世界を支配する者

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世界を支配する者  ◆KKid85tGwY



ゴルゴムの世紀王とは世界を統べる創世王となるべき存在である。
この世に存在する他の有象無象のごとく、世界の道理に支配されるのではなく、
世界を自らの力で思うが侭にする存在。それがゴルゴムの王。

『生存者が随分少なくなってしまったね。 寂しいけど、生き残っているみんなにはこれからも頑張って欲しい。』

しかしゴルゴムの歴とした王であるはずのシャドームーンは、その場に足を止めて周囲に響き渡る幼い声に耳を傾けている。
殺し合いを主催している側の存在であるV.V.が行っている定時放送に。
ゴルゴムの王とて殺し合いの中では一人の参加者。
殺し合いを支配する道理から大きく外れることは出来ない。
放送は参加者にとって貴重な情報源なのだ。無視することは出来なかった。
特にシャドームーンにとって、今回の放送は。

『それじゃあ、次の放送でまた会おう。 優勝者が決まるまでにあと何回放送があるのか、分からないけどね。』

V.V.の声が止み、森の中に静寂が訪れる。
耳を貸すべき放送は終わった。
それでもシャドームーンの足は動き出さない。
殺し合いの中、何を為すでもなく立ち尽くしている。
只、先ほどの放送の内容、その中の死亡者の名を思い返していた。
由詑かなみ』。
絶望させてから殺すと決めていた少女がそう呼ばれていたのを、改造されたシャドームーンの聴覚は捉えていた。
しかしその名が死亡者として呼ばれたことは、然程気にはならない。
所詮かなみは腕の折れた子供に過ぎない。
殺し合いの中では、いつ命を落としてもおかしくないことは判っていた。
かなみの件はもう済んだことだ。省みるに値しない。

問題は別の名前である。
その男が死者として呼ばれた事実の前では、誰の死も問題とはならない。
南光太郎』。
確かにその名が死者として呼ばれた。
かつて秋月信彦だった頃は兄弟同然に育った親友であった男。
喜ばしいことも哀しいことも共に経験し、共に分かち合った唯一無二の親友同士だった。
しかしそれはもはや振り返る価値も無い過去の話だ。
そしてシャドームーンとなった今では同じく世紀王へと改造された宿敵。
決して並び立つことは出来ない、文字通りに宿命の敵である。
そのブラックサンが死亡者として名前を呼ばれたのだ。

いつまでもじっとしていても仕方ない。
他の参加者が残っている以上、殺し合いは続いているのだ。
それを終わらせるためにシャドームーン自身が動かねばならない。
そう考えてシャドームーンは再び歩き始める。
しかし一人歩き続けるシャドームーンの胸中には奇妙な感慨が残る。

放送の信憑性は高い。
そこで嘘をつくことにほとんど意味は無いからだ。
しかしあのブラックサンがシャドームーンの知らない所で、あっさりと誰かに殺されるなど、
俄かには信じがたい話だった。
ブラックサンは世紀王に改造された身でありながら、脳改造を免れ、
ゴルゴムの敵となり、その陰謀から多くの人間を救っている。
そのためにブラックサンは人間からこう呼ばれた。
仮面ライダーブラックと。

幾多のゴルゴムの怪人と戦い、倒してきた仮面ライダーブラックは正に歴戦。
その上、仮面ライダーブラックは一度シャドームーンに殺されたが、
クジラ怪人から与えられた命のエキスによって復活し、その際に力が大幅に強化されている。
その仮面ライダーブラックが、シャドームーン以外の者に殺された。
だからこれほどシャドームーンにとってブラックサンの死は信じ難いのだろうか?

放送が終わってから、かなりの間が経つと言うのに引っ掛かる物が消えない。
どれほど思案しても、ブラックサンの死を確かめる方法など無いと言うのに。
――――否、確かめる方法は有る。

シャドームーンは腰に在るシャドーチャージャーに力を込める。
正確にはその奥に埋め込まれた世紀王の力の源、キングストーンに。
シャドームーンの持つキングストーンは翠色に輝く月の石。
ブラックサンの持つ太陽の石と対となる。
そう、キングストーンは本来、二つで一つとなって創世王を創り上げる存在。
ならばキングストーン同士ならば、何らかの反応が得られるはずだ。

シャドーチャージャーから夥しい光が漏れる。
外からでも莫大なエネルギーが発生していることが判る。

(……………………在る。この会場内だ)

