミ、赫槍龍が言ってた四天王の一人だな?」

「その通りです。ですが、今は貴女方と戦うつもりはありませんよ。それよりも我が主があなたの事をお待ちなのです。」

 そう言ってイザベラが構える。しかし、ファルファレロはそのまま左へと避ける。
 すると、奥の方から一人の少女が現れる。黒と金のローブに身を包み、ウェーブのかかった長い金髪、そして菫色の瞳を持つ彼女のまとう雰囲気は妖しく、柚紀ですら思わず後退りをしてしまう程の禍々しさを持っていた。
 しかし、少女の顔を見たイザベラの目が驚きで大きく見開かれる。

「──そんな、馬鹿な。何故、キミが。」

 彼女の口から困惑の言葉が漏れる。そんな彼女を金髪の少女は嬉しそうに見つめる。

「あはっ。嬉しいわ。覚えていてくれたのね。そうよね。“この千年”私も片時もあなたとのこと忘れたことないもの。」

 嬉しそうに顔に手を当てる少女にイザベラが尋ねる。

「何故キミが生きているんだアリス。」

「また会えて嬉しいわ。イザベラ。私がつけた名前、まだ使ってくれているんだ?」

 二人の視線が交差する。その視線には郷愁と愛憎が入り混じっていたのだった。




To be Continued…

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