CODE GEASS――ZERO REQUIEM ◆.WX8NmkbZ6
ランスロットとサザーランドが燃える。
元より拡散したハドロン砲によって燃えていた一帯は、街灯など無くても昼のように明るかった。
元より拡散したハドロン砲によって燃えていた一帯は、街灯など無くても昼のように明るかった。
サザーランドの脱出装置は破損していたものの、運良くコックピットの開閉部も爆発の衝撃で外れていた。
そこから自力で脱出し、ジェレミアはKMFから飛び降りる。
ランスロットと交戦するうちに到達したその場所は、遊園地に併設されたホテル。
海にほど近く水平線さえ見渡せる、広い庭と繋がったテラスだった。
左腕を失って重心が変わった事もあり、コックピット程度の高さからの着地も覚束ずよろめいた。
吸い込む空気さえ燃えるようで、体の内と外の熱で額に汗が浮く。
視界が霞み、歪み、揺れる。
意識が途切れそうになる。
しかしまだ終わっていない。
決着はついていない。
そこから自力で脱出し、ジェレミアはKMFから飛び降りる。
ランスロットと交戦するうちに到達したその場所は、遊園地に併設されたホテル。
海にほど近く水平線さえ見渡せる、広い庭と繋がったテラスだった。
左腕を失って重心が変わった事もあり、コックピット程度の高さからの着地も覚束ずよろめいた。
吸い込む空気さえ燃えるようで、体の内と外の熱で額に汗が浮く。
視界が霞み、歪み、揺れる。
意識が途切れそうになる。
しかしまだ終わっていない。
決着はついていない。
背後に聞こえた足音に振り返るとスザクが立っていた。
ジェレミアがそうしたように、スザクもまた自力でコックピットから外へ出ていたのだ。
反応が遅れ、スザクの体当たりを避けられなかった。
ハーケンの直撃で裂けた腹部に焼け付くような痛みが襲う。
「ぐっ……」
膝を着きそうになるが、再度突き上げるような一撃が腹に見舞われた。
血を吐き、熱された地面に這う。
視線を遣れば腹には二つの灰色の金属片が刺さっていた。
MVSの破片だろう、ラクカジャの効果が続いていてもなお攻撃が通ったのはスザクの身体能力故か。
破片の幅は刀よりも広く、傷は背の装甲がなければ貫通していたであろう程深い。
ジェレミアがそうしたように、スザクもまた自力でコックピットから外へ出ていたのだ。
反応が遅れ、スザクの体当たりを避けられなかった。
ハーケンの直撃で裂けた腹部に焼け付くような痛みが襲う。
「ぐっ……」
膝を着きそうになるが、再度突き上げるような一撃が腹に見舞われた。
血を吐き、熱された地面に這う。
視線を遣れば腹には二つの灰色の金属片が刺さっていた。
MVSの破片だろう、ラクカジャの効果が続いていてもなお攻撃が通ったのはスザクの身体能力故か。
破片の幅は刀よりも広く、傷は背の装甲がなければ貫通していたであろう程深い。
スザクは何ら表情を変えずに、倒れたジェレミアを見下ろしていた。
白兜という仮面を剥がされた少年の目は、文字通り死んでいる。
ジェレミアもロロと遭遇して既に理解している、これがただの動く死体であると。
白兜という仮面を剥がされた少年の目は、文字通り死んでいる。
ジェレミアもロロと遭遇して既に理解している、これがただの動く死体であると。
懐にある昇天石を投げても、この状態ではスザクには避けられてしまうだろう。
僅かな逡巡の間に生身の脇腹を蹴られて体が浮く。
ホテルの内部とテラスとを繋ぐ出入り口、それを支える大理石の柱に衝突して地に伏せた。
衝撃で半身から火花が飛ぶ。
体が重い。
だが腕で傷を押さえ、柱を背の支えにして立ち上がる。
僅かな逡巡の間に生身の脇腹を蹴られて体が浮く。
ホテルの内部とテラスとを繋ぐ出入り口、それを支える大理石の柱に衝突して地に伏せた。
衝撃で半身から火花が飛ぶ。
体が重い。
だが腕で傷を押さえ、柱を背の支えにして立ち上がる。
「枢木、私は――」
向かってきたスザクの拳を掌で受け止めて握り込んだ。
だが左腕を失ったジェレミアに出来るのはそこまでで、もう一方の拳は避けられそうになかった。
腹に拳が突き刺さり、体がくの字に折れる。
傷から血が噴き出すも、まだ膝を着かない。
握り込んだ手は放さない。
だが左腕を失ったジェレミアに出来るのはそこまでで、もう一方の拳は避けられそうになかった。
腹に拳が突き刺さり、体がくの字に折れる。
傷から血が噴き出すも、まだ膝を着かない。
握り込んだ手は放さない。
「昔、君に助けられた事があっただろう……?」
背を折り曲げ、頭を低くして下を向いたまま言う。
スザクの死体に言葉など届くはずはなく、鋭い拳がジェレミアの頬を打った。
火花が散り、顔の左半分を覆っていた仮面が外れて落ちる。
地面と仮面とがぶつかり合う乾いた音。
