「───ご苦労でござった。
其方らは本当に才能に溢れた子供達でござるな。
修行はこれにて完了したゆえ、
拙者は陰に潜む生活に戻るでござる。
なに、案ずる事はない。拙者は常に其方らの側にいる。
何かあればすぐに其方らの元に駆け付けるでござるよ」
其方らは本当に才能に溢れた子供達でござるな。
修行はこれにて完了したゆえ、
拙者は陰に潜む生活に戻るでござる。
なに、案ずる事はない。拙者は常に其方らの側にいる。
何かあればすぐに其方らの元に駆け付けるでござるよ」
そう言い残して、ござる鼬ちゃんは去って行った。
わたし達が女児纏の修行をしている間、
世間では目立った動きはなかったけれど、
今までのようなのんびりした
日常生活は忽然と姿を消した。
人々は常に忍者の襲撃に怯え、国軍は
テレビや街頭で軍備の拡張や人員の募集を叫び、
政府は軍事費の増大を決定するなど、
戦争に向けた物々しい雰囲気がこの街を包んでいた。
わたし達が女児纏の修行をしている間、
世間では目立った動きはなかったけれど、
今までのようなのんびりした
日常生活は忽然と姿を消した。
人々は常に忍者の襲撃に怯え、国軍は
テレビや街頭で軍備の拡張や人員の募集を叫び、
政府は軍事費の増大を決定するなど、
戦争に向けた物々しい雰囲気がこの街を包んでいた。
最近になってようやく知った事だけれど、
忍者達の『城』が出現したのは
わたし達がいる南青空町だけではなかった。
日本の各地、それどころか全世界のあちこちに
同じような城が出現しており、既に忍者との
全面戦争になっている国もあるのだという。
事態は思っていた以上にとんでもない事になっていた。
もはやわたし達がどうにかできる問題ではないと
思うのだけど……Dr.マッド曰く
「こんな状況だからこそ、
頼りになる戦力を確保しておきたいのさ。
君たちの存在の重要度は君たち自身が
思っているよりも大きいと、
近いうちに知る事になると思うよ」という事らしい。
とにかく、ござる鼬ちゃんが言っていたように、
わたし達はわたし達にできる事をするだけだ。
まだ女児纏の練習は済んでいないし、
Dr.マッドがこの間届けてくれたそれぞれの武器も、
まだ完全には使いこなせていない。
来るべき戦いに向けて、準備を進めよう。
忍者達の『城』が出現したのは
わたし達がいる南青空町だけではなかった。
日本の各地、それどころか全世界のあちこちに
同じような城が出現しており、既に忍者との
全面戦争になっている国もあるのだという。
事態は思っていた以上にとんでもない事になっていた。
もはやわたし達がどうにかできる問題ではないと
思うのだけど……Dr.マッド曰く
「こんな状況だからこそ、
頼りになる戦力を確保しておきたいのさ。
君たちの存在の重要度は君たち自身が
思っているよりも大きいと、
近いうちに知る事になると思うよ」という事らしい。
とにかく、ござる鼬ちゃんが言っていたように、
わたし達はわたし達にできる事をするだけだ。
まだ女児纏の練習は済んでいないし、
Dr.マッドがこの間届けてくれたそれぞれの武器も、
まだ完全には使いこなせていない。
来るべき戦いに向けて、準備を進めよう。
「忍者だ!!忍者が出たぞーっ!!」
街中に人々の悲鳴が響く。
最近になって、城に近づかなくても忍者が
市民を襲う事件が時折起きるようになった。
急いで現場に向かっても、
素早い身のこなしで既に逃げた後……
というパターンが多く、
まだ忍者を倒す事はできていない。
今のところ死者は出ていないのが救いだけど……
あの時のわたしのように腕や足を斬りつけられて
重傷を負う被害も起きている。
街中に人々の悲鳴が響く。
最近になって、城に近づかなくても忍者が
市民を襲う事件が時折起きるようになった。
急いで現場に向かっても、
素早い身のこなしで既に逃げた後……
というパターンが多く、
まだ忍者を倒す事はできていない。
今のところ死者は出ていないのが救いだけど……
あの時のわたしのように腕や足を斬りつけられて
重傷を負う被害も起きている。
「行かなきゃ!
