果てしない炎の中へ(後編) ◆KKid85tGwY
ローゼンメイデンの第三ドール、翠星石。
寄生生物をその身に宿した人間、泉新一。
仮面ライダーへと変身する新聞記者、城戸真司。
住む世界も在り方も異にする3人は出会った。
そして出会ったまま、3人とも静止してしまった。
寄生生物をその身に宿した人間、泉新一。
仮面ライダーへと変身する新聞記者、城戸真司。
住む世界も在り方も異にする3人は出会った。
そして出会ったまま、3人とも静止してしまった。
真司にしてみれば突然現れた男にどう対処すればいいか分からない。
翠星石にしても現れたのが普通の人間なら、助け求めるなりできたかもしれないが
右腕に異形を持つ謎の存在では、対応に困る。
真司に対してとは別の意味での恐怖も感じる。
さらに声を掛けた新一ですら、ここからどう話を持っていけばいいか答えに窮していた。
翠星石にしても現れたのが普通の人間なら、助け求めるなりできたかもしれないが
右腕に異形を持つ謎の存在では、対応に困る。
真司に対してとは別の意味での恐怖も感じる。
さらに声を掛けた新一ですら、ここからどう話を持っていけばいいか答えに窮していた。
『シンイチ、何をしたいのかは知らないが我々は追われている。早く済ませろよ』
「……あ、ああ分かってる!」
「……あ、ああ分かってる!」
「きみ、何があったんだ!?」
「こ、この人間が劉鳳を殺したんです!!」
「ま、待てよ! それは……」
「こ、この人間が劉鳳を殺したんです!!」
「ま、待てよ! それは……」
翠星石の発言に、真司は思わず詰め寄ろうとする。
それを間に入った新一に阻まれた。
新一は敵意すら混じった眼で真司を見ている。
それを間に入った新一に阻まれた。
新一は敵意すら混じった眼で真司を見ている。
「あんたが人を殺したって言うのは、本当か?」
「いや、だからそれは……」
「……危ないっ!」
「いや、だからそれは……」
「……危ないっ!」
真司が何かを言い終える前に、何かを察知した新一が翠星石の手を引く。
直後、藪から飛び出てきたシャナが翠星石の居た場所を踏み込み
新一へ槍をついた。
ミギーがそれを触手で受け流し、新一は翠星石を引き寄せながらシャナと間合いを取る
直後、藪から飛び出てきたシャナが翠星石の居た場所を踏み込み
新一へ槍をついた。
ミギーがそれを触手で受け流し、新一は翠星石を引き寄せながらシャナと間合いを取る
「いきなり、何しやがるですぅ!!」
(くそっ、もう追いつかれたのか!)
(くそっ、もう追いつかれたのか!)
新一の予想より早くシャナに追いつかれた。
新一がシャナの到着予測を誤認したのには理由がある。
シャナの追跡は深い森の中で行われていた。
そこでは当然、足取りを追うのも容易ではない。
上手くすればシャナが勝手に迷って巻くこともできるという、期待すらしていた。
しかしシャナは人間を超えた知覚能力を有し、注意力や洞察力も人並み外れている。
ゆえに森の中だからこそ出来る、足跡や折れた草木など
新一の通った痕跡を追うのは、シャナには容易だったのだ。
新一がシャナの到着予測を誤認したのには理由がある。
シャナの追跡は深い森の中で行われていた。
そこでは当然、足取りを追うのも容易ではない。
上手くすればシャナが勝手に迷って巻くこともできるという、期待すらしていた。
しかしシャナは人間を超えた知覚能力を有し、注意力や洞察力も人並み外れている。
ゆえに森の中だからこそ出来る、足跡や折れた草木など
新一の通った痕跡を追うのは、シャナには容易だったのだ。
再びシャナと対峙する新一。
状況は以前より厄介になっている。
シャナの他に真司にも警戒しなければならないし、翠星石も護る必要がある。
ここはやはり翠星石を連れて逃げるのが賢明か。
新一は少しづつだが後退し、シャナとの間合いを広げていく。
状況は以前より厄介になっている。
シャナの他に真司にも警戒しなければならないし、翠星石も護る必要がある。
ここはやはり翠星石を連れて逃げるのが賢明か。
新一は少しづつだが後退し、シャナとの間合いを広げていく。
(なんだこの子? 今、凄い速さで動いてあの男を殺そうとしなかったか!?)