シャドームーンのキングストーンから鳴るような反応が有る。
そして遠くに、同じくキングストーンによる共鳴のような物が感じ取れた。
反応は正確な場所は判らないがこの会場内のどこかだ。
キングストーンはこの世に二つしかない。
ならばこの反応は一つ。
ブラックサンのキングストーン・太陽の石。

かつてシャドームーンは遥かに空間を隔てたビルゲニアから、サタンサーベルを奪い取った経験がある。
世紀王は空間を超えて能力を行使することが出来、そしてサタンサーベルは世紀王のための剣だから可能だった。
ならば、キングストーンの反応を得られたのだから、もう一つのキングストーンを世紀王の力でもって召喚できる可能性はある。
何しろキングストーンとはそれ一つでも奇跡のごとき能力を発揮することが出来る上、
二個一対で創世王を構成する存在なのだから。

シャドームーンは左手を天にかざし、かつてビルゲニアからサタンサーベルを奪い取った時と同じ要領で、
自身のキングストーンから発したエネルギーを送り込み、そこから放出した。
しかし放出したエネルギーは空間を越えずに、その場で霧散する。

目論見が外れたか?
いや、そうではない。
今のは“空間を越えることが不可能だった”と言うより、“空間を越えようとして制限に阻まれた”のだ。
どういった形で制限しているかの詳細は判らないが、キングストーンの能力すら抑制されていた。
ゴルゴムの王とて殺し合いの中では一人の参加者。
やはり殺し合いを支配する道理から大きく外れることは――――

(――――力で抑え付けられるとでも思ったのか! キングストーンを。次期創世王を)

ゴルゴムの世紀王とは世界を統べる創世王となるべき存在である。
この世に存在する他の有象無象のごとく、世界の道理に支配されるのではなく、
世界を自らの力で思うが侭にする存在。それがゴルゴムの王。
殺し合いを主催する者がどれほど強大で、どれほど超越的な能力で以って縛ろうとも乗り越えられる筈だ。
キングストーンを以ってすれば。

キングストーンの特徴の一つに、自身の能力を進化させるという物がある。
例えばゴルゴムの創世王は代を重ねる毎に、より強大な存在になっていっていた。
シャドームーンの代が創世王となれば全宇宙が意のままになるとさえ言われている。
またキングストーンを一つしか持たない世紀王を例にとっても、
ブラックサンはキングストーンの効果によってRX、ロボライダー、バイオライダーへと変化を遂げていっている。
最もこれはブラックサンが生き続けた、今から迎えるのとは違う未来の話なのだが。

シャドームーンのキングストーンもまた進化する力を秘めた石。
その力は今、世紀王の求めに応じて増大する。
自身に掛けられた制約をすら乗り越えるほどに。

かつてない強烈な光が、シャドーチャージャーから天に向かって放たれる。
雷のごときそれは、遂に頭上の空間そのものを引き裂いた。

シャドームーンは制限を打ち破ったのではない。
制限は未だ、シャドームーンに課せられたままである。
しかしキングストーンの進化した能力は、そのままの制限を力尽くで乗り越えたのだ。
そして空間を越えたキングストーンの光はもう一つのキングストーン、
ブラックサンの下へと到達した。


    ◇


エリアにしてH-9に位置する警察署。
その警察署内にある霊安室。
死者の亡骸を保管するためのその部屋には、
本来の役割に沿って、幾つもの遺体が安置されていた。
その内の一体。白いブルゾンとジーンズに身を包んだ青年、南光太郎。
彼の遺体に空間を越えて、天からキングストーンの光が降り注ぐ。

そして光太郎の身体もまた光を放った。
光太郎が持つキングストーン・太陽の石の輝き。
キングストーンの輝きに包まれた光太郎の身体は、変化を遂げて行く。
人のシルエットを維持しながら、昆虫のごとき外装に包まれたバッタ男の姿。
更にその上から強化皮膚・リプラスフォームが包み込み、仮面ライダーブラックへと姿を変えて行く。
キングストーン同士の共鳴に拠る反応で、生命の無い光太郎に変身を促したのだ。

しかし変身を終えたはずの仮面ライダーブラックに更なる変化が起こっていく。
仮面ライダーブラックの腹部に存在するエナジーリアクターに皹が入り、そこから更なる光が漏れた。
皹が無数に枝分かれして走って行き、やがてエナジーリアクターは音を立てて内側から割れる。
その中から光を放ちながら紅い輝石が浮かび上がって来る。
エナジーリアクターの奥深くに埋め込まれたキングストーン・太陽の石が姿を現したのだ。