今度こそ、忍者を止めてみせる……っ!!」
せっかく遊撃隊として軍人になる覚悟を決めたのに、
戦果を出せなければただの役立たずだ。
焦りは禁物だけど、このまま何もできずに
人々を傷付けられるのは絶対に嫌だ!!
悲鳴が聞こえる方へとひた走る。
まだ忍者は去ってはいないようだ。
今回は、間に合うはず……!!
今度こそ、忍者を止めてみせる……っ!!」
せっかく遊撃隊として軍人になる覚悟を決めたのに、
戦果を出せなければただの役立たずだ。
焦りは禁物だけど、このまま何もできずに
人々を傷付けられるのは絶対に嫌だ!!
悲鳴が聞こえる方へとひた走る。
まだ忍者は去ってはいないようだ。
今回は、間に合うはず……!!
「忍者が逃げたぞ!あそこだ!!」
男の人が叫びながら上の方を指差している。
忍者は街灯から街灯へと飛び移り、
恐ろしく素早い身のこなしで逃亡を図っている。
だけど、わたしだって負けられない!
身のこなしなら、人並み以上の自信があるんだ!!
「はぁっ!!」
足に『女児力』を込め、思いっきり前方に跳躍する。
アスファルトが砕ける音がしたけど……
後で直してもらえばいい!!
忍者はビルからビルへと飛び移り、
壁を走るように移動している。
流石忍者というべきか、あんな芸当わたしには出来ない。
……でも、壁は走れなくても、
向こうに追い付ければそれでいいんだ!
「ふっ、とりゃあっ!!」
男の人が叫びながら上の方を指差している。
忍者は街灯から街灯へと飛び移り、
恐ろしく素早い身のこなしで逃亡を図っている。
だけど、わたしだって負けられない!
身のこなしなら、人並み以上の自信があるんだ!!
「はぁっ!!」
足に『女児力』を込め、思いっきり前方に跳躍する。
アスファルトが砕ける音がしたけど……
後で直してもらえばいい!!
忍者はビルからビルへと飛び移り、
壁を走るように移動している。
流石忍者というべきか、あんな芸当わたしには出来ない。
……でも、壁は走れなくても、
向こうに追い付ければそれでいいんだ!
「ふっ、とりゃあっ!!」
ガシャン!!
街灯を蹴り砕き、反動で忍者が進む方向へと突っ込む。
驚いたように忍者は身を翻したけれど、もう遅いっ!!
「逃がす、もん、かぁっ!!」
ガシッ!!と忍者の腰をしっかりと掴み、
そのまま地面へと引きずり下ろす。
ドサッ……!!
街灯を蹴り砕き、反動で忍者が進む方向へと突っ込む。
驚いたように忍者は身を翻したけれど、もう遅いっ!!
「逃がす、もん、かぁっ!!」
ガシッ!!と忍者の腰をしっかりと掴み、
そのまま地面へと引きずり下ろす。
ドサッ……!!
「はぁ、はぁ、はぁ……!
さぁ、観念して大人しく…………うわぁ!!」
倒れた状態で、いきなり苦無を投げてきた!
「こ、のぉ……大人しく降参しないってんなら……!!」
わたしは、腰に収納していた
トンファーを引き抜き、腕に装備する。
「もう容赦しないからね!『女児纏』!!」
ブォン……!!と、力を纏ったトンファーが
ぼんやりと光を放つ。
それを見て、忍者がたじろぐ。
こちらがただの子供じゃない事に、
ようやく気付いたようだ。
「さぁっ、こっちも本気だよ……!
来るなら来いっ!!」
「………………良いだろう。
こちらも覚悟を決めて当たらせていただく」
さぁ、観念して大人しく…………うわぁ!!」
倒れた状態で、いきなり苦無を投げてきた!