それでも踏み留まり、顔を上げる。
今度はスザクと顔を突き合わせる、死んだ目を見据える。
スザクの死体に言葉など届くはずはなく、鋭い拳がジェレミアの頬を打った。
火花が散り、顔の左半分を覆っていた仮面が外れて落ちる。
地面と仮面とがぶつかり合う乾いた音。
それでも踏み留まり、顔を上げる。
今度はスザクと顔を突き合わせる、死んだ目を見据える。
「その礼を……伝えておきたかった」
一年前。
純血派の威信が、名誉がと躊躇っていた為に、結局スザクが生きているうちに伝えられなかった。
本当に伝えるべき相手、枢木スザクはもうどこにもいない。
ロロの死体に向けた言葉も、本来はロロの存命中に言うべきだった。
もう誰の耳にも届かない、聞いているのはジェレミア自身のみ。
その当人すら意味を見い出せないのでは自己満足にもならない。
それでも、言わずにはいられなかった。
純血派の威信が、名誉がと躊躇っていた為に、結局スザクが生きているうちに伝えられなかった。
本当に伝えるべき相手、枢木スザクはもうどこにもいない。
ロロの死体に向けた言葉も、本来はロロの存命中に言うべきだった。
もう誰の耳にも届かない、聞いているのはジェレミア自身のみ。
その当人すら意味を見い出せないのでは自己満足にもならない。
それでも、言わずにはいられなかった。
そしてやはりスザクの死体に変化はなく、続けて殴打されたジェレミアは衝撃で脳が揺れる。
よろめくがスザクの拳は握り込んだままであり、引っ張られたスザクの体も傾いた。
そこでジェレミアは倒れずに一歩踏み出し、それを軸足にしてスザクの腹に蹴りを入れる。
同時に手を離すと、スザクは回転しながら後方に跳んで着地した。
よろめくがスザクの拳は握り込んだままであり、引っ張られたスザクの体も傾いた。
そこでジェレミアは倒れずに一歩踏み出し、それを軸足にしてスザクの腹に蹴りを入れる。
同時に手を離すと、スザクは回転しながら後方に跳んで着地した。
そこから数秒をおいて、同じやり取りが繰り返される。
殴り掛かるスザク。
拳を掌で受け止めるジェレミア。
だが今度は無手ではない。
スザクが殴ったのは、ジェレミアの手の中にあった昇天石だった。
石が光り、その中から現れた夥しい数の護符がスザクを囲む。
殴り掛かるスザク。
拳を掌で受け止めるジェレミア。
だが今度は無手ではない。
スザクが殴ったのは、ジェレミアの手の中にあった昇天石だった。
石が光り、その中から現れた夥しい数の護符がスザクを囲む。
「すまない……もっと早く、止めてやりたかった」
スザクを中心に、白い光の柱が立ち昇る。
死体に戻り、炎の中に倒れた少年を見て胸に湧くのは虚無感だけだった。
死体に戻り、炎の中に倒れた少年を見て胸に湧くのは虚無感だけだった。
ジェレミアの不運も大概だったが、スザクのそれと比べれば余りに恵まれていた。
水銀燈に出会えばスザクでなくとも洗脳されていただろうし、彼が初めに奈緒子と出会っていればやはり保護していたはずだ。
スタート地点でジェレミアはほんの少し運が向き、スザクは徹底して向かなかった。
その大きな差が直接、今ある結果に繋がった。
水銀燈に出会えばスザクでなくとも洗脳されていただろうし、彼が初めに奈緒子と出会っていればやはり保護していたはずだ。
スタート地点でジェレミアはほんの少し運が向き、スザクは徹底して向かなかった。
その大きな差が直接、今ある結果に繋がった。
参加者の動向には、ルルーシュの遺体に発砲したと書かれていた。
偽りの想い人を失ったと思い込んだスザクは、どんな思いで親友の存在を拒んだのだろうか。
最期の時、惚れ薬が切れた後に自分を取り戻せたのだろうか。
あるべき姿、侍として逝く事が出来たのだろうか。
皇女ユーフェミアの名と、向き合えたのだろうか。
何一つ分からない。
何も聞けなかった。
何も話せなかった。
看取ってやる事すら出来なかったから。
ほんの十行程の無味乾燥な文章でしか、スザクを知る事は出来なかった。
偽りの想い人を失ったと思い込んだスザクは、どんな思いで親友の存在を拒んだのだろうか。
最期の時、惚れ薬が切れた後に自分を取り戻せたのだろうか。
あるべき姿、侍として逝く事が出来たのだろうか。
皇女ユーフェミアの名と、向き合えたのだろうか。
何一つ分からない。
何も聞けなかった。
何も話せなかった。
看取ってやる事すら出来なかったから。
ほんの十行程の無味乾燥な文章でしか、スザクを知る事は出来なかった。
スザクが進んだ道を思えば、いっそ何も気付かずに死ねた方が幸せだったかも知れない。
それでもジェレミアは過去に、スザクの正しさに救われたのだ。
スザクが憎しみに囚われたまま死ぬのでは、かつての彼の正しささえ否定されているように思えた。
