Thunderbols Vol.1

(シリーズタイトル、マーベル)

出版:1997年2月〜

概要

ヴィランたちのヒーロー集団、サンダーボルツの活躍を描く。
オンスロートとの決戦で地球上のヒーローたちのほとんどがその命を捧げ、ほぼ全滅してしまった。崩壊したニューヨークで市民に不安が広がる中、謎の新ヒーローチーム颯爽と現れ、悪党どもを蹴散らし瓦礫と化した街の再建にも尽力する。"サンダーボルツ"を名乗る彼らの正体そして真の目的はーー?

【Thunderbolts 初期メンバー】
シチズン・V:チームリーダーでその正体はバロン・ジーモ(ヘルムート)。星条旗を模したコスチュームを身につけ剣を手に戦う。
アトラス(エリック・ヨーステン):その正体はゴライアス(元パワーマン)巨大化能力を持つ。チームのパワー担当。
ソングバード:元スクリーミング・ミミ。その「声」は固形の性質を持ち、攻撃や翼を形成しての飛行、フォースフィールドの形成などマルチに使える。
メテオライト:元ムーンストーン。飛行、手からエナジーブラストを放出などの能力。
MACH-1(アブナー・ジェンキンス):元ビートル。アーマー系ヒーロー。小型ミサイルなど数々の武装が仕込まれている。
テクノ:元フィクサー。背中にテックパックという背負い型の戦闘デバイスを装着。これは彼の意思で自由自在に変形し、あらゆる形状の武装となる。チームの発明担当でもありV-ジェットやソングバードの声帯強化パーツなどを開発。

内容

  • # 1 混乱が続くニューヨークで盗みを働く集団ラット・パック、さらにはレッキング・クルーとの戦い。悪党たちから市民を次々と救い、戦いで破壊された自由の女神を修理するなどこれまでのヒーローとは違い「戦いの後始末」までしっかりやっていく彼らはマスメディアに大歓迎される。しかし隠された彼らの正体は元ヴィラン。そのリーダーの正体はアベンジャーズと度々戦ったヴィランのバロン・ジーモだった。

  • # 2 MACH-1とソングバードが恋愛関係に。一方、オンスロートの災禍で犠牲になったヒーローたちを讃える石像が完成し、その除幕式にリード・リチャーズの息子フランクリンが出席。そこへ超人刑務所ヴォルトに収監されているはずのマッド・シンカーが現れ、強力なアンドロイドを放つ。戦った相手の能力をコピーできるアンドロイドはフランクリンを拉致するが、サンダーボルツは苦戦しながらも勝利。その活躍を見た市長とフランクリンから、ファンタスティック・フォーの本拠地フォー・フリーダムズ・プラザ(破壊されたバクスター・ビルディングの代替本部)を使ってはどうかと提案される。そんな中、メテオライトはフランクリンの救出に邪念なく没頭し戦いの後で賞賛される状況に快感を覚えている自分に気づく。

  • # 3「マスターズ・オブ・エビル」を名乗るヴィラン集団が現れ、ブラックウィドウと戦闘中という報告が。元マスターズ・オブ・エビルのリーダーだったバロン・ジーモは「俺たちがここにいるのになんで?」と偽マスターズに戦いを挑む。苦戦の末に偽マスターズを撃退するが、彼らはテレポートで逃亡。その後、本拠地フォー・フリーダムズ・プラザに人体実験のため囚われていた少女ハリー・タカハマが侵入。超人的な身体能力を発揮し襲ってくる!

  • #4 ハリー・タカハマはサンダーボルトの面々になだめられ、コスチュームを与えられて「ジョルト」を名乗るようになる。ジョルトの記憶に従い人体実験が行われている場所へ向かった一行はそこがドクター・ドゥームの居城であることに気づく。シチズンVはジョルトに待機するように命じるが、彼女は命令には従わず一緒に内部に侵入。襲いくる実験体のクリーチャーたちと大乱戦になりながら奥へ進むと、そこにいたのは元ナチスの科学者アニム・ゾラだった。ジョルトが実験体のクリーチャーこそ仲間の少年少女たちの成れの果てだと気づき、涙ながらに攻撃をやめるように訴えるとクリーチャーは自爆して消滅。溢れる涙を拭うことなくゾラに「お前を殺すとお前と同じように堕ちてしまう。お前は警察に捕まるんだ」と告げる。その姿はテクノによって生中継でアメリカに放送され、事件の後でマスメディアはジョルトは何者なのか、今度仲間に加わるのか質問。一連の出来事を俯瞰した視線で見守っていたメテオライトは単に「ジョルトの保護者」のスタンスを取った方が賢明であることに気づいていながら「仲間にする」ことをシチズンVに提案。シチズンVはそれを受け入れジョルトを仲間に加えるのだった。メテオライトは情熱にまかせ命令に背く可能性のあるジョルトが加わることで、何かが起きるのを期待しているようだ。