    ◇


シャドームーンは空間の隔たりを越えて、ブラックサンのキングストーンを取り出すことに成功する。
空間を越えてキングストーンに干渉したのだ。それは決して容易なことではなかった。
しかしキングストーンを力づくで取り出したにも関わらず、ブラックサン自身に拠るものと思われる抵抗は感じ取れなかった。
そもそもブラックサンが生きているのなら、キングストーンを体外に取り出すことなど不可能だろう。

(……………………やはり死んだのか、ブラックサン……)

ブラックサンの死を確認出来た。
未だに引っ掛かる物はあるが、ともかくこれで世紀王の戦いに決着は着いたのだ。
ブラックサンは死に、シャドームーンは生きている。
それは生き残ったシャドームーンが次期創世王と決定したと言うことである。

(…………終わらせるか…………そして新たなる創世王の誕生だ)

ブラックサンを自分の手で倒せなかったのは不本意ではあるが、最早どうしようもない。
そしてキングストーンも取り出し終えた。
ならばこれ以上、事を先送りすることにもう意味が無い。

キングストーンを自分の下に呼び寄せて創世王となるのだ。

全宇宙を支配する絶対の王、創世王。
そうなれば、最早全てが終わったも同然だ。
首輪も、会場を包む空間の歪みも、主催者も、何もかも問題とはならない。
キングストーンが来ると共に、世界の全てがシャドームーンの手に落ちるのだ。
そのキングストーンを運ぶ空間の穴が――――閉じた。

「世界には無数の穴が在り、扉はそれを防いでいます」

シャドームーンは広視界と透視能力を併せ持つマイティアイを持っている。
しかし何時の間に“それ”が現れたのか、全く気付かなかった。
“それ”はタキシードを着た長身の男。
だがその頭部は白い毛と長い耳が伸びる兎の物。
“それ”がシャドームーンの前方に立っていた。

「私の邪魔をしたのは貴様だな」
「眼に見えない扉にご注意を。彼らは狡賢く隠れているのですから」

それだけで生を奪えそうなほどの威圧感を湛えて、シャドームーンは兎頭に詰問する。
しかし兎頭はまるでそれを意に介さず、要領を得ない言葉遊びのような答えを返す。
まるでシャドームーンをからかい遊んでいるかのように。
それでもシャドームーンは、その返答によって兎頭が自身の邪魔をしたのだと確信出来た。
更に首輪を付けていない様子と状況から、兎頭が主催者側の存在であると推測する。
その推測は正鵠を得ていた。
彼こそV.V.の協力者にして、因果律に拠る決定論の究極概念を名に持つ道化師。
ラプラスの魔
彼もまた空間そのものに干渉する能力を持ち、それによってシャドームーンを阻んだのだ。

「フッ。殺し合いを仕掛けておいて運営する者が参加者の行動を侵害するとは、不器量な真似をしてくれた物だな」
「ご注進か、道化師の悪戯か。光が光を求めると、光を失うと申します」

シャドームーンの挑発を、ラプラスはやはり意に介した様子も無く、
と言うよりこの世のことの何にも動揺しないと言った風情で、謎掛けのような言葉を返す。
その佇まいと言い、纏う空気と言い、
ラプラスはまるでこの世界に在り得ぬ物のような、捉え所の無い気配を放っていた。

「貴様が何故邪魔をしたか、理由を問うつもりは無い……。世紀王に立ちはだかった、只その報いを受けるが良い」

ラプラスの様子を意に介さないのはシャドームーンも同様。
何者であろうと世紀王に歯向かえば死あるのみ。
シャドームーンは殺し合いを主催する者の黒幕に、現在の創世王が居ると考えている。
ならばラプラスは創世王の配下。ゴルゴムの側の存在でもある。
しかしそれでもシャドームーンが容赦をする理由にはならない。
シャドームーンは最終的に、創世王を殺すことさえも視野に入れているのだから。
空を裂く音も置き去りにしそうな速さで、シャドームーンはサタンサーベルでラプラスに斬りかかる。
ラプラスが反応する間も無く、サタンサーベルは振り切られた。

