【初出】
VI巻(名称はVII巻)
【解説】
“
紅世の王”。
真名は “探耽求究”(たんたんきゅうきゅう)。
炎の色は馬鹿のように白けた緑。大多数の人々からは
教授と呼ばれていた。
超のつく変人。古くから人の世に現れて“
紅世”とこの世、双方の在り様について研究と実験を行う事に己が存在の全てを賭け、そのためには自分の命さえ投げ出す生粋のマッドサイエンティスト。
サブラク曰く、才を恃んでその場の欲求に生きる、身勝手にして不快きわまりない“
紅世の王”。
最古の
フレイムヘイズ『
儀装の駆り手』
カムシン・ネブハーウをして、百年に一度出会えばもう懲り懲りと言わしめた。
その
自在法や
式に対する知識は、旧知の間柄である“
螺旋の風琴”と並んで広く知れ渡っていた。
外見は長い白衣を着た、年齢不詳のヒョロ長い男。首から双眼鏡やらメモ帳やらをいろいろ提げていた。
二十世紀初頭には、中世の親方のような職人エプロンを付け、首に矩尺やロザリオ、手帳にレンチなどを提げた姿だった。
口調は妙なところで溜めて伸ばす、常に奇妙なハイテンション。シイタケが嫌いらしく、また
サーレ・ハビヒツブルグと
ベルペオルをシイタケより嫌っていた。
古株の“
紅世の徒”らしく、手をマジックハンド(過去にはやっとこ状)に変形させる、腕を(文字通り)伸ばす、上半身や首を180度回転させる等、身体を変形させる事に抵抗が無かった。
マジックハンドは主に“
燐子”『
ドミノ』をつねるために使われた。
欲望の形や対象がコロコロ変わり行動律が読めない(たまに自分でも分からないらしい)ため、敵にとっても味方としても極めて厄介な相手。
とある“
紅世の王”の企みに加担しながら、その場の思いつきによる実験でその“王”を滅ぼしたり、
フレイムヘイズと“徒”双方の
宝具を強化したり、
フレイムヘイズ誕生に関ったりしたため、“
紅世の徒”の中にさえも彼を憎む者がいた。
しかし、才能や能力は極めて優れているため、[
仮装舞踏会]や[
革正団]の
サラカエル一派のように、数々の悪評にも関わらず、彼の興味の対象となる作戦を掲げて彼に協力を要請し、客分として迎え入れる組織も存在した。
また、決して出し惜しみをしない性格でもあり、何かを欲したり困ったり悩んだりする者全員に、解答となる技術や知識や宝具や僅かなコツまで何の見返りも求めずに与えていた為、付き合いが短ければ短いほどに素晴らしい存在だと見えてしまい、ダンタリオンを師と仰ぎ信奉する[
轍]のような連中まで、新世界『
無何有鏡』創造後に現れることになった。
彼の天才としての特徴は大きく三つで、一つ目は“徒”としての
固有能力に『物質の具現化』を持っていた。これは、本来自身にのみ行われる
顕現を使うことで、物質を他の物体として永続的に実体化させるという特異な能力。この『力の結晶』を素材として生み出されるのが『
我学の結晶』であった。
二つ目は、技術者としての腕前であった。
三つ目は、
自在師としての才幹であった。
敵が多いことから、逃げの一手には特に長けていた。
過去には
ヘカテーを危険な目に遭わせた為に怒り狂った
シュドナイに命を狙われた事もあったが、現代まで健在なところを見るに、何らかの手段を持って逃げおおせたようである。
ヘカテーとだけは関係良好なようで、彼女の言葉だけは素直に聞き入れていたようだ。
ヘカテーの笛型宝具『
トラヴェルソ』を16回も改造してあげたり、「おじさま」と呼ばれるほどの仲であった。その理由は、彼の物を作り出す力が
創造神に似ていたからであった。
逆に“壊刃”
サブラクとは、彼を一時期雇っていた際に
彼の秘蔵の剣を無断でドリルに改造し、
サブラクも教授の発明を「ガラクタ」扱いしたため、極めて仲が悪かった。
“
螺旋の風琴”
リャナンシー(“屍拾い”
ラミー)とは知己で、研究仲間のような間柄。天才同士だけあって、普通に会話が成立した。互いに迷惑をかけたりかけられたりした関係とのことだった。
[仮装舞踏会]の極秘の目的、『
大命』について早くから知らされていた、数少ない人物。
かつて、[仮装舞踏会]にて極秘の研究任務(おそらく『
大命詩篇』について)に就いている食客であることを公言していたようだ。
しかし門外不出のはずの『
大命詩篇』の一部を無許可で持ち出し、無断で手を加え、危機に陥った際にはあっさり放り出していた。
それは最終的に
アシズの手に渡り、『
壮挙』の中核を担うこととなった。
その甲斐あって、『
詣道』の崩壊や
両界の狭間など、貴重な観測データをリアルタイムで収集した。『詣道』の崩壊によって異変が起こった際には、それを『
朧天震』と命名した。
『
神門』へ遡る途上、追いついて来たシャナたちの妨害を“
祭礼の蛇”らが撥ね退けて、“
祭礼の蛇”神体と共に無事にこの世に帰還した。
ロフォカレが導きの
神シャヘルの眷属であることを知っていた数少ない(?)人物であり、攻撃を受けた『星黎殿』内部施設の点検と
ヘカテーの神体顕現の安定化作業を手伝う傍ら、
ドミノにその事を語った。
御崎市決戦では、『
星黎殿』を『
真宰社』に変形させ、『真宰社』の中央制御室にいながら『
揮拳の圏套』を両拳に搭載した数十体の鉄巨人を『
真宰社』の防衛機構として登場させ、
サーレと戦わせた。
『真宰社』が倒壊の危機に瀕した際には、機器管制室に移動しそこから『真宰社』を再構築し直した。この際、故意か事故か、機器管制室が外壁の外に露出してしまった。
琥珀色の風が去り、再び
鉄巨人で
サーレを追いつめにかかるが、鉄巨人に仕込んでいた罠を見破られており、『
揮散の大圏』が起爆直前の鉄巨人を機器管制室へ向けて放り投げられた。当然、教授は逃げにかかるが、脱出装置が「なぜか」作動せず(『真宰社』に避難していた
パラが作動しないようにしていた)、自らが開発した究極爆弾によってドミノごと
両界の狭間へ放逐された。
その光景を見て、
マモンが呆然としてしまい、直後に
キアラ・トスカナに致命傷を負わされるという、最後まで傍迷惑なものであった。
SⅣ巻で明かされたところによると、「今なお」
ドミノを改造し続けているらしい。
【彼が発明、改造した物】
(二次創作)
【由来・元ネタ】
名前の元ネタは、ソロモンの72柱の悪魔“異相の公爵”ダンタリオン(Dantalion)と思われる。序列71番の悪魔で、右手に本を抱えた人間の姿で現れるが、その顔は老若男女様々な風貌に常に変化すると言う。
召喚の際は、全ての芸術と科学の知識を授け、相手の思考を読み取り自由に操れる力を授けると言う。
「耽」は度を越えて熱中することで、「究」は物事の極まりまたは、本質を突き詰めて明らかにすることである。この場合の物事の極まりは彼の追い求める紅世とこの世の在り方の真実だろう。
真名全体で「世界の在り様を突き詰め明らかにすることに熱中する」という意味だと思われる。
世界の在り様を追い求め、それに狂い、そのための実験ならば自分の命すら惜しまない彼に相応しい真名だと思われる。
最終更新:2024年08月05日 05:15