【初出】
SII巻
【解説】
隠蔽と遁走に秀でた三人の“
紅世の徒”が営む運び屋一味。“徒”を乗り物に載せて遠隔地まで送り届けることを生業とし、遥か昔から弱小の“徒”を目的地に届けたり、大物の“徒”の隠遁行動や脱出の手助けをしてきた。
モットーは「安全運転、安全運行! 危機に対さば、即退散」。しかしそのモットーを破る時が二つあり、面白い奴を運ぶ時と、運ぶことで何かが変わると感じた時である。
メンバーは、頭目の“深隠の柎”
ギュウキ、運転手の“與隷の御者”
パラ、用心棒の“坤典の隧”
ゼミナの三人のみであり、組織というにはあまりに小規模であるため、[
宝石の一味]のように「気の合った仲間」のようなものである。
中央アジア便の運行時には、臨時の物見として
セムルヴを雇っていた。
本来のメンバー三人は、力を誇らないため“
王”とは見なされず、強大な“王”たちに比べればその力も自在法も格段に見劣りするものの、それなりに大きい力を備えている
自在師である。
しかし、彼らが長年に渡って生き延びてきたのは、その能力よりも、彼らの人格としての特性である。
人心の操作に長け、小知恵が回り、根気強く潜伏と準備を行い、なにより金科玉条である「騒動からは逃げる」ことを何よりも優先するスタンスを崩さないところが大きい。
危機を感じれば全身全霊の能力を使って逃げ、危険と感じれば逃げ、戦いに巻き込まれても逃げ、名を挙げるチャンスがあれば全力を持ってそれを避けてきた。
人間以上に人間という生き物を理解し、効率良く上手に使うため、運び屋の運行や、いざ逃げる際の情報の収集や操作も巧みに行う。
20世紀には、[
革正団]を運んでいたこともあり、影の花形として動いていた。その当時は、何度も運んだ常連(
ドゥーグ)がいた。
冷戦時代には、『
冷戦下の事件』で
フレイムヘイズの突入部隊に協力したようで、この時はギュウキたちも自ら戦ったようだ。しかし、この事実は突入部隊の間での秘密とされたようだ。
ガープを「慢心坊主」と呼んでおり、ある限りの情報を提供して[
仮装舞踏会]との相互不干渉を取り付けたようだ。
21世紀初頭まで30年ほど運行していた中央アジア便を、ヴィルヘルミナと『
約束の二人』との遭遇から放棄し、逃亡した。
現代ではアメリカ南部で隠棲しており、帰還した
創造神“
祭礼の蛇”の
大命宣布を聞きはしたものの、今の生活に満足しているために特に興味を持たず、関わる気もなかった。その直後、隠棲場所を
フィレスの『
風の転輪』によって発見され、何らかの目的で突如接触してきた彼女と再び見えることとなった。
その後、フィレスの依頼を受けて、
フレイムヘイズ兵団が大敗した半日後にはニューヨーク
外界宿の支部である『
イーストエッジ外信』の地下蔵の床板まで地中を掘り抜き、わざわざノックをして
シャナたちに挨拶して接触した。
御崎市決戦では、シャナ一派を日本まで送り届け、
カムシンと
マージョリー・ドーを『
真宰社』の内部まで密かに侵入させる手引きをした。
その後、『
真宰社』の頂上から連れ出した
吉田一美と『
約束の二人』を乗客に、臨時の護衛として合流したカムシンをライトバン型“
燐子”『苦尽甘来号』の屋根に乗せ、“徒”に溢れた御崎市を逃げ回った。
乗客たちのうち、カムシンは新世界『
無何有鏡』創造後に落命したが、他の者達は無事であった。[百鬼夜行]もまた、新しい乗客を求めて
ドゥーグの事を話しながら『
天梯』を通って新世界へ旅立った。
新世界へ渡り来た後、ドゥーグと再会し、彼の依頼を受けて活動中である。新世界が創造されてから数年後の外伝『ローカス』では、ヴィルヘルミナ・カルメルの依頼で『
両界の嗣子』
ユストゥスを豪華客船
ロード・オブ・ザ・シーズへと運んでいる。
【由来・元ネタ】
日本の説話などに登場する鬼や妖怪等の異形の群れ、及びその行進のことである。
最終更新:2025年01月16日 08:17