【追加メンバー】
ジョルト:ハリー・タカハマ。人体実験により怪力、超人的な身体能力、放電などの能力を得た。サンダーボルツの本質がヴィラン集団という真実を知らない。

  • #5 休暇を取り、私服で街へ繰り出したサンダーボルツのメンバー。アトラスはニューヨーク市長の補佐官でサンダーボルツとの連絡役のダラス・リオルダン(Dallas Riordan)と親交を深め、恋愛関係に発展していく。そんな中、何者かによって操られたアンドロイドのグローイングマンがサンダーボルツのメンバーを襲う。ダメージを受けるほど巨大化していくこのアンドロイドを倒すため、シチズンVはダラスに「かつてこのアンドロイドを倒したアベンジャーズやファンタスティック・フォーのファイルを見れば倒し方がわかるはずだ。ファイルにアクセスする権限が欲しい」と交渉。そうこうしている間にテクノの機転によりグローイングマンを倒すことに成功する。シチズンVはグローイングマンがハイドラによって保存されていたことを知っていて、偽マスターズ・オブ・エビルやグローイングマンを差し向けた相手に気づく。それは元ハイドラのリーダー、バロン・フォン・ストラッカーだった。

  • #6 アトラスは連絡係のダラスの件でテクノに冷やかされ、MACH-1はソングバードとファンレターを読みながら談笑。メテオライトはジョルトと部屋の模様替えをしながら「もし娘がいたらあなたのような子がよかった」などと話している。そんな様子を監視カメラで観察していたシチズンVはチームが弱くなり戦士ではなくなっているのではないかと気を揉んでいる。メテオライトを呼び出しメンバーの士気を高めるのは彼女の仕事で、もしかしたら裏切っているのではないかと疑いをかける。しかしメテオライトは全力でチームのために必要なことを取り組んでいる結果だと反論。そんな中、連絡係のダラスから通信が入り怪物が現れたと伝えられる。サンダーボルツが出動し元素にちなんだ体を持つ怪人たちエレンメンツ・オブ・ドゥームを倒すが、大勢の市民が毒ガスで攻撃され救助を待つ状態となってしまった。そんな状況下でシチズンVは前回に続きダラスに「今後のためにもアベンジャーズのファイルやセキュリティ情報にアクセスする権限を渡せ」と要求。それにはまだ議論が必要と話を先送りにしようとするダラスに「ならば救助を行わない」と通信を切ってしまう。

  • #7 サンダーボルツの面々はシチズン・Vの命令に背き、エレンメンツ・オブ・ドゥームの砦を攻撃。そこで待ち構えていたのは、全109元素のエレメンツたちだった。激戦の末にメンバーは全員捕らえられてしまう。ジョルトの機転により拘束具から抜け出しソングバードが脱出。同じく砦のどこかに捕らえられているエレメンツの創造者ドクター・カンドリヴィッチを探しに行く。そんな中、テクノも拘束具を外すことに成功するがエレメンツの1人に首を折られ死亡してしまう。

  • #8 砦の外ではスパイダーマンヒーローズ・フォー・ハイアニューウォリアーズなど生き残ったヒーローたちが集結。エレメンツと戦いを繰り広げる。一方、ダラス・リオルダンと交渉を続けていたシチズンVはついにS.H.I.E.L.D.が管理していたアベンジャーズのファイルを入手するが、暗号化されていて開くことができない。そんな中、砦の内部ではエレメンツがドクター・カンドリヴィッチに反乱を起こし世界をエレメンツのものにしようと動きだしていた。死んでいたテクノはテック・パックに自らの意識を移しサイボーグとして復活、さらにはソングバードがドクター・カンドリヴィッチからエレメンツの弱点を聞き出したおかげで一気に形成逆転。集結したヒーローたちの目の前でエレメンツの打倒に成功する。この戦いでソングバードは自信をつけ、声を固形にする能力がより強化された。

【テクノが死亡、機械の体で復活】

  • #9 MACH-1とソングバードの前に、ブラックウィドウが現れる。既に彼女はサンダーボルツの正体に迫っているようだ。ブラックウィドウはその昔、アベンジャーズにスカーレットウィッチクイックシルバーホークアイが加わったときの話をする。一度は犯罪者として活動していた彼らは、最初から民衆にアベンジャーズやヒーローとして受け入れられたわけではなく自分たちで信頼を築いていったのだと。2人は本当に変わる覚悟があるのかと問いかける。そして、推測が正しければサンダーボルツのリーダーは最悪中の最悪の人物で、共に行動する限りはいつか一緒に堕落するのだと告げて去っていった。一方、シチズンVとテクノはアベンジャーズのファイルの暗号解読に成功するが、その中に役立つような情報はなかった。しかしシチズンVはこれを手に入れられるほどの信頼が得られたことこそに意味があり、世界の安全保障権限の入手に近づいているのだと説く。そして世界支配への始まりを宣言するのだった。