真司は突然現れて、新一に槍を振るったシャナの存在に驚く。
シャナはまだ11、2歳の少女に見える。
それが、まるでライダーのごとき素早い動きを見せたのに加え
明らかに何の躊躇もなく、人を殺そうとしていたのだ。
違和感があるを通り越して、異常な光景だ。
当のシャナはまるで真司など眼中にない様子で、新一と向かいあってる。
その様に、真司は内心むっとする。しかしそれで、若干落ち着きも取り戻せた。
とりあえず、シャナの事情を聞いてみることにした。
シャナはまだ11、2歳の少女に見える。
それが、まるでライダーのごとき素早い動きを見せたのに加え
明らかに何の躊躇もなく、人を殺そうとしていたのだ。
違和感があるを通り越して、異常な光景だ。
当のシャナはまるで真司など眼中にない様子で、新一と向かいあってる。
その様に、真司は内心むっとする。しかしそれで、若干落ち着きも取り戻せた。
とりあえず、シャナの事情を聞いてみることにした。
「お、おい! お前一体何やってんだよ!? 殺し合いに乗ってるのか!?」
思わず語気を強める真司。
しかしシャナはそれを気にも留めた様子はないどころか、相変わらず真司に一瞥もくれない。
それでも一応、口で答えを返す。
しかしシャナはそれを気にも留めた様子はないどころか、相変わらず真司に一瞥もくれない。
それでも一応、口で答えを返す。
「私は殺し合いに乗っていない」
「じゃあ、今のは何だ!? あいつを殺そうとしてただろ!」
「先に仕掛けてきたのは向こうよ」
「じゃあ、今のは何だ!? あいつを殺そうとしてただろ!」
「先に仕掛けてきたのは向こうよ」
真司と翠星石が同時に新一に向け瞠目する。
「先に襲ったのは、お前の方かよ!」
「…………」
「…………」
新一は何も答えない。
翠星石は睨みあう真司と新一から、後ずさるように離れていく。
もう誰をどう信じればいいのかも分からないし、そもそも現状を自分の中でさえ整理することができない。
ただ当惑して、2人から距離を取ることしかできなかった。
翠星石は睨みあう真司と新一から、後ずさるように離れていく。
もう誰をどう信じればいいのかも分からないし、そもそも現状を自分の中でさえ整理することができない。
ただ当惑して、2人から距離を取ることしかできなかった。
「黙ってるってことは、そうなんだな! こんな女の子を殺そうとするなんて……」
「……人を殺したのは、その”女の子”が先だ。それに、そいつは人間じゃない!」
「何だそれ、もっとましな嘘を付け! 大体、化け物はお前だろ」
「っ! …………だったらおまえはただの人殺しか」
「……人を殺したのは、その”女の子”が先だ。それに、そいつは人間じゃない!」
「何だそれ、もっとましな嘘を付け! 大体、化け物はお前だろ」
「っ! …………だったらおまえはただの人殺しか」
売り言葉に買い言葉から、稚拙な言い争いになる。
普段の2人なら、それでももう少しは冷静にことを運べただろう。
だが今の2人の間には、どうしようもない不信が横たわっていた。
普段の2人なら、それでももう少しは冷静にことを運べただろう。
だが今の2人の間には、どうしようもない不信が横たわっていた。
「君さ…………あいつは俺に任せてよ」
「任せてとは、どういう意味?」
「俺があいつを取り押さえてやる!」
「任せてとは、どういう意味?」
「俺があいつを取り押さえてやる!」
シャナに短く告げ、真司は赤いカードデッキを取り出した。
そして足元の水たまりに映す。真司の腰にVバックルが顕現。
真司は右手を斜め上に指先まで真っ直ぐに伸ばした後、Vバックルにデッキを装填する。
真司の全身を赤い装甲が被い、変身を果たした。
無双龍ドラグレッダーと契約し、その力を得た仮面ライダー。
仮面ライダー龍騎へと。
そして足元の水たまりに映す。真司の腰にVバックルが顕現。
真司は右手を斜め上に指先まで真っ直ぐに伸ばした後、Vバックルにデッキを装填する。
真司の全身を赤い装甲が被い、変身を果たした。
無双龍ドラグレッダーと契約し、その力を得た仮面ライダー。
仮面ライダー龍騎へと。
「よっしゃー!」
「……あれなんだ?」