だから最期だけでも狂気から解放されていて欲しかった。
今更何を望もうと、何もかもが遅いとしても。
それでもジェレミアは過去に、スザクの正しさに救われたのだ。
スザクが憎しみに囚われたまま死ぬのでは、かつての彼の正しささえ否定されているように思えた。
だから最期だけでも狂気から解放されていて欲しかった。
今更何を望もうと、何もかもが遅いとしても。
スザクはこの殺し合いの中でのジェレミアの在り方を、自分のそれよりも『正しい』と、『侍』としてあるべき姿だと感じていた。
大切な人の為に手段を問わないスザクの在り方を『正しい』と思ってしまったジェレミアとは逆だった。
噛み合わない。
そしてそれを互いに伝える事も出来ず、終わった。
虚しい幕切れだった。
大切な人の為に手段を問わないスザクの在り方を『正しい』と思ってしまったジェレミアとは逆だった。
噛み合わない。
そしてそれを互いに伝える事も出来ず、終わった。
虚しい幕切れだった。
背にした柱からずり落ちて、ジェレミアはその場に座り込む。
月は西へ西へと傾き、東の空は既に白み始めていた。
波打ちながらその色を反射する海面は、星のように瞬いて見える。
遠かった朝が近付いていた。
月は西へ西へと傾き、東の空は既に白み始めていた。
波打ちながらその色を反射する海面は、星のように瞬いて見える。
遠かった朝が近付いていた。
狭間達は無事だろうか、北岡達は彼らと合流出来ただろうか。
研究所は。首輪は。志々雄の動向は。
V.V.は。薔薇水晶は。翠星石は。シャドームーンは。
まだ何も終わっていない。
何の決着もついていない。
だが立ち上がろうにも手足に力が入らなかった。
一歩も動いていないはずなのに、いつからか血溜まりの中に座っていた。
視界の半分――左目が何も映さなくなっているのは殴られた衝撃によるものか。
左半身が絶え間なく発する火花はますます激しくなっている。
喉の奥や舌に纏わり付く鉄の味が不快で血を吐き出したが、口元と服を赤黒く汚すばかりで楽にはならなかった。
研究所は。首輪は。志々雄の動向は。
V.V.は。薔薇水晶は。翠星石は。シャドームーンは。
まだ何も終わっていない。
何の決着もついていない。
だが立ち上がろうにも手足に力が入らなかった。
一歩も動いていないはずなのに、いつからか血溜まりの中に座っていた。
視界の半分――左目が何も映さなくなっているのは殴られた衝撃によるものか。
左半身が絶え間なく発する火花はますます激しくなっている。
喉の奥や舌に纏わり付く鉄の味が不快で血を吐き出したが、口元と服を赤黒く汚すばかりで楽にはならなかった。
辺りの炎が広がっていく。
それまで燃えていなかったものも燃えていく。
ホテルもとうに火に飲まれており、今いる場所も遠からず焼け落ちるだろう。
それまで燃えていなかったものも燃えていく。
ホテルもとうに火に飲まれており、今いる場所も遠からず焼け落ちるだろう。
「……ここまでか」
時間を掛けて漸く事態を飲み込み、呟く。
他人の手の中で踊らされるまま、同じく弄ばれた死体と戯れて。
これではただの犬死だ。
他人の手の中で踊らされるまま、同じく弄ばれた死体と戯れて。
これではただの犬死だ。
――貴公の忠節は、まだ終わっていないはず。
窮地に立つ度に命を長らえてきたが、こうなってはそれらが何の為にあったのかも分からない。
――生きて、ね。
――私の分も……。
――私の分も……。
死んでいった者達の為に、元凶に一矢報いる事も。
問い質す事も戦う事も、どころか仲間との合流さえ出来ない。
問い質す事も戦う事も、どころか仲間との合流さえ出来ない。
――それなら俺は後藤を倒す。最速でな。
失ったもの、諦めたもの、やり残したものばかりが数を重ねていく。
――危険だと判断したら逃げていい。
――それで研究所や我々が襲われる可能性があるとしても、とにかく絶対に死ぬな。
――それで研究所や我々が襲われる可能性があるとしても、とにかく絶対に死ぬな。
死に掛けの身体を引き摺って駆けずり回って血反吐を吐いて。
命を懸けても何も得られなかった。
後には何も残らない。
命を懸けても何も得られなかった。
後には何も残らない。
「結局私は、何も守れはしなかった……ッ」
生き残った者達も、約束も、何もかも投げ出して一人死んでいく。
虚しく、あるのは悔いだけだ。
奈緒子の死以来、アイゼルを失ってもなお流れなかった涙が落ちた気がした。
それも外気の熱に煽られて蒸発し、跡も残さずに消える。
虚しく、あるのは悔いだけだ。
奈緒子の死以来、アイゼルを失ってもなお流れなかった涙が落ちた気がした。
それも外気の熱に煽られて蒸発し、跡も残さずに消える。