「貴様……!」

確かにラプラスに切り付けたはずのサタンサーベルから、何の手応えも無い。
ラプラスはサタンサーベルがその身体を通り抜けたと言うのに平然としている。

「もし私がお気に召さないのなら、こうお考え下さい。貴方は居眠りをされ幻を見ているのだと」

それこそ真に幻であるかのごとく、シャドームーンの攻撃をすら往なすラプラス。
シャドームーンの威をすら歯牙にもかけぬラプラスの余裕。
それは自らが殺し合いを支配し、参加する者の運命を自由に出来る、
正しくその名が示す通り、世界を支配する法則(ルール)と一体化した者の余裕だった。
殺し合いを支配する者の前には世紀王の刃すら届かない。

シャドームーンにとって状況は好ましい物ではなかった。
空間を越えてキングストーンを回収しようとした際、かなりのエネルギーを消耗したからだ。
キングストーンは永久機関ではあっても、一度に無限のエネルギーを発揮できる訳ではない。
まして、未だに制限下の状況では。
そしてシャドームーンには自分が強者である自負はあったが、他の参加者とて決して甘く見てはならないとも理解していた。
何しろ同じ世紀王であるブラックサンですら命を落としている状況なのだ。

「…………いいだろう。貴様らがそれほど疎んじるのならば、この場で太陽の石を回収するのを止めてやる」
「始まりは遠く、終わりもまた遠い。疾風の脚を、挫かぬよう」

世紀王としてこれほど屈辱的な事態は無いが、この場は引き下がらずを得なかった。
ラプラスは慇懃な態度でシャドームーンに対して一礼する。
このラプラスがいる限り、幾らキングストーンを回収しようとしても徒労に終わるだろう。

「……だが貴様を生かして帰すほど、私は甘くは無いぞ」

しかし世紀王に歯向かったラプラスを許すかどうかはまた別の話だ。

「シャドーフラッシュ!」

シャドームーンが叫ぶと同時に、シャドーチャージャーから翠色の激しい輝きが放たれる。
キングストーンの光・シャドーフラッシュ。
それは仮面ライダーブラックが放つキングストーンフラッシュと同質の能力。
超能力であろうと魔法であろうと、敵にあらゆる能力の効果を殺すことが可能なのだ。
シャドーフラッシュの光を浴びたラプラスは、空中に溶けていくようにその姿を消して行った。
間髪を入れず、シャドームーンは左手から電撃状のシャドービームを発射。
シャドービームはシャドームーンの斜め後ろ、木陰に居たラプラスを捕縛した。

「フッ。本当に幻術で欺いていた口で、何が幻と思えだ」

ラプラスを斬ることが不可能だったからくりが、これである。
シャドームーンの眼前に現れたラプラスは虚像。
実体は別の場所に存在していた。

「マイティアイを欺いたのは褒めてやる。だが貴様らの失策はキングストーンを甘く見たことだ。それも二度に渡ってな」

ラプラスは杖を振るい空間に穴を開ける。
しかしシャドーフラッシュの光を浴びせられて、空間の穴が閉ざされた。
先刻、シャドームーンの空間干渉能力が進化し向上している。
それがシャドームーンとラプラスの勝敗を分けたのだ。

「キングストーンを縛ることは何者にも出来ないのだ。殺し合いを主催して、まるで世界の支配者のごとくに気取っていようが、
所詮は事態の変化に対応できず右往左往する程度の存在だ。貴様らはな」

殺し合いの主催者――世界の支配者を、
世紀王――世界の支配者が捉える。
世界を支配する者は決して並び立つことは出来ない。
いずれが真の王であるか、力と死で以って決着を付けるしかないのだ。

「世界を真に支配する者、それはキングストーンを持つ者なのだ」

一歩一歩と動くことの出来ぬラプラスに近付いていくシャドームーン。
シャドーチャージャーから右手を伝って、キングストーンのエネルギーがサタンサーベルに注ぎ込まれる。
例え時空や次元を異にしようと、いかなる存在をも倒す力。
サタンサーベルを必殺の剣と化すために。

「道化師の退場もまた舞台上での夢芝居」

動けない状態で必殺の剣を向けられて尚、ラプラスは落ち着いた態度を崩さない。
あるいはラプラスにとっては本当に、この世のことも夢幻のごとく、
心を動かす対象とはなり得ないのかも知れない。