『動くな! この人間を攻撃するのならおまえを殺す!』
「……あれなんだ?」
『動くな! この人間を攻撃するのならおまえを殺す!』
ミギーが真司に制止を掛ける。
しかしそれは遅すぎた。
真司は今や、無数のミラーモンスターを倒しライダーとの歴戦を潜り抜けた
仮面ライダー龍騎に変身を果たしているのだ。
龍騎は新一との間合いを一挙に詰める。
寄生生物と化した人間をも凌ぐ脚力。新一はほとんど反応もできない。
風を切り、龍騎の右拳が繰り出される。
200APの威力に、これまで龍騎が倒したミラーモンスターのエネルギーが上乗せされて込められた拳が。
ミギーが触手で、その拳を受ける。
しかし即座に左の拳が奔る。それは呆気なく、新一の腹に刺さった。
列車に刎ねられたのかと有り得ない思い違いをしそうなほどに、凄まじい衝撃。
新一が身体ごと根こそぎ、宙に舞った。
地面を力なく転がる。
しかしそれは遅すぎた。
真司は今や、無数のミラーモンスターを倒しライダーとの歴戦を潜り抜けた
仮面ライダー龍騎に変身を果たしているのだ。
龍騎は新一との間合いを一挙に詰める。
寄生生物と化した人間をも凌ぐ脚力。新一はほとんど反応もできない。
風を切り、龍騎の右拳が繰り出される。
200APの威力に、これまで龍騎が倒したミラーモンスターのエネルギーが上乗せされて込められた拳が。
ミギーが触手で、その拳を受ける。
しかし即座に左の拳が奔る。それは呆気なく、新一の腹に刺さった。
列車に刎ねられたのかと有り得ない思い違いをしそうなほどに、凄まじい衝撃。
新一が身体ごと根こそぎ、宙に舞った。
地面を力なく転がる。
勝負は一瞬、一撃で付いた。
戦術を巡らす余地もないほどの戦力の差。
新一はミギーが付いていても、やはりただの生物。しかも相当消耗している。
歴戦に鍛え抜かれた仮面ライダー龍騎とは勝負にならない。
戦術を巡らす余地もないほどの戦力の差。
新一はミギーが付いていても、やはりただの生物。しかも相当消耗している。
歴戦に鍛え抜かれた仮面ライダー龍騎とは勝負にならない。
倒れ付す新一の上から龍騎が見下ろす。
「もう終わりだ! 大人しく降服しろ!!」
◇
(うぅ~、何でどいつこいつも戦うんですか? やっぱり人間なんて、どうしょうもねえ野蛮な動物ですぅ。
しかも皆してほったらかしにしやがって、一体翠星石にどうしろって言うんですか……)
しかも皆してほったらかしにしやがって、一体翠星石にどうしろって言うんですか……)
状況を知覚できても認識がままならない翠星石は、真司と新一の戦いからひたすら距離を取っていた。
事情が上手く呑み込めないのもあるが、それ以上に恐怖もある。
そもそも今は劉鳳の時と違って、まるで得体の知れない2人が戦っているのだ。
今度こそ、自分から注意が逸れている内に逃げ出そうかと考えながら後ずさっていると
その足下が誰かの足に引っかかり、翠星石は派手に転んだ。
事情が上手く呑み込めないのもあるが、それ以上に恐怖もある。
そもそも今は劉鳳の時と違って、まるで得体の知れない2人が戦っているのだ。
今度こそ、自分から注意が逸れている内に逃げ出そうかと考えながら後ずさっていると
その足下が誰かの足に引っかかり、翠星石は派手に転んだ。
「こ、こらー! どこ見てやがるんですか……………………!!!」
そこにあった足は人間の物。
しかし生きてはいない。
それは最初に真司を見た時に一緒に居た、学生服と思しき物を身に付けた女の死体。
気づかないうちに、こんな所に出ていたらしい。
しかし生きてはいない。
それは最初に真司を見た時に一緒に居た、学生服と思しき物を身に付けた女の死体。
気づかないうちに、こんな所に出ていたらしい。
「そう言えば、こいつのデイパックを回収し忘れていた」
不意に背後から声がして、翠星石はビクリと身体を震わせて振り返った。
そこにはいつの間にか接近していたシャナが居る。
シャナは特に何の感慨も無さそうに死体から翠星石に視線を移した。
傲然と翠星石を見下ろし、あからさまに値踏みしている。
尊大とも言える態度。まるで自分がただの物体になったかのような錯覚すら覚えた。
いやそれより――――この人間は今、何と言った?