最早足掻く気力すらなくなって、残った右目で舞い散る火の粉を眺めていた。
炎はますます激しく踊り、周囲の景色を舐めるように包んでいく。
燃え盛る草木、崩れる建物、割れる窓ガラス、全ての雑音も既に気にならない。
耳を傾ける事すら億劫で、意識を手放す。
炎はますます激しく踊り、周囲の景色を舐めるように包んでいく。
燃え盛る草木、崩れる建物、割れる窓ガラス、全ての雑音も既に気にならない。
耳を傾ける事すら億劫で、意識を手放す。
「……」
炎の中、一際強い光に薄く目を開ける。
東の空と海の境界から差し込むその光は、炎よりも明るく柔らかい。
空と海をオレンジ色に染め上げ、扇のように広がって夜の闇を追い払っていく。
東の空と海の境界から差し込むその光は、炎よりも明るく柔らかい。
空と海をオレンジ色に染め上げ、扇のように広がって夜の闇を追い払っていく。
風が吹き抜ける。
熱風ばかりが吹き荒んでいたその場所に、少しだけ冷えた空気が流れ込む。
風向きが変わり、炎を震わしてその勢いを弱くする。
熱風ばかりが吹き荒んでいたその場所に、少しだけ冷えた空気が流れ込む。
風向きが変わり、炎を震わしてその勢いを弱くする。
その新しい風を舞い込ませたのは、既に見慣れた二人だった。
上空から陽光を遮るように降り立ち駆け寄ってくる姿に、ジェレミアは目を丸くする。
「何故」と言おうとして開いた口は、言葉を紡ぐ事も出来ずにいる。
「何故」と言おうとして開いた口は、言葉を紡ぐ事も出来ずにいる。
「何で驚いた顔してるかな……ここまで来て、言われた通りさっさと先に行くってわけにいかないでしょ。
俺一人ならともかくつかさちゃんもいるのに」
「ジェレミアさん、腕……怪我が……!」
俺一人ならともかくつかさちゃんもいるのに」
「ジェレミアさん、腕……怪我が……!」
騒がしさが強制的に耳朶を打つ。
眩い朝陽を背負った二人。
片膝を着いた北岡が手を差し伸べてくる。
死の間際に見る夢ではないかと、目の前の光景を信じられずにいた。
眩い朝陽を背負った二人。
片膝を着いた北岡が手を差し伸べてくる。
死の間際に見る夢ではないかと、目の前の光景を信じられずにいた。
何故逃げなかったのかと、巻き込まれたらどうするつもりだったのかと言おうとしていた。
だがジェレミアも逆の立場であれば、やはりそこに留まっていただろう。
全員で、帰る為に。
だがジェレミアも逆の立場であれば、やはりそこに留まっていただろう。
全員で、帰る為に。
人形のような音を立てて軋む腕を持ち上げ、差し伸べられた手に触れる。
そして首を小さく横に振った。
そして首を小さく横に振った。
「……無理だ、北岡。
私はここに残る」
私はここに残る」
北岡とつかさの表情が固まる。
ジェレミアの手は力なく地に落ちた。
握り返す力も残っていない。
ジェレミアの手は力なく地に落ちた。
握り返す力も残っていない。
「ちょっと、まさかこの期に及んでまだ死にたいとか、」
「違うッ!!」
「違うッ!!」
絞り出すような声に体から火花が強く飛び散り、ジェレミアの襟に掴み掛かろうとしていた北岡の手が離れる。
北岡は「どう思っていても結果は同じだ」と言うかも知れない。
だがジェレミアはこの場を生き延びる為に戦っていた。
死んでいった者達の分まで生き、守りたかったものを守り、仲間達が帰っていくのを見届ける為に戦っていた。
北岡が差し伸べたこの手を取れない事が、どれだけ口惜しいか。
純血派よりも黒の騎士団よりも付き合いが短く、けれど今まで得たどんな仲間よりも信頼した二人に。
この二人から話を伝え聞くであろう狭間やクーガー達に。
「この結果を望んでいた」などと思われたくはなかった。
北岡は「どう思っていても結果は同じだ」と言うかも知れない。
だがジェレミアはこの場を生き延びる為に戦っていた。
死んでいった者達の分まで生き、守りたかったものを守り、仲間達が帰っていくのを見届ける為に戦っていた。
北岡が差し伸べたこの手を取れない事が、どれだけ口惜しいか。
純血派よりも黒の騎士団よりも付き合いが短く、けれど今まで得たどんな仲間よりも信頼した二人に。
この二人から話を伝え聞くであろう狭間やクーガー達に。
「この結果を望んでいた」などと思われたくはなかった。
左半身の損傷は限界値を超えていた。
右半身も既に手遅れだ。
差し伸べられた手を取る事は出来ない。
それを理解したようで、北岡はうなだれて溜息を吐いた。
北岡がそうして億劫そうに立ち上がろうとするも、悲鳴に引き留められる。
右半身も既に手遅れだ。
差し伸べられた手を取る事は出来ない。
それを理解したようで、北岡はうなだれて溜息を吐いた。
北岡がそうして億劫そうに立ち上がろうとするも、悲鳴に引き留められる。
「ぃ、やです……!!