  • #10 オンスロートとの戦いで死んだと思われていたヒーローたちが復活。そん中、ついにサンダーボルツは国家安全保障会議と国際連合はにより最高レベルのセキュリティクリアランスを与えられることとなり、本部のコンピュータシステムが世界中の軍事、国際刑事警察機構、市民の警戒システムとリンクされることとなった。その発表式典及び会見に出席したサンダーボルツだったが、そこへS.H.I.E.L.D.が急襲。なんとついに彼らの正体がマスターズ・オブ・エビルであることが発覚してしまったのだ。それでも手際よく脱出に成功したサンダーボルツ。真実を知らなかったジョルトだけが状況を理解できず、立ちすくむ。一体なぜ真実がバレたのか話し合う一同に、ヴィラン時代のコスチュームに戻したバロン・ジーモが現れ「それは私だ」と告げる。すっかりヒーロー活動を楽しむようになり、本来の計画を忘れそうになっているメンバーを引き締めるための行動だと言うのだ。本拠地フォー・フリーダムズ・プラザを自爆させてVジェットで脱出したサンダーボルツだったが、機内にはジョルトもこっそりと乗り込み身を隠していた。

  • #11 世界中で軍隊が反乱を起こし、内戦が勃発。仕掛けたサンダーボルトはA.I.M.が地球軌道上に建設し放棄した人工衛星基地に逃れていた。実は正体がバレてセキュリティクリアランスから締め出される前にバックドアを仕掛けていて、そこからテクノが開発したバイオ・モデムを使い各国の軍にアクセス。モニター越しに電磁気により精神操作を行い軍隊を操っていたのだ。バロン・ジーモは電波ジャックで世界中のテレビに放送を行い、降伏を呼びかける。そんな中ジョルトはジーモの行動に疑念を持つメンバーを説得しようと試みるが、そこにジーモとテクノが現れる。サンダーボルツはジーモ、テクノ、アトラスの3人とジョルト、メテオライト、MACH-1、ソングバードの4人に分かれて激突。大乱戦になる。そんな中、ジョルトが呼んだアベンジャーズとファンタスティック・フォーが人工衛星基地に到着。しかし、ジーモは「彼らは既にバイオ・モデムによりあやつらている!我が手中にあるのだ!」と宣言する。

  • #12 世界の60%以上を支配し、アベンジャーズやファンタスティック・フォーまでもを意のままに操れるようになったジーモ。しかしジョルトを殺そうとしたためにでアトラスが反乱を起こす。「全員殺せ!」の号令のもとにヒーローたちとサンダーボルツの立場を逆転した戦いが始まる。ジョルト、メテオライト、MACH-1、ソングバード、アトラスはクインジェットで人工衛星を脱出。かつてエッグヘッドが建設した宇宙ステーションに逃れたところにアイアンマンが追いついてくる。実はアイアンマンはジーモの洗脳を防いでいたのだが、彼に従っていたフリをしていたのだ。アイアンマンはMACH-1と2人でバイオ・モデムを無力化する装置を開発。人工衛星に戻り、ヒーローたちと戦いを続けることでジーモとテクノの気を逸らし、その間にジョルトが地球に発信しているバイオ・モデムの破壊に成功。メテオライトがジーモを叩きのめすが、テクノと会話に気を取られている間にジーモは脱出。アトラスは過去にジーモに救出された経験から借りがあると感じていたため、脱出ポッドに彼を乗せて地球に逃してしまう。アベンジャーズはサンダーボルツの5人に地球に戻り正規の手続きで裁きを受けるんように告げると、メテオライトもそれを受け入れた。しかしその瞬間、眩い光が彼らを包み込み、サンダーボルツは消えてしまった。

【バロン・ジーモ、テクノが離脱。メンバーはメテオライト、ジョルト、MACH-1、ソングバード、アトラスの5人に】

  • #13〜14 サンダーボルツが現れたのは異次元世界コスモスだった。昆虫型知的生命体「コスモシアンズ」が支配するこの世界は、アトラスがかつて囚われていてバロンジーモが仲間にするため救出した世界だった。サンダーボルツはアトラスを裁きにかけるためコスモシアンズの居城にチームごと召喚されたのである。一度は城から脱出に成功するが、結局は捕らえられ、囚人となったサンダーボルツ。するとメテオライトが再び堂々とムーンストーンを名乗るようになり隠していたフェイズシフト能力を発揮、牢獄を抜け出すとコスモシアンズの宰相と交渉し謀反を起こさせる。一方で牢獄に戻り国王と交渉し、宰相の軍を倒すと約束することで牢獄からサンダーボルツが解放される。最終的には国王を裏切りメテオライト、MACH-1、ソングバードの3人で国王を追い詰めるがMACH-1は殺害をためらう。メテオライトがあっさり国王を殺害し宰相によってサンダーボルツはニューヨークに帰還を許される。ジョルトはメテオライトの行動を咎めるが、国王を殺したのは自分ではないというメテオライトの発言を信じるのだった。

【メテオライトが再びムーンストーンを名乗るように】



最終更新:2023年07月23日 07:48