そこにはいつの間にか接近していたシャナが居る。
シャナは特に何の感慨も無さそうに死体から翠星石に視線を移した。
傲然と翠星石を見下ろし、あからさまに値踏みしている。
尊大とも言える態度。まるで自分がただの物体になったかのような錯覚すら覚えた。
いやそれより――――この人間は今、何と言った?
「…………デイパックを回収し忘れたってどういう意味ですか!?」
「人形……。”徒”でも”燐子”でもないようだし、得体が知れないわね。
まあ細かいことはいいわ。おまえは首輪の解除方法に心当たりは有る?」
「お、お前がこの人間を殺したですね!?」
「人形……。”徒”でも”燐子”でもないようだし、得体が知れないわね。
まあ細かいことはいいわ。おまえは首輪の解除方法に心当たりは有る?」
「お、お前がこの人間を殺したですね!?」
互いの質問を無視しあう、シャナと翠星石。
翠星石の表情は怯えに満ちていた。
心の庭師でもある翠星石の直感が感じ取ったのだ。
シャナの心の樹はおそらくどことも繋がっていない。
それはどんな人間にも似ていない、異様な精神を持っていると。
翠星石の表情は怯えに満ちていた。
心の庭師でもある翠星石の直感が感じ取ったのだ。
シャナの心の樹はおそらくどことも繋がっていない。
それはどんな人間にも似ていない、異様な精神を持っていると。
シャナはそんな翠星石を路傍の塵のごとくに見下している。
質問に直接応えなくとも、シャナには答えとして充分だった。
要するに翠星石は首輪の解除には役立たずということだ。
シャナの怜悧な頭脳が、翠星石を生かしておくか殺して首輪を回収するか
どちらがより賢明かを瞬時に計算する。
首輪解除に使えなくとも、味方戦力として引き込むことくらいはできるかもしれない。
しかしこの状況で戦いを傍観している様子を見ると、碌な戦力も持たないか積極的に使う気がないと見える。
仮に強力な支給武器で武装して戦力になるとしても、それならその武器を戦闘に長ける者に回した方が戦力コストは高い。
それより支給武器で武装した場合、それで首輪を解くことの出来る参加者が殺される危険性の方が高い。
何より下手に生かしておく人員を増やしても足手まといが増えるだけ。
シャナ自身はどうとでもなるが、それで新一のように感傷的な首輪解除要員が庇って死なれるなどされても不都合だ。
つまり生かしておいても、デメリットの方が多い。
それに今の内に数を減らしておけば、殺し合いに乗らなければならなくなった際の手間が省ける。
役立たずは殺す方がメリットが大きい。ならば首輪だけを残してもらう。
解除用のサンプルは、早い段階から多く確保するに越したことはない。
そもそも翠星石は見た通りの人形なのだから、生かすだの殺すだのという考え自体が不適当なのではないか
などと見当違いな方へ流れそうな思考を切り捨てて
シャナは、ゲイボルグの刃を翠星石へ――――振るった。
質問に直接応えなくとも、シャナには答えとして充分だった。
要するに翠星石は首輪の解除には役立たずということだ。
シャナの怜悧な頭脳が、翠星石を生かしておくか殺して首輪を回収するか
どちらがより賢明かを瞬時に計算する。
首輪解除に使えなくとも、味方戦力として引き込むことくらいはできるかもしれない。
しかしこの状況で戦いを傍観している様子を見ると、碌な戦力も持たないか積極的に使う気がないと見える。
仮に強力な支給武器で武装して戦力になるとしても、それならその武器を戦闘に長ける者に回した方が戦力コストは高い。
それより支給武器で武装した場合、それで首輪を解くことの出来る参加者が殺される危険性の方が高い。
何より下手に生かしておく人員を増やしても足手まといが増えるだけ。
シャナ自身はどうとでもなるが、それで新一のように感傷的な首輪解除要員が庇って死なれるなどされても不都合だ。
つまり生かしておいても、デメリットの方が多い。
それに今の内に数を減らしておけば、殺し合いに乗らなければならなくなった際の手間が省ける。
役立たずは殺す方がメリットが大きい。ならば首輪だけを残してもらう。
解除用のサンプルは、早い段階から多く確保するに越したことはない。
そもそも翠星石は見た通りの人形なのだから、生かすだの殺すだのという考え自体が不適当なのではないか