「それでは……御機嫌よう」

しかしその真意を――あるいはV.V.にすら――遂に明かさぬまま、ラプラスは今生の別れを告げた。

サタンサーベルの一閃。
それは今度こそラプラスを切り裂く。
先ほどの幻と同様、空気に溶け行くように消えて行く。
しかし今度こそ虚仮では無いと確信出来た。
今のはキングストーンの力を込めた、サタンサーベルの一刀。
ラプラスは完全に消滅したのだ。

【ラプラスの魔@ローゼンメイデン 消滅】





ラプラスを倒したシャドームーンは力無くその場に座り込んだ。
制限を乗り越えて空間を越え、
ブラックサンからキングストーンを取り出し、
そしてラプラスを倒す。
如何にキングストーンを持っていようと、それだけのことを短時間で行えば極度の消耗を招くことは避けられなかった。
前述したとおりこの殺し合いは甘くは無い。
これだけ消耗した状態で強行軍を行うのは、シャドームーンと言えど危険なことだ。
回復するまで休息を余儀なくされるだろう。

(回復したとしても、ブラックサンのキングストーンを召喚することは出来ないか……)

回復すれば再び空間を越えてキングストーンを召喚するのは不可能では無いだろう。
しかしまた主催者に邪魔をされれば、いたちごっこになるだけだ。
恐らくブラックサンのキングストーンは、シャドームーンの召喚が中断されたために、
この会場のどこかに落ちたのだろうと推測される。
それならば焦る必要は無い。
元々参加者を殺して回る予定だったのだ。ついでに探せば良い。
先に他の参加者に拾われても問題は無い。
世紀王として改造された者でも無い限り、キングストーンをどうこう出来るはずもないのだから。
例え殺し合いを終えるまでにキングストーンを見付けることが出来ずとも、
殺し合いを終えて制限が解除されれば、何時でも召喚出来る。
仮に時空を超え、次元を超え、何処に行こうともキングストーンは次期創世王の手に必ず渡るはずだ。
二つのキングストーンは創世王を造り出すための、それ自身もまた宿命を負った石なのだから。
即ちシャドームーンが二つのキングストーンを得ることは、もう決定したも同然なのだ。
ブラックサンが死んだ時に。

ラプラスの横槍はシャドームーンに怒りをもたらしたが、
それによって、何時の間にかブラックサンを失くした引っ掛かりを忘れていた。
殺し合いを勝ち進み、創世王となると言う目的が明確になり、強く意識することになったからだ。
その時を迎えるため、シャドームーンはじっと力を蓄える。
世界は未だ彼の物となっていない。

【一日目 夜中/E-6 山中】
【シャドームーン@仮面ライダーBLACK(実写)】
[装備]:サタンサーベル@仮面ライダーBLACK
[支給品]:支給品一式、不明支給品0~2(確認済み)
[状態]:疲労(極大)
[思考・行動]
0:休憩した後、東の市街地へ向かう。
1:キングストーン(太陽の石)を回収する。
2:殺し合いに優勝する。
3:元の世界に帰り、創世王を殺す。
4:殺し損ねた連中は次に会ったら殺す。
【備考】
※本編50話途中からの参戦です。
※殺し合いの主催者の裏に、創世王が居ると考えています。
※会場の端には空間の歪みがあると考えています。
※空間に干渉する能力が増大しました。
※キングストーン(太陽の石)の行方は後続の書き手の方に任せます。シャドームーンは会場内のどこかに落ちていると考えています。






兎頭の道化師が消えて行く。
それが道化師得意の悪戯ではなく、真の消滅であることは判っていた。
しかしそれをモニター越しに見ていたV.V.は、ラプラスの死にも動揺した様子はなく、
静かに椅子の座り、その最期の様子を眺めている。
テーブル上の紅茶を口に運ぶ際にも、V.V.は殺し合いの会場内を映すモニターから眼を離さない。
やがて全てが終わると、V.V.はどこか感慨深げに呟いた。

「……一足早く嘘の無い世界に行ったんだね。君らしいよラプラス」
「ほう。お仲間が死んだってのに、随分薄情じゃねぇか」

V.V.は背後からの声に、徐に椅子毎振り返る。
そこには、いつの間にか部屋に戻っていた志々雄真実が、壁沿いに置かれたソファに座っていた。
志々雄は殺し合いを主催する側の人間ではなく、参加者の一人だった。
当然、信頼関係どころか協力関係も無い。
むしろ敵対している方が自然と言える。
しかし、云わば敵地に居ると言える志々雄には、まるで緊張した様子も無く、
両腕を背もたれの上に伸ばし、足を組んで座っていた。