だって、……だって皆、で……一緒に、帰るって!!
言って……私……いや……」
だって、……だって皆、で……一緒に、帰るって!!
言って……私……いや……」
つかさはぺたりと座り込んでしまった。
北岡が立ち、つかさの肩を叩いて促しても首を横に振って嫌がった。
つかさも状況を理解出来ていないわけではないのだろう。
彼女の目からは涙がとめどなく落ちていく。
熱で蒸発するのも間に合わず、次から次へと流れていく。
「何か方法は」と途切れ途切れに尋ねる声に、北岡もジェレミアも答えない。
北岡が立ち、つかさの肩を叩いて促しても首を横に振って嫌がった。
つかさも状況を理解出来ていないわけではないのだろう。
彼女の目からは涙がとめどなく落ちていく。
熱で蒸発するのも間に合わず、次から次へと流れていく。
「何か方法は」と途切れ途切れに尋ねる声に、北岡もジェレミアも答えない。
別れを惜しむような間柄でもなかったはずだ。
互いに相手を見れば殺した事を、殺された事を思い出す。
そしてつかさに負い目があるように、ジェレミアにもつかさを見殺しにしようとした負い目がある。
罪悪感を抱えている。
だから極力相手の視界に入らないようにして、けれどいつでも駆け付けられる距離を保って。
視線を合わせる事すら限られ、会話も必要最低限。
そんな相手の為に、今更流す涙もないだろう。
互いに相手を見れば殺した事を、殺された事を思い出す。
そしてつかさに負い目があるように、ジェレミアにもつかさを見殺しにしようとした負い目がある。
罪悪感を抱えている。
だから極力相手の視界に入らないようにして、けれどいつでも駆け付けられる距離を保って。
視線を合わせる事すら限られ、会話も必要最低限。
そんな相手の為に、今更流す涙もないだろう。
そう思う。
だがつかさがそう思わないであろう事は分かっていた。
それが分からない程の浅い付き合いではなかった。
だがつかさがそう思わないであろう事は分かっていた。
それが分からない程の浅い付き合いではなかった。
「もういい」とジェレミアが言っても、つかさはやはり首を横に振る。
赤子のように大声で泣く。
幼子のように駄々をこねる。
赤子のように大声で泣く。
幼子のように駄々をこねる。
「置いて、くなんて……」
「わざわざ、死に顔を見られたいとは思わん。
巻き込まれないうちに、離れたまえ」
「わざわざ、死に顔を見られたいとは思わん。
巻き込まれないうちに、離れたまえ」
守れなかったものの数を数え、悔恨に悔恨を塗り重ねて。
それなのに仇にこうも惜しまれては、毒気を抜かれてしまう。
背負ってきた悔いまで溶かされてしまいそうになる。
それなのに仇にこうも惜しまれては、毒気を抜かれてしまう。
背負ってきた悔いまで溶かされてしまいそうになる。
もう一度北岡に促され、つかさは服の袖を目に当てたまま立ち上がった。
泣きじゃくり、細い肩も足も頼りなく震えている。
それでもここで我儘を続けて北岡を困らせる真似はしない。
一日前ならばともかく今は、自分のやるべき事を知っているはずだ。
とは言えつかさが自力で立てた事に、ジェレミアはほんの少しだけ安堵した。
泣きじゃくり、細い肩も足も頼りなく震えている。
それでもここで我儘を続けて北岡を困らせる真似はしない。
一日前ならばともかく今は、自分のやるべき事を知っているはずだ。
とは言えつかさが自力で立てた事に、ジェレミアはほんの少しだけ安堵した。
「移動ぐらいした方がいいんじゃないの」
「ここで良い。
それより……早く、狭間と合流してやってくれ」
「ここで良い。
それより……早く、狭間と合流してやってくれ」
誰よりも優れた頭脳、無二の能力。
そして一人で清濁も責任も全てを負おうとするその背に、自然と自らの主を思い出す。
だからそこに支えとなる者が必要な事も良く知っていた。
そして一人で清濁も責任も全てを負おうとするその背に、自然と自らの主を思い出す。
だからそこに支えとなる者が必要な事も良く知っていた。
北岡とジェレミアのやり取りを余所に、つかさはふらふらと歩を進めてしゃがみ込む。
手にしているのはジェレミアが落とした仮面だった。
手にしているのはジェレミアが落とした仮面だった。
「これ……貰って、いいですか」
「……好きにしたまえ」
「……好きにしたまえ」
刀と違って何の役にも立たないだろうが、つかさはそれを大切そうに胸に抱き締めた。
熱風が吹き、もう時間が残されていないと告げている。
一度は収まりかけていたつかさの涙は再び溢れ、仮面の上に落ちた。
つかさが北岡と並ぶようにジェレミアの正面に立つ。
そして深く頭を下げた。
熱風が吹き、もう時間が残されていないと告げている。
一度は収まりかけていたつかさの涙は再び溢れ、仮面の上に落ちた。
つかさが北岡と並ぶようにジェレミアの正面に立つ。
そして深く頭を下げた。
「ずっと……り、がど……ござ、いまし、た……っ」
嗚咽に潰れ、聞き取りにくい声だった。
