集落の手前から装甲車を降りる
既に何度かミサイルで破壊された居住区
俺は小銃を構え
ゆっくりとそこへ入っていく
聴覚は研ぎ澄まされ
仲間の足音と敵の足音を聞き分ける
壁伝いに歩いていき
通りに出る
誰もいないかのように静かだ
だが路地には生活の跡
ここには確かに敵が潜んでいる
手当たり次第に住居に侵入する
地下に潜っているかもしれない敵を探す
やがてその階段を見つけ
ゆっくりと息を殺して降りていく
古びた赤茶色のドアを蹴破ると
そこには女が二人と子供が三人
俺は銃口を向けたまま
恐怖に慄く顔を見つめていた
英語は通じなかった
泣き叫ぶ子供の声に神経がとがった
今ここで殺すべきか
立ち去るべきか
一瞬の迷いが生死をわける
やはり俺の勘は正しかった
その隙を突いて男がひとり飛び込んできた
手には爆弾を抱えていた
女は急いで顔を手で覆い隠している
俺は引き金を引きながら
必死で部屋の外に出ようとした
轟音と共に壁は崩れた
きっとあの場にいた全員が死んだ
俺はなんとか瓦礫を押しのけ
通りの陰に身を潜める
息をつく間もなく
人影が見えたので銃を向けた
そこにいたのは老人
憐れみの目でこちらを見ている
立ち止まったままお互いに動かない
息があがっているのは俺の方だ
老人は微動だにしない
その上何も話しはしない
英語は通じなかった
そしてまたその隙を突いて
老人の足元に何かが転がった
俺は咄嗟に老人を撃ち
また別のところに逃げた
誰のせいでこんな世界に
戦うべき相手を間違えている
彼らに銃を向けてどうしようと言うんだ
そして何のために戦うのか
生き残るために次々と殺した
路地に転がるのは罪無き人々の身体
汚れに染まったのは俺の手
あんたの手はきれいだね
味方ながらも撃ち殺してやりたいよ
俺は空に向けて引き金を引いた
作戦は終了
ただ血が流れただけだ
他には何もない
そしてまた次の区域へと車は進んでいく
決められた範囲を赤く塗りつぶす
それだけが今俺にできること
生き残るしか道はない
最終更新:2007年03月23日 06:31