「あんたのお仲間を殺した、あの銀色に罰を与えなくて良いのか?」
「罰? 彼は何のルール違反もしていないんだよ? むしろ彼の選択に干渉した、僕たちがアンフェアだったと言えるだろうね」

ルールに抵触しない限りは、参加者の行動には極力干渉しない。
それを原則として行動していたV.V.たちが何故、シャドームーンの行動を阻害したかと言えば、
それ“空間を越えて他の参加者の物を回収する”と言う行為を黙認すれば、
この殺し合いの開始時点における、出発地点も武器もランダムに分散させると言う、
殺し合いを成立させるための公平性が侵害されると判断したからだ。
だからこそ危険を承知でラプラスに会場まで赴いて貰った。
如何にラプラスと言えど、シャドームーンの能力を阻害するためには現地に直接赴かなければならなかった。
ラプラスの消滅も、V.V.にとっては想定していたリスクでもある。
何れにしろラプラスの殺害も、尊重すべき参加者の決断なのだ。

「だが案内役が死んじまったら、あんたも困るんじゃないのか?」
「それは心配しなくて良いよ。後任が居るからね」
「……その後任ってのは、さっきからそこに居る奴か?」

志々雄は相変わらず弛緩した様子で、背後に掛かってあった円形の大きな鏡を後ろでに指す。
途端、その鏡の面上が波紋のように揺らいだ。

「気付いていたんだ。流石は僕が見込んだ、最初の脱出者だけのことはある。ちょうど良い、君に紹介するよ」

鏡面上に、絵の具の全ての色を混ぜたような闇が蠢く。
その中から少女が姿を現した。
透くような白い肌。
紫のドレス。
左目に薔薇を模った眼帯をしたその少女は、人に作られた存在。
人形だった。

「私は、ローゼンメイデン第七ドール…………薔薇水晶……」
「ほう、まだこんな面白そうな手駒を持っていたとはな」

薔薇水晶は儚さを含んだ声で訥々と自己紹介をする。
弱弱しい印象すら与えそうな薔薇水晶の様子。
しかし一流の剣客たる志々雄は、薔薇水晶が並ならぬ戦力を隠していることを見抜く。
志々雄は戯れに、薔薇水晶へ向けて剣気を叩きつけるが、
薔薇水晶はそれに気付いていないかのごとく、何の反応も示さない。
ラプラスとは違った掴み所の無さが薔薇水晶にはあった。

「手駒じゃなく仲間だよ。薔薇水晶、今聞いたとおり君にラプラスに代わって案内役を頼みたいんだ」
「そう……」

ラプラスが死んだと言うのに、V.V.の陣営は揺らぐ様子は無い。
V.V.にはまだ裏がありそうだ。
殺し合いは未だV.V.の手中にあり、脱出者と言っても志々雄とてその手中。
志々雄がそれを覆したいなら、V.V.の手の内を更に暴く必要がありそうだ。
野心の炎を胸に、志々雄は再び部屋を後にする。
世界は未だ彼の物となっていない。
彼の背中に薔薇水晶の静かな声が届いた。

「さあ、続けましょう……バトルロワイアル」

【一日目夜中/???】
【志々雄真実@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(漫画)】
[装備]:サバイバルナイフ@現実、ヒノカグツチ@真・女神転生if...
[所持品]:支給品一式×3、リュウガのデッキ@仮面ライダー龍騎、確認済み支給品0~3(武器ではない)、林檎×8@DEATH NOTE、鉄の棒@寄生獣
     マハブフストーン×4@真・女神転生if…、本を数冊(種類はお任せ)、工具@現実(現地調達)、首輪の残骸(銭形のもの)、首輪解除に関するメモ
[状態]:各部に軽度の裂傷、疲労(小)、首輪解除済み
[思考・行動]
1:ぶいつぅの掌の上にいる。(飽きるまで)
2:気が向いたらガリア王国のジョゼフを持て成す。
[備考]
※クーガー、C.C.、真司らと情報交換をしました。ギアスとコードについて情報を得ました。


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144:銀の邂逅 月の相克(後編) シャドームーン 158:太陽と月
150:2nd STAGE ラプラスの魔 GAME OVER?
V.V. 160:因果応報―薔薇乙女 翠星石が1体出た!―
志々雄真実 160:因果応報―始まりの終わり―
GAME START 薔薇水晶 159:魔人 が 生まれた 日(前編)



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