それを見ていた北岡も、申し訳程度に続ける。
それを見ていた北岡も、申し訳程度に続ける。
「あんたの事は嫌いだけど、結構助かったよ。
お疲れ、一応ありがとう」
お疲れ、一応ありがとう」
感謝の言葉を口にされて、改めて思い知る。
既に理解して秘めていた事ではあるが、漸く正面から認められた。
既に理解して秘めていた事ではあるが、漸く正面から認められた。
本当に感謝するべきなのは。
支えられていたのは、縋っていたのは、依存していたのは――守られていたのは、ジェレミアの方だった。
「誰かを守る」という役目を己に課していなければ、立っている事すら出来なかった。
失ってばかりであっても独りになった事は一度もなく、本当に折れそうな時にいつも仲間がいた。
支えられていたのは、縋っていたのは、依存していたのは――守られていたのは、ジェレミアの方だった。
「誰かを守る」という役目を己に課していなければ、立っている事すら出来なかった。
失ってばかりであっても独りになった事は一度もなく、本当に折れそうな時にいつも仲間がいた。
「感謝、している。
私は……貴公らと出会えた事を、誇りに思う」
私は……貴公らと出会えた事を、誇りに思う」
ルルーシュと再会し、騎士として新たな人生を歩む事になった時。
それは自分を、世界さえも変えてしまうような瞬間だった。
不安定で何の目標もなかったはずの道が輝いて見えた。
それだけに主の喪失は、世界が壊れる事に等しい。
それでも今まで自暴自棄にならず、諦めもせず、戦い続けて来られた。
仲間がいたからここに辿り着いた。
それは自分を、世界さえも変えてしまうような瞬間だった。
不安定で何の目標もなかったはずの道が輝いて見えた。
それだけに主の喪失は、世界が壊れる事に等しい。
それでも今まで自暴自棄にならず、諦めもせず、戦い続けて来られた。
仲間がいたからここに辿り着いた。
その感謝を臆面もなく告げる事が出来たのは、ロロに、スザクに、云えなかった言葉があったからだ。
伝えようと思った時にはいつも手遅れだった。
今度こそ、悔いはない。
伝えようと思った時にはいつも手遅れだった。
今度こそ、悔いはない。
つかさはまだ泣いていた。
何度も鼻を啜り、幾ら袖で拭っても涙が落ちる。
だが息を止めてしゃくり上げるのを無理矢理抑え、それから大きく息を吸い込む。
そしてつかさは、笑ってみせた。
歪んでいて、不自然で、まだ涙が溢れていて、とても満面の笑みとは言えなかったけれど、笑おうとしていた。
何度も鼻を啜り、幾ら袖で拭っても涙が落ちる。
だが息を止めてしゃくり上げるのを無理矢理抑え、それから大きく息を吸い込む。
そしてつかさは、笑ってみせた。
歪んでいて、不自然で、まだ涙が溢れていて、とても満面の笑みとは言えなかったけれど、笑おうとしていた。
「行ってきます」
いつかに聞いた言葉だった。
その時はジェレミアの方から送り出したのだが。
別れに際してこれを選ぶのは、とてもつかさらしく思えた。
まるで明日にでもまた会えるような、そんな錯覚を起こしてしまいそうになる。
その時はジェレミアの方から送り出したのだが。
別れに際してこれを選ぶのは、とてもつかさらしく思えた。
まるで明日にでもまた会えるような、そんな錯覚を起こしてしまいそうになる。
――申し訳ございませんルルーシュ様。
――私は、最後まで柊つかさを……
これはきっと主への最後の、そして最大の不忠であろう。
常に険しくしていた眉間の力を僅かに解く。
強ばらせていた頬を少しだけ緩ませ、口の端を微かに持ち上げる。
強ばらせていた頬を少しだけ緩ませ、口の端を微かに持ち上げる。
「ああ、行け」
それなのにどうしてか、後悔は微塵も感じなかった。
【二日目/早朝/G-10 遊園地上空】
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、ブラフマーストラ@真・女神転生if…
[支給品]支給品一式×4(水のみ3つ、鉛筆一本と食糧の一部を消費)、確認済み支給品(0~1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、
食材@現実(一部使用)、パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた、メタルゲラスの角と爪、
咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、ジェレミアの確認済み支給品(0~1)、ジェレミアの仮面
[状態]精神的疲労(大)、ダメージ(中)
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
0:……。
1:錬金術でみんなに協力したい。
2:狭間達と合流する。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ、ブラフマーストラ@真・女神転生if…