「こ、のぉ……大人しく降参しないってんなら……!!」
わたしは、腰に収納していた
トンファーを引き抜き、腕に装備する。
「もう容赦しないからね!『女児纏』!!」
ブォン……!!と、力を纏ったトンファーが
ぼんやりと光を放つ。
それを見て、忍者がたじろぐ。
こちらがただの子供じゃない事に、
ようやく気付いたようだ。
「さぁっ、こっちも本気だよ……!
来るなら来いっ!!」
「………………良いだろう。
こちらも覚悟を決めて当たらせていただく」
……しゃ、喋った……!?
いや、(多分)人間なんだし当たり前だとは思うけど……
今まで一度も喋ってないし、
勝手に意思疎通はできない相手だと思っていた。
話す事ができるとなれば、もしかしたら
戦わずに済む道もあるんじゃないだろうか……?
と、思った矢先。
いや、(多分)人間なんだし当たり前だとは思うけど……
今まで一度も喋ってないし、
勝手に意思疎通はできない相手だと思っていた。
話す事ができるとなれば、もしかしたら
戦わずに済む道もあるんじゃないだろうか……?
と、思った矢先。
「『符号解放:炎舞の型』!!」
ブォッ!!!
忍者の手から、突然炎が噴き出した。
炎はまるで火炎放射器のように、
弧を描いてこちらに飛んでくる!!
「う、わぁっ!!な、何なにっ!?」
咄嗟になんとか避けたけれど、服の裾が焦げている。
幻覚や錯覚の類じゃない……!
本当に、手から火を出した!?
それに今、『符号解放』って言ったような……?!
ブォッ!!!
忍者の手から、突然炎が噴き出した。
炎はまるで火炎放射器のように、
弧を描いてこちらに飛んでくる!!
「う、わぁっ!!な、何なにっ!?」
咄嗟になんとか避けたけれど、服の裾が焦げている。
幻覚や錯覚の類じゃない……!
本当に、手から火を出した!?
それに今、『符号解放』って言ったような……?!
「はもはもちゃん!大丈夫っ!?」
ザッ!!
騒ぎを聞きつけてか、ライジングちゃん達が
助けに来てくれたみたいだ。
「みんな、気をつけて!この忍者……
女児符号みたいな力を使うみたい!」
「えっ……どう見てもおじさんなのに…!?」
「女児しか使えない力を……あのおじさんが!?」
「心は女児なのかも知れない!外見はどう
見ても妙齢の男性だけど……」
ザッ!!
騒ぎを聞きつけてか、ライジングちゃん達が
助けに来てくれたみたいだ。
「みんな、気をつけて!この忍者……
女児符号みたいな力を使うみたい!」
「えっ……どう見てもおじさんなのに…!?」
「女児しか使えない力を……あのおじさんが!?」
「心は女児なのかも知れない!外見はどう
見ても妙齢の男性だけど……」
「……あの、忍者さんがすごい勢いで
凹んでるからそこらへんにしておいてあげよう?」
『おじさん』と連呼されて流石に傷ついたのだろうか……。
隙はあるけど、何となく今はそっとしておいて
あげた方が良い気がする。
凹んでるからそこらへんにしておいてあげよう?」
『おじさん』と連呼されて流石に傷ついたのだろうか……。
隙はあるけど、何となく今はそっとしておいて
あげた方が良い気がする。
「貴様ら、拙者を馬鹿にしておるのか!!
頭巾を被っておるから外見なぞ分からんだろうが!
拙者は……拙者はまだ35歳だ!!」
「………………………………」
わたし達からしたら、35歳は十分おじさんです、
とは言い出せない感じだ。ここは黙っておこう。
「くぬぬ……子供が揃いも揃って大人をコケにしよって!
まとめてあの世に送ってやるわ!!」
「うわぁ……小物感丸出しのセリフを喋り出したよ……」
「ちょっ、天号ちゃん!
そういう事は思っても口に出しちゃダメだよ!」
頭巾を被っておるから外見なぞ分からんだろうが!
拙者は……拙者はまだ35歳だ!!」
「………………………………」
わたし達からしたら、35歳は十分おじさんです、
とは言い出せない感じだ。ここは黙っておこう。
「くぬぬ……子供が揃いも揃って大人をコケにしよって!