などと見当違いな方へ流れそうな思考を切り捨てて
シャナは、ゲイボルグの刃を翠星石へ――――振るった。
◇
「「今の声!?」」
真司と新一が同時に翠星石の声を聞き反応する。
2人は目前のお互いが敵であることも忘れて、シャナと翠星石の会話に意識を奪われた。
どうやらシャナが殺した者の死体があったらしい。
新一は立ち上がり、真司は翠星石の方へ振り返る。
そこには翠星石へ冷たい殺気を放つ、シャナが居た。
2人はまるで示し合わせたように、同時に駆け出した。
2人は目前のお互いが敵であることも忘れて、シャナと翠星石の会話に意識を奪われた。
どうやらシャナが殺した者の死体があったらしい。
新一は立ち上がり、真司は翠星石の方へ振り返る。
そこには翠星石へ冷たい殺気を放つ、シャナが居た。
2人はまるで示し合わせたように、同時に駆け出した。
「――――お前ら! …………翠星石を庇ってくれたんですか?」
シャナの槍が翠星石に届く直前、真司が払い飛ばし
新一が翠星石を抱いて地面に転がった。
攻撃を阻まれてもなお、変わらぬ威厳を放つシャナに新一は問う。
新一が翠星石を抱いて地面に転がった。
攻撃を阻まれてもなお、変わらぬ威厳を放つシャナに新一は問う。
「シャナ、何でこんなことを……!?」
「首輪のサンプル」
「……………………そうか、それがおまえの答えか……」
「首輪のサンプル」
「……………………そうか、それがおまえの答えか……」
シャナは相変わらず泰然と、何をわかりきったことを聞くのかと言わんばかりに
侮蔑の色さえ浮かべて答える。
それで新一は全てを理解した。
シャナは寄生生物と同じく、自分の理解を超えた存在だと。
そしてそれは当たっている。
シャナはフレイムヘイズだ。
フレイムヘイズの使命は、紅世の徒が存在の力を無秩序に喰らうことを防ぐことである。
そして存在の力が喰われることと、死ぬこととは根本的に異なる現象だ。
元々在った存在の力が喰われるということは、記録や記憶などの存在していた事実そのものの消滅を意味する。
当然それは世界そのもの歪ませ、蓄積すれば世界そのものの決定的な破綻につながると予想される。
だからフレイムヘイズは存在の力が喰らう、紅世の徒の討滅を使命としていた。
しかし死ぬことは全く意味合いが異なる現象だ。
例えば人が死んでも、存在した記録や記憶が亡くなるわけではない。
死というのはどんな形であれ、全ての生物が最終的に辿り着くべき到達点にすぎないのだ。
フレイムヘイズにとって『存在の力が喰われる』ことは、何としても阻止せねばならない事態だが
『生物が死ぬ』ことは、特筆すべき事態ではない。
シャナに無関係な者の死を阻止する理由は無いし、必要ならば自分がその現象を起こすことも辞さない。
シャナは『存在を賭けた戦い』の世界に生きる者。
それは新一や真司が潜り抜け、今やシャナも置かれている『命を賭けた戦い』とはまるで違う次元の問題。
そして彼女は、フレイムヘイズになるために育ったその生い立ちゆえ
あまりにこの世ならざる論理――倫理を深く身に付けていた。
存在の外の世界の法と理に生きるシャナは、どんな死に対してもあらゆる意味で十字架を背負うことはない。
侮蔑の色さえ浮かべて答える。
それで新一は全てを理解した。
シャナは寄生生物と同じく、自分の理解を超えた存在だと。
そしてそれは当たっている。
シャナはフレイムヘイズだ。
フレイムヘイズの使命は、紅世の徒が存在の力を無秩序に喰らうことを防ぐことである。
そして存在の力が喰われることと、死ぬこととは根本的に異なる現象だ。
元々在った存在の力が喰われるということは、記録や記憶などの存在していた事実そのものの消滅を意味する。
当然それは世界そのもの歪ませ、蓄積すれば世界そのものの決定的な破綻につながると予想される。
だからフレイムヘイズは存在の力が喰らう、紅世の徒の討滅を使命としていた。
しかし死ぬことは全く意味合いが異なる現象だ。
例えば人が死んでも、存在した記録や記憶が亡くなるわけではない。
死というのはどんな形であれ、全ての生物が最終的に辿り着くべき到達点にすぎないのだ。
フレイムヘイズにとって『存在の力が喰われる』ことは、何としても阻止せねばならない事態だが
『生物が死ぬ』ことは、特筆すべき事態ではない。