[支給品]支給品一式×4(水のみ3つ、鉛筆一本と食糧の一部を消費)、確認済み支給品(0~1) 、レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、
食材@現実(一部使用)、パルトネール@相棒(開封済み)、こなたのスク水@らき☆すた、メタルゲラスの角と爪、
咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、ジェレミアの確認済み支給品(0~1)、ジェレミアの仮面
[状態]精神的疲労(大)、ダメージ(中)
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
0:……。
1:錬金術でみんなに協力したい。
2:狭間達と合流する。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
【北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、
五ェ門の確認済み支給品(0~1)(刀剣類では無い)、昇天石×1@真・女神転生if…、リフュールポット×1、デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、
贄殿遮那@灼眼のシャナ
[状態]ダメージ(中)
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
0:……。
1:つかさに対する罪悪感。
2:狭間達と合流する。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
※レナ、狭間と情報交換をしました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎(一時間変身不可)
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1、デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、
五ェ門の確認済み支給品(0~1)(刀剣類では無い)、昇天石×1@真・女神転生if…、リフュールポット×1、デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、
贄殿遮那@灼眼のシャナ
[状態]ダメージ(中)
[思考・行動]
0:殺し合いから脱出する。
0:……。
1:つかさに対する罪悪感。
2:狭間達と合流する。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
※レナ、狭間と情報交換をしました。
※『多ジャンルバトルロワイアル』のホームページを閲覧しました。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。
【サザーランド純血派機@コードギアス 反逆のルルーシュ】
ブリタニア軍が開発した量産・普及型KMF(ナイトメアフレーム)。
G-9地下のKMF格納庫に収容されていた。
純血派機のシンボルとして機体の頭部のファクトスフィアと両肩が赤く塗装されている。
起動キーはV.V.の手元にあり、バトルロワイアルの進行状況次第で参加者に渡す予定もあった。
型式番号 RPI-13
全高 4.39m
重量 7.48t
装備 スタントンファ、スラッシュハーケン、アサルトライフル
第五世代KMFであり、第四世代のものよりもコクピットの居住性・生存性の他、機動性の向上が図られた。
R2では多くの新型KMFが登場したため旧式となったが、ジェレミアは可翔式やサザーランド・ジークという形で使用し続けている。
V.V.の改造によって、本来この機体に用いられていなかった神経電位接続システムが採用された。
またサクラダイトの使用量を増やし出力増大。
更にエンドレス・イリュージョンのG-ER流体システムが導入され、搭乗者と機体の伝達速度がより速くなっている。
ブリタニア軍が開発した量産・普及型KMF(ナイトメアフレーム)。
G-9地下のKMF格納庫に収容されていた。
純血派機のシンボルとして機体の頭部のファクトスフィアと両肩が赤く塗装されている。
起動キーはV.V.の手元にあり、バトルロワイアルの進行状況次第で参加者に渡す予定もあった。
型式番号 RPI-13
全高 4.39m
重量 7.48t
装備 スタントンファ、スラッシュハーケン、アサルトライフル
第五世代KMFであり、第四世代のものよりもコクピットの居住性・生存性の他、機動性の向上が図られた。
R2では多くの新型KMFが登場したため旧式となったが、ジェレミアは可翔式やサザーランド・ジークという形で使用し続けている。
V.V.の改造によって、本来この機体に用いられていなかった神経電位接続システムが採用された。