まとめてあの世に送ってやるわ!!」
「うわぁ……小物感丸出しのセリフを喋り出したよ……」
「ちょっ、天号ちゃん!
そういう事は思っても口に出しちゃダメだよ!」
「『符号解放:大炎陣の型』!!!」
ゴオァッ!!!!
「う、わぁっ!!」
忍者が両手を振り上げると、
地面から巨大な火柱が、
わたし達を包囲するように巻き上がる。
に、逃げ場が……ない!このままじゃ、
本当に全員まとめて焼き尽くされちゃう……!
「ど、どうしようライジングちゃん!!」
「こ、こんな威力の火柱じゃ……あちちっ!
『女児力』でも『女児纏』でも太刀打ちできないよ!
五月ちゃんがいてくれれば……!」
「そんな……こんなところで終わりなんて、嫌だよぉ!!」
ゴオァッ!!!!
「う、わぁっ!!」
忍者が両手を振り上げると、
地面から巨大な火柱が、
わたし達を包囲するように巻き上がる。
に、逃げ場が……ない!このままじゃ、
本当に全員まとめて焼き尽くされちゃう……!
「ど、どうしようライジングちゃん!!」
「こ、こんな威力の火柱じゃ……あちちっ!
『女児力』でも『女児纏』でも太刀打ちできないよ!
五月ちゃんがいてくれれば……!」
「そんな……こんなところで終わりなんて、嫌だよぉ!!」
わたしたち、本当にこんなところで
終わっちゃうの……?
誰か、誰か助けて……!!
終わっちゃうの……?
誰か、誰か助けて……!!
……………………ぁ………………
「…………ん?何か聞こえない?」
「えっ!?火柱が燃える音で、何も
聞こえないよ!?」
「えっ!?火柱が燃える音で、何も
聞こえないよ!?」
…………ぁぁぁ………………!
「…………声…………?」
「誰かの、叫び声みたいな…………
遠くから聞こえる!」
「そ、そんな事よりも、この状況を何とか
しなくちゃ……!!」
「誰かの、叫び声みたいな…………
遠くから聞こえる!」
「そ、そんな事よりも、この状況を何とか
しなくちゃ……!!」
───わああああああああぁっ!!!
あっ……わたしにも聞こえる!
確かに叫び声だ!!
……ん?
この声、聞き覚えがあるような……?
確かに叫び声だ!!
……ん?
この声、聞き覚えがあるような……?
「オイオイオイオイ!!どうするんでィこの状況!!
なんでアチキらは落っこちてるんだヨ!?」
「私が知るか!!
Dr.が飛ばす先を間違えたんじゃないのか!?」
なんでアチキらは落っこちてるんだヨ!?」
「私が知るか!!
Dr.が飛ばす先を間違えたんじゃないのか!?」
えっ……!?
この、声って……!!
この、声って……!!
「おい、落下地点に誰かいるぞ!!
このままでは……!!」
「ぶ、ぶつかる─────!!!」
このままでは……!!」
「ぶ、ぶつかる─────!!!」
「…………何?」
忍者のおじさんが気付いた、瞬間。
忍者のおじさんが気付いた、瞬間。
ズド────────ン!!!!!
「テテテ…………お、オイオイ!オッさん!
大丈夫かィ?……このオッさんが
クッションになってくれたおかげで
アチキらは助かったみてェだが……」
「この男……まるで忍者のような格好をしているが……
何者だ?…………コスプレ?」
大丈夫かィ?……このオッさんが
クッションになってくれたおかげで
アチキらは助かったみてェだが……」
「この男……まるで忍者のような格好をしているが……
何者だ?…………コスプレ?」
───間違いない!
純乃ちゃんと、御滴ちゃんだ!!
無事、だったんだ……!
無事、だったんだ……!
「純乃ちゃん!御滴ちゃん……!!
2人とも、生きてたんだね!!」
「ン、はも蔵じゃねェか!オタクこそ、
ちゃあんと生き返れたんだなァ。
いやァ良かった良かった!アチキの符号がキチンと
効いたみてェで何より…………ン?