シャナに無関係な者の死を阻止する理由は無いし、必要ならば自分がその現象を起こすことも辞さない。
シャナは『存在を賭けた戦い』の世界に生きる者。
それは新一や真司が潜り抜け、今やシャナも置かれている『命を賭けた戦い』とはまるで違う次元の問題。
そして彼女は、フレイムヘイズになるために育ったその生い立ちゆえ
あまりにこの世ならざる論理――倫理を深く身に付けていた。
存在の外の世界の法と理に生きるシャナは、どんな死に対してもあらゆる意味で十字架を背負うことはない。
「ミギー、おまえが正しかったよ。シャナは…………殺しておくべきだったんだ」
『…………』
『…………』
ミギーはシャナを理由次第で人を殺すと評した。
その意味が、新一には今になってやっと理解できる。
シャナは人の命をメリットとデメリットで天秤にかけ
僅かでも殺す方にメリットが傾けば、味方であろうと無関係な人間であろうと殺せるのだ。
それがどれほど恐ろしくおぞましい存在であるか、新一は正に身にしみてよく分かった。
その意味が、新一には今になってやっと理解できる。
シャナは人の命をメリットとデメリットで天秤にかけ
僅かでも殺す方にメリットが傾けば、味方であろうと無関係な人間であろうと殺せるのだ。
それがどれほど恐ろしくおぞましい存在であるか、新一は正に身にしみてよく分かった。
シャナは頭がいい。
その判断は殺し合いの打破や脱出を考えれば、合理的で確実性が高いのかもしれない。
だがそれがどうした。そんな正解を受け入れられるか。
新一は決意する。
たとえ殺し合いを打破するのに、シャナの方法しかないとしても
人の命を天秤にかけ、邪魔なら塵のように捨てるやり方は絶対にとらない。
そして黙認もしない。
その判断は殺し合いの打破や脱出を考えれば、合理的で確実性が高いのかもしれない。
だがそれがどうした。そんな正解を受け入れられるか。
新一は決意する。
たとえ殺し合いを打破するのに、シャナの方法しかないとしても
人の命を天秤にかけ、邪魔なら塵のように捨てるやり方は絶対にとらない。
そして黙認もしない。
シャナのやり方を否定する。
「何があってもおまえを見捨てたりしないと言った……。それは嘘になったな。
……だけど仕方ないよ。おまえからおれたちを…………他の人間を見捨てたんだぜ!」
『待てシンイチ、今のきみの状態ではシャナとは戦えない』
……だけど仕方ないよ。おまえからおれたちを…………他の人間を見捨てたんだぜ!」
『待てシンイチ、今のきみの状態ではシャナとは戦えない』
ミギーの制止を無視してシャナに向かっていこうとする新一。
それを真司が押し留める。
それを真司が押し留める。
「……さっきは悪かったな。あいつの相手は…………俺がする」
真司の様子からは、ライダーの仮面の上からでも分かるほどの怒りが感じ取れた。
「さっき、死んだ劉鳳をあそこに埋めた……。劉鳳を…………殺したのは、たしかに…………俺だ」
劉鳳を埋葬した方向を指し、真司は静かに、しかしはっきりとシャナへ向け言葉をつむぐ。
自分の罪を認める言葉を。
そしてそれでもなお、許せぬ悪にたたきつける言葉を。
自分の罪を認める言葉を。
そしてそれでもなお、許せぬ悪にたたきつける言葉を。
「だけどその原因になったのは……お前が殺したあの女の子の死体が誤解を生んだからだ!」
「自分の判断ミスを責任転嫁?」
「ああ、これは俺は責任だ……。だから俺が――――」
「自分の判断ミスを責任転嫁?」
「ああ、これは俺は責任だ……。だから俺が――――」
劉鳳さん。気高く強く、最後まで翠星石を守りぬいた人。
俺、上手くできるかどうか分からないけどあなたの意思を継ぎます。
そして――――あなたの仇を取る。
俺、上手くできるかどうか分からないけどあなたの意思を継ぎます。
そして――――あなたの仇を取る。
「――――お前のしたことの重さを教えてやる!!」
【一日目早朝/B-2 森】
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]真紅のステッキ@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式 確認済支給品(0~2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いから脱出。