またサクラダイトの使用量を増やし出力増大。
更にエンドレス・イリュージョンのG-ER流体システムが導入され、搭乗者と機体の伝達速度がより速くなっている。
【エクスカリバー@コードギアス 反逆のルルーシュR2】
第九十八代皇帝のナイトオブワン・ビスマルクの専用機ギャラハッドが背中に装備する巨大剣。
皇帝が直々に命名したものである。
元の刀身はギャラハッド自体の全高七メートルすら上回るほど巨大。
収納時の機動力低下を防ぐためか鞘の先端にはランドスピナーが装備されている。
巨大な刀身からはピンク色のエネルギーフィールドが放出されており、天愕覇王荷電粒子重砲でさえも拡散させ払いのけてしまうほどの高威力を誇る。
この場ではサザーランドが扱えるよう約半分のサイズとなった為、出力もそれに合わせて低下した。
第九十八代皇帝のナイトオブワン・ビスマルクの専用機ギャラハッドが背中に装備する巨大剣。
皇帝が直々に命名したものである。
元の刀身はギャラハッド自体の全高七メートルすら上回るほど巨大。
収納時の機動力低下を防ぐためか鞘の先端にはランドスピナーが装備されている。
巨大な刀身からはピンク色のエネルギーフィールドが放出されており、天愕覇王荷電粒子重砲でさえも拡散させ払いのけてしまうほどの高威力を誇る。
この場ではサザーランドが扱えるよう約半分のサイズとなった為、出力もそれに合わせて低下した。
▽
二人が立ち去ってその背も見えなくなった頃には、炎は再び勢いを取り戻していた。
四方を火に囲まれ、傍らに転がっていた死体は既に火の手に飲まれて人の形を残すばかり。
これならもう志々雄やV.V.に利用される事もないだろう。
四方を火に囲まれ、傍らに転がっていた死体は既に火の手に飲まれて人の形を残すばかり。
これならもう志々雄やV.V.に利用される事もないだろう。
状況は何も変わっていない。
むしろ時間の経過によって悪化したと言ってもいい。
それなのに、不思議と気分は晴れやかだった。
むしろ時間の経過によって悪化したと言ってもいい。
それなのに、不思議と気分は晴れやかだった。
「すまん、な……枢木。
私ばかりが、納得のいく結果に……なってしまった」
私ばかりが、納得のいく結果に……なってしまった」
その代わり最期ぐらいは付き合おうと、小さく付け足す。
北岡に頼んで炎の来ない場所に移る事も出来たが、それではスザクを独りにしてしまう。
生前に何の借りも返せなかった、その分してやれる事はこれしか思い付かなかった。
北岡に頼んで炎の来ない場所に移る事も出来たが、それではスザクを独りにしてしまう。
生前に何の借りも返せなかった、その分してやれる事はこれしか思い付かなかった。
ナイトオブゼロとナイトオブワン。
ゼロとナイトオブワン。
第九十九代皇帝ルルーシュと、二人の仮面の騎士による世界の変革。
この先、二人に訪れていたはずの未来をジェレミアが知る由もない。
ルルーシュがゼロとして初めて表舞台に立った時、ルルーシュが皇帝として最期を迎える時、そのどちらにも立ち会うはずだった二人。
奇妙な関係にあった二人は、結局敵となったまま終わってしまった。
この結末が残念ではあったが、今はもう諦めがついている。
ゼロとナイトオブワン。
第九十九代皇帝ルルーシュと、二人の仮面の騎士による世界の変革。
この先、二人に訪れていたはずの未来をジェレミアが知る由もない。
ルルーシュがゼロとして初めて表舞台に立った時、ルルーシュが皇帝として最期を迎える時、そのどちらにも立ち会うはずだった二人。
奇妙な関係にあった二人は、結局敵となったまま終わってしまった。
この結末が残念ではあったが、今はもう諦めがついている。
左半身を蝕んでいた火花は徐々に収まっていき、やがて全体の機能が停止する。
それに併せて急激に意識が鈍り、朝焼けの名残を惜しみながら目を閉じた。
それに併せて急激に意識が鈍り、朝焼けの名残を惜しみながら目を閉じた。
目蓋の裏に届く温かな光。
思い起こすのはいつか見たアリエス宮の夢。
誰もが笑っていられる幸せな世界。
実現し得ないと分かっていても、夢見ずにはいられない。
思い起こすのはいつか見たアリエス宮の夢。
誰もが笑っていられる幸せな世界。
実現し得ないと分かっていても、夢見ずにはいられない。
「ルルーシュ様、マリアンヌ様……」
二人の主はこの姿を見て呆れるだろうか。
それでも――
それでも――
「遅ればせながら私も、そちらに――」
葛藤も後悔も置き去りして、静かな眠りにつく。
訪れるはずだった未来にて、1と0の名を冠するはずだった二人の騎士は、炎の中に消えた。
訪れるはずだった未来にて、1と0の名を冠するはずだった二人の騎士は、炎の中に消えた。
【ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュR2 死亡】
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