なんかオタクら、ちょっと
デカくなったンじゃねェか?」
「あ、そっか。2人と別れてから、
4ヶ月くらい経ってるもんね。
少し背が伸びたかも!」
「な……よ、4ヶ月!?
そんなに時間がズレてしまったのか!?
私達からしたらほんの数分の感覚だったのだが……。
やはり、時空が違えば時間の流れも異なるのだな……」
2人とも、生きてたんだね!!」
「ン、はも蔵じゃねェか!オタクこそ、
ちゃあんと生き返れたんだなァ。
いやァ良かった良かった!アチキの符号がキチンと
効いたみてェで何より…………ン?
なんかオタクら、ちょっと
デカくなったンじゃねェか?」
「あ、そっか。2人と別れてから、
4ヶ月くらい経ってるもんね。
少し背が伸びたかも!」
「な……よ、4ヶ月!?
そんなに時間がズレてしまったのか!?
私達からしたらほんの数分の感覚だったのだが……。
やはり、時空が違えば時間の流れも異なるのだな……」
どうやら2人は、わたし達と別れてすぐ後に
こっちの世界に飛ばされて来たみたいだ。
でも……純乃ちゃんはあの時わたし達を
飛ばすだけで精一杯だったはずなのに、
どうやってこっちの世界に移動して来れたんだろう?
こっちの世界に飛ばされて来たみたいだ。
でも……純乃ちゃんはあの時わたし達を
飛ばすだけで精一杯だったはずなのに、
どうやってこっちの世界に移動して来れたんだろう?
「……ねぇ、積もる話もあると思うけど……
とりあえず、そこで伸びてる忍者さんを
どうにかした方が良いんじゃないかな?」
天号ちゃんの一言で、全員が足元に目をやる。
2人に押し潰されて気を失った忍者さんの事を、
すっかり忘れてた……。
とりあえず、そこで伸びてる忍者さんを
どうにかした方が良いんじゃないかな?」
天号ちゃんの一言で、全員が足元に目をやる。
2人に押し潰されて気を失った忍者さんの事を、
すっかり忘れてた……。
……………………
………………………………
…………………………………………
「いやぁ流石だねぇ君たち!!
やっぱり私の目に狂いはなかった。今まで戦闘どころか
接敵する事すらできなかった忍者を、
こんな簡単に捕まえてしまうなんてね!!こいつら、
すばしっこいなんてもんじゃなかっただろう?
通報を受けてから駆けつけていたら、
とてもじゃないが間に合わなかったからね。
君たちのような自由に動ける遊撃隊こそ、
忍者を相手にするには有効だと思っていたんだよ!
本当にありがとう!これで彼らについての
情報を聞き出せるかも知れない。
今日中には何かしらの進展があればいいんだが……
忍者となれば口も固そうだからね。
根気強く粘るしかないかもだ」
やっぱり私の目に狂いはなかった。今まで戦闘どころか
接敵する事すらできなかった忍者を、
こんな簡単に捕まえてしまうなんてね!!こいつら、
すばしっこいなんてもんじゃなかっただろう?
通報を受けてから駆けつけていたら、
とてもじゃないが間に合わなかったからね。
君たちのような自由に動ける遊撃隊こそ、
忍者を相手にするには有効だと思っていたんだよ!