2:真紅、蒼星石、クーガー、あすか、かなみとの合流(蒼星石を最優先)、水銀燈は警戒。
3:劉鳳の死に対する深い悲しみ。
4:とりあえず現状の把握。。
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
【翠星石@ローゼンメイデン(アニメ)】
[装備]真紅のステッキ@ローゼンメイデン
[支給品]支給品一式 確認済支給品(0~2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:殺し合いから脱出。
2:真紅、蒼星石、クーガー、あすか、かなみとの合流(蒼星石を最優先)、水銀燈は警戒。
3:劉鳳の死に対する深い悲しみ。
4:とりあえず現状の把握。。
※スイドリームが居ない事を疑問に思っています。
【城戸真司@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]無し
[支給品]支給品一式、龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品(0~1)
[状態]仮面ライダー龍騎に変身中。
[思考・行動]
1:劉鳳を殺してしまったことに対する深い罪悪感。
2:翠星石のことは守り抜きたい。
3:シャナを倒す。
※翠星石、真司共にメイド服の女(咲世子)を危険人物だと思ってます。
[装備]無し
[支給品]支給品一式、龍騎のデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品(0~1)
[状態]仮面ライダー龍騎に変身中。
[思考・行動]
1:劉鳳を殺してしまったことに対する深い罪悪感。
2:翠星石のことは守り抜きたい。
3:シャナを倒す。
※翠星石、真司共にメイド服の女(咲世子)を危険人物だと思ってます。
【泉新一@寄生獣(漫画)】
[装備]無し
[所持品]基本支給品(水を一本消費)、拡声器@現実、イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル、傷薬×4@真・女神転生if...
[状態]ダメージ(大)、疲労(中) 、背中に火傷(処置済み)
[新一の思考・行動]
1:シャナを殺す。
2:生き残る。
[ミギーの思考・行動]
1:シャナを殺す。
2:出来る限り周りに存在を知られないようにする。
3:生き残る。
[装備]無し
[所持品]基本支給品(水を一本消費)、拡声器@現実、イングラムM10(32/32)@バトルロワイアル、傷薬×4@真・女神転生if...
[状態]ダメージ(大)、疲労(中) 、背中に火傷(処置済み)
[新一の思考・行動]
1:シャナを殺す。
2:生き残る。
[ミギーの思考・行動]
1:シャナを殺す。
2:出来る限り周りに存在を知られないようにする。
3:生き残る。
【シャナ@灼眼のシャナ】
[装備]:ゲイボルグ@真・女神転生if...、ビルテクター@仮面ライダーBLACK
[所持品]:基本支給品(水を一本消費)、首輪(魅音)
[状態]:健康、力と運が上昇
[思考・行動]
1:真司への対処。
2:コキュートスを探す。
3:危険人物には容赦しない。
4:役に立たない人物からは首輪を回収する。
5:首輪の解除ができそうな人間を探す。解除が無理なら殺し合いに乗る。
[装備]:ゲイボルグ@真・女神転生if...、ビルテクター@仮面ライダーBLACK
[所持品]:基本支給品(水を一本消費)、首輪(魅音)
[状態]:健康、力と運が上昇
[思考・行動]
1:真司への対処。
2:コキュートスを探す。
3:危険人物には容赦しない。
4:役に立たない人物からは首輪を回収する。
5:首輪の解除ができそうな人間を探す。解除が無理なら殺し合いに乗る。
※魅音の死体にデイパック(支給品一式、不明支給品1~3)が放置されています。
※劉鳳のデイパック(支給品一式、不明支給品1~3)は付近の森に放置されています。
※劉鳳のデイパック(支給品一式、不明支給品1~3)は付近の森に放置されています。
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