【初出】
X巻
【解説】
“
紅世の王”。
真名は“破暁の先駆”(はぎょうのせんく)と“夕暮の後塵”(せきぼのこうじん)。
炎の色は二人揃ってオーロラ。
中世の『
大戦』までは初代『
極光の射手』
カール・ベルワルドと、現在は二代目『極光の射手』
キアラ・トスカナと契約し、鏃型の
神器“
ゾリャー”に意思を表出させている。
ウートレンニャヤは艶っぽい女性の声、ヴェチェールニャヤは軽くはしゃいだ少女の声。
二人存在しているのではなく、一つの体に二つの人格がある、一心同体の姉妹という他に類を見ない形の“王”。故に態度の差異はあれど、根本の部分は同じであるようだ。
カールともども浅慮な性格で、彼の失策を咎めるどころか一緒になって楽しんでいた。
その油断がたたり、中世の『
大戦』終盤で三人揃って[
仮装舞踏会]の
シュドナイの『
神鉄如意』に叩き潰され、二人は“
紅世”へ帰還した。
その後、19世紀末期にて、二代目『
極光の射手』となる
キアラと再契約した。
カールのことは大切に思っていた模様だが、彼に軽率な行動を取らせて死なせてしまった失敗から、
キアラを丁寧に指導し大切に育て、常に気を配っていた。
なかなか成長しない
キアラにも優しく接する場面が多く見られた。
現代では、
キアラに余計なツッコミをしては鏃型の二つの髪飾りである“
ゾリャー”を握り締められて黙らされていた。
【由来・元ネタ】
名前の元ネタはスラヴ神話に登場する女神
ゾリャー・ウートレンニャヤ(Zria Outrenniaia)、
ゾリャー・ヴェチェールニャヤ(Zoria Vetcherniaia)と思われる。
姉妹神であり、ウートレンニャヤが明けのオーロラを、ヴェチェールニャヤが宵のオーロラを司る。
元ネタには、真夜中のオーロラを司る
ゾリャー・パルノーチニャヤ(Zoria Polunochnaya)という三女もいる。
「破暁」の「破」は夜が明けることを、「暁」は明け方を意味していると思われ、「先駆」は馬に乗って先導することを意味する。
また、「夕暮」は夕暮れのことで、「後塵」は馬などが走ったあとにたつ塵のことである。
彼女たちの由来である双子の女神はそれぞれ明けのオーロラと暮れのオーロラを司り、彼女たちの役目とは太陽神
ダジボーグの馬車の出入りする門を守る番人である。
「先駆」も「後塵」も戦場を駆ける馬に関する言葉であり、それぞれ戦場を駆ける馬の前方・後方を意味する。更に、オーロラは古代スラブにおいて戦士を守る女神のヴェールとされていた。
これらを総合してこの“
紅世の王”姉妹について考えると、彼女たちの能力は、オーロラの守りを纏って戦場を疾駆することと解釈できないだろうか。
そう解釈すると、真名全体で「戦場での疾駆の前方を守る極光」「戦場での疾駆の後方を守る極光」という意味だと思われる。
最終更新:2025年04月24日 07:30