本当にありがとう!これで彼らについての
情報を聞き出せるかも知れない。
今日中には何かしらの進展があればいいんだが……
忍者となれば口も固そうだからね。
根気強く粘るしかないかもだ」
Dr.は嬉しそうにまくし立てる。
捕まえた忍者を引き渡してしまえば、
もうわたし達の出番は終わりだ。
後は国軍が忍者を上手く尋問して、
情報を聞き出してくれる事を祈ろう。
捕まえた忍者を引き渡してしまえば、
もうわたし達の出番は終わりだ。
後は国軍が忍者を上手く尋問して、
情報を聞き出してくれる事を祈ろう。
「…………やはりあなたは、
『あちら』のDr.とは別人なのですね。
私の知るDr.は、あなたほど明るく話す事はなかった」
「星降 純乃ちゃんだね。君の事は、
はもはもちゃん達から聞いてる。
『あちら』の私が、願望から生み出した存在だと。
興味深いね。いつか、君の事と……
『あちら』の私の事を聞かせてくれるかい」
「えぇ、その時は必ず。
今日は、色々ありましたので……
休ませていただけると助かります」
「もちろんだとも。……君たちも、もう今日は
休んでもらって構わない。
大変な目に遭ったろうからね、
ゆっくりと眠っておくれ」
「はい。それじゃ、何か分かったら……」
「あぁ。もちろん真っ先に君たちに伝えるよ。お休み」
「お休みなさい」
『あちら』のDr.とは別人なのですね。
私の知るDr.は、あなたほど明るく話す事はなかった」
「星降 純乃ちゃんだね。君の事は、
はもはもちゃん達から聞いてる。
『あちら』の私が、願望から生み出した存在だと。
興味深いね。いつか、君の事と……
『あちら』の私の事を聞かせてくれるかい」
「えぇ、その時は必ず。
今日は、色々ありましたので……
休ませていただけると助かります」
「もちろんだとも。……君たちも、もう今日は
休んでもらって構わない。
大変な目に遭ったろうからね、
ゆっくりと眠っておくれ」
「はい。それじゃ、何か分かったら……」
「あぁ。もちろん真っ先に君たちに伝えるよ。お休み」
「お休みなさい」
Dr.が所属している国軍の科学研究所を
後にして、わたし達は帰路につく。
時刻は夕方になっていた。
そろそろ、夜ご飯の準備をしなきゃ!
「純乃ちゃん、御滴ちゃん!
わたし達の家に、帰ろう。みんなの手料理、
振舞ってあげたいから!
そこで向こうのお話を聞かせてくれる?」
「もちろんだ。『彼女』の最期についても……
話しておきたいしね」
「あ………………」
わたし達にとって、忘れられない出来事を
引き起こした、『夢の世界』のDr.マッド。
彼女がやった事は、絶対に許される事ではないけれど……
それでも、純乃ちゃん達にとっては親のような存在だ。
色々、思うところがあるんだろうな。
後にして、わたし達は帰路につく。
時刻は夕方になっていた。
そろそろ、夜ご飯の準備をしなきゃ!
「純乃ちゃん、御滴ちゃん!
わたし達の家に、帰ろう。みんなの手料理、
振舞ってあげたいから!
そこで向こうのお話を聞かせてくれる?」
「もちろんだ。『彼女』の最期についても……
話しておきたいしね」
「あ………………」
わたし達にとって、忘れられない出来事を
引き起こした、『夢の世界』のDr.マッド。
彼女がやった事は、絶対に許される事ではないけれど……
それでも、純乃ちゃん達にとっては親のような存在だ。
色々、思うところがあるんだろうな。
「ここが君たちの新しい家か!
立派なものだ、これをあのDr.が用意してくれたのか?
簡単な事ではないだろうに……。
彼女は一体何者なんだ……?」
「うーん……確かに……」
考えてみれば、戸籍のない怪しさMAXの
人間に家を用意したり仕事を斡旋するなんて、
普通の人ではお金があってもまず不可能だ。
Dr.マッド……この世界でのあの人は、
一体どんな立場なんだろう?
「マ、細けェ事は置いといて、とりあえず休もうゼ。
符号の影響はなくなったけどヨ、流石に疲れちまった」
「そっか、御滴ちゃん達からすれば
あの戦いから数時間くらいしか経ってないんだもんね!
ごめん、気が付かなかったよ」
所変わって、食堂。
今日の晩御飯担当はばくがちゃん。
ばくがちゃんの作るメニューは、
豆乳をふんだんに使っていてヘルシーかつ
美味しいとみんなにも評判だ。
「ふふっ、疲れてる純乃ちゃん達のために、
腕によりをかけました!豆乳には美肌効果もあるんだよ。
ささ、食べて食べて〜!」
立派なものだ、これをあのDr.が用意してくれたのか?
簡単な事ではないだろうに……。
彼女は一体何者なんだ……?」
「うーん……確かに……」
考えてみれば、戸籍のない怪しさMAXの
人間に家を用意したり仕事を斡旋するなんて、
普通の人ではお金があってもまず不可能だ。
Dr.マッド……この世界でのあの人は、
一体どんな立場なんだろう?
「マ、細けェ事は置いといて、とりあえず休もうゼ。
符号の影響はなくなったけどヨ、流石に疲れちまった」
「そっか、御滴ちゃん達からすれば
あの戦いから数時間くらいしか経ってないんだもんね!
ごめん、気が付かなかったよ」
所変わって、食堂。
今日の晩御飯担当はばくがちゃん。
ばくがちゃんの作るメニューは、
豆乳をふんだんに使っていてヘルシーかつ
美味しいとみんなにも評判だ。
「ふふっ、疲れてる純乃ちゃん達のために、
腕によりをかけました!豆乳には美肌効果もあるんだよ。
ささ、食べて食べて〜!」
「これは……美味いな!
『夢の世界』の青空学園での食事も良かったが、
こちらもまた格別だ。
生きるか死ぬかのサバイバルではないというだけで、
これほど安心できるとはな……!」
「この世界に来れて良かったなァ。Dr.には
感謝してもしきれねェヨ」
「そういえば、2人はどうやってこの世界に来れたの?
わたし達、てっきりもう二度と会えないものだと……」
「私もそう思っていた。
だが、あちらの世界のDr.が私達を助けてくれたんだ」
『夢の世界』の青空学園での食事も良かったが、
こちらもまた格別だ。
生きるか死ぬかのサバイバルではないというだけで、
これほど安心できるとはな……!」
「この世界に来れて良かったなァ。Dr.には
感謝してもしきれねェヨ」
「そういえば、2人はどうやってこの世界に来れたの?
わたし達、てっきりもう二度と会えないものだと……」
「私もそう思っていた。
だが、あちらの世界のDr.が私達を助けてくれたんだ」
……………………
………………………………
…………………………………………
「───そう、だったんだね。
あのDr.が、そんな事を…………」
「彼女がしでかした事は、到底許されはしないだろう。
……だが、彼女が君たちの事を思っていたのは確かだ。
あの人は、最期は笑っていた。
君たちが無事で良かったと、喜んでいたように見えたよ」
「…………………………」
いつもは賑やかな食堂がしん、と静まり返る。
あんな事件を起こしたとはいえ、Dr.マッドは、
本当の悪人ではなかったのかも知れない。
ただ、純粋過ぎただけで……。
「やっぱりDr.は悪い人じゃなかったんだよ!
……いや、その、とんでもない事件を
起こしてはいたけど……」
「それじゃあさ、こっちの世界のDr.も
悪い人じゃないんじゃないかな?
私達に色々よくしてくれてるし!」
「でも、ござる鼬ちゃんはDr.を
信用するなって言ってたし……」
「うーん、ござる鼬ちゃんの事も、
まだよく知らないしなぁ……
信用度で言ったら正直どっちもどっちと言うか……」
あのDr.が、そんな事を…………」
「彼女がしでかした事は、到底許されはしないだろう。
……だが、彼女が君たちの事を思っていたのは確かだ。
あの人は、最期は笑っていた。
君たちが無事で良かったと、喜んでいたように見えたよ」
「…………………………」
いつもは賑やかな食堂がしん、と静まり返る。
あんな事件を起こしたとはいえ、Dr.マッドは、
本当の悪人ではなかったのかも知れない。
ただ、純粋過ぎただけで……。
「やっぱりDr.は悪い人じゃなかったんだよ!
……いや、その、とんでもない事件を
起こしてはいたけど……」
「それじゃあさ、こっちの世界のDr.も
悪い人じゃないんじゃないかな?
私達に色々よくしてくれてるし!」
「でも、ござる鼬ちゃんはDr.を
信用するなって言ってたし……」
「うーん、ござる鼬ちゃんの事も、
まだよく知らないしなぁ……
信用度で言ったら正直どっちもどっちと言うか……」
ざわざわざわざわ………………。
結局その場では話がまとまらないまま、
皆が揃って初めての食事の時間は
過ぎていった。
結局その場では話がまとまらないまま、
皆が揃って初めての食事の時間は
過ぎていった。
後編へ続く